2013年10月06日
比律賓事始 に
天使のキスに骨まで溶けたオイラ。
しかし早すぎる別れが・・・
慣れない英語を駆使した所為か、
はたまた天使のキスに撃たれた所為か、
一気に酔いが回ったかのように、喘ぎながら階段を上る。
最上段のドアを開け、振り返ると
最上級の笑顔で手を打ち振る彼女の姿。
短い後ろ髪を引かれる思いで、やっと外に出た。
フィリピン人は『 情熱的 』なんてことを小耳にはさんでいたが、
これか。この事か。
挨拶で、口に チュー するとは!
こりゃ、ハマる人が多い訳だ。
妙に納得した。
マスター「Mikeちゃん・・・キスしたね」
Kさん「したねぇ・・・」
オイラ「ん?挨拶でしょ?」
二人「挨拶なんかで口にキスするかー(`Д´)」
そうじゃないのか?アメリカ映画みたいに簡単にチューしちゃわないの?
Kさん「挨拶で、ほっぺにチュッてするのはあるけど、唇は無いよ。」
Kさんの奥さんはフィリピン人だ。
マスター「Mikeちゃん、ハメたね!」
いやいや、ハマったのはオイラです。今もまだフラフラしてますよ。
そしてこんな結論に。
三人「 こうなったら明日も行こー!! 」
そして翌日。
今日はマスターの近所で居酒屋を営むYちゃんも一緒だ。
4人で階段を降り
今日は入ってすぐのブースに座る。
マスターお気にのR嬢がきた。
KさんのM嬢はすでにKさんの肩にもたれかかっている。
Yちゃんには紹介の女の子が。
「こんばんは」おや?綺麗な日本語だ。
「ちょっと横座らせてね。」
見たところアラサーのフィリピン女性。
「ママのLです。はじめまして」 そういえば、昨日帰る時見送ってたな。
「あ、はじめまして」
「お名前は?」
「Mikeです」 (この頃はまだこのあだ名は無かったですが、便宜上これで通します)
「フィリピンクラブは良く来るの?」
「今日で3回目。ここにしか来たこと無いです。」
ママL、まじまじとオイラの顔を見ながら、
「へぇ〜・・・」
その後オイラの事を根掘り葉掘り。
どこに住んでる?仕事はなに?何歳?etc.....
身辺調査です!
そこに麗しの姫君登場!
ところが何故かママの向こうに『嫉妬ダウン』 (座ったって事です^^;ちょい気持ち入ってます)
ママの肩越しに笑顔を湛えてオイラを見つめてます。
「P(麗しの姫君の名前)のこと、どう思う?」
「そりゃもう、超美人でビックリ。」
「それだけ?」
「えっ?いや、歌もうまいし、SEXYだし、いい匂いだし・・・」
「それだけ?」 うひゃー!何を言わせたいんだ?
「・・・」しばらく沈黙
そして突然ひらめいた!神の啓示かってくらい突然ひらめいた!
「 I love her! 」
ママとPが見詰め合う。
何やら囁きあっている。
二人とも笑顔だ。
悪くない返事だったようだ!
ママが立ち上がり、
裁判で勝った弁護士みたいにオイラに握手を求めてくる。
がっちりと手を握り合うママとオイラ。
ママの目が言っている。
「合格!」
ママが去り、Pと話すでもなく、まったりとした時間が流れる。
言葉は無くとも、心が通じている。
そう、あの一言で二人は完全に恋に落ちた。
テーブルの下で、固く握り合う手だけが会話している。
しばらくしてPが他の席に呼ばれ、
オイラはトイレに。
用を済ませて、手を洗い、ドアの方に向いた時、ふと目に入った1枚のポスター。
「SAYONARA PARTY March.13」
なにそれ?
よく読んでみると、PとマスターのR嬢の名前が。
もう一度タイトルを見る。
「SAYONARA PARTY March.13」
さよなら?3月13日?辞めちゃうのか?あと13日後?
トイレから戻り、急いでKさんに聞く。
「さよならパーティーって何ですか?」
「ああ、彼女たちは国に帰らなくちゃならないんで、そのさよならパーティーだよ。」
「帰っちゃうんですかΣ(°д°lll)ガーン・・・」
そこで初めて、彼女らが興行ビザで来ている事、
ビザの期間が6ヶ月な事、
そしてPは既に滞在5ヶ月半経過している事、
そしてあと14日後に帰国する事、
いろいろ知った。
神は残酷だ。
天国から地獄に落ちた。真っ逆さまに落ちた。
早すぎる別れだった。
・・・つづく
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