青いクルマは事故を起こしやすい——。そんな都市伝説のようなものを、ご存知だろうか?
実はあながち、根拠のない話ではないらしい。赤のような暖色系は近くに見え、青などの寒色系は遠くに見えるというヒトの目の仕組みが原因にあるといわれている。つまり、道路を走行中、前方が青い車だと、遠くにいるように見えるため、車間距離を詰めすぎて、追突事故につながるというのである。
そこから「事故率が高い“青い車”は、自動車保険の掛け金が割高」という風説も流れているようだが、そういう事実はない。
青色を好むドライバーは、沈着冷静で安定志向
心理学では、青色を好む人は沈着冷静、安定志向で、円満な人間関係に関心が強いという。赤色を好む人が、情熱的、社交的で、アクティブに人生をエネルギッシュに謳歌しているイメージとは対照的だ。
ちなみに、色彩を中心とした通信サイト「色カラー」が2014年に調査した男女別の「好きな色ランキング」によると、男性は1位が青、2位に赤、次いで緑。一方、女性は1位がピンク、2位が青、3位は水色。
青系は男性で1位、女性で2位、3位を占める。青は男女ともに好まれる色なのだ。それでは、売れゆきのいいクルマも絶えず青色が多いか、というとそうでもない。
景気が左右するクルマの色
クルマの色は、景気に左右されることがよく知られている。好景気なときには、比較的色味のある車種が売れる。車道もカラフルな印象になるわけだ。
ところが景気が悪くなると、白・黒・グレー(シルバーを含む)などの無彩色が好まれ、車道も地味な色合いになる。
リーマンショック、東日本大震災と立て続けに災難に見舞われた2012年は、まさに無彩色のクルマの販売が好調だったという。そういえば、道路が白・黒・グレーのトーンで占められていたかもしれない。
なぜ、景気の悪化によって地味なカラーが好まれるのか? 「浮かれたり派手なことをしたりすべき時ではない」と、自粛する心理が働くからだという説がある。しかし、気持ちが沈みがちなときだからこそ、あえて明るい色を選ぶ人もいるのではないだろうか。
そこで、最も説得力があるのは、「下取りでは無彩色のほうが高く買い取ってくれる」というもの。景気・不景気によってクルマの販売台数は変化するものの、白と黒はいつも1、2位を争って人気が高い。将来の買い替えを考えれば、高く売れる色のクルマのほうが得だ。
景気がよければ、「好きな色」を選ぶ人も、不景気だと「無難な白か黒」と無彩色を選択する場合が増えるのは当然だろう。
これから増えるかもしれない青色のクルマの事故
「青いクルマは事故に遭いやすい」という根拠を諸説述べてきたが、将来、この都市伝説が現実になる可能性が、なきにしもあらず。
2015年の「交通白書」によると、交通事故死亡者数の半数以上は65歳以上の高齢者であり、その半数は歩行者だ。
高齢になると、目のレンズである水晶体が黄色がかってくるため、黄色が見えにくくなる。さらに、青や緑は黒っぽく見えるようになるため、夜間など青いクルマが識別しづらくなることもあるのだ。
もちろん、この論理でいけば、青だけでなく黄やグリーンの車の事故も増加することになる。ただ確かなことは、視覚の衰えた人が増えることで、視認性の低い色のクルマ、服装などは、これまで以上に事故に遭うリスクが高くなるといえる。
タグ: 車
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