『恋のスクランブル』VS『アナザー・カントリー』
★初めての相手はお色気ムンムン熟女、プラス親友の母親!
『恋のスクランブル Class』
(1983/米)ルイス・ジョン・カリーノ監督
私のイチオシ、 アンドリュー・マッカーシーのデビュー作。
オーディションで発掘され、いきなり主役に抜擢。今のおじさま世代が若かりし70年代に活躍したセクシー熟女ジャクリーン・ビセットと恋に落ちるアンドリューの、ウブで自信のなさそうな姿がめちゃくちゃキュート。積極的な女の子たちの群れに放り込まれた彼がオドオドするシーンは、あなたの青春時代を思い出させるかもしれない…。女性なら、恋に落ちた相手を労わる彼の純粋な姿に胸キュンすること間違いなし。
さんざんオクテのジョナサンを煽っておきながら、相手が自分の母親と知るや猛烈に怒り狂う(当然か)親友を『セント・エルモス・ファイアー』でも共演している美形俳優 ロブ・ローが演じている。さらに悪友のひとりとしてジョン・キューザックもチラリと出演している。
ハーバード大学進学という暗黙のプレッシャーを抱えたお金持ちのボンボンとはいえ、目下の関心事はやっぱり 女の子。「ほかに考えることないんかい?!」と呆れてしまうほど、人生の意味や生きる目的に想いを馳せるようなことはなく、十代の朗らかさ全開で今を楽しむ彼ら。
同じ寮生活でも、こうまで子供っぽく楽天的で恋と遊びにしか興味のないアメリカン・プレップ・スクールは、英国パブリック・スクールの対極。あくまでも明るく純粋無垢なこの作品、息抜き目的の軽いノリで見るには最適の一品だ。
アンドリュー・マッカーシー Andrew Mccarthy
ブラットパック全盛期の 『セント・エルモス・ファイアー』(85) 『プリティ・イン・ピンク』(86)、『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサ役キム・キャトラルと共演した 『マネキン』(87)、マット・ディロンとの共演作 『カンザス』(88)など順調に青春映画に主演し続けたアンドリュー・マッカーシー。
「個性の無さが彼の個性」と言われたアンドリューの魅力は、ズバリその「フツー」っぽさ。どこにでもいそうなお兄さん、といった親しみやすい雰囲気。だから『クリシーの静かな日々』(90)での作家ヘンリー・ミラー役や、シャロン・ストーンと共演した『イヤー・オブ・ザ・ガン』(91)の記者のような真面目な役は、正直あまりパッとしなかった。あくまでも「ニコニコ笑って飄々と人生を渡っていってしまうボンボン」役でこそ本領発揮できる俳優、というイメージだ。それでもブラットパッカーでの私の一番のお気に入りだったのはやはり、あの純粋無垢で人のいい、親しみやすそうな雰囲気ゆえだろうなぁ…。
ブラットパッカーを代表するひとりでありながら、青春映画の衰退とともに映画界から姿を消したと思っていたのだが、主にテレビの方で生き延びていたらしく、ブルック・シールズ主演のテレビシリーズ 『リップスティック・ジャングル』(2008~09)では主要キャストの一人として存在感を示した。先日見た映画『スパイダーウィックの謎』にも、ほんの1シーン登場していて嬉しいサプライズ。 歳喰ってもやっぱイケメンはイケメン、まだまだ58歳。味のある中年俳優としてもっと映画で活躍してください、と切に願う。
★英国版「イケメン・パラダイス」?
『アナザー・カントリー Another Country』
(1984/英)マレク・カニエフスカ監督
オスカー・ワイルドが同性愛の罪で逮捕された時代の、暗く厳かな雰囲気漂う英国のパブリック・スクールを舞台に、後にロシアに亡命したスパイの実話を映画化。イギリス国歌「木星(ジュピター)」の重々しいメロディが流れる中、光と影の濃いコントラストが美しい陰影を生む極めて英国的な洗練された画面と、主役のヨーロッパ産美青年たちが強い印象を残す。
主役は『ベストフレンズ・ウェディング』『理想の結婚』(99)の ルパート・エヴェレット。ぜひヴァンパイア役をやってほしかった人間離れした美しさと、スラリとした長身の、ヒュー・グラントと並ぶ人気を誇った英国俳優。
ガイが道を踏み外すきっかけとなる相手役ハーコートは、『デイズ・オブ・サンダー』でトム・クルーズの宿敵を演じた ケイリー・エルウェス。『レディ・ジェーン』『プリンセス・ブライド・ストーリー』などでも甘いマスクを生かしたロマンティックな役柄を演じていた。
友人役の コリン・ファースは『ブリジット・ジョーンズの日記』でヒュー・グラントと火花を散らして(実際は仲が良いらしい)以降『英国王のスピーチ』でアカデミー主演男優賞を獲得するなど、80年代人気だった英国美青年俳優の中ではダニエル・デイ・ルイスと並ぶイギリス実力派俳優に成長。近年では『キングス・マン』での活躍が記憶に新しい。
日本では、ヒュー・グラント主演の『モーリス』と並んで 英国美青年ブームの火付け役となったこの映画は、第二次世界大戦前という時代設定もあり、耽美的な少年たちの愛を描きながらも終始暗さと不穏な重さがつきまとう。心身ともに成熟した大人に近いイギリス青年たちの学園生活、アメリカとは対照的だ。
ルパート・エヴェレット Ruper Everett
軍人の父、スコットランド貴族の母を持つルパートはイギリスの上流社会で育つが、その反抗的な性格ゆえに若い頃から周囲との衝突を繰り返してきた。『アナザー・カントリー』で一躍世界に注目された後もそんな彼の姿勢が、順調なキャリアを阻んだ。
しかし自身もゲイであることを公表し、ジュリア・ロバーツと共演した 『ベストフレンズ・ウェディング』(97)に出演する頃から世間との折り合いをつけることに成功したらしく、マドンナと共演した 『2番目に幸せなこと』(00)などアメリカ映画での活躍も目立つ。
「こんな天使のような美しい男性が実在するの?!」と、もうため息しか出て来ないほど衝撃的なルパート・エヴェレットの 美しさ。スラリというよりひょろりとした193センチの長身に、上流家庭育ちらしいノーブルさと優秀なオツム。そして、 超絶美形
そんな彼ではあるが、他のお行儀の良い英国産美青年とは一線を画すのが、その反骨精神。あの睫毛バサバサなもの言いたげな眼差しは、彼の心の奥深くに燻ぶる権力や世の中に対する苛立ちに他ならない。その「反抗的な」表情がまたイケメン好きにはたまらないんだわ〜。
ルパート・エヴェレット&コリン・ファースのコンビは絶妙で、2007年には『 聖トリニアンズ女学院 St.Trinian’s』というイギリスのコメディ・ムービーでも、ヤングガールズたちに交じって共演している。ルパートは何と女性役(!)でふたりは惹かれ合う仲という設定。おおいに笑わせていただきました。こちらも是非ご覧あれ!
やっぱりこの映画は祖国というテーマ云々よりも、特に女性には 「英国パブリック・スクールに生息するイケメンを堪能するための映画」として、ぜひ一度は見ておくことをお勧めします。
見ないと損ですよー、マジで。
う〜ん、 ブラットパックについて書いているはずのこのシリーズではあるが、圧倒的な英国産美青年満載の『アナザー・カントリー』は他に比べようのないほど私の中では特異な位置を占める映画。 イチオシです!!
★『愛すべきブラットパック映画?E 恋とスポーツと音楽は青春の三大要素!』は こちら へ。
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