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2021年04月28日

アラスカ in 『イントゥ・ザ・ワイルド』

★これは、体感する映画だ。

IMG_20210414_144117.jpg
『イントゥ・ザ・ワイルド
 Into the wild 』

(2007/米)ショーン・ペン監督

♪僕を縛らないで——旅に出るのだから。♪

すべてを捨てアラスカへと放浪の旅に出た裕福な青年の、心の軌跡を描いた人間ドラマ。
冒険家ジョン・クラカワー著のノンフィクション小説「荒野へ」を、ショーン・ペン監督が映画化。青年が足を踏み入れていく、美しくも厳しいアラスカの大自然の映像も圧巻。

【ストーリー】
大学を優秀な成績で卒業した クリス(エミール・ハーシュ)は、物質社会に反発し、新しい価値観のもとで自由に生きるために学資預金を寄付し、家族にも告げずにIDカードを含む全てを捨てて旅に出る。
アリゾナの砂漠地帯を旅し、カヤックで川を下りメキシコまで行くが、戻るためには身分証が必要。仕方なく国境越えの列車に無賃乗車しアメリカへ戻るが、見つかって袋叩きに遭う。そこで一度社会へ戻ることを考えるが、スーツ姿の自分をどうしても想像できずに、北をめざして旅を続ける。
農場で働いたりヒッピーの集うコミュニティに身を寄せたりして、様々な人々と絆を持ったクリスだったが2年後、最終目的地アラスカ、デナリ国立公園内の荒野に分け入り、打ち捨てられたバスで生活し始める。
一冬をそこで過ごし、雪解けが始まった春、本当の幸せは分かち合うことで得られると気付いた彼は文明社会へ戻ろうとするが、その彼を待っていたのは無情な神の答えだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


実話を元にした究極の旅のカタチ

衝撃的な実話であり、私の旅に対する概念、人生の捉え方を根本から変えた作品。
「旅こそ我が人生」は私の真理になりつつあるが、クリスにとってはまさにその通りだった。
彼にとって旅とは 極限まで自分自身と向き合うもの。

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自分の「所属」を示すもの、自分を社会に縛るものを徹底的に捨て去ったクリスは、何より本当の「自分自身」とは何か、という答えを求めていた。

多くの人に愛され、絆を結びながらも何故あそこまで徹底して汚れた世界から隔絶を図ろうとしたのか。IDカードを燃やし、名前まで変えて。

アラスカの荒野に分け入るまでの2年間、彼は多くの人々と交流を持った。
バイトをした農場では兄貴分のような男性に信頼を寄せたり、ヒッピーのコミュニティでは年下の女の子の恋の対象になったりもする。その早熟な女の子を『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートが演じていてとても魅力的だ。

また、孤独な老人や旅する夫婦と親しくなり、息子のように愛されたりもするクリスは、どこへ行っても人々に強烈な印象を残しつつ、心を完全に開くことなく次の場所へと去っていく。
その都度感じるのは、彼の心の美しさと純粋さだ。だからこそ、物質主義の現代社会に馴染めなかたのだろう。


幸福の本当の意味

家族を悲しませてまでアラスカを目指す意味に、理解も共感もできないが、圧倒的なスケールと映像美で描かれる光に満ちた彼の短い人生に、心を震わされることは間違いない。

「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ」
彼が最後に残した言葉は、一人で世界半周旅をしている間ずっと、私の中にあった。

どんなにひとりで生きようとしても、人は生かされているのだという事実だけは変わらない。
それは、生まれてくる目的が「 他者と愛を分かち合うこと」だからにほかならないと思う。

P1060684.JPG



タグ: 都市
posted by Izumi at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の舞台
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