Pilgrimage in Spain ?R Day19: Rain in Sahagun , where this helplessnes comes from? 【4.2011】
4月19日(巡礼19日目)
Ledigos レディゴス 〜 Sahagun サアグン (16km)
「雷雨のサアグンで足止め
confinement in Sahagun because of the thunderstorm」
翌日、なぜ私はたった16キロのサアグンで止まってしまったのだろう。
朝から雲がどんよりと空を覆い、薄暗い一日だった。
ただでさえ落ち着かない気持ちを、雨がちの天気がさらに憂鬱にする。
そこは大きなホテルに大型アルベルゲが併設された新しい宿で、かなりプライベートを確保できる個人ブース的な木枠のベッドがずらりと広い空間に並んでいたが、人は少なく灯りもほぼ消えていて、暗く陰気な印象が強く残っている。
知り合いは一人もいず、キッチンでは家族連れが料理をして盛り上がっているし、居場所がなくアイフォンを友とするしかなかった。
昼の12時半に宿に入ってしまったのですることがなく、巡礼中最も長く感じた午後だったかもしれない。町の中心の方へ出かけてカフェに入り、窓の外を通り過ぎる巡礼者たちを眺めたりしてもまだ日は暮れてくれない。
気がつくとヤンの姿を探し求め、あと10キロ先まで歩いていたらヤンの近くにいられたのに、と考えたりする。なんだか恋する女の子のようにヤンに会いたいと思っている私がいた。
しかし今は巡礼中。祈りの旅の途中で恋愛などにうつつを抜かしている訳にはいかない。
だからきっと神様は私の足をサアグンで止めさせたのだ。これからどう頑張っても一日30キロ以上歩くヤンには追いつけない。
曇り空に虹が架かり、ほんの少しだけ気分を上げてくれる
今日から予報はずっと雨。レディゴスの宿でも朝方激しい雨の音がしていた。午前中も歩いている間、少し雨に当たった。その後きれいな虹が出た。
レイヤーのフードを被って何とかしのげる程度の雨だったからよかったが、本格的な雨になったら小学生用の小さな雨合羽と折りたたみ傘しか持っていない私は先へ進めない。どこかのアルベルゲで足止めをくらい、ヤンとの距離は開いてしまう。あぁ、気が付くとまたヤンのことを考えている…。
夕方二回の夕立が襲った。スペインに入って初めて目の当たりにする激しい雷雨だった。外に干していた洗濯物を慌てて建物の中へ引っ張り込む。
あまりに激しく大地に叩きつける大きな雨音に、巡礼者たちが玄関まで出てきて、声もなくただじっと大粒のガラスのような雨を眺めている。
風に煽られ、横殴りに吹き付ける雨のために、自転車が何台も倒れていた。
遠雷がまだ響く中、唐突にあがった雨のあとの空に、再び七色の虹が架かった。
きれいな虹…と呟きながら、ヤンに会いたいと思った。ヤンはこの激しい夕立に遭わなかっただろうか。どこか別の宿で、ヤンもあのドイツ人の二人の女性と一緒に足止めをくっているのだろうか。ヤンは今どこにいるのだろう…。
アルベルゲの入り口。大粒の雨がアスファルトに叩きつけるように降り、風がこの後自転車をなぎ倒す。
心をかき乱すヤンにはもう会わないほうがいいのだと自分に言い聞かせる一方で、もう会えないかもしれないと考えると、一抹の寂しさが心をよぎった。
昨日「See you later.」と手を振りウィンクしたヤンの姿がちらついて、なかなか寝付けなかった。
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2018年11月13日
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