高潔な人格と勇壮な武勇でその名を轟かせ、双刀の金獅子と呼ばれた男がいた。その無双の武人が若き頃、技を磨き合った女騎士の愛槍が、この槍である。女騎士が戦に出る時、必ずこの槍を手にしたという。それは、双刀の金獅子が彼女に贈った物だったからであろうか。
ある戦で女騎士は決断を迫られる。眼前に迫りくる敵軍。背後には寒村。撤退命令を無視して彼女は最後まで留まり、数多の敵兵を迎え撃った。しかし…女騎士は討ち死に、亡骸はきざみ晒され、寒村は焼かれ、軍紀違反者の汚名を着せられた。
双刀の金獅子は敵陣へと切り込み、彼女の亡骸と愛槍を奪い返した。永遠に失った愛しき人の最期の決断と意志を、後の世に正しく継ぐべく男は誓う。彼女のように、真に人々を守る騎士となることを。そして、真に人々を守る騎士を育てることを。
今、槍はエリスの手にある。二人の騎士の想いが込められた槍。彼女は何を思い、誰の為にそれを振るうのだろうか。託された願いを、注がれた意志を、エリスが受け継ぐ日が来ると、亡き騎士達は優しく見守っているに違いない。
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2015年04月01日
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