その職人が作る武器は飾りも無く色気も無く、おおよそ美術品としての価値は無かったが、実戦ではよく斬れると評判で、求めるものが後を絶たなかった。
ふと、職人は思った。自分は人を斬ったことはない。試し斬りはいつも豚か牛の死骸だ。だが皆はよく斬れるという。人を斬るというのは、いったいどのような手応えなのだろう。
職人は己の剣を手にして戦場に向かった。転がる死体を斬っては、あまりにもすんなりと通る刃の威力に驚いた。全くもってつまらない。もっと——もっと斬った手応えが欲しい。
かくして職人は、手応えを求めて剣に加工を施した。斬られる側の苦痛など微塵も考えず。だが、完成した剣は押し入った夜盗に奪われ、職人はその身体で設計通りの苦痛を味わった。
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2018年01月07日
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