【Google Cloud Next Tokyo】 DAY 2 基調講演まとめ: AI エージェントが変える、開発、データ活用、そしてセキュリティ

Google Cloud Japan Team
Google Cloud Next Tokyo の 2 日目は、1 日目の発表をさらに発展させ、AI 時代の核となるインフラ、アプリケーションのモダナイゼーション、データ、セキュリティを紹介しました。本レポートでは、その興奮と熱気に満ちた基調講演の模様を各セクションのハイライトと共にお伝えします。
見逃した方はぜひ こちら からご覧ください。


AI を支える、Google Cloud の最新インフラストラクチャ
Google Cloud の渕野は、AI コンピューティングの需要が過去 8 年間で 1 億倍に増加したという驚異的なデータを示し、この需要を支える Google Cloud の役割を強調しました。ハードウェアからソフトウェアまで一気通貫で提供する独自の強みを活かし、AI の導入を簡素化し、パフォーマンスを最大化する「AI 時代のスーパーコンピューティングシステム」を紹介。1 ポッドあたり 42.5 エクサ FLOPS の性能を誇る第 7 世代 TPU 「Ironwood」や、NVIDIA の最新 GPU の迅速な提供、I/O レイテンシを最大 70% 改善する Anywhere Cache など、AI ワークロードを加速する革新的な技術を次々と紹介し、AI の未来を支える強固な基盤が整っていることを示しました。


AI が変えるアプリケーション開発の最前線
Google Cloud の Brad Calder は、10 年の実績を持つ Google Kubernetes Engine (GKE) の進化を紹介しました。リソース管理を自動化する Autopilot によって最大 7 倍の高速化を実現したことや、Cloud Run が GPU に対応し、リアルタイム推論といったユースケースが可能になったことを説明。加えて、リポジトリ上でコーディング作業を自律的に行うエージェント「Gemini CLI GitHub Actions」を発表しました。
続いて登壇した Google Cloud の塚越は、Gemini CLI を活用したバイブ コーディングのデモを披露しました。プロジェクトの全ファイルを読み込ませて README を自動生成させたり、自然言語の指示だけで GitHub の Issue を解決し、UI を修正したりと、AI と対話しながら開発を進める未来の姿を具体的に提示。AI と対話しながら開発を進めるという新たなスタイルが、開発者の生産性を飛躍的に向上させ、もはや夢物語ではないことを証明しました。


データが描き出す新たな観戦体験、プロ野球DXの挑戦
NPB エンタープライズの丹羽氏は、プロ野球ファンに新たな楽しみ方を提供するため、全試合のデータを一元管理するシステムの構築という壮大なビジョンを語りました。これにより、打球速度や選手の成績がリアルタイムで見えるようになると説明。
続いてソニーの平位氏は、その実現の鍵となるソニー傘下のホークアイの高精度なトラッキング技術と、その膨大なデータを処理する基盤として Google Cloud を採用したことを紹介。単なる技術提供に留まらず、ビジネスの未来を共創する協力関係を築けたことを高く評価しました。GKE Autopilot や Cloud GPU などを活用し、全試合・全プレーの CG コンテンツ化とコスト最適化を両立。この取り組みは、単なるデジタル化に留まらず、日本のプロ野球界全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させる大きな可能性を秘めている、と締めくくりました。


伝統と革新の融合、三菱UFJフィナンシャル・グループが描くデジタルバンク構想
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の山本氏は、「お金のあれこれ、まるっと。」をキーワードにした新しいサービスブランド「エムット」と、その中核をなすデジタルバンクの設立構想について語りました。
この挑戦の鍵となるのが、銀行の心臓部である勘定系システムのフルクラウド開発です。MUFG は、ミッションクリティカルな領域で求められる最高の信頼性と堅牢性を評価し、その基盤として Google Cloud を選択。決め手は、障害時にもサービスを止めずデータの不整合も起こさない Spanner の信頼性に加え、サービスの開発スピードを上げるコンテナ技術や、膨大なデータから、お客様のニーズを先読みする AI と機械学習といった業界をリードする技術群にあると述べました。伝統ある金融機関が Google Cloud と共に歩むことで、2026 年度中のデジタルバンク開業を目指し、日本の金融業界に新たな変革をもたらすことが期待されます。


AI がデータに知性を与え、ビジネスは新たな次元へ
Google Cloud の Andi Gutmans は、データと AI によって世界が再設計されていると述べ、企業のイノベーションを支援する Google のデータクラウドの全体像を紹介しました。データエンジニア向けのデータ エンジニアリング エージェントや、アナリスト向けの対話型分析エージェント、SQL に AI を組み込む AI クエリエンジンなど、データに関わる全ての人が AI の恩恵を受けられる世界を提示しました。
Google Cloud の安藤によるデモでは、AlloyDB のベクトル検索で最適な商品を推薦する顧客視点から、BigQuery で売上を対話形式で分析するマーケター視点、さらには口コミを AI でスコアリングし売上への影響を分析するデータサイエンティスト視点まで、AI がデータに知性を与え、ビジネスを新たな次元へと導く様子が具体的に示されました。


21,000 店舗の「ストアコンピュータ」を全廃。セブン&アイ・ホールディングスが挑む次世代店舗システム
セブン&アイ・ホールディングスの西村氏は、1 日に約 2,000 万人が来店し、おにぎりだけでも毎秒 約 63 個売れるという巨大なトランザクションを支える IT の重要性を語りました。お客様、加盟店、従業員といった全てのステークホルダーのために、働きやすく、買い物をしやすい世界を作ることがテーマだと語りました。
同社は、セブン-イレブンにおける 21,000 を超える店舗のストアコンピュータを全廃し、次世代店舗システムを Google Cloud 上に全面移行するという大きな挑戦を進めています。BigQuery を核としたリアルタイムデータ基盤「セブンCENTRAL」に加え、Spanner や AlloyDB といった高性能データベースを活用。AI エージェントの活用も視野に入れ、お客様と従業員のために、IT の力で安定的かつ新しいお買い物体験を提供し続けると語りました。


「AI で守り、AI を守る」 - セキュリティの新たな形
Google Cloud の北迫は、ゼロデイ攻撃の増加や攻撃者による AI の悪用を背景に、脅威がかつてない速さで進化している現状を報告。これに対し、Google Cloud は「AI で守る」と「AI を守る」という 2 つのアプローチでセキュリティの変革を推進していると語りました。
Google Cloud の桐谷によるデモでは、AI エージェントがセキュリティアラートを自動で調査・分析し、対応の優先順位を判断する「アラートトリアージエージェント」や、AI モデルへの攻撃を防ぐ「AI Protection」の機能が紹介されました。AI が自律的に脅威と戦う、セキュリティ運用の新たな形が、企業の安全な事業推進と AI 活用を力強く支援することをアピールしました。


まとめ:AI が加速させる未来へ、次の主役は、みなさまです
2 日間にわたる基調講演は、AI、特に AI エージェントが、もはや未来の技術ではなく、ビジネスの現場で具体的な価値を生み出す「現在の技術」であることを明確に示しました。Google Cloud は、そのための強力なインフラ、プラットフォーム、そしてセキュリティを提供し、あらゆる企業の挑戦を支援します。
こうしたイノベーションの主役は、もちろん皆様です。皆様自身の先進的な事例を共有し、その功績をたたえあう場として、今年も「 第 4 回 生成 AI Innovation Awards 」を開催します。皆様の先進的な事例に出会えることを心から楽しみにしています。
さらに、新しい開発スタイルをいち早く体験いただくため、「 第 3 回 AI Agent Hackathon with Google Cloud 」に協賛します。開発者の皆様、ぜひ挑戦をお待ちしています。
来年の Next Tokyo は 7 月 30、31 日に開催されます。また会場でお会いしましょう!