詩と映画と日記

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アレキサンダー

『アレキサンダー』

監督 オリバー・ストーン

キヤスト
アレキサンダー:コリン・ファレル
オリンピアス :アンジェリーナ・ジョリー
プトレマイオス:アンソニー・ポプキンス
フィリッポス :ヴァル・キルマー
ロクサネ   :ロザリオ・ドーソン



歴史に名高い
偉大な英雄の物語ですから
そういう作品かなと思っていましたが
ひと味ちがいました

アレキサンダーは英雄としてよりも
不和な両親の元で
心を引き裂かれながら幼年時代を過ごし

父王が暗殺されたことによって
若くして大国とは言いがたく平和でもない
マケドニアの王座につきますが

敵の侵略から国を守るために
戦い続けるうちに
アレキサンダー自身が
飽くことなき侵略者になって行きます

庶民や兵士にはきっと
理解できないことだったと思いますが

世界をひとつにしようという
壮大な夢を描いて果たせず

挫折にうちひしがれ
信じられる者もない孤独と
苦悩の人生を短く走り生きた
天才の物語のように思いました

毎夜『イーリアス』を
枕元に眠ったといわれるアレキサンダーは
アキレスの信奉者でした

アキレスとアレキサンダーとシーザーに
強く似通ったものを感じるのは
私だけでしょうか

戦いに於いては
軍神といわれるほど
武術に長け頭脳秀で
大きな夢を描いた男達ですが
共に無残な死を遂げています

アレキサンダーの死は
なぞの病とされているようですが
この映画の中では
厳しく長い遠征に疲れ果て
故郷に帰りたい部下たちに裏切られて
殺されたと匂わせています

そして三人とも
終生、母の強い影響下にありました

いかに勝れていたところで
独裁者では企業も軍隊も国も
いずれは破綻し崩壊していく

ひとりの人間の力や判断力には
限界がありますから

視野を広く傲慢にならずに
新鮮な気概を長年持続することは
至難なことです

この映画を観ながら
新聞を賑わす某大企業や某国を連想しました



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