December 16, 2004
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2004年12月16日で、サイト開設100日目を無事に迎えました。日記記入率はとても低いですが、多くの方に遊びに来ていただけることはとても嬉しい限りです。その記念(?)となる日記です。


食物アレルギーが判明し、アレルゲンの除去食生活に入ります。しかし、その除去食生活をかなり厳密に行っているにもかかわらず、症状が改善しない、もしくは定期検査でスコアが急上昇して、頭を悩ませる例は少なくありません。
「母乳育児中のため、母子で除去食を行っているのに、なぜ?」
「ミルク育児だから、母乳経由も本人摂取も考えられないのに、なぜ?」
という声をよく聞きます。

この場合の原因の多くは、吸入抗原・接触抗原・調理器具における微量混入です。除去食とは、「本人さえ口にしなければ問題ない」と考えている場合がかなり多く見受けられます。過敏性もしくはアナフィラキシーショックを経験するなど症状が重い方の場合は、これらの抗原および調理器具の微量混入などは充分に配慮されている場合が多いのですが、軽度もしくは中程度の場合は、案外気づかない場合が多いのです。

しかし、この吸入・接触抗原による皮膚もしくは呼吸器経由の微量アレルゲン、もしくは調理器具による微量混入が症状の改善を遅らせたり、新たに発症させたり、スコア上昇の原因を作っていることは周知の事実なのです。もちろん、これにも個人の体質が大きく関与し、直接摂取以外はほとんど影響のない場合も多いのですが、かなり頑張っているのに、上記に該当する方は、改めて、家族の生活状況の見直しをおすすめします。

それでは、少し詳細に述べていきます。
<吸入抗原>
食餌アレルゲンの微量成分を吸い込むことにより発症する場合があります。この呼吸器系から入る微量成分を吸入抗原といいます。

<接触抗原>
食餌アレルゲンの微量成分が顔や手足などの皮膚につくことにより発症する場合があります。この皮膚につく微量成分を接触抗原といいます。

<具体例>
1.家族など周囲の人がアレルゲンとなる成分を食べることにより、その人の歯茎や口腔内に微量成分が残り、食事中の会話やくしゃみなどで、唾液とともに飛散したアレルゲンを吸入・接触することによる発症例がもっとも多く見受けられます( 関連日記 )。

●特に、パパや祖父母である場合が多いのですが、食べながら子供に話しかけたり、あやしたりすること、もしくは食後に抱っこをしたり、チューなどをした場合
●アレルゲンとなる離乳食を食べたお友達がなめたおもちゃを、そのままなめたとき

2.アレルゲンとなる食材を調理することにより生じた煙や湯気を吸入することによる発症が知られ、特に、小麦粉などの粉類は周囲に飛散するので要注意です。また、調理することにより、その微量成分が腕や手、衣類などにつきます。それを充分に洗い落とさずに(軽く手洗いしただけ)、子どもに触ったり、抱っこをすることにより発症する場合があります。また、エプロンに赤ちゃんが顔をすりすりしただけでも同様です。

3.床に食べこぼしたものが落ち、その上を赤ちゃんがハイハイしたりした場合による発症もあります。例えば、ミルクアレルギーのお子さんが、フォローアップミルクを飲んだ直後の赤ちゃんがハイハイした場所をハイハイすることにより、床に接触した手足の露出部分の肌が蕁麻疹や浮腫になった例があります。

4.そばアレルギーの方が手打ち蕎麦屋さんの店内に入り、そば粉を吸入することによる発症例。

5.ナッツアレルギーの方が周囲で落花生の豆まきをされたことによる発症例( 関連日記 )。

6.保育園・幼稚園・親子教室での粘土遊びによる発症:小麦粘土、トウモロコシ粘土などアレルゲンでできた粘土で遊ぶことによる発症

この中で4.の蕎麦屋さんの具体例を耳にしたことがある人は多いと思います。これらのように、微量抗原の吸入により、主に呼吸器系の症状(喘息・鼻水・鼻づまり・咳き込み・くしゃみなど)が出る場合が多く、また、飛散した微量抗原が顔などの皮膚につくことで、アトピー性皮膚炎が悪化をしたり、新たに湿疹、蕁麻疹、赤み、痒みなどを生じる場合があります。

<調理器具による混入>
調理器具は洗剤などで洗っているため、関係がないと思われていることも多いのですが、器具の素材中に染みこんだアレルゲンはなかなかとれないようで、それが発症原因となる場合が多く見受けられ、重症タイプでは、これらの調理器具を使っただけで、アナフィラキシーショックを起こすケースも少なくありません。特に油料理をしたことがある器具は要注意だそうです。その油に含まれる微量成分の混入を取り除くことができないので、除去食に用いるフライパンは特に新調した方が良いそうです。

<予防・対策>
●アレルゲンとなる食品をなるべく家庭内に持ち込まないこと。つまり、子供の前でなるべく食べないこと、調理をしないこと
●家族が食べた場合や調理をした場合、歯磨きや手洗いを徹底してから、子供に接触をすること
●特に重症の場合は同じ部屋で食べないこと
●食べたら着替えをするくらいの心構えが必要な場合もあること
●床をきれいに掃除すること
●調理器具、特に油料理をしたことがあるフライパンや鍋などは新しく購入すること(100円ショップのものでOK)
●他の子供が立って歩き回るような食べ方をやめさせること
●お手ふきなどを個人専用にすること
●小麦粘土やトウモロコシ粘土などを使う時は、必ずそのお子さんが安全な素材でできた粘土を用意すること
●落花生は大豆より抗原性が強いので、落花生を用いた豆まきをやめること
→特に入園後、親子教室などは要注意です。欠席する、別部屋で待機させてもらうなど要検討 

<参考>
皮膚を介して起こる食物アレルギー
吸入性の食物アレルギー
接触性の食物アレルギー





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Last updated  December 15, 2005 04:44:12 PM
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