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2014年05月03日
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カテゴリ: 詩歌

ある晴れた日に 第233回 鎌倉ちょっと不思議な物語

まいとし春が近づくと心配になるのが、カエルどもの産卵である。

1月の終わりから2月の頭にかけて、朝夷奈峠の3か所の産卵スポットにスコップ持参で駆けつけて、小枝や枯れ葉などで埋まったり、乾ききったりしている水たまりを深く掘り下げ、すぐ傍を流れている太刀洗川の源流から水を補給したりして、アカガエルやイボガエルの交尾と産卵の準備をしているのであるんであるんであるん。

あるんであるんであるん

らりらりらんらりらりらん

ことしは早春になっても雪が降ったりしてかなりの異常気象だったので、せっかく大量の植物群を引き揚げてあつらえた横長の小運河型の第3現場の産卵は、結果的には失敗に終わった。

いや、2月の下旬に他の現場にさきがけてアカガエルが小さな卵を産んだのだが、あまりの寒さのために孵化しなかったのである。

しかし湧水のある第1現場とかなり大きな水たまりの第2現場では、イボガエルの透明で大きな卵が多数産みつけられ、日に日に元気なオタマジャクシになりつつある。

オタマジャクシはカエルの子

お前の孫ではないわいな

私の人世における大切な日課は、この 2 つの現場に顔を出し、心なきハイカーたちの悪戯から彼らの身を守ってやることだが、5月の連休に入ってもさしたる異常がないのは喜ばしい。

ひとつだけ気になるのは、緑の野草につつまれた第1現場(その世にも美しい光景は、わたくしの facebook の扉をご覧いただきたい)に2匹のヤマカガシが棲息していて、いかにも楽しげにランランランと泳ぎ回りながら、おいらのいとしいオタマちゃんの捕食を、ほしいままにしていることだ。

むしゃむしゃむしゃ、落武者めちゃめちゃ。

ひとつ池で育ちゆくなり 蝌蚪子 蛇 

じつは3年前にも第3現場で同様の事件が発生し、そのおり俄かに逆上した私は、ハローウッズの崎野隆一郎さんがマムシを見つけた時のように、そのにっくきヤマカガシの子蛇をたちまち血祭りにあげたのだった。

ワーイ、ワーイ、血祭りだあ。

ワーイ、ワーイ、お祭りだあ。

が、ことしの私はあれから 2 つも歳をとって、やはり殺生は良くないなあと思うようになり、「人間辛抱だ、喰うも喰われるも天命だ」と、諦めと悟りの境地にようよう到達できたので、そのまま放置しているのであるんであるんであるん。

またしてもあるんであるんであるん。

お前は大隈重信か。

ところがさらに驚くべきことは、これまでまったくノーマークであった第4地点に数匹の大きなオタマがひなたぼっこをしていたことである。

ゆるやかな渓流の小さな水たまりに、いつどうしてイボガエルが産卵していたのだろうか?

私の次男は、親の私が人為的にいきものの環境整備を行うことにかねてから批判的で、「人工の手を加えなくても生物の生命力は偉大であるから、外野から妙なグラブを出さずにボールは放置しておけばいい」

打ちました! 打ちました!

ホームランか? ファールか?

といつも忠告するのであるが、そういう説も一理はあるなあ、と思えた金曜日の昼下がりでした。

  なにゆえにヤマカガシはおたまをむしゃむしゃ食べるそれが 自然界の掟だから  蝶人






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Last updated  2014年05月03日 12時27分25秒
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