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先日の シンポジウム
で知り、読まねばと思っていた本です。
第2章は「紅茶の流行の始まり」。
オランダ人が最初に紅茶を広めたことや、ヨーロッパ列強の海外進出の時代が描かれています。この辺から第4章までの記述は、参考図書の筆頭にも挙げられている、角山先生の「茶の世界史」に大きな影響を受けていることが感じられます。
第3章は「紅茶が動かした大英帝国」。イギリス東インド会社によるアジア進出の様子とお茶の関わりについての章です。
といっても、決してお茶の話だけではなく、オランダとイギリスによるアジアにおける勢力争いなど、歴史的な事件についても記述されています。中高生にとっては、歴史のダイナミズムが感じられると思います。
第4章は「アメリカ人と紅茶」。
ボストン茶会事件に象徴されるように、アメリカ独立に茶が一つの役割を担ったことを紹介しています。一方で合理的なティーバッグを発明したという点も、記述されており、抜かりありません。
最近の傾向として、コーヒーパーティーの結成などという時事ネタも織り込まれ、このへんはさすが元新聞記者の方という印象です。
第5章は「ワカマツ・ティー・コロニー」。
ここからは視点を世界から、日本に移していきます。
明治維新後の会津藩の様子と、アメリカに渡った旧会津藩の移民団、特に「おけい」という女性の足跡を追っていく章です。
資料も少ない中、こういうところに光を当てているのは良いですね。
Wikipedia: 若松コロニー
スネル兄弟
個人的には子供の頃、2年半ほど会津若松在住でしたし、その頃の家はシュネル(スネル)の屋敷があった西若松駅のすぐそばだったので、なんだか運命感じちゃいます(笑)
第6章は、「ニッポン紅茶の生まれるまで」。
維新後、日本が産業を立ち上げるのに苦労した様子を、多田元吉の足跡を追いながら紹介しています。
ダージリンへも出向いて取材をするなど、記者らしいフットワークを感じさせます。
そこから、現代の和紅茶についても記載をしていて、中高生にとっては、日本でも思いの詰まった紅茶を作ってるんだ、と感じてもらえそうな内容です。
全体を通して貫かれているのは、お茶という1つの飲みものを通して歴史を見ると、色々なものが連動して見えてくる、というところだと思います。
年号や事件だけ覚える無味乾燥な歴史教育では面白くありませんからねぇ。
生きた歴史の教材として、お茶ってのは良いですね。
↑私、大学時代は塾で社会科の講師をやっていたので、こういう感想を持ってしまいます。
課題図書にも選ばれていた本なので、どこの図書館にもあると思いますから、興味のある方はぜひ。
【送料無料】紅茶が動かした世界の話
価格:1,365円(税込、送料別)
『大益普洱茶の品質鑑定』 2016.08.14
中国茶年報2015、作りました 2016.05.31
今クールのNHK「テレビで中国語」はお… 2015.03.23 コメント(2)