ふぁみりー・Kのおうち 別館

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変わっていく事への肯定

     変わっていく事への肯定


結論から言って、Gさんとの結婚は実現しませんでした。

彼の方にまだその覚悟がなかったからです。
それでも、私は彼とのつきあいに限界を見いだしてしまいました。
「このままつきあっていても、きっとだめだ。」

勝手な話ですが、「結婚」を切り出した本人が
そのことをきっかけに冷えてしまったのです。
私は自分の身勝手さ、気持ちが冷えたことに対して悩みました。
変わっていく自分が汚れているような気がしました。

冷えていく私に反して、Gさんは逆に熱くなっていきました。
結婚をしきりに口にするようになっていきました。
落ち込む私。会っていても、口数が少なくなっていきました。
不誠実な自分への嫌悪感、我慢してもGと結婚した方が良いのか?

そのころ、初任者研修の仲間で毎週のようにわいわいとスキーに行っていました。
ドライブ好きの夫はいつも車を出す係。当時の愛車はトヨタのプラド。
地図を見るのが好きな私は何となく助手席に座ることが多く、
また、年上の「パパ」に対して安心感もあり、
自然といろんな話をするようになっていました。


私「K(そのころは苗字で呼んでいた)さんは、ホントに車好きですね~。」
夫「そりゃもう。定年後は車で日本一周するのが夢だもん。」
私はこの時初めて「この人の隣でこうしてずっとドライブできたら楽しいだろうな。」と思いました。
そして、「その時助手席に自分が居たい。他の誰にもその席を渡したくない。」と思ったのです。
自分の気持ちが夫に対して傾いた事を自覚した最初でした。

その後、雑談が続き、ふと、
「Kさんは、人間の感情がどんどん変化してしまうのって、どう思います?」
夫はこう答えました。
「人間なんて、変わっていくのが当然でしょ?変わっていくのは悪い事じゃないよ。それを成長って言うんじゃない?」

私にとっては、この当たり前な言葉が、Gさんからの呪縛を解く言葉になりました。
おかしな話ですが、生まれて初めてつきあった男が彼だった私は、彼と一生添い遂げるもの、と思いこんでいたのです。つきあいも長かったせいもありますが……。

助手席で、なんだか憑き物が落ちたみたいにボ~ゼンとしながら、
夫を好きになっている自分に気が付きました。
元々好きだったのかもしれません。
だから、他愛もない言葉が心に響いたのかもしれません。
この人と一緒にいたい。
この人が大好きだ。

(ちなみに結婚後確認したところ夫はこの会話を覚えていませんでした。
そりゃそうだ。あまりにも他愛もない会話だもの)




それから1か月後、我ながら「ひどいオンナ」「サイテーなオンナ」をやり、私はGさんと別れました。



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