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【内容情報】(「BOOK」データベースより)太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。1話が50人だけのために書かれた「ゆうびん小説」が、いまあなたのもとに。「あのバス」に乗せられることになった主人公が、「あのバス」に乗せられる前にせめて付き合っている女性に別れを告げたい…!と切々に願って恋人に「あのバス」のことを伏せつつ別れ話をする話なのですが、なんと5股をかけていたので女性は5人!けど、これらの誰よりヒロインっぽいのは、主人公の見張り役の繭美さんだと思うのです。本当に、ふしぎなことに。「あのバス」も繭美の正体(…というか、繭美の所属している組織の正体?)も、具体的にどうなって「あのバス」に乗せられるようなはめになったのか、とか、この後どうなるのか(この辺は上記の正体に関わるんですが)とか、そういうのが全くわからないのがもやもや!気になるよ!まあわからなくても面白いんですが、でも、全編の根本に「あのバス」に乗る、という決定事項が存在していているからですねーしかも、最終章では「あのバス」がただの比喩ではなく、ちゃんと変なバスに乗せられちゃってるわけですし。「あるキング」とか「SOSの猿」とか、映画になったあれこれとか、なんかあの位の作品を面白く感じなかったのでこれも興味が薄かったのですが、ポンと棚に見つけたので読んでみました。なので、読み出したら面白くて意外!(失礼)5股もかけていたくせに、優先順位も本命も、切り捨てることも考えず、素敵だなぁと思った女性にふらふら行って、お付き合いが始まったらずっとこのまま皆との恋人関係を続けていたい……なんて、なんとも不思議な駄目男。でも、なんか読んでるといい人に思えちゃうのが不思議ー!
2012年02月04日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)僕と他人が揃っても、『友達』にはならない。『ぼっち達』になる。空を自由に飛びたいわけじゃない。酸素とチョコレートの次ぐらいに、誰もが気軽に手にしているもの。友達。僕はそれが、欲しい。若手新鋭作家が贈る、『ぼっち』達の青春ストーリー。実は結構前に読んだのですが、今更ながらメモしときます。書店に平積みにされていたのを目にした時、帯の台詞に釘付けになりました。僕と他人が揃っても、『友達』にはならない。『ぼっち達』になる。ええ、そうでしょう。そうですとも。抜き出されたこの文だけでも、凄まじく痛々しく、胸をえぐられるようでしたが、図書館で借りてみたそれはもう本当に引きちぎられるかのような痛々しさでした。誰にも気にされていないのに、自意識過剰に人の目を意識して。ぼっちの癖にぼっちでも平気な自分を演技したり、そそくさと立ち去ったり、ぼっちで寂しい自分を見せないように一人気を張ってみたり。ちょ、なんであんたそんなにぼっちの気持ちがわかるんだ!なぜこんなにもぼっち経験者に痛い描写を重ねるのだ!と冷や冷やドキドキしながら読みました。ええ、私もぼっち経験者ですからね!最後に、ぼっちとは縁のない少年目線の1編が収録されているのが意外で面白かった。ナチュラルにあちら側に行ける人間と、どうしてかあちら側に行けないぼっち達。ぼっちがぼっちと出会っても、でも、でも、出来上がるのはぼっちの集合。ああ、痛かった。でも、面白かった。
2011年12月09日
ダフ屋を生業とするガジロウは、金と女がすべての冷徹な男。願いを叶えてくれたら預金通帳の中身をすべてくれるという4人と出会い、頼みを引き受けることにするのだが……。コミカルで心温まる素敵な奇蹟の物語。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)それは、未練を残させない最高の別れ方。読み手の予想を鮮やかに裏切る、最高に素敵な物語。書店で見かけて「恋人と別れる」感じなのかと思ったので、読んでびっくり。事故を起こした車の全員即死だった4人が幽霊になって、なぜか唯一見えて聞こえる主人公に未練の消化を願い付きまとうお話なんですもん。この主人公ガジロウがもうすごいダメ男。女性観・恋愛論が酷いのでうわわわーっていう不快感の嵐で、幽霊たちに対しても酷い扱い。で、うわないわ…の連続。が、幽霊たちとの関わり、というか幽霊とその周囲の関係を間近で見るにつれ、どんどん変化が出てきていつのまにかちょっと好意的に思うようになるから不思議!ちなみに幽霊たちはどの人も可愛い。売れっ子のストリッパー女性3人+運転手していたお爺さん。この人たちが本当にいい人でまっとうで、すごいのです~!
2011年02月18日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。はじけた表紙が気になっていた1冊。ようやく借りれたので早速読みました。もう、期待通りに青春の馬鹿さ&無駄にエネルギーつぎ込みの大学サークルネタに、読中から懐かしさと切なさで胸がいっぱいに…。当然ながらここまで派手でも爆発でもないですが、全力でサークルに熱中している人たちと青春したもので、その過ぎた戻れない日々と渦中の人たちに色々思うところありなのです。。なので、ページの中ではすさまじいツッコミ合戦の漫才状態なのに、読んでいるこちらは涙…なんて変な光景になっていたり笑話の間に挟まれる大人になった主人公と妻の会話は、女っ気がない(1話例外の恋愛ネタ中心がありますが)本編とのギャップがあり、気持ちがリセットされてまた新鮮な感覚でした。にしても、有川さんのご夫婦描写って本当にラブラブだなぁ。いいなぁ。。キュンとしちゃいますわー羨ましい!もう一度大学生したくなる1冊でした。
2011年02月17日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)本棚荘の大家さんは言う。「昔は本がお家賃だったのよ」と。中にも外にも本棚だらけのそのアパートに越して来た“わたし”。そこで出会ったのは、猫芝居をなりわいとする猫遣い師、本棚に捨てられていたサラリーマンなど、やっぱりへんてこの住人たち。どこかいびつで、とげを抱えた彼らに触れるうち、少しずつ“わたし”のなかで何かが変わり始める…。文庫書下ろし。先日読んだアンソロ「好き、だった。」で面白かったキリフキさん。1話目はまんま収録作で、やっぱりあれが最初の話でした。1話目は主人公と姉のお客さんの話で、以降はどんどん奇妙なアパートの住人たちが登場!「とげ抜き師」も不思議ながら、なにより予想していなかった奇妙はサラリーマン。単純にリストラされた人ってのを想像してたのですが、そんなもんじゃなかったです。野良サラリーマンとか飼っちゃだめとか、とにかく凄い。一番理解し易いのは卒業の見込みの立たない大学生の女性でしょうか。そういえばこの人以外、誰も名前で呼ばれてない。。不思議で奇妙で落ち着かないはずなのになんか優しい、あったかいお話でした。そうそう。大学生が恋でがらりと変わっちゃうのが凄かった。熱を上げて執着を覚えた女は怖いなぁってしみじみさせられましたさ。ていうかこの本で恋愛ネタがあると思わなかったのでかなりびっくりでした。ねこかわいいよー!私も鞄猫を愛でたい…!
2011年01月15日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)不倫解消で閑職に飛ばされた本宮つぐみ。仕事に全てを捧げ、横目で寿退社を延々見送ってきたのにこの始末…ドツボな彼女の前に「二次元にしか理想の女はいない」と口走る五歳年下のネットワークエンジニアが登場し、奇妙な同棲が始まるが、そこへ昔の男が現れて。草食男子の可愛さ炸裂。三十路の幸福を探る書き下ろし長編。先日読んだ恋愛小説のアンソロジーに、この1話目が収録されていてものすごくキュン!と来たので早速予約。もうめっちゃ桜井が可愛い。もうまったく、あなたって人は、そうぶつぶつ言いながらどんどん世話を焼いてくれる、主人公大好きくん。おまけに料理もめっちゃ上手!たまりません。可愛すぎる。短編集にも収録されていた第一話はキャンプの話で、これが酷くツボに来たわけですが、通して読んでもここが一番面白かった。というのも、同僚で全くお互いに眼中にない年上と年下が、行き当たりばったりキャンプに出かけましたよーという内容なので、恋愛関係が全く出来ていない会話が楽しすぎて。お互いがポンポン言いたいこといってらくーにしているその姿は、テンポがよくて読んでいてほほがにまにましちゃいます。読者としては今後この二人が恋人関係になるってわかってるから余計にね。昔の男関係では主人公にイライラもしましたが、まあさっぱりしている主人公なのでおおむね好感。けどやっぱり桜井くんですよ。可愛い。最後の桜井家ご訪問はさすが物語って感じですが、それまでも軽かったしこの展開もありっちゃありかな。結婚後のあれこれなんて大変そうなので、そういう話も読んでみたいです。たまの里帰りで家を継ぐ継がないでもめてるんだから、お嫁さんを気楽に放置してくれるとはとても思えないし…;結構薄い本なので、気楽に読んでキュンとするにはおすすめです。お仕事がんばってる、女性のための絵本(絵ないけど)って感じがしました。あーもう桜井可愛い。 図書館で予約
2011年01月12日
【送料無料】好き、だった。価格:550円(税込、送料別)【内容情報】(「BOOK」データベースより)はじめて恋を失って、はじめて本気で好きだったのだと気づいた─。有川浩、朝倉かすみ、梨屋アリエ、石原まこちん、吉野万理子、紺野キリフキ、宮木あや子ら七人の人気作家たちが、人生はじめての大切な失恋を綴った小説アンソロジー。終わった恋、始まらなかった恋、始めてはいけなかった恋…七人七色の失恋のカタチ。はじめての失恋には、恋愛のすべてがつまっている。アマゾンの内容紹介人生はじめての、たいせつな失恋。好きになったのは手に入ってはいけない人だった――有川浩「失恋の演算」安西さんには妻があるが、「そんなの構わない」と思っていた――朝倉かすみ「ノベライズ」売れない漫画家で実質ニートの僕の、娘ミカが最近初恋をしているらしい――石原まこちん「タマママーンを探して」好きって気がついたけど、村崎くんは遠くに行ってしまった――宮木あや子「はじめてのお葬式」もうこれでだいじょうぶ。あたしはあいつを忘れられる――紺野キリフキ「とげ抜き師」彼女とわたしはいつも特別で、最高の友だちだったのだ――梨屋アリエ「FreecyLove」年に一度の社員旅行。海のそばでは、誰もが恋を語りだしたくなる――吉野万理子「マリン・ロマンティスト」 【目次】(「BOOK」データベースより)失恋の演算(有川浩)/ノベライズ(朝倉かすみ)/Fleecy Love(梨屋アリエ)/タマママーンを探して(石原まこちん)/マリン・ロマンティスト(吉野万理子)/とげ抜き師(紺野キリフキ)/はじめてのお葬式(宮木あや子)面白かった!目当ての有川さん以外は初めての作家さんだったのだけれど、大当たり♪こういう短編集は手を出し易くて出会い易くて本当にいいね!「失恋の演算」かなり整理されていて、不必要なところが感じられないスッキリとした文章と内容。なのに、シーンの合間や漂う空気などが感じられ、がっちりつかまれました。そっくりな双子の兄が連れて来た結婚相手が、今までに憧れてやまなかった「自分と兄を絶対に見間違えない女性」で、そんな存在を見つけた兄が羨ましくて、彼女が欲しくて欲しくて…という、一歩間違えればどろどろでじめじめした狂気になっちゃいそうな設定を、あんなにキュンと描かれていてもう、悶絶でした。他でとても気になったのが、「とげ抜き師」設定がとても不思議な物語で、読中ずっとなんじゃどういうことだ??と気になって仕方がなかった。「とげ」を抜くのがうまい姉の留守番をすることになった妹が、お客さんの「とげ」を抜く話なのですが、初めは比喩かと思ったら、本当に「とげ」は物質として存在するらしく、背中に芽が生えて、とか、根がはって、とか。なんですかそれ!っていう物語でした。すでにあるものという前提なので、作中では「とげ」が何なのか、どうしたら発生するのか、等は一切語られず。もうすごく不思議な気分です。舞台となるアパートの、他の住人たちにスポットを当てた本が出ているらしいので、これは非常に気になります。読まねば!他も面白かったですが、石原まこちんさんのだけは読んでません。初めを見て、途中をぱらぱらした結果、どうにも受け付けなくて。。でね、気になったのが、副題のありにあまり「はじめて」という印象の話は無かった気が…。まあ別にいいっちゃいいのですが、読み終えて「ん?」と首をかしげてしまいました。この「はじめて」のフレーズはいらないんじゃないかなー
2011年01月07日
SOSの猿価格:1,575円(税込、送料別)【内容情報】(「BOOK」データベースより)ひきこもり青年の「悪魔祓い」を頼まれた男と、一瞬にして三〇〇億円の損失を出した株誤発注事故の原因を調査する男。そして、斉天大聖・孫悟空─救いの物語をつくるのは、彼ら。以前読んだ西尾維新さんの「世界シリーズ」の会話の中に、それまで好んでいたものを好まなくなるということを「はぐれた」と表現した方がぐっとくるじゃない!というようなことが書かれていました。なるほどーと思ったものです。確かに、飽きたや冷めたより「はぐれた」方が優しい気がする。ということで、「あるキング」ほどではありませんでしたが、まあ伊坂さんでなかったら読むのを止めていたかな、というほど合いませんでした。最近続けて読んだ「モダンタイムス」と「ゴールデンスランバー」もなんだかなぁだったので、これはもう伊坂さんからはぐれてしまう予感なのか…とドキドキしちゃいました。あ、でも秋に発売された「マリアビートル」は久しぶりに殺し屋さんたちで、なんだか面白そうなのでちょっと期待してます。伊坂さんにはとっても夢中にさせていただいたので、まだまだはぐれたくないよー何が面白くなかったのかと考えても、よくわからない難しい読後感です。単純に私が孫悟空というものを好きでないというのと、(サルが苦手)キャラクターがいちいち好きじゃないというのと、ストーリーの流れとどんでん返しのなさと…なんでだろうと思ってしまうほど、夢中になれませんでした。残念。一人目の主人公の悪魔祓い師(本業・家電販売員)の、他人の痛みが苦手で、あれこれ考えてあれこれ行動したいと思うものの、結局何もできずに居心地の悪い気持ちを抱えてもやもやするだけ…という性質には非常に共感しました。もっとも、私は救急車の音を聞いて「どこかで誰かが泣いている」と胸を痛めるほど優しくはありませんけれど。ハードカバーで1500円+税。ちょっと高いなぁと思う1冊でした。 予約
2010年12月15日
とける、とろける価格:1,470円(税込、送料別)恥ずかしいなんて思わない。彼となら、何でもできる??。底の知れない欲望と、果てしない快楽に支配される9人の女たち。著者初のエロティック作品集。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)予期せぬ恋に落ちてしまった人妻理佐。誰にも内緒の素敵な恋人をもつ千寿。年下の同僚に恋してしまった正子etc.9人の女たちの秘められた切ない性愛を描く、著者初の恋愛官能小説集。【目次】(「BOOK」データベースより)来訪者/みんな半分ずつ/写真の夫/契り/永遠の片割れ/スイッチ/浅間情話/白い顔/夜の舌先上記の内容が全くわからないから、ハードカバーって選ぶのが難しい(図書館だと帯も無いし)全体通して官能描写多めですが、不思議とエロいというより…怖い。どこまでも情念を燃やす女性たち。容量以上の快楽で道をふさがれる女性たち。怖い。怖すぎる。今まで読んだ短編と同じく、女性目線で語られ、内面描写が多いため、相手の男性たちの精神があまりわからないようになっているのも一因かな。ひたすらに思いつめ思い込みのめり込んで、でも罪悪感も捨てられない。そんな狡さもさらけだされて、読み手はどきっとさせられる。怖くて怖くて、とても面白い1冊でした。 (南図書館の日本文学の棚「ゆ」)
2010年10月11日
愛に似たもの価格:500円(税込、送料別)【内容情報】(「BOOK」データベースより)母親のようにはなりたくない。美貌と若さを利用して、すべてを手に入れてやる(『真珠の雫』)。親友の真似をして人生の選択をしてきた。ある日を境にふたりの立場が逆転。その快感が(『ロールモデル』)。過去の失敗は二度と繰り返さない。たとえ自分を偽っても、今度こそ結婚までこぎつけなければ(『教訓』)。など、幸せを求める不器用な女たちを描きだす8編の短篇作品集。第21回柴田錬三郎賞受賞作。【目次】(「BOOK」データベースより)真珠の雫/つまずく/ロールモデル/選択/教訓/約束/ライムがしみる/帰郷前回がいまいちだったので、今度こそはと短編集に手を出しました。…面白いじゃないか!ということで一転唯川さんがとっても好きになりました。苦くて奇妙でどっかズレた女性の恋愛(生活)が多く書かれていて、読後スッキリとはいかないけれど、その気持ち悪さがたまらなく魅力的です。同じような話がないのもいいところ。飽きずにわくわく読めました。おいおい、と呆れてしまったり哀れになったりするような、そんな行動・思考にでてしまう彼女たちですが、決して自分にそういう要素がないとは言えない…。笑い飛ばすにも馬鹿にするにも、彼女たちは近すぎる。そんな思いで一話一話読んでいくと、足元がぐらぐらするような不思議な不安に包まれていました。あー面白かった。 (南図書館の日本文学の棚「ゆ」)
2010年10月08日
女王様と私価格:740円(税込、送料別)【内容情報】(「BOOK」データベースより)真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「ひきこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてる。今日も可愛い妹と楽しいデートのはずだった。あの「女王様」に出逢うまでは…。数馬にとって、彼女との出逢いがめくるめく悪夢への第一歩だったのだ。─全く先が読めない展開。個性的で謎めいた登場人物。数慄的リーダビリティが脳を刺激する、未曾有の衝撃サスペンス。なんじゃこりゃぁぁぁぁ!と中盤と読後に本を放り投げたくなる1冊です。いやあ、別の意味で面白い。内容紹介である妹のお出かけはもうラブラブです。幼くおませな女児となかよくお出かけです。で、その後すぐにその「妹」が「フィギュア」と判明します。そんなことじゃないのかとは思うものの、かなり引きます。さらに、本人が40を超えていると提示されます。それまでの駄目駄目さの描写でこの年を提示されると、本気できっついです。そんな男がめっちゃ可愛いのに口が悪い小学生女子に、罵倒されながらもめろめろです。一方的に呼び出されては、女の子の言うがままに高級ランチ。で、女の子は食べるだけ食べてさっさと帰ってしまうのです。そんなのででもにやにやしていると、女の子の友達が死んでしまって、調べているうちにヘマしていつのまにやら自分が連続殺人犯として追われるはめに…!が、これ、全て「44歳引きこもり男の妄想」です。ということが中盤で明かされます。明かされてもまだ、半分残っています。で、どうなるのかと思いや主人公は意識してまた妄想の中に戻っていきます。そこからは、これが自分の脳内で繰り広げられる物語だと認識したまま、ストーリーは続きます。もう、こちらとしては彼の身に何が起こっても、どうせ妄想と覚めた目で見るしかありません。で、あれこれあって真犯人との対決なのですが、どこまでも彼の立場は浮上せず…最後には、妄想を投げ出します。それまではどんだけ無理しつつも一応ゲーム盤の上だったのに、もう無理だ!とゲーム盤をひっくり返すという荒業での終了。。。いやまあ、こういう終わりもありと途中で書かれていたので予測の範囲内ではあるものの、でもなんだかなぁ。どうせ夢オチなんだろうなーと予想しつつ読むのと、主人公からしてこれがただ妄想なのだと認識しているものを読むのとでは、こんなに違うのかとなかなか面白い体験になりました。ていうか妄想にしても夢オチにしてもこの駄目男(44歳)という設定がきっついのか。妄想から覚めた。最後の最後の現実のシーンは大変によい感じなので、もし途中で飽きても最後の最後は要チェックなのです。 (南図書館 「う」の棚)
2010年10月08日
アキハバラ@DEEP価格:750円(税込、送料別)病気のオタク青年たちが裏秋葉原で出会ったとき、ネット界に革命を起こすeビジネスが始まった! ドラマ化、映画化決定の超話題作【内容情報】(「BOOK」データベースより)社会からドロップアウトした5人のおたく青年と、コスプレ喫茶のアイドル。彼らが裏秋葉原で出会ったとき、インターネットに革命を起こすeビジネスが生まれた。そしてネットの覇権を握ろうとする悪の帝王に、おたくの誇りをかけた戦いを挑む!TVドラマ、映画の原作としても話題の長篇青春電脳小説。今更これを読むのはどうなの、と思いつつも、2冊目の石田作品にこれを選択。ちなみに1冊目は夜を守るを読みました。そう、あえてタイトルを知っているIWGPシリーズを迂回しての選択です。嘘です。単純に1作目が図書館で見つからないからです。面白くないことはないけれど、未来の人物の視点→過去1→未来の人物の視点→過去2…と進んでいくため、この後危ういことになるよ!それでもどうにかなるんだよ!これは後々まで語られることになるんだよ!ということをくどい位に序盤から教えてくれるため、ハラハラドキドキにはちょいとばかり物足りない。レビューをちらちら読むと、魅力的なキャラクターが見所みたいなのだけれど、こちらも少々好みではなかったため、特に夢中になるところもなく読み終えてしまいました。が、この厚さを(途中で飽きたところはありましたが)さくっと読めた読みやすさは、そこそこ面白かったということなのかな。うん。ただ、読み直したいかというと…贔屓のキャラも気に入ったシーンもなかったからなぁ。途中でさくっと書かれていた、大富豪が、ロリ体型の女性を雇って、ひたすら檻に入ってもらってそれを観賞する、っていう描写は気に入りましたので、あのへんをもっと掘り下げて欲しかったなぁ。流石にこの本でなく、別作品としてでも。ただ女性を観賞用とする、というだけでなく、お金のために自分の時間と、見世物としての檻に入ることを許容する、その精神そのものを楽しむ悪趣味さがいい。 (南図書館 いの棚)
2010年10月06日
そろそろ最後の恋がしたい価格:1,470円(税込、送料別)内容(「BOOK」データベースより)「女の幸せ」って何なのだ!桃子、28歳、女性ファッション誌の編集者。彼氏ナシ。むちゃくちゃ忙しいが、充実した日々を送っている。そんなある日、パーティーで元彼と出会い…「美人百花」で連載中から多くの共感を呼んだ働く女性の恋愛日記小説。作家さんのエッセイだけ読んでっていうのもなんだかなぁ、ということで、借りてきました唯川恵。1冊目に読んだのはこちらの「ももさくら日記」「日記」とあるだけに、主人公の桃子さんの日記オンリーです。ちなみに「ももさくら」の「さくら」は、桃子さんが飼うことにした金魚の名前。女性向け雑誌の連載ということで、片面か見開きくらいの連載だったのかなぁ、とにかくちまちまとは区切られているものの、大きく継続するうなりのような展開がなくって少々拍子抜けしつつ、ゆるーい女心な毎日を楽しく読みました。でも、さすが日記。ゆるい。ゆるすぎる。主観がメインな割りに、その主観にありがちな攻撃的や鬱憤晴らしの内容は日記として残すまでに抜け落ちていて、ひたすらに生ぬるく安定していて、読んでいてとても安心感があってつまらない。。さくっとネタばれすると、結構問題なく元彼と再会して、そんなに問題も無く復縁するのだけれど、(このあたりはやっぱり構成上変にあれこれすると物語がだれるから仕方が無いのかな)交際内容や式あれこれは描写されないのに、結納のところだけやたらに細やかに書かれていて参考になりました。もの選びのところから、顔合わせとか親が泊まりに来てとか、場所どこにするとか、当日の話とか。他をはしょってここを書いている恋愛ものって珍しいですよね。こういうところはやっぱり「そろそろ結婚もしたい」という読者層を狙っての、雑誌連載ならではのところなのかも。ということで、選んだ本が悪かった。ぱらぱらさくっと読める本としてはとてもいいと思うのだけれど、もっと心底持って行かれるような引きずり込まれるようなのが読みたかったからなぁ。単純に私の選択ミスでございます。多分このボリュームで1話とされる連載ってのが、しかもこの手の恋愛ものってのが、もともと私の好みじゃないのだろうかと。ということで今度はある程度の長さがある短編か、ストーリーのある1冊を読んでみようっと。ちなみに、最後の最後にさくらちゃんから桃子さんにあててのメッセージがあるのだけれど、本来なら感動するところなのだろうけど、捻くれ者の私はそれはもう寒くなったでした。あれー (南図書館 ゆの棚)
2010年10月06日
内容(「BOOK」データベースより)北村志織は、引っ越したばかりのマンションの自室で、怪奇現象に遭遇した。ありえない場所から人が語りかけてくるのだ。「平野です」とその声は告げる。同じ建物に住んでいるが、話したことのない男性の名だ。ただし、「未来の平野」なのだと彼は続けた―。男はみんな奇跡を起こしたいと思っている。好きになった女の人のために。『雨恋』の著者が描く、時空を超えたラブ・ストーリー。 上のブックスの画像は文庫版ので、私が手に取ったのはハードカバー。で、断然そちらの表紙の方が好きです。アマゾンと違ってブックスでは古い方の情報ページがないのが残念です。きっと文庫の方のイラストだったら手に取らなかったと思うし、そしてまたあらすじを知っていたらこれまた読みはしなかったと思うのです。普通によくある恋愛小説が読みたくなって手に取った本だったので、読み始めて序盤で未来からの声が聞こえてきたり、その未来の人と話したり、また幻聴ではなく部屋のぬいぐるみがしゃべりかけてきたりと、そういうことの連続にかなりかなり戸惑いました。結構ページが経つまで未来の声にはトリックがあって、ぬいぐるみも幻聴かまたは誰かに騙されているんだろうと思ってましたもの。読みやすくあっという間に読み切って、当初の期待が満たされたかというとちょっと微妙だけれど、そこそこのキュンとちょっとした違和感と、ああ恋っていいなぁと思えたのでなかなか「当たり」だったのでしょう。けれどまあ、場所の設定とか登場人物たちがかなりあっさり出番を無くしていて、もっともっと周囲の人々が見たかった身としてはちょい物足りなくもあり。出会いの必然性としての舞台設定としては機能しているのだけれど、そこにすむことになった主人公の趣味の独自性や、ある種の人間が集まっているという場所独自の展開がそれほど見られなくてちょっとむー。オムニバスとしてなら、ってほどの描写に感じたので、だったらほかの人たちにスポットをあてて、その人たちの人間性や日常がもっと垣間見えるような短編も足してほしかったなぁ。と思ったところで、ちょっと不思議な恋愛小説というコンセプトで見るときっとそのあたりは蛇足になっちゃうんだろうなあ。ということはこれでいいんだろうなぁ。少々の足らずが美味しいってことでしょうかねぇ。
2010年10月03日
内容紹介天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何をもたらすのか?野球選手になるべく運命づけられたある天才の物語。山田王求はプロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親のもとで、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、とてつもない才能と力が備わった凄い選手になった。王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期のそれぞれのストーリーが、王求の周囲の者によって語られる。わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。『本とも』好評連載に大幅加筆を加えた、今最も注目される作家の最新作!!ベストセラー作家・伊坂幸太郎さんの最新刊は、いままでの伊坂作品とはひと味もふた味も違う! 『ゴールデンスランバー』や『週末のフール』のようなテイストとは違いますが、ひとりの天才が生みだされていく過程、主人公を取り巻く周囲の人々の困惑と畏れ――読み進めていくうちにどんどん引き込まれていきます。「他の人にこういう小説を書かれたら悔しい」「こういう作品を読みたかった」と伊坂さんご自身がおっしゃるくらい、思いをこめた作品です。新しい伊坂ワールドをお楽しみください!(by編集担当)内容(「BOOK」データベースより)弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求。“王が求め、王に求められる”ようにと名づけられた一人の少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。期待以上に王求の才能が飛び抜けていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては「王」になるために―。人気作家の新たなるファンタジーワールド。 うーん、うーん……。一応一気には読めたけれど、面白かったかというと、うーん…。伊坂さんは初期の方が好きです。とすると、近年の流れではもうあーいう感じの本は読めないのかなぁ。伊坂さん自身が書くものの方向性を違うところに狙ってはるようやしなぁ。子ども時代のところはとても面白かったんです。「伝記」とあるだけにさくさく時間が流れて行って、エピソードもそれほど書かれはしないのだけれど、でも語られるストーリーが面白かったし、短いなりに脳内であれこれと広げられる範囲があって。が、高校中退以降のストーリーがいまひとつ。プロになってからは、もう。。少年時代の彼には少々期待とともに愛おしさを感じるところもあったし、周囲の人間(語り手)のこともあり、そこそこ可愛いなぁと頬を緩ませられた。のですが、プロになったとこからは、もう何が面白いのかわからないうえに、どうしても主人公になにも感じられずで物足りない!いやー過剰に萌えさせてくれってわけじゃないんです。こいつぅwとか、キュンとか、頑張れ!とか、あんたはもうっ!だとか、そういうことが全く無くて、ただ文字を追うだけで…読書中に言う言葉では無いんですが、ようは暇で。。ああもう、せめて野球を人並み程度にでも知っていればもっと面白いんだろうかなぁ。それでも、伊坂さんだからと、ここまで読んだんだからと、何かを期待して最後まで読み進めちゃうんですが。でまあ、その期待はそんなに充足されなかったわけですが。でも結局またまだ読んでいない伊坂作品に手を伸ばすのでしょうねぇ。
2010年10月03日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)田口潤は、14歳の中学生。3年への進級を機に、日記をつけ始めた。毎日彼が記すのは、実の父親の死後、母親の新しい恋人になった加瀬という男と3人での同居生活。仕事をせず、次第に母親に暴力をふるうようになった加瀬と、恋人に盲目的に尽くす母親。理解できない彼らの関係に怒りを覚えつつも、ただ母親の幸せを願う潤だったが、やがて彼は不吉な事件に巻き込まれていく―。事件を追う刑事が、少年が綴った日記から明らかにしていく衝撃の真実とは?家庭に潜む暗闇を抉り出した、桂望実渾身のデビュー作。かなり前に読んだ県庁の星に続いて桂さんは二冊目。内容紹介通りに読んでいてとても心詰まる物語でした。残酷描写や、きつい表現はないのです。ただ、少年の目線で淡々とつづられる日記の内容が、淡々としているがゆえに無性に痛くて。はたから見ると完全に子どものことなど放っておいて、好きな男に一直線すぎる女なのに、それでも何があってもお母さんが大好きという姿勢を崩さない少年の視点が痛々しく、こんなにも親を好きでい続けられるのかと驚きっぱなしでした。ただ、周囲の人がいい人だらけすぎてここんとこがリアリティーが感じられず、読んでいてさめるというか、別種の驚きにもっていかれるというか。用務員のおじさんや先生や友人や友人の親がもう、もう、すごい。登場人物自体が少ないので余計に感じるんでしょうか。ちょっと惜しい。いや、昔はこれくらい密度のある関係が普通だったのだろうか?…みんな優しすぎるよーで、少年の日記を中心に進んでいくというと思い出すのが「絶望ノート」 絶望ノート価格:1,680円(税込、送料別)こちらはいじめられっこの少年が、クラスメイトに受けているいじめと家族に関する不満を切々に憎憎しげに書きつづる日記と、彼を取り巻く人々の物語なのです。こちらも、書いてあることがえぐくて苦い気分になります。が、中盤以降にわかることなのですが、なんとこちらはその日記の内容自体が「嘘」なのです。少年が日記を読んだ親を操ることを前提に、見られてもいいようにというか、見られるためにあえて書いていた「日記」だったのです。ということで、前半であんなにも痛々しく綴られていた日常が全くの嘘とわかり、逆にかわいそう…と同情を浴びせていた少年は、実は腹が立つほど憎憎しくしたたかな性格だったと判明してしまい、もうこちらの気分は大混乱。真逆の展開になるので、合わせて読むとなお面白いかも。
2010年09月28日
引き続き、伊坂作品をまとめてみる。いやまあ手抜き更新と言われると何とも答えられないんだけども。 アヒルと鴨は昨日ようやく読めました。一番始めに読んだのはギャングで、大好きなのはオーデュボン。死神にも萌えましたっけ。
2010年09月23日
メモがてらまとめてみます。 どれも面白かったなぁ。レインツリーだけは主人公二人の性格というかやりとりがちょっと苦手ですが、他はとても楽しく、ぐいぐい物語にひっぱられました。
2010年09月22日
内容(「BOOK」データベースより)「三匹のおっさん」とは…定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。やっと借りられました。有川さんはどれも面白いから買えばいいとは思うものの、今の状態では置くところがないのでひとまず後日購入の予定とずるずる引き延ばしています。還暦還暦というものの、今時だったらみんな若いよなーというのは納得です。指して「おじいちゃん/おばあちゃん」というには違和感を覚える人も多いし。ということで、まだまだ元気なおっさん達の物語です。数個の事件があるので、それぞれ起承転結があり非常に読みやすく、次々起こる事件によりどんどん登場人物の関係が見えて来たり、また変化していくのが非常に面白く夢中になりました。おっさん達の友人関係をうらやましく思いつつ読んでいると、ふと奥さんとの関係に萌えたり、子供や孫との関係に萌えたり。そして何より、「孫と娘の高校生コンビ」が非常に萌えさせてくれました。キヨに反発しつつも意外と見所があると判明する孫は、後半になるにつれどんどん愛すべきツンデレ化で、かと思うとなんだか気になる女の子にはもうデレデレで弱くって頑張りやで可愛すぎる。で、その思われ人がノリさんの娘さん。こっちは話が進むにつれ、どんどん女心のうっとうしさやら可愛さやらを発揮してくれて、よくある物語に都合がいいとっても便利で綺麗な(見た目も中身も)女の子☆というだけで終わらないのが素敵。で、こんな魅力的なキャラクターと清々しさを感じるストーリーにまぎれて、動物虐待もののかなりえげつない話が入っているのがグサりと刺激的。読んでてもの凄く気分が悪くなるし、想像すると痛ましさに顔が歪みます。なんか伊坂さんの本を読んだときのことを思い出すなぁ。とにかくとっても面白い1冊でした。数日に分けて読もうと思っていたのに、夢中になって一夜で読んでしまいました。(翌日早いのに) (南図書館 あの棚)
2010年09月22日
恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車…。8駅から成る、片道わずか15分間の阪急電鉄今津線で、駅ごとに乗り降りする乗客の物語。人生の決定的な瞬間が鮮やかに描かれた傑作。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく―片道わずか15分。そのとき、物語が動き出す。ちょっと前に読んで、久しぶりに非常に好み!と胸を打ち抜かれた1冊です。人気なのは知っていたけれど、逆に人気すぎてなんだか敬遠していた自分に渇。こんなに面白いものを、今まで読まずにいたのはもったいない…!と、図書館で借りたのですが早々に購入を決意致しました。1話目で恋の始まりにきゅんとして、次の話である恋の終わりに涙が止まらず、かと思えば不幸せな恋の最中の女性を不憫に思ったり乗移って胸を痛めたり、年上のちょっとアレな可愛い彼氏との恋物語を盗み聞きながらくすくす萌えてみたり、酸いも甘いもな経験豊富なご婦人のしゃんとした姿に姿勢を正されたり、もう本当に1冊にいろいろな刺激が満載でとっても情緒豊か。置き換えたり乗移ったりとあれこれ想像して楽しむ性質の私には堪らない1冊です。で、色々な人が出てくるのに、誰の視点でもすっごく楽しいんです。なんというのか、それぞれの感じ方や進め方が、嫌味じゃない。だから誰の視点でもそれぞれの主人公にエールを送れるし、彼らの選択や行動を応援しながら読めまして。これってとても楽しいのです。乗り合わせた人それぞれに人生があって、それぞれの生活をしていて、それぞれに物語がある。そんな当たり前のことをものすごく素敵に思い出させてくれる1冊でした~キャラクターは憎まれ役以外はほんとみんなすっごく愛おしいのだけれど、あえてあげるなら、インパクトの強さと行動力と生き様で、白いドレスの彼女が一押しです。 (図書館で予約)
2010年05月12日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)イスラムの掟を破り、精霊の呪いによってライオンの姿に変えられたペルシャの王子オラスミン。獣からも人間からも隔たり、絶望的な孤独感を抱きながら、女性の愛を求め、薔薇の国フランスへ旅立つ―。新解釈の『美女と野獣』。 読みましたー!いやー、すごい。翻訳ものってなんだか読みにくくて避けていたのですが、とっても読みやすくて最後までいっきに読み進めました。美女の方は後半まで出てこないので、ひたすらに王子様の苦労が続きます。いやー、すごい。ライオンのいない国で、ジンの呪いによりライオンにされてしまった王子様。いるのは、王様の猛獣狩りの趣味のために連れてこられたラ雌ライオンたちだけ。やむなく一時交流するものの、王子様には全く彼女たちが理解できないのです。人の思考と獣の本能、けれども特に獣同士で会話できるとかもなくって、獣同士の意思疎通にも加われない。これってかなり酷い状況ですよね…なんとか狩りで殺されることを避けれた王子様は、ライオンの世界でなら生きていけるかも…!とインドを目指し、そこでライオンの世界にも馴染めないことを思い知り、国に戻ります。そしてようやくフランスを目指し、あれこれあって屋敷を手に入れるのですが、この屋敷あれこれのところも本当に面白いです。ディズニーの野獣のように二足で立つことは無い彼なので、とことんまで四足で頑張ります。花壇を整えて薔薇園作ったりしちゃうんです。舌先でページをめくって本を読んだりしちゃうんです。ああ、映像で見たい!王子様の物語なので、ベルちゃんの視点はわかりません。あくまで、王子様の見ているベルちゃん、王子様の知っているベルちゃんしか語られません。が、それでも薄くはなく、むしろめっちゃベルちゃん可愛いです。そして、すっごく賢く、逞しい!さらりと描写されていますが、ライオンの背に乗り町と屋敷を往復する姿なんて、そんじゅそこらのヒロインさんには到底……。なんでしょうか。さらりと描かれるということは、ヒロインたるもの、これくらいは朝飯前でないと。ということでしょうか。すごい!とにかく勢いよく読めてとっても面白かった!ので、この方の他の御伽噺シリーズも借りてみます~
2010年03月27日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。 【目次】(「BOOK」データベースより)終末のフール/太陽のシール/籠城のビール/冬眠のガール/鋼鉄のウール/天体のヨール/演劇のオール/深海のポール たった一言で その人をぐんと好きになる。 ↓一郎さんが好きです。渡部さんのお父さんが好きです。 ちなみに女性陣は皆大好きです。ええ。 毎度ながら伊坂さんの書く女性ってどうしてこう、 清清しく可愛らしく逞しかったりと素敵なんだろうか。 なんかズレてるとこすら魅力ですよ…!! ということで「終末のフール」 小惑星がぶつかって、8年後に世界は終わりますよ。 っていう発表から5年が経った町を舞台にした短編集。 発表後に世界を襲った混乱と暴力と絶望が、 絶え間なく続くには8年というのは長すぎたようで。 そしていつの間にか訪れていたのは、それなりに平和な日常。 だ け れ ど も 、 それは人々が自暴自棄になることに疲れてきたから訪れた、 ちょっとした小康状態だから、多分これで終わりじゃないんだろうなぁ。 ということは登場人物たちも予感していて、 というかいくら日常が日常であっても3年後の死は絶対なわけで、 そういう状況で語られる日常ってすごく…危うい。 発表後すぐでも、終末のその時でもなく、 5年経って3年残っているという微妙な時期を設定しているのが、 なんとも伊坂さんだなぁと思うわけです。 シェルターが出来たから選ばれれば生き残れる、とか、 方舟とか、そういうデマで踊らされる人々というのは王道な展開なのだけれど、 やっぱり何度見ても浅ましいなぁと思う。 ほとんどの人が一緒に死ぬのなら、無理に自分だけ生き残りたいとは思わないし。 というのは今現在にさしあたって危機が訪れていない私だから思うことなのかもしれないけれど、 でも、世界の終わりを超えてまで、生きていたいとは思わない。 それにさ、一握りの「人間」となって宇宙へ飛び立ってどうなるの。 そこまで人間が価値のある生き物だとは思わないし、 地球という星の形跡を…とか言うなら、人間でなくても植物とか微生物とか詰め合わせたらいいんじゃないと考えちゃうんだけれども。 というか、そもそもそこまで生きられるかどうか。 この本だったら、終末発表後の荒れで早々と誰かのむしゃくしゃで殺されるか、 あっさり世を儚んで…という、ストーリーにもならないようなキャラだろうな。私はww 表題の「終末のフール」以外はどれも好きだけど、 天然乙女の徒然散歩という雰囲気で気に入ったのは「冬眠のガール」 大団円な空気を感じさせてくれる「演劇のオール」もかなり好きだな。 どっちも女の子が可愛くてたまらないのです。 可愛い女の子とやさしい人々と、漂う無力感と失われた日々の苦さがたまらない。 綺麗なものを綺麗さだけで描くことなく、 残酷なものを残酷さだけで描くことなく。 そういった作品がどうにも大好きで困っちゃいます。読後の気分がすごく引き摺られちゃって、疲れるってわかってるのにね。
2010年02月07日
奥田英朗/大崎善生/角田光代/島本理生/盛田隆二/蓮見圭一人気作家が綴る超豪華アンソロジー。心に安らぎをお届けする、クリスマスを巡る6つのストーリー。今年のクリスマスも、あなたにとって幸せな一日にでありますように。【内容情報】(「BOOK」データベースより)人気作家がクリスマスをテーマに綴る超豪華アンソロジー。街にはツリーやイルミネーションが溢れ、至る所からクリスマス・ソングが流れ始める。今年もクリスマス・シーズンがやって来ました。この冬のひとときを楽しみにしている人もいれば、毎年繰り返されるお祭り騒ぎに虚しさを感じている人もいることでしょう。クリスマスの過ごし方は人それぞれです。そんな6つのストーリー。 【目次】(「BOOK」データベースより)セブンティーン(奥田英朗)/クラスメイト(角田光代)/私が私であるための(大崎善生)/雪の夜に帰る(島本理生)/ふたりのルール(盛田隆二)/ハッピー・クリスマス、ヨーコ(蓮見圭一) 装丁に惹かれて手に取りました。だってキラキラギラギラ凄いんですもの。子供のころときめいた、ホログラムの色紙を思い出します。(あれ高かったんですよね~)そんな夢いっぱいの装丁なので、てっきり中身もあったかほのぼのストーリーの詰め合わせかと思いや、いやいやいや。大人のクリスマスというか、現実的というか…期待したような「夢」はありませんでした。っていうか、不倫もの多い!6個中3個が不倫関連ですか!?現在進行中で不倫してたり、不倫相手に捨てられたり、旦那が不倫してたり。でもってもう一つも遠距離恋愛中に同僚といい感じになったり…?という話でしたし。おまけに総じて主役の女性に魅力が無いし、なんだか痛い。。痛い思いしてるのって女性ばっかりじゃーんって気になってしまうのです。というか、仮にいたい思いしているにしても、男はずるさが目立ちます。一通り最後まで読んでみての結論としては、1番目の「セブンティーン」が印象的でした。たぶん、これが一番好き。娘がある日言うのです。クリスマスは友人宅に泊まる、と。そこで主役の母は直感的に悟ってしまう。娘は彼氏と一緒に過ごす気だと。脱処女しちゃうつもりだと。私は彼氏が出来たことに感付いてはいるけれど、夫は彼氏の存在に気づいてない。外泊を許可するも、どうにか止めるも、全ては自分の裁量というところで彼女は悩むのです。母親としていかに娘の顔を潰さずに企みを止めさせるか、元女子として女として、娘の成長を黙って見守るか。何も知らない母親を装う脳内で、ぐるんぐるんと葛藤している姿はこっけいでもあり哀れでもあり。母親になってなお、学生時代の思いを忘れていない彼女の姿が羨ましい。けれどそのころのリアルな思いを覚えているからこそ、外泊なんて!とただがむしゃらに止めることが出来ず彼女は悩むのですよねぇ。友人の言葉で男の子を持つ身なりの悩みも語られていますが、同姓なのである程度わかる反面、わかる分だけまた難しい。。年頃の娘って扱いにくいなぁと思ってしまう私でした。(笑)他4編はわりとさらーーっと読んでしまいました。ただ、最後の「ハッピー・クリスマス、ヨーコ」は読みにくくて苦手です…。主人公の男がうっとうしくてかなわない……。。「黙って晩飯を作れ。話はそれからだ」(それでカッとなった妻がコンビニ弁当を買ってきたら↓)「おい、防腐剤入りの弁当を食わせて、おれを早死にさせる気か。お前はそこまでおれが憎いのか」……うぜぇぇぇぇ!!!!序盤のこのやりとりの回想のおかげで、それからずっと彼に対して好印象はもてませんでした。だって、ねぇ。
2009年11月25日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京―。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。 あまずっぺぇぇぇっと疲れたハートにズッキュンときた1冊。とある地方の田舎の学校を舞台にした、短編たちです。連作なので、ある物語の彼が別の物語にもちょこっと登場していたり…という、立場やグループを変えていろいろな主観から人物を見る楽しみも充実しています。てかね、もうね、たまらんです。いいなぁいいなぁ。こんな高校生活したかったなぁ無かったなぁ。。現代小説なのですが、なんだかとっても「懐かしい」。ちょっと昔のことになりますが、私の中学時代がひどく思い出されます。そう。通っていた中学校…というか育ってきた地域がこんな感じのとこだったから。けどまあロマンスはなかったですけれど。いっそ恥ずかしいほどの青臭い青春ストーリーもなかったですけれど。それは単に中学生だったからというでもなく、単純に私の度胸と性質の問題だったように思います。(一部の女子はちゃんと甘酸っぱい恋愛してたみたいだしね……。。)解説でも書かれていますが、ふつうの人々の、そんなに特殊でもないキラキラした日常が書かれているのが素敵でした。特にはっちゃけてるわけでもないし、特に特殊能力に秀でてるわけでもないし、特にお家柄が凄まじいわけでもなく、特に奇人変人というわけでもない。ふつうの人々の毎日の中にあるキラキラ。読んでいて、とても漫画家の西炯子さんの世界を連想しました。STAYシリーズや「わたしのことどう思ってる?」「放課後の国」とか。映画化もされているようです。ちょっと気にもなるけれど、小説であれこれ想像するだけで十分満足なので、しばらくはレンタルもしないかなぁ。って、近くのレンタル店に入っているかはわかりませんが^^;
2009年11月24日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。 【目次】(「BOOK」データベースより)バンク/チルドレン/レトリーバー/チルドレン2/イン 書かれた世界は、キラキラしていました。血なまぐさいこともなく、特殊な生い立ちでもなく、裏社会も超能力も殺人もない「チルドレン」すごく好き。陣内という男の周りに居る5人それぞれの物語。5つの物語を通して見える陣内という男の奥の深さと魅力にしびれます。むちゃくちゃで、行動力があって、思考が読めなくて、断言するわりに、言ったことを忘れていたり、そして彼の何気ない言動の端々に、人は本質を見たり。彼の思うがままの行動と、その結果を見ていると、私の大好きな、京極堂の榎さんを思い出しました~(*´∇`*)(榎さんから後ろ盾(お家柄)と西洋風美形を引いて…)陣内の眩さにひどく惹かれはするものの、実際に近いところにいると、鴨井さんのようにツンケン扱ってしまうかも^^;でも、魅力があるからたまに邪険にしてみても、完全には離れたくないんですよね~
2009年11月14日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)日村誠司が代貸を務める阿岐本組は総勢六人というちっぽけ極まりない所帯だが、堅気に迷惑をかけず、任侠と人情を重んじる正統派ヤクザである。組長の阿岐本雄蔵は、兄弟分の組長から、経営難に陥った私立高校の再建を引き受けることになった。文化的な事業に首を突っ込みたがるオヤジの悪癖を嘆きながらも、日村たちは学校へ乗り込む。そこで彼らが接したのは、割れたまま放置された窓ガラス、平気で煙草を吸う生徒、無気力な教師たちであった。百戦錬磨のヤクザをあぜんとさせるほど荒廃した学園を、日村たちは立て直すことができるのか―。 昔気質の人情に厚く素人に優しいちっちゃい組のヤクザたちが、親分の気まぐれで倒れかけた高校の経営を立て直すことになるのです。親分は理事長で他ヤクザは理事。 ガラスは割れ放題で壁は落書だらけの最低学校で、逃げ出したい気分になりながらも親分の命令は絶対だからと涙目で掃除する日村さんにキュン。 初めての花壇いじりにいつのまにやら夢中になっちゃう日村さんにキュン。 主人公の日村は言うに及ばず、下のヤクザさんたちも可愛いし、なんだかんだでピュアな高校生たちも可愛いし、女の子も可愛い。ってか改めて考えると女の子って2人しか名指しされていないよ。え、なんて絡み放題ゆめいっぱい腐り放題! とりあえず、日村たちは揃って皆凄くいい人です。 てか、かたぎさんにはとことん優しくしてくれるし、礼儀正しい日村さんたちにうっかり惚れそうだわ!よくある威張り散らしたり乱暴な口調とかが全く無く、組のしばりと上下関係の絶対さ、看板の重さに、縄張り内の人々を考えた行動と、ヤクザである設定を高飛車に振舞うことに使っていないのが新鮮でした。これを読むと、「ごくせん」のヤンクミって我慢が切れるの早すぎじゃね?と思ってみたり。(ちなみに「ごくせん」はドラマしか知りません。初期以外は好きじゃありません)そんな「義理と人情」の昔気質な人たちが、乱暴な口調で目上への礼儀も知らない、善悪の教育も微妙な、それこそ「恥を失ってしまった現代人」養成所(学校)に行くのです。もう酷すぎるー。明らかにその筋と認識しても、怖がることもなく舐めきった態度。返事もやる気ないし目が合ってもやる気ないし何やってもやる気がない。場数踏んでいるはずの日村さんが、未知の生物相手にぐったりする姿がたまりません^^そして、ヤクザが学校経営ということで当然ながら親たちがだまっちゃいません。が、もうこの親たちがもうしょっぱなから凄まじくモンスターなのです。理事の状態とか知らない時の通常モードがモンスターなわけだから、対ヤクザになるともうひたすらに激しくモンスター悪化w日村たちのへの贔屓目なしにしても凄まじい崩壊理論を述べてくれますwwけれど親を相手にというよりは、別の相手とのやりあいが本命です~こっちの方は普段モードと切り替えた本職の部分を感じることが出来て、メリハリがいい感じ。当然ながら最終的に、彼らは学校を去ることになります。まあね、流石にティーンズものじゃないんだから、そりゃそうだろう。というか、建て直しが成功?ほんの一時のしか居なかったけれど、けれどもその一時がかけがえのないもので、教師や生徒たちは見違えるようになり、入れ物である学校もすっかり別物のように輝いて。最初の描写では、誰がこんな学校に行きたいものかとか思ってしまうところでしたが、読後の感想はもうこの学校のこの瞬間に居たくて居たくて、たまらない。ハラハラくすくす、ドキドキ萌え萌えそして爽快感とほっこりする後味。これぞ上質のエンターテインメント^^ 読んだ後に知りましたが、これの前作で「とせい」という本があるそうな。「任侠学園」内で触れられていた、以前の出版社建て直しというのがこれのことですって。知らずに読んでもとても面白かったのですが、これを読んでいたらもっと楽しめたんだろうな。早速「とせい」を探すことにします。
2009年11月12日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)「博、お前は最高の飼い主だよ!」お気に入りは、縁側での昼寝と旨いツナ缶、そしてコタツの中。博との生活はゴキゲンだった。だがある日、俺様は、黒い犬に追われて迷子になってしまう…。子猫のバニラと博、野良猫たちの友情をユーモラスに描いた物語。 簡単に読めそうな雰囲気だったので軽い気持ちで手に取った1冊。1ページあたり11行で、上も下も行間もたっぷり。厚み以上に薄く感じる1冊でした。ネコ視点になったり飼い主視点になったり、野良猫のボス視点になったり忙しい。で、その割に誰視点でも、特に捉え方などの感覚、言い回しなどの表現方法が特に変化がないのでなんかなーっと微妙な気分に。多分、この文体とバニラに共感できたり、バニラを可愛く思えたら楽しく読めそうな気はするのですが、どうもこのバニラという子も野良猫キングも私の好みではないのですよね…しゃべるネコというのが駄目というより、いかにも大人が考えた子供向けキャラというような雰囲気のこの子たちが駄目なんですって。子猫の一人称がわざとらしくて、なんだかあざとい。一言目から最後まで、全体的にネコが考えてる!という無邪気さが感じられず。。で、「仲間」「ヒーロー」という言葉が何度も何度も会話で繰り返されるのもたまらない。こーいうのは台詞で見ると恥ずかしいというか白けるというか、そんな天邪鬼タイプなもので、なるべくエピソードで語るようなのがいいのです。大人に向けての絵本のような1冊ってとこなのでしょうか。もっともっと疲れた時に読んだら、心に沁みるのかなー?
2009年10月08日
文藝春秋の紹介コーナーより会社では一匹狼、プライベートでは植物診断なるヒーリング療法に通い、ひとり散歩を生き甲斐とする独身男・寛樹は、妹夫婦を通じてある女性と会うことになります。夫と離婚し、一人で子供を育てる彼女の依頼は「夫でも、父親でもなく、大人の男性として子供に接してほしい」。 夫でも、父親でもない“大人の男性”の役割とは――。家族、婚姻という制度に一石を投じると同時に「植物」と「生命」をモチーフにした世界を作品のなかで融合させた星野文学の真骨頂!(TA)かなり色々出しておられる作家さんのようなのですが、私は読むのは初めてになります。「植物診断」という文字に惹かれて手にとって、冒頭の植物診断の場面をパラパラ読んで、なんだか中二臭い物語ではないのかしらと邪な期待をしたのがきっかけです。そんなわけなので読み始めて真っ先にびっくりしたのは主人公の年齢なのです。俗に言う複雑な年頃な少年が、保健室登校みたいな感じで、もやもやとしたものを抱えながらカウンセリングに通う…みたいな内容を勝手に想像していたもので、まさか40代独身男の話だとは予想もせず。独身といってもそれを焦っているわけでも、謳歌しているほどでもない。結婚相手というだけでなく、友人にしても彼女にしても、「私」と「あなた」という1対1での深く深くの付き合いを望んでいるため、どこまでも掘り下げて波長の合う相手を求めてしまうのです。で、そういう相手でなければ特に必要がないと感じるので、あらゆる意味で「ひとり」になっている…と。周りはとりあえずとっつきにくい男が独り身ということであれこれ言うのです。私なんかは別にいいじゃんと思うのですけれど。出世コースではないもののそこそこの会社でちゃんと働いていて、正しく自分の城(庭?)となったマンションに住んでいて、割と近距離に住んでいる母親ともそれなりに良好な関係で、妹夫婦とは付き合いもよくその娘にはとても好かれていてとまあ、本人の自覚の有る無しは別として、かなり恵まれているのがちょっと拍子抜け。この自分の居場所というか位置というものがしっかりあるからか、主人公がふわふわとしていて人間臭さを感じることが出来ませんでした。逆に彼に息子の相手を依頼したシングルマザーの方は、なんだかどろどろ。理想の子育てと現実の軋轢に露骨に苛立ったり、ヒステリックになったり。好きな女性ではありませんが、まあ生々しさはありました。鬱陶しいなーと端々で思っちゃいましたけど。つまらないわけではなかったし、クセも強くないのでスラスラ読めて楽だったけれど、申し訳ないが読後特に残るものもなく。希望を言うと、植物診断室の物語が読みたかったです。誰がやっているのかとか、建物自体のあれこれとか、他のお客さんとか、そういった診断室を舞台に展開される物語が読みたかったな。
2009年09月02日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)わあ、暖かい。ここ、何本ぐらい指が入るんだろうね?彼は、一本、二本と数えながら、私の蜜の奥へ指を挿入しはじめた。私は電脳娼婦。罪を犯し、刑罰として、電脳空間で客をとらされているのである。ねえ、お姉さんが殺した男はね、実は、ぼくの兄だったんだ…。すごくエッチでちょっぴりせつない、エロティックSF傑作集。あとがきが一番面白かったです。はい。SFについてとか、エロに関しての語りがとても面白かったです。しかし肝心の小説のほうは、どれも正直いまひとつ…退屈するほどではありませんが、読ませられるほど夢中になれるわけでもなく。SFについても、エロに関してもどうにも夢中になれず、惜しい印象でした。特にこれらってそれ系の雑誌に「官能小説」として掲載されたそうなのですが、何度読んでも、ええー…これって官能小説なのですか??と正直思ってしまうわけで。ちなみにどれが一番よかったかと言うと、やっぱりタイトルの「電脳娼婦」ですかねぇ。主人公についての設定がよかったです。ネタバレになってしまいますけど。「少女狩り」を読んでアン・ライスの「眠り姫」シリーズを思い出しました。貧しさのために売られた男女と、奴隷化された姫に王子と、その生い立ちと成長の環境は全く異なるものの、こうして現在権力者の戯れとして行われている内容は似たものがあるかと。でも激しさとかえげつなさとかでは「眠り姫」の方が圧倒的なんですけどね。
2009年07月21日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)財前有利子は、ふたば証券に勤める投資アドバイザー。ペイオフ解禁を機に、個人金融資産の貯蓄から投資へという流れの中、個人客の投資相談に取り組んでいる。「自分の顧客には絶対に損をさせたくない」という信念で、上司や先輩社員も一目置く存在だ。ある日、一人の老人が持ちかけた「二五〇〇万円を一週間で倍にしてほしい」という相談に、有利子の答は…。個人資産運用の世界を描くコミカル・エンターテイメント経済小説。 彼女を取り巻くエピソード4本で構成されています。なので、1本1本に起承転結があり、ほどよい分量でとっても読みやすい。素人でも楽しく読める小説というコンセプト通り、専門用語の各種や仕組みがわからなくても、人物関係と流れを追うだけで十分普通に読み物として楽しめました。ただ、本格的に知識が欲しくて読もうとしたり、「現実的」なストーリーとして期待して読むと……どうなんでしょうねぇ。多分そこそこ現場を知っている人が見たら、なんじゃこれとなるのじゃないかなぁ。最終章へと進むにつれ加速するご都合主義的展開とか、特に。アリコさんみたいな、とことんお客様に寄り添った考え方で、お客様には絶対損はさせたくない!自分が納得しないと進めない!ってどこまでも筋を通らせて行動できるアドバイザーさんっていいなぁと、そういう理想を詰め合わせたキャラクターというのは良く見る形です。(お医者さんものとか先生もので多いですよねー)そんなアリコを中心に添えながら、しっかり上司や同僚・同業者への描写で、けれども誰もがそうお客のことを考えているわけではなく、むしろ「この世界」でもアリコの方が珍しいのだと何度も明示されています。でもどうにも好きじゃないんだよなぁ。アリコさんのキャラって。なんでかと考えますと、沸点の低さというか、口の悪さというか。。駄目な人に向かって「喝!!」と鞭を叩きつけ、活を入れるという、そういうのを格好良さとして見せたいのでしょうけど、どうにも回数が多いように見えるのと、彼女自身が素敵でないのと、丁寧さが剥がれ落ちる様が目立ち、あんまり美しく見えないのです……。とりあえず会ったばかりの顧客候補のご老人を前に、プッツンしてしまったからって高飛車に「じいさん」はないでしょう。。しかもその後改めて会っても、以後ずーっと「じいさん」て……。確かにそういう行動が爽快感となって好感に繋がるキャラクターもいますけど、今回のアリコさんについては逆効果な気がしました。そもそも、ああこの人ってこうなのね~!というイメージもなく、好感を抱くための土台作りすら整っていない段階での行動だったので、そんな段階でやられても、魅力的に感じられない…と困惑してしまうんですが。ところで、1章はのっけから濃厚な社内ラブシーンで、2章も一部そんな空気になりかけ。しかし1・2章の後半及びそれ以後の話は全くそういう空気が漂わないのは、経済小説というジャンルを読む方々への、つまり読者へのサービスシーンなんでしょうか。それとも掴みはオッケーっていう方なのかな。シーンの差にちょっと驚きました。1話だけ見ると、もっと色恋営業というか、身体でナンボの女性かなーと思ったので^^;手持ち無沙汰でなんか読みたいって人には、さらっと読めていいんじゃないかな。マンガ化されてます
2009年07月12日
歌いたい。伝えたい。負けたくない…消えたくない!才能がなくては生き残れない。でも才能だけでは「何か」が足りない。JPOPシーンを駆け抜けるTOP10アーティストたち。その情熱と苦悩を描く、大興奮の青春小説。●19歳でのデビュー以来トップを走り続けてきた歌姫・伊藤りさ。でも彼女は知っている。同じ事務所の相葉ミリが恐るべき勢いで迫ってきていることを…『あたしはいい子』●バンド結成から7年。チャート1位も目前の人気バンド“スモールロンドン”に異変が起きた…『話があるよ』●人気女子アイドルグループ“シュガフル”の一員・景は、メンバーのミーミーの本物の輝きに打たれてしまう…『さだめの僕ら』●路上でのCD手売り千枚を達成してメジャーデビューした浅田真樹。ピュア路線狙いと中傷されてつい取った行動は…『きたない涙』他、全10編収録。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)圧倒的な力で、音楽シーンを駆け上がっていく人間がいる。限界が見えて、少しずつ忘れ去られる人間がいる。いつまでも同じ風は吹かない。だからトップもベテランも新人も、つねに悩み、走り続ける。頂点と奈落が隣り合わせのシビアな世界で生きる、10組の青春群像。 初めての作家さん。図書館で表紙が綺麗だったのと、短編だったので予約が届くまでの繋ぎにいいかなーと借りてみました。裏表紙にある週の週間TOP10のランキングが書かれていることに、読後に気づきました凹週間ランキングのTOP10入りした歌手達、一組一組の物語。ランク順に1位から収録されています。正直このページ数で10話というのは……という感じがしないでもない。6話は雑誌掲載で残り4話は書き下ろしってことですが、これだけの厚さがあって、10本も入っている割に、あんまり記憶に残るグループやタイトルがないんです。。全部一人称の物語だから、一気に読むと脳内で整理出来ないのかも?正直ジャンルごちゃまぜのチャートの上位に入ってどうのこうの、というアーティストさん方に興味が無いってのも原因かもしれません。アマゾンのレビューとか見ていると、実際に活躍しているアーティストがイメージできるらしいんで。2位の彼女が倖田來未ということはすぐイメージできたけど、1位の浜崎あゆみは他の人の感想を見て納得がいったという感じです。あんまり詳しくないからなぁ…;でも、こんな私でもわかるくらいに倖田來未は、「まんま」意識しているなってわかるキャラでしたよー。ここまであからさまに描かれていると、本当は「全10組ともわかって当然、むしろわかってよ!」という思いが作者さん側にあったのでしょうか。ランキングの人々を順番に…という設定は面白いと思うのですが、このパターンで10本読むのは正直疲れました。ぐいぐい読ませられるほどには面白くもないし…
2009年06月26日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)将来有望な五歳下のプロ野球選手と結婚した実奈子。優しく病弱な大学病院の内科医とおだやかな結婚生活を送る美咲。結婚式のために節約を重ね、本番を一週間後に控えた千佳。貧乏で職業不明な風来坊と「結婚を前提」に同棲するうはね。―心も身体も生活も、全てが満たされる結婚生活なんてあるんだろうか?リアルで切実な「結婚」アンソロジー。 【目次】(「BOOK」データベースより)ロマンスの梯子(平安寿子)/玉の輿貧乏(宇佐美游)/オーダーメイドウェディング(春口裕子)/森を歩く(三浦しをん)/シンデレラのディナー(内藤みか)/次はあなたの番ね(真野朋子)/グッドマリアージュ(森福都)/花と蜜蜂(松本侑子) 怖かったー…女の怖さが満載でした。幸せになりたくて、幸せにしたくてってだけなんですけども、それゆえの暴走でうっすらと背筋がさむーくなる短編集でした。でもね、わかるんですよ。はっ面白いwwwって笑い飛ばせないんですー。あ…こういう人いるかも。とか、私にも覚えのある感覚ですやん…。とかドキドキしちゃいました。結婚式の費用やその他でお金がなくなっちゃったよー貧乏だよーっていう話ではなくて、どれも精神的な貧乏なんですよね。だからこそ誰にでも起こり得る…かもしれない物語たち。ちなみに一番怖かったのは、お医者さんと結婚した美咲さんでした。理由を言うとモロネタバレになるのでひかえますが。
2009年05月31日
家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽し、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ。 今知ったのですが、これって映画「SHINOBI」の原作になった作品だったのですね~ちなみに、私が手に取ったきっかけは「陰陽座」の方です。何気に嵌ることも無く適度に好きな陰陽座。こちらの曲は「忍法帖シリーズ」のオマージュや京極夏彦や手塚治作品に影響を受けたものがふんだんにありまして、「いかにも」な妖怪もんやらがたまらんのであります。と言ってもアルバム5枚目の『夢幻泡影』までしか所持していないのですが・・。それはそうとして「甲賀忍法帖」。驚くほどにテンポが良くて、すらりすらりと読めました!いやぁ、昔母の本棚に見つけた時は、なんだか面白くなさそう~・・・と思ったのですが、読まず嫌いはあきまへんねぇ。甲賀と伊賀のロミオとジュリエットこと、殺しあう運命の弦之介と朧の関係に身もだえし・・・と思いや、弦之介に思いを寄せる甲賀の陽炎さん贔屓で読んでしまいました。解説の「官能の極致で男を殺す忍者」さんの陽炎さん。官能に火が付いたら問答無用で吐く息が猛毒になると言うことで、好きな男を殺してしまう宿命の能力一族なもので、大好きな弦之介の傍に居るだけで精一杯。下手に抱きついたりしちゃっただけでも大事なので、思いを隠す姿がいじらしい。。でもって、弦之介は陽炎なんて意識もせず、ひたすら朧しか見ていない。。。なんて、なんてかわいそうなの~~~~皮膚が吸盤になり、相手の血液を吸い尽くす女性や、毛が一本もなく体や色を自由に変化させ、壁や板にも同化してしまう大入道など、奇妙奇天烈な外見・能力を持つ忍者達の、常人とは何次元も違うような忍術合戦劇場は、どっかのファンタジーなライトノベルを読んでいるような感じで実にとっつきやすいのでありました。問題は、母が他の忍法帖を「どこにしまったかわからんよ」と言っているトコロ・・・。「甲賀忍法帖」収録の臥龍點睛バジリスクの方も気になってきました2007年09月26日発売バジリスク~甲賀忍法帖~ DVD-BOX
2007年08月05日
【内容情報】(「BOOK」データベースより)第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作として、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化。脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。 「ミステリー(推理小説)」かと思ったら(神秘的なこと。不可思議なこと)の方だったのですね。ああ、勘違い。少女と青年の関係をつづる流れが読み応えがあっていいなぁ、と。海外で勉強中に、青年は銃弾から少女をかばうのですが、少女は家族を失い、青年は指を失ってしまいます。色々あって青年の家族とともに暮らすようになった少女は、やがて一度聞いた音楽をそっくり奏でるという能力を発揮します。青年の指導のもとピアノを学んだ少女と青年は、全国でボランティアとしてピアノを奏でていました。っていう馴れ初めの回想などと、演奏会で訪れた山奥の診療所でのほのぼの話しで2割のこり1割で本題とも言える事件の発生と経過と終焉です。もっぱらお気に入りは初めの2割だったり。だって、だって、あっちこっちから、やさしい春風を感じるような雰囲気なんです♪二人が魅力的に描かれていて、どこかおとぎ話のようなムードです。しかも、片言で話す少女がまた愛らしい!でもって負けず劣らず青年もまた可愛いんですよ(萌え)!読んで幸せ~~~~(*´∇`*)って感じです。ほんのり優しい気持ちになれましたです。映画も気になる~><
2007年04月20日
野村聡。31歳。Y県職員一種試験に合格。入庁9年目。Y県県庁産業局産業振興課主任。Y県初の民間人事交流研修対象者6名の一人に選ばれた期待のホープだ。一年間の研修を無事にこなして戻れば、念願の係長への階段を同期に先んじて確実に登ることができる。ところが、鼻高々で望んだ辞令交付式で命じられた赴任先は…スーパー? しかも…H町の? えらくマイナーな感じがした。だがそのイヤな予感は現実のものとなる。 もらった予算は使いきるもの! 人を“使役”してこその“役人”だ!----大勘違い野郎の「県庁さん」がド田舎のスーパーで浮きまくり。生まれて初めてバカと呼ばれた県庁さん、はたしてこのまま「民間」でやっていけるのか?映画は興味がなかったのですが、ふと見ると親の本棚にあったので今更ながら読んでみました。県庁さん と 古株のパートのおばちゃんの視点が交差して進んでいくストーリーで、テンポのよい流れにどんどん読めちゃいました。スーパーの事情(?)も色々書かれているので、話半分に、でも知ってるスーパー(ちょっと寂れてる;)に当てはめて想像してしまったり、とあれこれ楽しんじゃいますと身近に感じてさらに面白かったです。むぅ。映画も見たくなってしまった・・・
2007年04月13日
この胸いっぱいの愛を映画原作者による異色のノベライズ映画「黄泉がえり」の原作者・梶尾真治氏が、新たな試みとして取り組んだ、映画「この胸いっぱいの愛を」の原作者自身による異色のノベライズ作品。もし、自分がもう一度、やり直すことができる時間に戻れるとしたら―。大好きだった年上の女性、自分を産んだ直後に死んでしまった母、交通事故で亡くなってしまった息子……。“あること”をきっかけに、過去に同時に戻ってしまった登場人物たちそれぞれの群像劇。 神はサイコロを振らないをほのかに思い出しました。(ちなみにこっちはドラマばかりで原作はちゃんと読んでません;)一気に読んじゃいました。ちなみに一番泣いたのは臼井さんのエピソードです。踏みにじられた花と片付ける家主を目にして、彼はそれを少年の自分がしたことだと思い出します。手伝いながら、家主が臼井少年の仕業と知っていて、さらに少年の心を心配していることを知ります。「すみませんでした」と謝ると同時に臼井は現在に引き戻されるのですが、臼井が消えたため持っていた鉢が落下して割れるのを見て、「あいつ、また割っちまったじゃないかぁ」とつぶやく家主さん。気づいていたんですね。あの青年がいつもの少年だと気づいていたんですね!でもってあんなに和やかに迎え入れたのですね!!!臼井さんはメインの人ではないのですが、この手の話に弱い私は即効イチコロです。ひょっとしたらメインのエピソードより印象深いかも><-映画も気になります-
2007年04月04日
新書、文庫梨香子は33歳のエリート銀行員。才色兼備の彼女が、ある日、年収200万円のオタクなライター・真一となぜか恋におちて、そして結婚―。ちっとも噛み合わない二人の結婚生活に、男と女の本音が垣間見える。いまどきカップルの恋愛・妊娠・子育てとは…てんやわんやの結婚騒動記。--------無難に、しかし確実にネタバレ--------(上の文章を読んで)そんなもんじゃなかったです。噛み合わないとかそんなすっきりとしたレベルじゃなく・・・。ザ・片付けられない女と結婚ご発覚するのですが、このリカさんちょっと怖いです。何か本当に、テレビで見るレベルの状態です。人のこと言えるのかって?いやさ、トリも片付け苦手だけど、さすがに下着は洗うよ?お茶葉ポットに入れっぱなしで○○日放置でマリモみたいなカビ生やさせるなんてしないよで、そんな感じの家事(ってレベルか?)はだめだめ、でもお仕事バリバリの奥さんに変わって専業主夫状態の真一さん視点なもんだからもうたまりません!リカさんの異常っぷりに怯えたり、怒るに怒れずおろおろしたり、妻への愛に迷い不倫も疑ってしまう真一さんの内面までバッチリなのにリカさんについては良く分からないんですもの。まさにミステリー。。ぜひとも男性にもおすすめしたいです。というか、どういう反応を返すかにもよりますが、結婚の話題とかカップルによっては素敵な未来のイメージで楽しくおしゃべりできるかも、とか。ちなみにトリは・・・ところどころなんだかラダを見ているようで微妙な気分になりました。(たとえば・・・周囲の人たちから冷たい扱いを受けているところとか、結局家事をせざるおえなくなるとことか)
2006年08月15日
もう神様にお願いするのはやめよう。―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。ずっと前にドラマ化したみたいですが、残念ながら知りませんでした。ていうかたぶんそのころ知ってても「子供にゃ早い」とか言ってとても見せてはもらえなかっただろうけど。なんていうか、初めて読んだのは高校2年の時だったのですが、それはもうすごい衝撃を受けたのです!--------オチがわかっちゃうかも----------沢山の愛人に囲まれた「先生」の新しい愛人となるわけですが、他の女性達がどこか彼と「ビジネス」のような割り切った関係をしていることに気づき、自分だけが飼い犬のように全てでつくし、手綱を先生に預けようと考えるのです。そう、「私だけは何があっても先生を裏切らない」と信頼させ、「先生にとっての特別な存在」として自分の位置を断固たるものにしようと水無月さんは画策します。で、あれこれ必死で考えて、他の愛人達の相談にのったりして、必死で先生から引き剥がそうと奮闘するわけです。が、でも結局は独りよがりだとわかっちゃうんですよ・・・。水無月さんに見えてた世界は実はとっても狭い視界で、他の人たちはもっと別のところから見ていて、入念な計画は実は穴だらけで。そんな彼女の思考・行動に、あちらこちらで身に覚えのあるものも多く・・・ある意味自分を感じてぞっとしました。冒頭のせりふみたいに、懲りるんだけど、本当のところ懲りれないのですよね。何度でも繰り返してしまう・・・。
2006年08月14日
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