《櫻井ジャーナル》

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2012.06.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 核エネルギーの開発は破壊を目的にして始まった。1942年にアメリカでは「マンハッタン計画」が正式にスタート、その翌年には日本でも理化学研究所の仁科芳雄を中心にして「二号研究」が始まり、東京帝大、大阪帝大、東北帝大の研究者が参加している。その一つの結果が1945年8月の広島と長崎における原爆の使用、つまり市民の大量虐殺である。

 1953年12月になると、ドワイト・アイゼンハワー米大統領は国連総会で「原子力の平和利用」を宣言する。核兵器というイメージを誤魔化すためだったのか、本当に勘違いしていたのかは不明だが、スリーマイル島原発、チェルノブイリ原発、そして東電福島第一原発の事故を見るだけでもアイゼンハワーの宣言が無意味だということは明確だ。

 核エネルギーの恐ろしさを体験したはずの日本人だが、1954年3月には原子力予算案が国会に提出される。しかもその前日、南太平洋のビキニ環礁近くで操業していたマグロ漁船「第五福竜丸」の船員23名が被曝していた。アメリカが行った水爆実験のためだった。これが「原子力の平和利用」の実態、裏と表だ。

 その後、日本でも核エネルギーの研究は続き、1964年に中国が核実験を実施すると日本でも核兵器の開発に向かって動き始め、1965年に訪米した佐藤栄作首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えている。

 1969年には西ドイツ政府と秘密裏に協議、その席で日本側は核武装によって超大国への道を歩もうと主張したのだという。西ドイツは提案を拒否するが、日本は核開発の研究を続け、10年から15年の期間での核武装を実現することは難しくないという結論に達している。

 このとき、原爆に必要なプルトニウムは日本原子力発電所の東海発電所で生産すると想定、高純度のプルトニウムを年間100キログラム余り作れると見積もっていた。つまり、長崎に落とされた原爆を10個は作れるということになる。(NHK「“核”を求めた日本」2010年10月放送)

 ロナルド・レーガンが大統領だった1980年代、アメリカ政府は日本の核兵器開発を後押ししていた可能性が高い。その後、 日本が保有する兵器レベルのプルトニウムは70トンに達したとジャーナリストのジョセフ・トレントは主張 している。真偽は不明だが、ありえない話ではない。

 日本が核兵器の開発を真剣に考え始めた1972年当時、日本にあった原発は5基、182万3000kWにすぎなかった。全体の発電量の3%以下ということになる。こうした状況を一気に変える出来事が1973年10月に起こる。第4次中東戦争が勃発、OPEC(石油輸出国機構)に加盟するペルシャ湾岸の6カ国が原油の公示価格を1バーレルあた3.01ドルから5.12ドルへ引き上げると発表したのである。なお、このときにイスラエル政府は核兵器の使用を閣議決定している。

この値上げは、その年の5月にスウェーデンで開かれた秘密会議で決まったとザキ・ヤマニ元サウジアラビア石油相は話している 。その会議とは、ビルダーバーグ・グループが主催したものだということをイギリスのジャーナリスト、ロビン・ラムゼーが確認している。

 当初、原油値上げにサウジアラビアのファイサル国王は反対していた。コストの高い油田がライバルとして登場するほか、代替エネルギーの開発に拍車がかかることなどがその理由だったようだが、その予測通り、「原子力」が代替エネルギーとして登場する。この流れは日本だけでなく、世界的に起こっている。原発を増殖、拡散させることも原油価格を大幅に引き上げる大きな理由だったと考えても不自然ではない。オイルショックが原発を拡散させる切っ掛けになっている。

 本ブログでは以前にも指摘したことだが、原発と温室効果ガス(石油)を対立させて議論することは間違っていると言わざるをえない。原子力と石油の背景は同じであり、その背景である巨大資本の術中にはまっているということだ。





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最終更新日  2012.06.30 15:33:12


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