《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2014.12.10
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 アフガニスタンやイラクを先制攻撃して以来、アメリカ政府はをグアンタナモに設置した強制収容所などに多くの「敵戦闘員」を拘束、拷問を続け、中には殺された人もいる。こうした収容所についてアメリカの上院情報委員会が調査、約6200ページの報告書を作成、約480ページの要約を公表する段取りになっていたが、ジョン・ケリー国務長官は同委員会のダイアン・フェインスタイン委員長に電話して公表を遅らせるように求めたという。

 報告書を公表するとアメリカの外交を傷つけ、国民や施設を危険にさらすとケリー長官は主張、公表の延期を求めている。中東/北アフリカではアル・カイダ系の武装集団、ウクライナではネオ・ナチ、日本では安倍晋三のような政治家を手駒として使っているわけで、本体がナチス張りのことをしても不思議ではないのだが、アメリカ政府は自分たちの国を「民主主義国」だと主張している。西側では政府も学者もメディアも、そうした主張を信じている、あるいは信じているふりをしているので、事実が明るみに出ることを怖がっている。

 リビアの体制転覆作戦でアメリカ/NATOは地上軍として アル・カイダ系の戦闘集団、LIFG(リビア・イスラム戦闘団) を利用したが、その幹部の中にはCIAの施設で拷問を受けた経験を持つ人物がいる。つまり、そうした集団への影響が大きいとは考えにくく、各国政府が知らないとも思えない。庶民に事実が知られることを恐れているのだろう。

 戦争捕虜ならジュネーブ協定で保護され、犯罪の容疑者なら刑事訴訟手続きに基づいてい扱う必要があるのだが、ジョージ・W・ブッシュ政権は工作された人びとを捕虜でも容疑者でもなく「敵戦闘員」だから何をしても構わないという「言葉遊び」で国際協定や自国の法律を無視、それをバラク・オバマ政権も引き継いでいるわけだ。しかも、そうした収容所に拘束され、拷問を受けてきた人びとの大半が「無実」だと言われている。

 アメリカ国内でも令状なしに当局が国民を盗聴し、信書を開封、住宅へ侵入、さらに予防拘束できるようにしたいと同国の一部支配層は昔から考えていて、1970年にはそうした憲法を無視した行為を合法化する法案が作成されている。それを止めたのがリチャード・ニクソン政権のジョン・ミッチェル司法長官だった。ウォーターゲート事件でニクソン政権が倒された一因はここにあるとも言われている。

 こうした計画を再始動させる動きが始まるのは1978年。そうした動きの中心には「文明の衝突」で知られ、「民主主義の行き過ぎ」を主張していたサミュエル・ハンチントンがいた。そして創設されたのがFEMAであり、その延長線上にCOGがある。このCOGを始動させたのが2001年9月11日の出来事。実体化した法律が愛国者法だ。グアンタナモの問題はアメリカのファシズム化と密接につながっている。

 グアンタナモはアメリカのラテン・アメリカ支配を象徴する存在。19世紀にアメリカでは先住民(いわゆるインディアン)の殲滅が一段落、支配層の目はスペインが支配していた南に向いた。そうした中、1898年にアメリカは軍艦「メイン号」をキューバのハバナ港へ派遣、そこで爆沈する。

 この爆破をスペインによる工作だとアメリカ政府は主張し、宣戦布告した。これが米西戦争。この戦争に勝利したアメリカはキューバを「独立」させ、「保護国」にする。つまり植民地化した。1903年に結ばれた条約でアメリカの海軍基地が作られるが、その場所がグアンタナモ。1956年から59年にかけての革命でフィデル・カストロを中心とする体制になるが、その海軍基地はそのまま。アメリカはキューバからの返還要求を無視している。グアンタナモ以外にも、CIAは28カ国に約50の秘密刑務所を設置、船を利用した施設もあると推測されている。

 グアンタナモに関する報告書の公表を延期、あるいは中止、つまり闇に葬り去る理由のひとつとして、IS(イスラム国、ISIS、ISIL、IEILとも表記)が拘束している捕虜の安全を挙げる人もいる。確かに、捕虜を殺し、アメリカの施設を襲撃する可能性もあるだろう。何しろ、ISはアメリカの好戦派がNATOの同盟国やイスラエルやサウジアラビアと共同で作り上げた化け物であり、こうしたグループの意向に沿ったことを実行する。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.12.10 18:58:34


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: