ロシアとの戦争を決意し、ジョー・バイデン政権はルビコンをわたった。引き返すことができない。アメリカに従属するNATO諸国はバイデン政権に従い、夢遊病者のように核戦争へ近づいている。
セルビアのアレクサンデル・ブチッチ大統領はヨーロッパがロシアと戦争状態になるのは「3、4カ月以内」だと考えている 。西側では「誰も戦争を止めようとしていない。誰も平和について語ろうとしない。平和はほとんど禁句」という状態で、核戦争が目前に迫っていると彼は懸念している。ハンガリーのビクトル・オルバン首相やスロバキアのロベルト・フィツォ大統領も同じように考えているようだ。
以前にも書いたことだが、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官、マイク・ジョンソン下院議長、下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長などが主張するようにアメリカ製兵器でロシア領の深奥部を攻撃したならば、ロシアは通常兵器で欧米の軍事基地や主要インフラを攻撃して報復するはず。そうなれば、アメリカで選挙は行われない。
銃撃されたフィツォはロシアとの戦争がスロバキア社会に悪い影響を及ぼしている主張、選挙の際にウクライナへの武器供与を阻止すると宣言し、ウクライナのNATO加盟に反対していた。3月2日に公開された動画では、EUとNATOからウクライナに兵士を派遣することは、世界的な終末を招く恐れがあると述べている。
また、フィツォは「COVID-19ワクチン」にも批判的で、その接種によってさまざまな心血管疾患による死亡を増加させていると議会で発言した。この「ワクチン」は「実験的」で「不必要」なものだとしているが、その通りだ。
イギリスの支配者グループがロシア征服を計画したのは19世紀のことだ。冷戦時代には膠着状態だったが、ソ連が消滅してから動き出した。その中心はシオニストの一派で金融資本と繋がっているネオコンは自分たちが支配するアメリカが唯一の超大国になったと認識、ロシアを征服する時が来たと考えたのである。彼らは1992年2月、国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成している。
この計画はユーゴスラビアへの先制攻撃という形でスタート、2001年9月11日の世界貿易センターや国防総省本部庁舎への攻撃を利用してアメリカ政府は中東を戦争で破壊し始めた。
1941年6月、ナチスに支配されたドイツはソ連への軍事侵攻「バルバロッサ作戦」を始めた。西部戦線には約90万人だけを残し、310万人をソ連への軍事侵攻に投入するという非常識なものだが、これはアドルフ・ヒトラーの命令で実行されたという。バルバロッサはベラルーシとウクライナへの侵攻からスタートする。
ウクライナはロシアを攻撃する重要なルートなのだが、そのウクライナで2004年、アメリカへの従属度が低いビクトル・ヤヌコビッチが大統領選挙で勝利した。この人物はロシア語系住民が住む東部や南部を支持基盤にしていたのだ。そこで2004年11月から05年1月にかけて西側は反ヤヌコビッチ運動を仕掛けた。これが「オレンジ革命」である。
そして2008年8月、北京で夏季オリンピックが開かれるタイミングでイスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃し、ロシア軍の反撃で完膚なきまで叩きのめされた。この南オセチア攻撃はロシア侵略の序章だった可能性が高い。その当時、アメリカの大統領はジョージ・W・ブッシュだ。
ヤヌコビッチの大統領就任を阻止したアメリカは自分たちの手先で金融界の人間であるビクトル・ユシチェンコを大統領に就任させたが、彼が推進した新自由主義的な政策は貧富の差を拡大させ、国民は怒る。そこで2010年の大統領選挙で有権者は再びヤヌコビッチを選んだ。そこでバラク・オバマ政権はヤヌコビッチ政権を倒すため、ナチズムを信奉するグループを使ったクーデターを成功させている。オバマ政権はロシアとの関係を悪化させ、外交的な挑発を繰り広げた。
オバマ政権で副大統領を務めたのがジョー・バイデン。この人物がルビコンを渡ったのだが、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝てば、その時点でルビコンを渡っていただろう。
ヒラリーは上院議員の時代からロッキード・マーチンの代理人と言われ、その側近中の側近と言われたヒューマ・アベディンはムスリム同胞団と密接な関係にあり、富豪のジョージ・ソロスから指示を受けていた人物だ。
現在、NATO諸国はロシアを攻撃できる長距離精密兵器を供給、その兵器を扱える専門家を派遣、攻撃に必要な偵察衛星の情報を提供、ターゲットを選定、そのターゲットに関する情報も提供すると宣言、つまりNATOはロシアを攻撃すると言っている。ロシア政府は攻撃されれば反撃するはずだ。
しかし、ネオコンは1990年代から「脅せば屈する」という信仰に取り憑かれている。ハリウッド映画ではポーカーの場面がしばしば出てくるが、アメリカ人には主人公がブラフで勝利するというパターンが受けるようだ。チェスが好みのロシア人にブラフは通用しない。