カナダでは毎年6月21日、「全国先住民の日」を祝う。先住民、先住民とヨーロッパ人の子孫、イヌイットの文化と貢献を認識し、祝うということになっているが、これは一種の目眩しだ。
アメリカと同じように、カナダでも先住民は文化的にも肉体的にも虐殺され、生き残った人は「居留地」という収容所へ押し込められた。子どもは寄宿学校に隔離され、支配者となったヨーロッパ人にとって都合の良い思考をするよう洗脳された。「体罰」、要するに拷問で殺された子どもも少なくないようだ。
黒人は奴隷と結びつけて考えられるが、黒人だけが奴隷だったわけではない。イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国からアメリカへ渡った富裕層は先住民を「民族浄化」することで土地と資源を手にしたが、劣悪な環境で働く人間を必要としていた。そうした働き手の重要な供給源になったのはイギリスのエンクロージャーで土地を奪われた農民である。エンクロージャーで生じた「過剰人口」対策として強制的にアメリカへ送られた人もいた。
支配者は自分たちの都合で「過剰人口」を生み出す。最近ではAIロボットが原因になると言われている。WEF(世界経済フォーラム)を創設したクラウス・シュワブの顧問を務めるユバル・ノア・ハラリによると、AI(人工知能)によって不必要な人間が生み出されるという。
人間がAIに勝てない分野では不必要な人間が増えるわけだが、ハラリが引用したオックスフォード大学の研究によると、2033年までにさまざまな職業がAIに乗っ取られる可能性が高いという。
その研究によると、スポーツの審判は98%の確率で、レジ係は97%、シェフは96%、ウェイターは94%、法律事務員は94%、ツアーガイドは91%、パン職人は89%、バスの運転手は89%、建設労働者は88%、獣医助手は86%、警備員は84%、船員は83%、バーテンダーは77%、記録係は76%、大工は72%、監視員は67%で不必要になるという。
テクノロジーが進歩すれば不必要な人間が増え、処分の対象になるというわけだ。「ベーシック・インカム」という餌を与えるだけで人びとの不満を抑えることはできないだろう。社会の不安定化を防ぐためには人口を削減する必要があると世界の富豪たちは考えている。大多数の人間はアメリカやパレスチナの先住民と同じことになる可能性がある。
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