アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とイギリスのデイビッド・ラミー外務大臣はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと9月11日にキエフで会い、西側諸国から供与された長距離ミサイルをロシア国内の重要な軍事目標に対して使用することを認めることを強く示唆した という。ロシア政府を刺激することは間違いない。
こうした兵器がウクライナが使用する場合、軍事衛星や偵察機からの情報が必要で、オペレーターもNATOから送り込む必要がある。当然のことながら、そうした西側の要員もロシア軍による報復のターゲットになるはず。すでにNATO諸国の特殊部隊員や傭兵、あるいはオペレーターがロシア軍の攻撃で死傷しているが、今後、犠牲者が増える可能性がある。
ウクライナ軍が8月6日にクルスクへ軍事侵攻した。兵力は1万人から3万人だったと言われている。数少なくなった軍事車両を投入、ドンバスからも兵力割いたようだが、ウクライナ軍の兵士を死傷させ、兵器を破壊するだけだった。
ロシアがクルスクに配置していたのは国境警備隊で、装甲車両を連ねた部隊に当初は対抗することができなかったが、すぐに航空兵力で反撃を開始、続いて予備兵力も投入されてウクライナ軍を包囲しながら殲滅している。兵力が裂かれたドンバスではロシア軍の進撃スピードが上昇した。
クルスクへの軍事侵攻がこうした展開になることは予想されていたことで、軍人が計画したとは思えないと言う人もいる。「ウクライナ軍は勝っている」というイメージを演出したい何者かが軍事を無視して実行させたのではないかと言うのだ。
長距離ミサイルのロシア深奥部への攻撃に使うことを許すという決定を正当化するため、 ロシアがイランから弾道ミサイルを受け取っているとブリンケンは9月10日に主張した が、そうした主張の根拠や証拠は示していない。
兵器の製造能力を比較すると、ロシアはNATO全体の数倍だと言われ、その性能もロシアが上回っている。高性能兵器をロシアがイランから受け取っている可能性は小さい。ロシアとイランもそうした主張を否定している。
ロシア深奥部に対する攻撃にアメリカの国防総省は反対していると言われている。そうした攻撃を実行した場合、ロシアはそれに応じた報復をすることが確実だからだ。ロシアが直接攻撃しなくても、イラン、シリア、イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)にロシア製の高性能兵器、例えば防空システム、長距離ミサイル、対艦ミサイルなどを供与することは想定できる。対艦ミサイルは地中海、紅海、アラビア海などにいるアメリカの艦隊にとって脅威だ。
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