ドイツをはじめとしてヨーロッパ経済は破綻、社会は崩壊しつつある。最大に理由はロシア産の安い天然ガスを入手できなくなったからだ。それはなぜなのか?
アメリカのバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのは2013年11月から14年2月にかけてのことだった。
まずベラルーシとポーランドを経由してドイツへつながるヤマル-ヨーロッパ・パイプライン、ウクライナを経由するソユーズ・パイプラインがまず寸断されたが、ウクライナを迂回するため、バルト海を通るパイプライン、「ノード・ストリーム1」と「ノード・ストリーム2」が2022年9月26日から27日の間に爆破されている。その直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込んだ。こうしてロシア産天然ガスをEUへ供給するルートは破壊され、ヨーロッパは苦境に陥った。
ちなみにビクトリア・ヌランド国務次官は2022年1月27日、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2は前進しないと発言、同年2月7日にはジョー・バイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束している。
事故の可能性は小さく、ロシアには破壊する理由がない。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを爆破したとする記事を発表した 。工作の拠点はノルウェーだという。
ハーシュによると、ジョー・バイデン米大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成し、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合い、2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。
ノルウェーの海軍はアメリカと連携、デンマークのボーンホルム島から数キロメートル離れたバルト海の浅瀬で3本のパイプラインにプラスチック爆弾C4を設置、2022年9月26日にノルウェー海軍のP8偵察機が一ソナーブイを投下、信号はノード・ストリーム1とノード・ストリーム2に伝わり、数時間後に爆発した。
スカンジナビアでは国のあり方を変える出来事が引き起こされたことがある。例えば、スウェーデンでは1986年2月28日、アメリカとは一線を画していたオロフ・パルメ首相が妻と映画を見終わって家に向かう途中に銃撃され、死亡している。
パルメが首相に返り咲いたのは1982年10月8日のこと。その直前、10月1日からスウェーデンでは国籍不明の潜水艦が侵入したとして大騒動になるが、潜水艦は捕獲されず、根拠が曖昧なままソ連の潜水艦という印象だけが広められた。ノルウェーの研究者、オラ・ツナンデルによると、西側の潜水艦だった可能性が高い。
1980年までソ連を脅威と考える人は国民の5~10%に過ぎなかったスウェーデンだが、この出来事の結果、83年には40%へ跳ね上がり、軍事予算の増額に賛成する国民も増える。1970年代には15~20%が増額に賛成していただけだったが、事件後には約50%へ上昇している。(Ola Tunander, “The Secret War Against Sweden”, 2004)
ノルウェーでは2011年7月22日に77名が殺害される事件が引き起こされている。犯人としてアンネシュ・ブレイビクが逮捕、起訴されているのだが、単独犯という公式見解に疑問を持ち、米英の情報機関が組織した「NATOの秘密部隊」が背後で蠢いているのではないかという推測もある。
この事件では、まずオスロの政府ビル前に駐車していた自動車が爆発して8名が死亡、さらに与党だった労働党の青年部がウトヤ島で行なっていたサマーキャンプが襲撃されて69名が殺されているのだが、複数の目撃者が別の銃撃者がいたと証言している。
その当時、ノルウェーの首相だったイェンス・ストルテンベルグは2014年10月から今年10月にかけてNATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務め、ロシアとの戦争に向かって邁進する。そのストルテンベルグの友人も犠牲者に含まれていた。
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【 Sakurai’s Substack 】