内職商法


2002年5月に摘発された「内職商法」は、後に被害者数万人、被害総額十億円以上ともいわれる大規模な詐欺事件となった。

手口は決して目新しいものではなかった。
「テープ起こし」のアルバイトを斡旋するとして、その前提として「有料の事講習」を課すのだが、講習を終えても仕事の斡旋はなく、講習費だけを騙し取る、という手口である。

古くからある典型的な「内職商法」のパターンだ。
それにもかかわらず、被害がここまで広がったのは、不況で夫の給料が上がらず、アルバイトや内職を考える主婦などが増えたからだとされている。

主婦を狙ったこうした内職商法の被害は、他の詐欺に比べて一人あたりの被害額が小さいのが特徴だといえる。
しかも、夫や子供に迷惑を掛けてまでと、泣き寝入りするケースがほとんどだそうだ。
そのため事件が表沙汰になりにくく、だから被害が絶えない。

たいていが「内職」という手段を知るのが新聞の折込チラシ。
失礼になるかもしれないが、ごく普通の家庭の主婦は、子育てや教育などには敏感でも、社会的問題には鈍感になりがちなのかもしれない。
そうしたごく普通の主婦が、家計を助けるためにアルバイトを探す時、もっともよく目にする媒体が、新聞に折り込まれている求人案内のチラシ。
そして、その折込チラシには、今も怪しげな広告があふれている。

「今流行の在宅ワーク」「誰でも簡単に」「一ヶ月十万円も可能」
こんなうたい文句のオンパレードであるが、いざ資料請求してみると、まず間違いなく事前に何らかの費用を請求される。
中には、「最新式のソフト開発」と銘打って、五十万円前後の研修費を請求する業者が今もいる。

ちなみに、新聞のチラシは、各地の新聞販売店がそれぞれ折り込み料をもらっているので、販売店にとっては貴重な収入源となっているようだ。
そのため、単に怪しいというだけでチラシの折り込みを断ったりしないそうである。

内職商法は主婦だけではなく、収入の減ってきたサラリーマンやOLにもその手が伸びている。


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