素敵なEDOGA一家

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不登校からの高校進学


今年から制度上は特別支援教育が始まります。生徒は、普通に教室に入れる子と、そうでない子に分けられるらしい。不登校の子、保健室登校の子、相談室登校の子はそれぞれに適切な学校や場所に振り分けられて、事実上は保健室や相談室登校はいない事にしたいらしい・・・そう言う訳で、学校は相談室を開けない事になりました。
それじゃ、うちの子はどこに行けば良いのでしょうか?かくして、うちの子が行く場所はなくなりました。かろうじて、週に1~2回、時間差登校で相談室に行けていたのに、学校はそれさえも奪いさってしまいました。あの時もっと抵抗していたらと思いますが、多分あの校長に押しきられただけでしょうし、どうしても適応教室に移れといわれたでしょう。適応教室を選ぶのも申し込むのも親の裁量で、手間と時間がかかり、不適当とされる場合もあるのに、それに申し込んでどこで待ってろというのでしょうか?何よりも本人が嫌がっているのに。学校って本当に無責任です。

本人がここに来たいといっているんです・・・と伝えたら、「お母さん自体が迷っているからじゃないですか?」と言われました。迷わない人はいないでしょう。適切な場所がどこかもわからないのに。早く他へ行けとばかりに生徒を突き放す今の学校はおかしいです。

第一回目の進路説明会。これは体育館で3年生全員と自由参加の保護者を集めて行われました。エリックは当日、高校進学の為にはこれだけは行かなければと言う気持ちは十分ありました。しかし、他の生徒とともに体育館に座る勇気はありません。さんざん迷ったあげく結局は、説明会ギリギリに登校し、なんとか中に入いることが出来ました。

体育館の横の入り口付近には他の不登校生と母親が一組、体育館の中からは見えないように入り口に椅子を並べて座っていました。私は中に入り保護者席で話を聞きました。

説明会後、エリックは教室には行けず、担任に了解を得て一緒に帰宅しました。

夏休み、エリックはとある私立校に1校だけ体験授業に行きました。私が調べて募集要項を取り寄せて申し込みをした高校です。内容は少しでも興味ありそうなCG入門。在校生が親切に世話をしてくれて、学校の雰囲気と印象自体は悪くなかったようです。

夏休み、私が最も心がけた事、それは昼夜逆転させない事。これにつきます。
とにかく昼間おきて普通の生活する事。ご飯食べて、着替えて、最低限の勉強をして、入浴して、時には自転車でどこかに出かけて外の空気を吸って・・・とにかくゲームやPCをやりすぎない事。これにつきました。不登校生に好きなようにさせて傷を癒すように指導する専門家もいますが、いつまでもそうしているとそれはただの怠惰な生活でしかなくなるではないでしょうか。心の傷を癒す事とゲームやりたい放題や昼夜逆転はどう考えても繋がらない。第一、教育的ではない。大人が仕事にいけなくなり、昔ならパチンコ、今ならネットにはまるのとどこがどうちがうのか私には理解不能でした。

心の傷なら他の方法で癒すべきだし、できるはずだと考えました。
一方で彼は受験生です。高校だけは出なければ・・・他に目標があるわけでもなし、自分で生きていく為に高校卒業資格だけは必要だと、それだけはわかるように、本人が落ち着いている時に話をしたり、為になりそうなドキュメンタリーを見せたり、記事を読ませたりして伝えてきました。中卒じゃ普通の就職は出来ません。職人にでもならない限り。今時、職人の技術だけでは安泰ではないですし。社会的弱者にならないように。

エリックもそれはわかるらしく、やはり生きることに関する本能的な嗅ぎ分けはするどいのか、高校には行きたい、行かなければと3年になる前から言っていました。

それでも自分では勉強しないところがどうしようもないのですが、とにかく仕方がない、進学に備えて最低限の学力をという訳で、家庭教師の回数を増やしました。不登校生向けの塾なども探しましたが、近隣にはなく、慣れるまでに何が起こるかわからない事、今の家庭教師と相性が良い事を考慮して、高いけれども彼の将来に繋がる投資だと判断しました。それにしても痛い投資です。

2学期、そろそろ本格的に動き出さなければ入れる高校がなくなります。9月末の土曜日の午前中、都立チャレンジスクールの体験授業を申し込みました。本人の同意は当然取りましたが、当日朝、ギリギリ起きてきたエリック、気持ちが向かないのか、なかなか準備が進みません。結局は当日朝の気分でキャンセルする事に。たまっていた物が噴出して、このときは久々に私がキレました。切れても意味ないんですけどね、時々やってしまいます。発達障碍領域の子は気分が向かないと動きません。というより動けないようです。説得しようが、説教しようが事態は悪化するだけなので、キャンセルの電話そしてしばらく時間を置いてから、また次があるよと励ましました。

そこで2回目の進路相談があり、とある私立高校の昼間定時制高校を勧められました。昼の2時始業で通信制高校を併設しており、定時制から通信制への編入も出来ます。私立大学の付属なので内部進学も出来るとの事。なるほどHPも魅力的。気になるのは、とある硬派なイメージの私立大学付属だと言う事・・・

まずはここに見学へ。
学校が近づくにつれ、エリックが緊張するのが伝わります。立派な私立大学のその隣に立派な建物の全日制の付属高校があり、その隣の公園の奥にその学校はありました。

願わくば怖そうな人がいませんように・・・と言う私の願いがどんな風に天に届いたのかは知りませんが、公園の奥のその建物の横の出入り口から柔道部のでっかい生徒達がわらわらと出てきて、こちらに向かって歩いてくるではないですか・・・ニコニコと楽しそうな生徒達、でっかい成りとは正反対に性格は怖そうではありません。むしろ優しそう。なのに、それを見たエリックの足がピタッとその場に張り付いたように止まりました。

「なんでこのタイミングで出てくるんだ?ドラマのようだ・・・」と思いつつ、「柔道部かなぁ・・・ほらここ柔道強いから。でも、優しそうな人たちじゃん!」と苦し紛れの言葉をかけながら、ここで引き返しては今日の苦労が水の泡とばかりに強引にエリックをひっぱるようにして、学校の建物めがけて前進しました。

とにかく、この建物内に入ればこちらのもの。なんとしても入らなければ。

対応してくれたのは、柔和な感じの通信制の先生と、いかつい感じの年配の定時制の先生でした。

通信制の先生によれば、この建物は全国から集まる体育系の生徒達の寮なのだそうです。あの柔道部の子達は、この上に住んでいるのですね・・・それじゃここから出てくるわけです。

なんでまた、体育系の子の寮の下に、弱そうな子が集まる定時制や通信制を作ったのか?説明によれば、規模が大きくなれば他の建物に移る予定らしく、でも現状の人数では当分このままですね。

教師は全日制の教師が何年かごとローテするそうですが、ここはまだ歴史が浅い学校で、母体の校風からしてエリックにはどうかなぁと言うのが正直な感想でした。通信制の先生はやたらと「通信制だったらNHK学園も見たほうが良いですよ」と勧めてくれてそれがどういう意味なのか考えちゃいました。

エリックの感想、あの子達と登下校中に会うのはちょっと無理そうだそうです。なので却下ですね、ここは。最初から気がかりがあると多分ダメでしょう。

次に港区内の都立チャレンジスクールの説明会に行きました。校長の話には落胆。不登校生や中退した生徒を、自分勝手でたの生徒に迷惑をかける自己虫だと決め付けるような発言がありました。こういう学校にそういう認識の校長を配置する都の感性に脱力。不適切な人事ではないでしょうか?せめて配置後に再教育して欲しい物です。少なくとも失言はなくしていただきたい。

ここに来ている子の中には、やっとの思いで家を出て、すがりつくような気持ちで参加している子もいるのに、それを理解できない人に再出発の為の学校の校長は務まらないのではないでしょうか?

正直 チャレンジスクールって名称もどうなんでしょう?

それはさておき、R高校は女子の比率が高い高校です。後日、不登校生の親の集まりで聞いた情報では、入試結果を点数化して上から並べて取っていくと女子のほうが上位にいるので必然的にそうなるのだと学校が言っていたそうです。

チャレンジスクールは、昔の商業・工業高校と普通高校をあわせた内容の教育課程をもち、単位制であり、昼夜間定時制であるという特徴を持ちます。入試は、志願申告書と作文と面接で行われ、それが点数化されます。配分は各チャレンジスクールによって違います。中学3年次の出席日数と成績が記載された調査書の提出は不要です。

要するに書く力が問われます。不登校で学力がついていない子が多く受験するのに、学力が低い子が申告書や作文を書かされるのです。結果的に、学力がある程度以上ないと合格できないと言う皮肉な現象が生じています。

親が書けば良いと思う人がいるでしょうね・・・でもそれではその内容を基にして行われる面接で落とされるのです。まるで就職試験のような難しさがそこにはあります。

都は現在、夜間定時制を次々に廃止しています。それが都立高再編の中で、チャレンジ高校という名称の昼夜定時制に組み入れられています。しかし、全体の定員は減っており、チャレンジスクールの倍率は2~5倍と高いのです。

夜間定時制には働きながらでも、何歳からでも再出発できるという利点がありました。ところがチャレンジスクールはその役目を担う事が出来ていません。不登校生もある程度力とエネルギーがある子でなければ受験もできないし合格も出来ません。中退したり、中卒で働いている人も対策して受験し、この倍率の中で合格できなければ再出発すらかなわないのです。

そういう意味では「チャレンジスクール」と言うのは逆説的な意味でのグッドなネーミングなのかもしれません。非常に皮肉な事です。

不登校で、私立に進む余裕がない家庭の子、定時制高校で高卒資格を得たい低学力で低収入な人はここしか行く場所がないのに、そこにすら入れない自体が生じています。

さて、R高校の説明会後の学校での進路相談では、エリックの第一志望はR高校になりました。どうやら私がここ良いよと言えばそこが良いのだろうと言うそんな感じらしいと、ここで私気付きました。

担任が、同じチャレンジスクールなら、近いSはどう?と聞くと、そこは嫌だという答え。後で聞いた所では、「方向と場所が悪い」らしいです。

そこはいじめられて嫌な思いをした中学校の方向にあり、乗り換えの駅周辺も学校そのものも学区内にあるので、同級生と会うかもしれないのも嫌だと言います。

なるほどね・・・なんかわかるな。

しかし、その後、最終的な都立高校の志望校はそこになるんだから気持ちって変わるものなんですね。これはひとつの収穫でした。気持ちが変わるって事はひとつのこだわりを克服したと言う事ですから。

進路相談の席上で、私立はどうするかと聞かれ、出席日数がないから受けられる私立はないと思うし、どこを受ければ良いかもわからないので通信制高校のサポート校にしようかと思う。と伝えました。

すると担任が、「サポート校はいつでも入れるし、どうせ通信制なら最初から通信制本体を受けてみたら?」とこれまたとある私立大の付属通信制高校の名前を出しました。

あの・・・先生、そこは確か1学期に私が名前を出した所です。そしたら先生、そこは学力試験があるから無理じゃないかって・・・無理じゃないかっていったじゃないですか???

と思いつつ、そこのレベルはどうなんでしょう?出席日数とか倍率とか?と聞きました。

多分先生、以前のやり取り忘れたんでしょうね・・・

そう言う訳で、即日その学校を調べ、電話して、翌日には個別で学校見学と説明受けに行きました。電車1本で行けるし、人があまり歩いてなくて他人の視線が気になるエリックには通いやすそう。なんだかピンと来る物があります。通えそうな予感?

学校はこじんまりとしていて、でもアカデミックな雰囲気もあります。実験室や美術室には教師のやる気も感じられます。授業中の生徒は、色々な子がいます。一応真面目に座っています。

学校の方針や理念も過去を問わず、自分の目標に合わせて頑張る子を支援すると言う部分が良いですね。試験は3教科、標準レベルだそうで、倍率も地方公立高校並み。不登校生、いじめにあった子、退学した子、芸能やスポーツと学業を両立したい子など生徒層はさまざまです。

カウンセリンセ等の体制も大学との連携の中で人の確保もできており、対応してくれた先生は「君なら大丈夫なんじゃない?」と言ってくれました。エリック先生受け良いんです、昔から。これは良い事です。

その後、都立チャレンジSの説明会にも行きました。都立の説明会ってどうしてこうも味気ないのでしょうか?生徒への愛が感じられません。学校はかなり広く、前身が工業高校だった関係でそういう面の施設は充実しています。しかし、なんだろう?広すぎて教師の目が行き届かない事請け合いですね。楽器や写真やPCや工業系の勉強したい人には良いと思いますが、はたしてどこまで専門性を求める子がここに来るのか疑問でした。

ただ、個人面接の相談で出会った体育の女性教師は本当に魅力的で、この先生にはついていきたいと思わせる方でした。人の痛みとこういうこの事を良く知っている人だな、そしてきちんとした実践の元に語られる言葉だなと思わせるものがあり、親子で勇気をもらえました。都立は教師が大幅に動くので、実際の学校生活では誰に当たるかわからない為、これはもう宝くじみたいなもんだなと思いま。

都立R高校の面談の先生も違うタイプではありましたがこの子達に対する適切な言葉を知っている人でした。

思い返すと、学校めぐりを通して、各高校の先生にはいろんな力をもらいました。本当に良い経験、出会いであり、生きたカウンセリング効果をいただいたたと感謝しています。

さて12月最後の進路相談の日、エリックの都立の第一志望はかくして都立Sに変わっていました。近いという点が良かったのか、はたまた私がチャレンジスクールのメリットをあげて彼のモチベーションを上げ続けた結果なのか、現在籍校の学区内という条件も彼の中での壁にはならなくなったようでした。

さて、私立ですが、先の大学付属の通信制は試験と調査書が問題となります。合格の確証がありません。担任がここにきて出してきたのが、区内の私立高校の不登校枠の話でした。

早速その高校に電話して夕方の説明会に行きました。学力的には低位の学校ですが、生徒の力を伸ばそうとすることに教師達が情熱を持っている、教師と生徒の距離が近い学校だと言う事がわかりました。教育方針が魅力的です。

その後参加している子の学校毎に担当の教師がついて学校見学の予定でしたが、たまたまその日はエリックが一人。教師は年配のベテランの方。エリックが不登校だと聞くと空き教室でじっくりと話をすることに。

何でもその先生、数日前に中学校に挨拶に行かれたそうです。ここでは一クラスに数人の元不登校の生徒を受け入れるらしく、私立単願で受験すれば入試相談にのりますと言う話でした。ただし、面接で学校が認めた子についてのみ。

かくしてエリックは


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