胚培養士のひとりごと

胚培養士のひとりごと

2011.09.30
XML
カテゴリ: お仕事
今日は 先日ちょこっと触れたPCOについて 書こうと思いまして、
まずは排卵障害について書き始めて見ます。


排卵障害。
一言で言えば、排卵をしない状態のことです。

排卵しなければ、卵が無いので受精もしない。だから妊娠できません。


生理が全く来ない 無月経の方。
生理がたまにしか来ない 稀発月経の方。


これらの方々も排卵障害の一部です。
子宮や卵巣はあって、でも無月経とか稀発月経の方などは、
病院に行って、ホルモン剤を注射してもらうかホルモン剤のお薬をもらうなどすれば
生理が来て、排卵する場合もあります。


その他、基礎体温をはかってみても
低温と高温の二層になっていない場合、単層でバラバラとしている場合は
無排卵を示していることがあります。

こちらの場合は、普段は排卵していても、
ストレスなどでホルモンバランスが崩れて、排卵しなかったりする時にも起こります。

一時的なものであれば、違う生理の周期では排卵しますね。

ホルモンバランスの乱れで無排卵になることからもわかるように、
排卵は脳から指令され分泌されるホルモンによって起こります。



先日書いた、PCO(S)、多嚢胞性卵巣(症候群)も、
そんな排卵障害の一部です。


世界的にも、日本国内にも定義は決まっているけれど、
まだ実は背景とかはわかっていないんです。

日本産科婦人科学会では
1.月経異常(生理不順とか)
2.多嚢胞性卵巣
3.血中男性ホルモン値が高い もしくは 
  LH(黄体ホルモン)の基礎値が高くて FSH(卵胞刺激ホルモン)の基礎値が正常
・・・この3個が当てはまるとこの病気だと診断できるとしています。


2の多嚢胞性卵巣ってなんでしょうか。
これは、超音波で卵巣を見た時に、
卵が含まれている袋の「卵胞」が小さいながら沢山あって、
あたかもネックレスの様に見える状態
・・・を示しています。


実際には排卵する時に破ける卵胞の膜が硬かったり、
卵巣の刺激をして、卵を育てようとしても育たなかったり、
さまざまな原因があって、卵はあるのに排卵しない状態なんです。


諸外国では、
男性ホルモンが高いために、多毛だったり、ニキビが多かったり、
それから、肥満を伴っていることも多いのですが、
日本人のこの病気は必ずしも太っていなくても、痩せていてもこの病気の人がいます。



以前私が大学病院にいた時に、この病気に関係する研究をさせていただいていのですが、
この病気は本当に難しくて。

結局は、今になってもその病気の原因等ははっきりしませんし、

この病気の人は、卵の質があまり良くない、という俗説がありますが、
その原因もはっきりとはわかっていないのです。


体外受精や顕微授精で扱う卵は、
患者様のお腹の中の卵巣で排卵ギリギリまで育てます。


この時の育ちが卵の質に影響を及ぼすと考えられていますが、
結局のところ、最善策というのが見つかっていない状態だと思います。

良い卵、悪い卵、もしくは数が多かったり少なかったり。
患者様それぞれでもお薬の効き方が違うように、
採れる卵もそれぞれ違うんです。


私がこの業界に携わっている間に、
これらのことが解明されて、
卵が良くなる方法が具体的にわかったら良いのですが、、、。



そして、出来ることなら、
採れた卵を「良くする」方法が見つかってくれたら、本当に嬉しいです。



というわけで。
今日もありがとうございます!よろしくお願い致します星

にほんブログ村 マタニティーブログ 不妊治療情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 資格ブログ 医療・福祉系資格へ
にほんブログ村
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.09.30 17:25:36
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: