全90件 (90件中 1-50件目)
さてさて・・・今日はちょっと早めのアップです昨日の続き、生殖補助医療胚培養士の資格試験の面接・口頭試問のお話です。後輩達からスタイルを聞いている限り、昔も今も変わらず、で、受験者1名に対して3名の面接官で行われます。私たちの時は面接がこれからの人と終わった人が一方通行で会場を行動するため面接が終わった人が、これからの人に「どういう質問をされた」という事をその場ですら話をすることが出来ないようなシステムになっていました。で。臨床的には提出する書類の中に「症例報告」があるのでそれを基にした質問と、勤めている病院のことなどを聞かれます。何人の医師・何人の胚培養士(研修生も含め)で年間何件ぐらいの採卵を行っているのか、などですね。・・・。私の後輩が受験した時には毎日がイッパイイッパイで自分の病院がいったい年に何件ぐらい採卵しているか把握してませんでした!そっか、日々流されていると、そんな事になっちゃうんだな、と、先輩として後輩指導をきちんとしなければ、と思い知らされたのですが、今や彼女は立派なトップの胚培養士としてスキルを身につけているのでまぁ今となっては笑い話ですね・・・(爆)臨床のことは日頃の業務をきちんとこなしていれば、答えられるでしょう。そして基礎的な問題。昨日も書いたとおり、これが難しかったりしますねー。しかも面接で舞い上がっている上にちょっぴりヒッカケ的な口頭試問だったりします。過去に後輩たちが聞かれた口頭試問は・胚盤胞と胞胚の違いは?とか・精子を構造している一番外側は何?とか。他にもウー、そこ聞くかね、って唸っちゃった質問がいくつかありました。もちろん面接官によって全く面接の雰囲気は異なるようですが、厳しい面接官だと待ったナシのようですけれどじゃぁ、その質問は後で答えを聞くからね、とか、ヒントを沢山出してくださる面接官とか、聞く人聞く人によって、それぞれ異なるタイプの面接だったようです。あとは倫理問題は必ず聞かれるようです。私も、うちの病院のKちゃんも、同じような質問でした。簡単に言うと「自分の友達が提供卵子の体外受精を望んだらどう対応するか」・・・みたいなことですね。これには、日本産科婦人科学会や日本生殖医学会での決まりを抑えた上でさらに自分自身の意見を問われます。教科書的な答えしか言わなかった場合は、さらに「うん、じゃぁ、あなたならどうするの?」と突っ込まれます。胚培養士になろうとする個々の人間がどのような考え方を持っているのか、そんな倫理観を問われているのだろうな、と思っています。今年でたぶん10回目になる胚培養士の資格試験ですが・・・今後またどのように改正されるかは、全く見当もつきません(汗)ただ、実務経験・書類審査・講義・筆記試験・面接っていうスタイルはあまり変わらないのではないかなー、と思いますがどうでしょうか・・・?それからこれは資格を取った後の話ですが。胚培養士の資格は5年更新です。胚培養士の資格は5年間の実務経験がないと更新できず資格が剥奪されます。もちろん、産休や育休による休業は可能ですが、その分資格の更新が遅くなります。胚培養士としての実務経験がない状態で、資格の凍結は出来ますが凍結期間も2年未満であればそのまま更新時期が2年遅れるだけですが、2年から3年の間であると、更新する際に講習を受けなければなりません。またそれ以上の凍結期間は許されません。胚培養士は常にその業務に従事していなければ更新できないということですね。これってとても厳しい条件であると思いますが、現実的に業務に従事せずに胚培養士のスキルを忘れずにいる、手が身体が、きちんと動くかどうか、というのは確かに胚培養士業務を続けていないと出来ないかもしれません。ただ、この条件があるためにせっかくの胚培養士資格も更新できず資格剥奪になる方が結構多くいます。更新が出来る人は全体の7割程度、というのですから、胚培養士の資格は取得も更新も厳しさが背景にあるといえますね。そんなわけで。二日に渡って胚培養士の資格について書いてみました。皆さんは、、、受けてみたいと思いますか・・・???それでは今日もクリックをお願いしまーすにほんブログ村
2012.04.25
コメント(9)
そーーーーいえば。先週の週末は、私も持っている資格「生殖補助医療胚培養士」の試験日でした。この資格は日本哺乳動物卵子学会が認定している資格です。今年は私の教え子や後輩が身近に3人ほど受けていましたが、その他「今年受けるんですー」と言っていた人もチラホラ。実際の試験会場では友人とおしゃべりする雰囲気ではなかったそうですが毎年毎年数名ほどの知り合いが受験している資格です。この資格はとても厳しいことで有名で、まずは書類審査があります。毎年この書類審査で落とされる方がいるのだそうですよ。たとえば大学で「生物学」や「生殖」に関する学問を学んでいない、とか。文系出身者でこの資格を取りたい方は放送大学や通信制の大学等で学ばなければなりません。その他重要なのが実務経験。日本産科婦人科学会の審査を取っている病院で1年以上の実務が必要です。原則的には胚培養士の実務全てを「ひとりでこなせること」が条件です。もちろん、いきなり全ては出来ませんし、諸先輩方の知恵や技術を拝借することは問題ないと思いますが、その実務能力も大きく関わってきており、その病院の長の許可が出ない限り受験することすら出来ません。そして書類審査の後、講義と筆記試験・口頭試問が分けられて行われます。私の周囲には毎年「今年受ける」という新人さんもおりますが、この「筆記試験を考える」諸先生方、諸先輩方もいらっしゃったりして。毎年作成する側もそれはそれはそれは、かなり頭を悩ませながら作成していますよ。今年はなんでも「基礎」の問題が難しかった、との噂です。あ、この「基礎」。よくよく考えたら医療業界の俗語ですね。基礎言っても、基本問題ではないんです。うーんと、受精のメカニズムとか精子や卵子の構造など臨床を行う上で必要となってくる「知識」やその研究のことを「基礎」って言います。だから、普段の実務ではなくて本当に「お勉強」の範疇が「基礎」。正直知らなければならないことは膨大だし、本当に難しくて大変な分野なんですよ。ちなみに筆記試験は持ち帰りできませんし、毎年過去問がないのが悪戦苦闘の原因です。だから噂なんかが広まったりしますが、なかなか全部は思い出せませんし(汗)とにかく筆記試験は当日の講義だけではなくて事前からの勉強がとても重要になってくると思います。というわけで。明日は口頭試問・面接ヴァージョンのお話を書こうと思いますそれでは今日もクリックお願いしまーすにほんブログ村
2012.04.24
コメント(2)
うぅぅぅこのタイトルでちゃんとした記事を書くつもりでした・・・ちゃんとPC開いて、この論文の元手を調べていたんですが・・・いかんせん見つからない(汗)(汗)キスペプチンというかわいらしい名前のものも見つかって。それについても調べ付いたのに。元の論文の更にもと、というか、同じ著者の(日本人の)論文は見つけたんですー。それはこちら。http://www.pnas.org/content/108/42/17527.full?sid=6725b940-49fd-44c0-ba53-d37458709eb2ご丁寧に本文全部を英語で観ることができます・・・が、最新じゃない。あれれれー。と思っているうちに日がすぎてしまいました。まともに文章が書けませんでした。ごめんなさい。。。。。orzもしよかったら、クリックしてねにほんブログ村
2012.04.11
コメント(0)
みなさんこんにちは。皆さんはお花見、行かれましたかー?関東以北はまだまだですか?東北はこれからかもしれませんね・・・というわけで。昨日近所の公園に行ってきたので、そちらの写真をアップします・・・たまにはこういう癒し系の写真も良いでしょ??水面に映る桜がまた、綺麗なのなんのっていやぁ、私も癒されましたさてさて。今週末は日本産科婦人科学会、通称:日産婦(にっさんぷ)が開催されます。私は行かないのですが、、、。神戸で開催されるので、沢山の産婦人科医が神戸に集合しますよー。どんなネタがあるのか、今回参加するDr.達のお土産話を楽しみにしています♪そして。これからしばらく毎月のように学会が開かれます。地方部会から本大会まで、大小さまざまなものが。私もいくつかのものに出席する予定です。そして今、いろいろな学会発表のお題を考えている最中でもあります。うちのボスからネタ提供を言われまして・・・まぁ、私たちは学会発表も業務の一環ではありますが。どうやら今後いくつかの発表の元ネタは私の頭の中のよう。困った・・・・。とにかく頑張ります。学会シーズンそれでは今日もクリックお願いしまーすにほんブログ村
2012.04.09
コメント(0)
いやーすっかり花粉症にやられている葵です。私の花粉症暦は中学生の時からだからかなり年季が入っていますが(爆)その分、だいぶ楽になってきたんですけれど・・・うっかり昨日一日中外にいたので花粉症が悪化してしまいました(涙)培養室はヘパフィルターが付いているお部屋なので比較的花粉症の症状が出にくいのですが、外来などは花粉が患者様とともに出入りするので結構厳しいんですよねーってなわけで、おそらく歓送迎会続きの体調も重なってか、体調ボロボロ、だめだめですorz.....さて。もうすぐ三月が終わり、年度が変わりますが。。。以前からこちらの日記で度々登場していた「悩める胚培養士」ちゃんは結局のところ、辞めることにしたみたいです。。。。。相談に乗っている時から「辞めるのも一つの手だよ」とは伝えてきましたし、自分が関わっている中で仕事をミスするということは、直接患者様にご迷惑をかける事になるので、「患者様に迷惑をかける前に辞めた方がよい」とは言いました。そのクリニックのトップの胚培養士さんによれば・・・すでにミスをして患者様にご迷惑をかけている、と。すでに迷惑をかけていることにすら気づけなくなっている、と。以前は「相談に乗ってあげてほしい」と言われていたのですが、最終的には、その悩める胚培養士さんが「向いていない」からもう仕事を任せない、という状況に陥っているそうです。厳しいかもしれませんが、それが私たちの世界です。生易しい世界ではありません。3月でなくても、胚培養士さんの異動(病院を変わること)は、しばしばあります。私だってこの病院に来て初めて「あり得ない出来事!」に沢山遭遇したわけで、ほかの病院だったら、仕事上の悩みは他にはあることですが、この病院ならではの悩みは今まで感じる事はなかったですからねー。一つの病院しか経験していない胚培養士さんだと他の病院の状態は話に聞いたり見学する程度しか知りえませんが、それなりに異動してきた人はそれぞれの良いところを知っているので最終的にはさらに良いものにしようと、どんどん変えていくのが通常でしょう。うちは偏屈な方がいらっしゃるので、変更はほとんど許されませんが。科学は、医療は、日々進歩しているというのにまぁ、そんなわけで。病院を辞める胚培養士さん、病院を変える胚培養士さん、それぞれ沢山の異動のシーズンなのでした。ちなみに、トップレベル(いわゆる年長者)の胚培養士が異動するとあっという間に噂が広まるから不思議な世界でもあるんですよ。まぁ、それだけ狭い世界だってことですね(汗)それでは今日もクリックお願いしますーにほんブログ村
2012.03.21
コメント(0)
いよいよ私にも歓送迎会ウィークが迫ってきました(爆)今週私の身体はモツかしら・・・なーんて大げさですが、今週も頑張ります。今日は日曜日に私たちの仕事を快く引き受けてくださるボス(爆)にかるーく注文を付けました。ま、やってもらわなくちゃ困る作業をやってもらっていなかったので、やってくださるのは嬉しいですが、やるならちゃんとやれよ!!・・・というのを笑顔で丁寧語でお伝え申し上げましたー(苦笑)他の医師に「忘れちゃったよ、アハハ」とあのムカつく笑いでこぼしていましたが。。。・・・ではタイトルのお話。今日はちょっと確認をしていなかった何名かの妊娠判定をチェックしていたところ・・・続けてドドドドーって妊娠反応が出て胎嚢が確認されている患者様が沢山。一人一人の患者様のカルテをチェックしていて嬉しく楽しくなってしまいました私たちも私たちが手掛けた患者様が妊娠すると本当に嬉しいのですよ♪日頃の仕事の励みになりますでも。。。続けて妊娠した方が出たり、なかなか妊娠しない時期が続いたり・・・。どうしてなのか、未だに今一つハッキリしないのは事実なんですね。わかっていれば、その時と同じ環境を整えて妊娠率アップを目指すのですが、妊娠判定は採卵や胚移植後などの2週間後ですので多少時差があります。一つには使用していた培養液が関係するのではないかという説がありますが、それなら同じ時期にどこの病院でも妊娠例が多く出ているでしょうし・・・それに伴って生まれる赤ちゃんが異常に多い時期があるでしょうし。。。ヒトの生まれる時期が多い少ない、というのは何となくありますが、動物ほど激しく差はないような気がします。生物学的な理由で季節変動があるのかもしれませんが、それ以上に「年度」を気にしての「産み控え」が2-3月ごろ生まれには存在する、という話を聞いたことがあります。4月でもギリギリで心配なので、5月以降に出産を目指す方が多いということも。でも。生殖補助医療での妊娠の場合はそういう基準よりもその時期の子宮内膜の様子や排卵の様子によって異なってくると思うのでより生物学的な理由になるのだと思いますねー。いずれにしても。今の科学ではハッキリ判明していないはずです。「妊娠できる」という条件が100%わかる日って、、、。遠い将来にでも訪れるのでしょうか・・・?どうなんだろう。そんな科学が発達するのかな・・・?アッと驚くような「妊娠する何か」がわかったらどんなに素晴らしいでしょうねそれでは今日もクリックお願いしますーにほんブログ村
2012.03.19
コメント(0)
どもー。昨夜も地震がありましたねー。今年に入ってから震度5弱越えの地震が日本全国で再び多くなっているようですねぇ。昔は震度5なんて、あるもんじゃなかったのになぁ・・・そうそう。太陽の黒点が少ないと大きな地震が来るらしいですが、今、太陽の黒点がとても少なくてオーロラが多かったり、ラジオが乱れたりするみたいですね。変な予兆でなければ良いけれど・・・さて。気分を取りなおして。胚培養士を目指している方よりオススメの本を聞かれました。以前私が書いたブログには患者様向けのオススメの本を書いています。これから胚培養士を目指す学生さんや、これから知識をつけたい方には、患者様向けの本の方がわかりやすいし、勉強にもなるし、頭にも入りやすいですよ。っつうことで、 「不妊治療のオススメの本」という日記 http://plaza.rakuten.co.jp/embryologist/diary/201108300000/ と 「卵子の本」という本をオススメします!という日記 http://plaza.rakuten.co.jp/embryologist/diary/201201230000/ を、まずはご参照くださいそれから・・・体外受精をはじめる先生などにもオススメした本も患者様向けの本になります。「体外受精のすすめ」【送料無料】不妊治療・体外受精のすすめ価格:2,520円(税込、送料別)また、これは難しい内容になってしまいますが、胚培養士の試験を行っている学会から出されている本「生命の誕生に向けて」【送料無料】生命の誕生に向けて第2版価格:8,400円(税込、送料別)これは、胚培養士を目指すなら必読です。いっぺんに紹介しすぎたかなー???とりあえず、全部日本語なので、読みやすいかとは思いますよっそれでは今日もクリックの方もお願いしますーにほんブログ村
2012.03.15
コメント(0)
いやー。2月から続いている忙しさがそのまま今も続いていて・・・今週はヘロヘロになりながらの通勤が続きました・・・。まぁ、不思議なもので、朝、培養室のカギを開けるとキリリと戦闘モード(?!?!)に入る訳ですが。今の病院が混む理由の一つに、助成金と年度末っていうのがあると思います。助成金は毎年、年度ごとに申請できますよね。現在のところ、所得制限と回数制限はあるものの、年齢制限とかはなく申請することができます。その締め切りが今月だから、まだ助成金の回数的に余裕がある人は治療を進めたいでしょうし、、、。あるいは、4月からの仕切り直しをすべく、今通っている方もいらっしゃいますね。あとは、これはもう、日本人独特の生活習慣と言うか・・・。私たちの病院は人事異動があったりなかったりしますが、やっぱり年度毎に区切って物事が進められることが多いので、どうしても「今年度、がんばりたい!」という気持ちになると言うか、4月からは、また心新たに頑張ろう!という気持ちになるような気もしますし、それが治療方針にも結びついている気がしてなりません。年末などはよくある話ですが・・・それが年度末にもあるっていう話ですね。。。忙しいことは良いことでもありますが、卵があるとどうしても気を抜く事が出来ない性格なので、ここのところズーーーっと、気が休まりません。大手のクリニックに勤めたら、それが日常なのでしょうから、大変だろうなぁ。。。と言う訳で。他愛もないお話でした。ここのところ、難しい勉強会の話が続いたので、ほんのちょっと、息抜きでしたそれでは今日もクリックお願いしますーにほんブログ村
2012.03.09
コメント(7)
いやーボケボケです。昨日書いた日記、なぜか2/27付の日記になっている(汗)(汗)昨日の日記(卵子の幹細胞の話)は、書こうと思って下書き途中で終わっていて、そうだ、続きというか改めて書こうと思ってそのまま書き出したら・・・あろうことか、下書きの日付のままアップされてしまった模様。あぁ。あとから見た人にはわからないだろうけれど・・・。しょーもないミスをしてしまいました。ごめんなさい。。。そして。こちらは『しょーもない』では済まされない投薬ミスの話。2/28に発表されたニュースです。。。http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=55207名古屋大の付属病院で、有効成分が本来の量より少ない量で薬が作られ投与されていた事件。このニュース「健康被害や投与量不足による妊娠への悪影響はなかった」としていますが・・・。名古屋大では黄体ホルモンの腟坐剤を薬剤部で作成していたようですね。確かに黄体ホルモンの腟錠は市販されていないので今もなお、作っている病院がクリニックから大きな病院まで沢山あります。なんで市販されていないのかと言うのは、薬価が安すぎて、作成するコストの方が高くなってしまい、製薬会社が利益を得られない可能性が高いからだ、と以前聞いたことがあります。でも黄体ホルモンは、黄体期の補充として、排卵後や、胚移植後に必要なホルモン。特に黄体ホルモンの分泌が少ない人や、採卵の際の注射によって黄体ホルモンが抑えられている場合、補充しなければなりません。ただ、従来からある黄体ホルモンのお薬は、効き目がマイルドな飲み薬(デュファストンやプロべラなど)と筋肉注射なので毎日の注射が大変な注射薬(プロゲストンなど)があるのですが、ちゃんとシッカリと黄体ホルモンとして補充されなければならない胚移植周期などでは、毎日の注射が本当に大変で、お尻や肩などの筋肉が、どんなに揉んでも硬く腫れてしまったりすることがあるので、腟坐剤が使われている病院が多くありました。つまり・・・。黄体ホルモンとして、腟剤だとしても、しっかりと効いてくれなければ困る訳で。本来の必要量より少ない訳だから、健康被害はむしろ無くて当然ですが、、、。妊娠への影響が少なかったかどうかは・・・正直わからない、というのが本音なのではないでしょうか。ちょっとの量だから、大丈夫、とかそういう問題なのかな・・・。このニュース、読んでいて私自身がちょっと疑問に思いました。もしかしたら、このせいで妊娠できなかった患者様がいらっしゃるかもしれない。その可能性は「0」ではないはずです。だから謝罪をきちんとして、公表に至ったんですよね。あってはいけない医療ミスの一つだと、私は思っています。しかも気づいたのは、担当者が変更になったから、だとか。つまり間違えていた本人はミスに気づいていなかったのだそうです。「思い込み」によるミスなのかもしれませんが・・・。私たち医療者は、常にこういうミスと隣り合わせであることを肝に銘じ、日々しっかりと確認しながら仕事をしなければならないな、と思ったニュースなのでした。それでは今日もクリック、お願いしますにほんブログ村
2012.03.02
コメント(0)
3日間もブログを空けてしまいました(汗)本当にすみませんm(_._)m金曜日は・・・本当に忙しくて、朝7時半から動きづめで、お昼が15時ごろ、そのあとも19時ごろまでバタバタとしていて・・・・・家に帰ってからブログを書こうと思っていましたが、気力が尽きてしまいました今日もおかげさまで忙しくって、昼休みのお昼ご飯、売店には余ものしかありませんどこの病院でも、特に胚培養士さんは今が一番忙しい時期です、たぶん。いつだったか、結構前なんですが、胚培養士どうしで飲んでる時に1月の終わりから2月が一番忙しい気がする、ということを話したことを覚えています。まぁ、日本に限ってなのですが、共通だと思うんですよね。・・・というのも、日本には「年末年始」があるじゃないですか。年末年始は多かれ少なかれ、お休みを取る病院が多いものです。注射を打ったりすることはあっても、採卵はしない、とか。。。で。12月は必然的に採卵件数を絞っていくんですよね。年末に卵が培養器に無いようにするために。その瞬間に大掃除をしたりするものなんですが・・・。それから。年始からお注射スタート!とかって方が多くなりますよね。年末に「では年が明けてから注射をうっていきましょう」みたいな話が先生から出て。年明けの生理から採卵の準備をし始めたりするのが多いパターンとすると、どうしても、1月すぐ、というよりは諸事情があって、1月の終わりから2月に採卵することになる方が多い。2月なんて日にちが少ないのに、採卵件数はほかの月より多かったりしますし。今までどこの病院に居ても、同じような感じでした。日本人ならではの風習というか、習慣というか・・・。私も年末年始はお休みを出来るだけお休みをいただきますし、それ自体は問題ないけれど、そのあとが大変(汗)今年の場合は、11日の建国記念の日が土曜日なので平日に突発的に祝日が重ならない分、先生がたも心置きなく、採卵の予定を組めるようです。おそらく、3月までには採卵しよう、みたいな「年度」の絡みもあるんですよね。・・・・・というわけで、今年もやっぱり大忙し!でも、その方が、培養環境が整ったりして、良い卵ができやすい、という印象もあります。だから、忙しいことは決して悪いことではないんですよねさー。今週もがんばるぞーそれでは今日もクリックお願いいたしますにほんブログ村
2012.02.06
コメント(0)
関東以外は雪のところが多いようですね。皆さんのところはいかがですか?雪により被害にあわれたりしていませんか?首都圏ほど雪に弱い地域は無いと思いますが()皆さんもくれぐれも気を付けて下さいね。さて。今年も2月に入り、昨年の大震災から11か月が経とうとしています。今日、培養器や培養液を扱っている業者さんの方とお話をしていて、久々に昨年の大震災の事を話しました。この業者の方は私とは10年来の知り合いで、大学病院や他の病院にいた時も私が行く先々で担当になっていただいていたので(偶然ではありますが)お互いに共通の知り合い(不妊治療関係の)も多く、いつも話が盛り上がってしまいます。今回は、培養器のメンテナンスをお願いしたためお話する機会がありました。そこで昨年の震災で壊れた培養器、倒れた培養器の話になり。私たちの病院で使っている培養器はたとえ震度6が続いた地域の病院でも壊れることも飛び出すことも、倒れることもなかったのだそうです。あの震災を踏まえて、旧来の形をした培養器は倒れやすく、壊れやすいことが判明しました。昔に比べて小型になって扱いやすくなったものの、それが仇となってしまったのでしょうか、簡単に倒れやすかったのは事実でした。現に私が震度4や5弱を体験した時にたまたま培養室にいた際は、その培養器がグラグラと揺れていたので、思わず支えてしまいました。その後、考えてみれば、支えたとしても倒れてしまった場合、自分が逃げないと、大けがしてしまう可能性があったんですけれど・・・つい、とっさに自分の身の安全よりも培養器を選んでしまった自分にちょっぴり苦笑したのを今でも覚えています。その点、現在使っている培養器は先にも書きました通り安全安心ですし、何よりメンテナンスが楽なので私たちの仕事が無駄に増えることがありません。どうして倒れないかと言うと・・・平らな形をしているから。ちなみに。cookというオーストラリアの会社の培養器です。ところが震災後の学会では、なぜか他の会社の製品をプッシュする胚培養士さんが多かった。とても新しいタイプの「ドライ式」という培養器で、形はうちで使っているような平らなもの。ただ、水を使わずに培養環境を整えるというところが、今までの培養器と異なる所なんです。水を使わないと・・・とても乾燥している状態になるので・・・培養液などはそのままにしておくと乾いて干からびてしまいます。普段培養する場合には、干からびないようにオイルで保護しているのですが、それは今私たちの病院で扱っているようなタイプのものでも同じ。ただ、どうしてもタイミング的にオイルで覆えないタイプの培養皿もあるわけで。結局のところ、「ドライ式」だけだとすべてを賄う事が出来ない。そうなると、そのcookの、今使っている培養器の方が優秀なんではないかと、これを震災後にもっと推し進めてもよいのではないかと、学会で震災のお話を聞く度に思っていたのです。で、そのことを業者の方に伝えてみたら。目立たないけれど、この培養器を推している病院もあるにはあったのだそうです。でも大手の病院が「ドライ式」をあまりにも勧めるので、時代は「ドライ式」になったのかと言わんばかりで。そっか。「誰かがもっと広めたらよいのに」ではなくて私がもっと勧めて広めれば良いのだ、と、せっかく築かれている胚培養士の人脈を使ってでも伝えて行けば良いのだと、・・・今日はそんな話でオチがつきました。そうですねー。私ももっと勉強して、ちゃんとエビデンスを持って、患者様にも胚培養士にも、良いものは良い、と言わなければならないですねー私の使命かもしれませんね、これは(大袈裟)!では今日もクリックお願い致しますにほんブログ村
2012.02.02
コメント(2)
今日は昨日いただいたコメントから書いてみようと思います(コメントありがとうございました)皆さんが患者さんだった場合・・・胚培養士さんの経験年数って結構気にされるものなんでしょうか?医師の経験を気にするのは、わかる気がします。お医者さんは、技術も話術も経験がとても現れやすいですものね。胚培養士の場合は、、、うーん。どうなんでしょう。以前(確か12月に)新人の胚培養士さんも施設によって、勉強の進み方が全く異なる、ということをこちらに書かせていただいたと思います。実際、日本には600近くの施設(病院・医院)がありますが、採卵件数は年間に数件のところから数万件のところまで様々です。(○万件は珍しいので、すぐに何処かわかってしまいますね)胚培養士を雇っている数も本当に様々で、一年間に一人の胚培養士が責任もってこなせる採卵件数は150件と言われていますが、やはりチェックする人も必要ですし、一人では休むこともできなくなりますから、最近は一人体制の施設の見直しが多くなされている気がします。500-1000件の施設では複数人の胚培養士が交代で業務に携わっているでしょうし、逆に200件前後であれば一人か二人の胚培養士が携わっているのがほとんどでしょう。そうすると、新人胚培養士のスキルは本当にバラバラになってしまいます。私たち年長者の時は、本当に周囲に誰も居なかったし、相談できるのは、医師もしくは同門の胚培養士だけ。スキルを身に付けていくのも本当にひと苦労でしたが・・・今は、時代が違いますからね。たとえば、私の知っている後輩でもものすごく差があってビックリしたことがあります。一人は年間500-600件の採卵を行うクリニックの胚培養士さん。そこはとてもスパルタで、入ってすぐ精子の調整などを教え込まれ、一年目の終りには、顕微授精以外ひと通りのことは出来るようになっていました。顕微授精はさすがに訓練中、と言ったところでしたが。採卵も一人で入り、ちゃんとミスなくこなしていましたね。もう一人は年間150件前後の大きな病院に勤めている胚培養士さん。先輩の胚培養士さんと二人でその病院に勤めていましたが、とにかくステップアップがゆっくり。本人が臆病である、という事も重なって、三年目になっても顕微授精がまともに出来ない。件数もしょっちゅうある訳ではないので、なかなかスキルアップが難しかったようです。前者の胚培養士さんは経験件数は多いし、任される症例も多いけれど、何せ勉強する暇がない。何かあった時に、どうしてこうなるのか、改善するにはどうしたら良いか、その辺りを考える力がなかなか追いついていなかった(本人談)。一方、後者の胚培養士さんは経験件数は少ないけれど、いつもとても勉強していた。件数が少ない分、勉強する時間も練習する時間もたっぷりあったので、学会発表などもすることができるようになっていました。えーーーっと。実は、私はこの二人をほぼ同時期に指導する機会を与えられていました。それぞれの進み具合も違うし、知識も違う。どちらが「良い」とは一概には言えないのだけれど、明らかに前者の胚培養士さんの方が「たくましかった」ですねぇ。質問事項も、考えさせられるものが多かった気がします。きっと経験件数が多いために、日頃の疑問も沢山あったのでしょう。患者様として病院にかかっている場合は、なかなか胚培養士さんとお話できたとしても、その背景・キャリアまでは知ることはできないかもしれません。患者様の前でお話する時は、私たちは経験年数に関わらず「プロ」なのです。経験の若い胚培養士さんだって、仕事をするときは「プロ」なのですから、その病院で一人前のお仕事をしている胚培養士さんであれば、ぜひぜひ、信用してあげてください。もちろん、個人的にこの胚培養士さんにお願いしたい、というリクエストがあれば病院に言ってもらうのは可能だとは思いますが、、、、。ご希望にお応えするのは簡単ではないかも知れません(勤務形態によります)。私は患者様とお話する機会が多かった時は、いかに私たち・胚培養士を信頼していただけるか、を念頭に考えていました。信頼していただけるか否か、簡単なことではありませんが、少なくとも胚培養士が仕事をしている時は常に誠意を持って患者様や卵・精子に関わっていると思っています。それでは、今日も下のボタンのクリックをお願い致しますにほんブログ村にほんブログ村
2012.01.11
コメント(0)
今日は私たちの病院の外来業務に関しては仕事納めの日になります。もう世間では冬休みが始まっている職場があるようで、朝の電車が空いていたり、旅行客がいたり、とすこしずつ街が年末年始休暇の装いになってきましたね不妊治療を行う病院も、比較的年末年始は休みとなる病院が多いです。もちろん年末年始に排卵が重なり、タイミングではなかなか妊娠しにくい方などは治療をやっていただける病院があれば対応してくれるでしょうし、(うちの病院でも臨時で対応しています)年中無休を掲げている病院も少ないですが、ありますけれど・・・特に採卵をはじめとする、体外受精に関する治療は、採卵しようとする前の周期(稀に前の前の周期)から薬を使用したりして採卵の準備に取り掛かることが多いので、今日・明日急いで採卵、とかということは稀ですよね。採卵の周期の中には「自然採卵」と言って、注射も薬も利用せずに自然に排卵する卵を用いた治療をする場合もありますが、そうなると「急いで採卵」ということもあるかもしれません。しかし、全ての方にこの「自然採卵」を行う訳ではないので・・・やっぱり不妊治療、とくに私たち胚培養士が関わる高度生殖補助医療の分野では事前からしっかり準備して取り組むことが多い分、年末年始に休暇を取るとなると、その結構前から準備に入っていることがほとんどです。採卵する時期が年末年始にかからないように調整する、年明けから注射をスタートして採卵に臨む、などがその姿勢です。大手の病院でも休むことが多いので、、、、、。年明けからスタートする場合がとても多くなると、年末は比較的緩やかに業務することができたとしても、1月の終わりごろから2月にかけてはとても忙しくなります。おそらく・・・日本全国どこの病院でもその傾向はあると思われます。「2月は短いのに毎年採卵件数も多くてとても忙しかった」って思う事が例年とても多いですからね・・・。というわけで。私たちの病院もご多分にもれず年末は緩やかに過ごすことができました。というか、無菌操作をするクリーンベンチを隅々まで、一部の部品を外してチェックしながらそうじにあたる事ができました。私たちや先生方がウッカリ落としてしまったガラス破片等がクリーンベンチの奥の奥には結構落ちていたりして。とても掃除のし甲斐がありましたよー来年こそは心地良く仕事ができることを祈るばかりですね・・・というわけで・・・仕事は今日までですが、ブログは年末までもう少し更新する予定でいます。どうぞよろしくお願いしますーm(_._)mそれでは今日もありがとうございました!クリックをお願い致しますにほんブログ村クリックしてね!にほんブログ村クリックしてね!
2011.12.28
コメント(4)
私たち胚培養士は学会が定めた試験をパスして得る資格を持っていて、国家資格もない状態なのでなかなか統一した勉強方法や統一した教育制度もありません。とりあえず、私たち開拓者世代は医師たちに混ざって色々と勉強・経験を積み、それに従って新人教育等を行っていますが、それも各施設によってさまざまです。たとえば、あるクリニックでは胚培養士は少ししか居ない。そうなると、たとえ新人でも早くスキルを覚えてもらって一人前、とまではいかなくても業務をこなせるようになってほしい。少々荒っぽいけれど、採卵などの件数が多いから、いやでも仕事はどんどん覚えることになり、一年目でもそれなりに仕事ができるようになります。本人は勉強と実務が折り合わなくてかなり焦りますが、傍から見ていると、本当にたくましく育っていきます。あるクリニックでは件数も多いけれど胚培養士もたくさんいて、培養室長や主任など、一般の胚培養士とは別にトップの胚培養士が存在する。教育制度も独自に作り上げ、一年目では、やっと「精子の検査」を任せてもらえるようになる程度。顕微授精ができるようになるのには、早くても三年、長ければもっとかかる。胚培養士の資格は、一年以上の実務経験が必要ですが、それには「最初から最後まですべて一人でできるようになる」ことが必須です。つまり、採卵から、精子の調整、顕微授精に凍結、融解、胚移植たとえサポートに上司が入ったとしても原則的にはその資格を受ける段階の人が責任をもった「担当者」になる、ということ。もちろん、患者様の背景などを把握し、各治療に役立てるように勉強することも大事です。先に登場した二つのクリニックの場合。一年目でもなんでも積極的に実務をこなしているクリニックの胚培養士さんは一年目の終りに胚培養士の資格試験を受験する方がほとんど。実は・・・その一年目だと、やっぱり勉強が追い付いていなくて、一年目の内3割ぐらいは落ちてしまうのだそうです。逆に後者のようなクリニックの場合。なかなか新しい技術を覚えさせてもらえる時間もなく、新しい事が出来ない、実際の患者様の治療に携われない、とフラストレーションが溜まるのは事実のようです。これはいくつかの施設で、何人かに聞いたので事実なのでしょう。実際に教育は素晴らしくて、でも実務が伴わないので、他に異動したときに、ちょっとカルチャーショックを受けたりするようですが手を動かす技術、知識はまんべんなく身に付いていることが多い様な気がします。ただ、胚培養士の試験を受けるのが入職してから数年後、ということになってしまいます。どちらがよいのか、、、。どちらも極端ですが・・・。私が携わってきた病院は、どちらかというと上記の中間ぐらい。特に教育制度が出来上がっているところではなかったけれど、大手の専門クリニックに比べて比較的ゆとりがあったところがほとんどなので、じっくり教えることも、じっくり練習することもできました。だから、胚培養士の試験も入職して二年目ぐらいには受けるかしら。これから胚培養士を目指す方々がいらっしゃったとしたら。日本国内の不妊治療の施設にはさまざまなスタイルをもつところがあることを覚えておいてください。実際には、入ってみないとわからないかもしれませんが・・・。一つ言えることは、胚培養士は「やれ」と言われたことだけをやる仕事ではないです。自ら考えて、自ら工夫して、いざと言う時に対応する能力が必要。自分からの積極性がないと、正直勤まらないと思います。(まぁ、、、これは、どんな仕事でもそうかもしれませんけれどね)それから色々なことに気付く事ができるように常にアンテナを張っておけるタイプが理想だと思えます。ちょっとした卵の変化に気付く事が、大きなミスを防ぐことに繋がることがしばしばなので。来年も多くの後輩たちが胚培養士の試験を受けますが。ぜひ、本当に頑張って下さいね。心から、応援していますそれでは、今日もクリック、お願い致しますにほんブログ村にほんブログ村
2011.12.20
コメント(0)
ブログの所に貼ってあるアバターを・・・冬服に変えようと思いつつなかなかそんな時間がない今日この頃の葵です。明日からの学会に向けて、ボスは会場である横浜に向かってしまいました・・・。まぁ、偉い人たちは、今日からいろいろな会議があるからなのですけれどね。私はやっぱり病院で仕事してから会場へ移動、そんな慌ただしい毎日になりそうな予感ですそんな今日はAちゃんのお話。なんだか今日は彼女がとってもイライラしていました。ちょっと前は私もその対象についてイライラしていましたが、今日はなんだかずっとご機嫌斜め。ボスではなくある医師の話。ボスのやり方が間違っているのはとても有名な話で、Kちゃんが他のところのDr.に、ここの現状を話たら、「えええぇぇぇぇー?」「なんでそんなことやっているの?」「それで良いの?」って普通に疑問符が出てきました。改良できる所は積極的に改良しているラボワークですが、どうしてもボスが妙なこだわりを持っているところは変更できない。私たちは患者様に迷惑がかからないように最大限のフォローをするばかりですが。。。今日、Aちゃんが怒っていたのは、ボスではなく、あるDr.のこと。もともと、不妊のお勉強にきた、産婦人科医でありつつ麻酔の勉強もしているDr.ですが、不妊治療には、いまひとつ力が入っていない、というか。自分の担当の患者さんの採卵があるのに遅刻したり、卵も結果だけ聞いてきたりして、正直、他のDr.と比べると誠意を感じられない。興味がないのならしょうがない、一般不妊だけでもしっかりやってもらえれば、と、私はある時からそんな感じで受け止めていたのですが。Aちゃんは本当に今日は怒っていました。通常の予約時間以外に伝達無しで予約を入れたり、突然の処置も悪びれていなかったり。卵のことを伝えても、あんまり通じていないみたいだし。こちらとしては。私たちは患者様にご迷惑をかける訳にはいかないので、緊急な処置だって、時間外なことだって、対応はしていますけれど、一言もないので、チーム医療としては少々連絡不足。以前からその傾向は見え隠れしていますが(それで私はイライラしてました)最近富に顕著になって来ている。そして、なぜかその行為、行動、状態をボスは咎めない。それもまた、こちらとしては気に食わない。せっかくみんなで力を合わせて、患者様の笑顔の為に頑張っているのに、一人、チーム医療を乱す医師がいると、どんどん崩れかねません。その医師は、おそらく、患者様には優しいのだと思います。人当たりは良いですし、患者様のお話をいつもじっくり聞いていますし。でも・・・。興味がなくても、ここにいる以上、関わっている以上、最低限のマナーは持ってほしいな、と。AちゃんのそのDr.に対する信頼度はガタ落ちです。以前、大学病院にいた時には、本当に様々なDr.がいまして。産婦人科医だからって全員が不妊治療に興味があると言う訳ではないのは、わかります。産婦人科といっても、「産科=周産期科」もあれば「子宮癌などを扱う婦人科(婦人科腫瘍)」もありますし、腹腔鏡を使って、良性の子宮筋腫やポリープ、内膜症などの治療を専門にするところもあれば、私たちのような、不妊治療の分野もある訳です。だから、産婦人科に研修に来ている医師も様々で、興味無いDr.はすぐに、わかっちゃいます。逆に、興味がある方は、医学生の時から、食いつきが良いと言うか、、、私たち胚培養士にまで質問攻めにしてきたりしますからね!でも。私たちの不妊診療を主に行っているところで働いている某Dr.は、、、興味が無かったら、わざわざ研修に来たりしないはずですし。医師も人間ですけれど、仕事は仕事なので、もうちょっと積極性があっても良いのにな、と接しているスタッフの一人としては、思ってしまう訳です。どこの病院でも、様々な医師がいるものですよねー・・・それでは今日もクリック、お願いします
2011.12.07
コメント(0)
先ほどちょっと外を歩いたのですが・・・。いやー、寒いですねー真冬よりは寒くないのかもしれないけれど、驚きの寒さでした。。。学会準備は着々と進み、ようやく準備を終わることが出来ました!一時はどうなることかと思いましたけれど、何とかチェックもしてもらえて、間に合いました(苦笑)まだ暑い頃からデータを整理していて、12月なんてまだまだ先、と思っていたら、もう、今週なんですよね~なーんて、おとぼけぶり、炸裂です(爆)さて。年が明けると、新しい生殖補助医療胚培養士の資格試験のための受験申請が始まります。今年はAちゃんとKちゃんも受ける予定です(たぶん)。毎年100名近くの新しい胚培養士が生まれますが、5年ごとに更新があり、更新の際には、5-7割程度に減ってしまいます。たとえば、産休・育休や勉学のために、一度、胚培養士の実務を休んでしまうと、その分は資格は凍結状態。実際には5年経っていても、実務が5年経っていなければ更新はできません。今度の試験ではいよいよ1000人目になる人がいるかどうか、という段階です。実際は実務を行っている人はもう少し少ないですけれどね。私が試験を受けたのは第1回の資格試験でしたが、同じ時期に受けた友達は結婚を機に仕事を辞めてしまって、資格も失ってしまいました。胚培養士の7-8割は女性なので、どうしてもそういう問題が出てきますね。それでも、ほかの職種よりは女性が続けている環境が多いかなぁ?そんな気がします。本来なら、出産・育児には一番理解のあって良い「産婦人科」に勤めているわけですから、院長もしくは各長は産婦人科医のはずですし、それなら尚更、理解は欲しいところですよね・・・。なかなか現実はそうもいかないみたいですが男性よりも女性の方が細かいところに気が付いたりするのと、継続して細かい作業ができるので、女性の方が重宝されたりしますが、やはり男性がトップになっていたりする施設はとても多いです。だから、男性の胚培養士さんも結構いらっしゃいますね。多くは大学院を出ている方で、とても優秀な方ばかりです。胚培養士は実務を重んじるので、実際に初めて資格を取得するときも、5年後に更新するときも、一つ上の「管理胚培養士」を取得するときも、実際にどれだけ治療に携わっているかを重要視します。それから、覚えておかなければならないこと、知っておかなければならないことも、かなり沢山あるので、筆記試験は専門的な内容ばかりですが、筆記試験の前には講義がびっちり詰まっていて、その上での筆記試験。さらに、実務能力および専門知識の確認のために、口頭試問(面接試験)があって、はじめて、クリアします。もちろん、受験資格に満たしているかどうかの書類審査が最初にあって。結構、書類審査で落とされる場合もありますね。特に管理胚培養士は厳しいので書類で落とされる場合も多い。そして口頭試問は、胚培養士・管理胚培養士どちらにも課されますが、これが本当に厳しい!私も、もう一度受けたら、ちゃんと答えられるか心配になるぐらい、痛いところを、突いてくるような質問が飛び交います。ちなみに、3対1の口頭試問だったのですが、私が受けたときはあまりにも厳しくて、試験会場を去るときに、泣いている人も何人も見かけたほど。私も厳しいことを突っ込まれたものです・・・(今は懐かしい思い出に・・・)この前受けた後輩も、今回受けようとしている二人も、来年の試験に向けて、目下猛勉強中です。大人になってからの試験勉強って、結構大変ですよねーきっと、どの分野でも働きながら勉強するのって大変だと思うんです。まぁ、、、。胚培養士は日々勉強ですけれどねそういえば・・・今日、卵に関するクイズを出したらAちゃんもKちゃんも、ちゃんと最後までは答えられなかったから・・・がんばれーーーーというわけで。資格勉強・受験勉強・試験勉強をしている皆さん!本当に頑張ってくださいね今、勉強していることはきっと、必ず身について役に立つことばかりですからねそれでは、今日もクリック、お願いしまーす
2011.12.06
コメント(0)
12月になりましたねー。毎年毎年思うことですが、今年も色々あったけどあっという間でしたねー師も走るらしい12月ですが、私たちは来週の学会に向けてラストスパートですもしかしたら仕事が忙しくて、発表もあるのにちょこっとしか行けないかも、ですが(涙)さて、本題です。以前私はカウンセリング的な事をやっていたことがありますが、実際には不妊カウンセラーの資格を勉強しただけで取得はしていません。胚培養士の業務とカウンセリングの業務のかけもちは、出来るところもあるかもしれませんが、なかなか難しいと思うんです。私たちの病院でも、不妊症の認定看護師さんが不妊カウンセラーとして患者様に対応していますし、今まで居た他の病院でも看護師さんが不妊カウンセラーの資格を持っていたりしました。患者様にとっては、私たち胚培養士よりも、毎日注射や採血をしてくださる看護師さんの方が接する機会が多いですし、そういう毎日の中でお話する機会も多いですよね。だから、直接患者様と関わりのある看護師さんと私たち胚培養士がチーム医療として話し合いながら応対していくことも多いです。あ、もちろん、医師も加わりますよ!(爆)不妊治療は、患者様が居て、パートナーが居て、そして医師が居て看護師が居て受付・事務さんが居て胚培養士が居る。患者様を含めて、皆でチームとなって赤ちゃんを授かろうとするものなんですよね。私たち胚培養士がなかなか関わらない段階もありますが・・・。でも病院の中で検査をしたりすることもあるので、陰ながら関わっていることが多いです。だから、ご夫婦でもなんでもよく話あっていただいて、出来るだけご夫婦の意見をこちら側に伝えていただきたい。そうすると、きっと治療はスムーズに進むと思います。それではあとひと月!今年も頑張りましょうー
2011.12.01
コメント(0)
今日はちょっと嬉しい出来事がありました。しかも・・・・・ボス関連です。いままでかたくなに、培養器のメンテナンスを拒んでいたボス。確かに昔はメンテナンスが入ると、しばらく調子が悪かったりしましたが、それは大昔の話。しかも実験用の培養器の話。ボスは相変わらずの頭の固さなので、その昔の風習が忘れられず、年に一度の培養器のメンテナンスを業者さんが勧めているにも関わらず、もうずっと、10年近く、というか、培養器を納入してからずっとメンテナンスを拒んできたのだとか。確かに、培養器に付属している消耗品をいつまでも変えずにいたりしたらしいので、私が来た時には、見たこともない代物で頭の上に「?」が浮かび上がってしまったものです。そして培養器の業者さんと私が色々と策を練って、少しずつできる限りのメンテナンスを施してきました。でも。。。会社に持って帰って、プロの方々に見てもらっているわけでもないし、微妙なズレとか、設定値がおかしくなるとか、様々なトラブルがあってもおかしくない状況でした。ところが。私がまず業者さんに現状を相談し、それを私からではなく、業者さんからボスに伝えたところ、、、最初は渋っていたようですが、購入当初からメンテナンスをしていないのだから、そろそろ・・・と、ようやく重い腰をあげてくれました\(^o^)/これで今までの懸念材料だった、培養器も無事にちゃんと使えるようになります。卵を培養するための、肝心要の培養器。これが壊れたら、卵を培養することはできません。一番大事で、一番大切で、一番チェックを惜しんじゃいけない培養器なのに、なぜかボスは、培養器と培養液だけには変な、本当に変で誰も言ったことのないような、そんなこだわりをもっていて、とても迷惑していました。成績が良いのならまだしも、私が来るまでは本当にひどい成績だったので。しかも、培養室なのに雑然としていて、汚くて片付いていなくて。私が来てから、徐々に徐々に綺麗にしていき、何とかかんとか成績も上昇し、最近はボスさえ触らなければ安心して卵を培養できる環境になってきました。ここ数年ずっと採卵を受けている患者様の成績を見ても、成績の改善が顕著すぎて、本当に過去の状態を残念に、申し訳なく思う次第で。まぁ、何はともあれ、うちの病院。他の部署の先生からも「きれいになったね」とか言われるようにもなりましたし。少しずつ、少しずつですが成績改善、成績向上となってきています培養器のメンテナンスを受けられて、本当にホッとしています患者様にも直接フィードバックできることだと思うので、今から楽しみですそれでは、今日もクリック!お願いしまーす
2011.11.30
コメント(0)
今日は横文字タイトルで・・・(爆)shortはもちろん短いっていう意味を示し、inseminationはこの場合では「媒精」つまり 卵と精子を合わせること 具体的には 卵の入っている培養皿に精子を一定量入れること・・・を示します。[insemination]は長いので、私たちはよく「インセミ」って言います。いわゆる、体外受精を行うことですね。私はこの病院に来るまで、「ショートインセミ」は行っていませんでした。そういう手法があることは知っていましたが、体外受精によっても確実に受精させたかったし、場合によっては、私たちが就業時間以降まで残らなくてはならなくなるし、そんなわけで取り入れていませんでした。どこの病院でも。だから。。。卵に精子を合わせるインセミを行ってから、次の朝の受精確認までの間の約16から18時間はovernightで静置。卵と精子をそっとしておいてあげるっていう意味もあります。培養器を開け閉めすると、それだけで培養環境が変わってしまいますからね。一方で、ショートインセミ、という方法は、精子自身が出す活性酸素を理由に一部で行われていました。精子と卵をずっと一緒にしておくと、精子が活性酸素を出したりするので、卵によくない、っていうのがその理由です。まぁ。。。理論的にはわかっていましたが、その精子と卵が一緒にいるところから、精子と卵を引き離すタイミングが難しい。あまり早いと受精するものも受精しない。あまり遅いと夜中になってしまう・・・。一般的に、媒精、精子と卵を合わせてから2-3時間で受精するといわれていますが、必ずどの卵も3時間以内で受精するという保証はありません。それなのに、ボスは「2時間で引き揚げてくれ」、と。これが最初のオーダーでした。このやり方で30年やっているから・・・と。でも、、、、。2時間では受精するものもしていない可能性が高い。確かにここの病院の過去の成績を見てみると、受精率はとても低い。精子と卵を早めに切り離してあげたところで、別段、良好な受精卵が増えている様子もなく、成績は悪いまま。私自身がやったことのなかった「ショートインセミ」だったので、ここにきた当初、知り合いの胚培養士にリサーチしたり、勉強したりして、ショートインセミの一般的な方法を考えました。当初は2-3時間で受精するのだから、最短で3時間のショートインセミを行っているという病院があり、それにしたがって、「2時間」の指定のところをこっそり「3時間」に。でも・・・。イマイチ、あまり受精率は変わらない・・・・。困ったな・・・・・。って思って、やはりもっとも一般的な「5-6時間」のショートインセミをトライ。5-6時間すれば、受精していれば、その兆候が見え始める時間。顕微授精をした場合はその段階で受精をチェックすることも可能ではあります。・・・ということは、5時間後ぐらいに卵と精子を引き離す「ショートインセミ」を実行すればよいのでは・・・?ということから、体外受精のときには5時間のインセミを行うことにしました。そうしたら・・・。とても受精率が高い!驚きの受精率を毎回出していますいままで何回か体外受精を行っていた人も、受精率が回復。40代後半の方でも、そのほとんどが受精します。そして・・・。その後の成績もとても良い!良好な受精卵たちが沢山出来るようになりましたまだ統計とかを出しているわけではないのですが。。。。。今まで良好な受精卵が出来なかった方とか、過去はあまり成績が良くなかった方とかがとても好印象でその周期を終えることができるので・・・。今はとても満足のいく手ごたえを感じています30年だか何年だかは知りませんが、ショートインセミ、2時間って、あり得ない。ずっと成績が悪いのになんでも卵のせいにして一つも改良を加えようとしなかったのが当院のボスなのです。患者様のことを考えたら、改良しようと考えますよ、普通は。ほんと、常識知らずで困った人なんです、ボスは。色々考えて、改良してみて、本当に良かったと思い、これからも実行していきます!皆さんのところでは、体外受精の場合、ショートインセミなのかなぁ?どっちが一般的なのかは、やっぱりわからないままですけれどね!それでは、今日もクリックをお願いいたします
2011.11.17
コメント(0)
今日はなんだかとても疲れましたー。大忙しだった日で、特に長いこと顕微鏡の前に座っている日は「命のともしびが・・・・(>_
2011.11.16
コメント(1)
これを読まれている皆さんの中でも、不妊治療を実際にやられている方は多いと思いますが。。。その病院での生殖補助医療の方針などって聞いたことがありますか???たとえば、はじめての採卵の時。 体外受精だと、 受精は精子と卵にゆだねているので、受精しないかも知れない。 だとしたら、顕微授精を選択する手もある。 でも顕微授精の「適応症」が無いのに、 受精率が高いからだけという理由で顕微授精を選択するには問題がある。 顕微授精にはまだ100%安全な精子を選んでいると言う保証がないから。 ・・・じゃあ、どうするか??? そこでsplit、スプリットという考えを持ちます。 ここで言う、splitとは、 体外受精と顕微授精を半々もしくは適宜な割合で両方の手段で行うこと。splitによってどの卵を顕微授精するか、どの卵を体外受精にするかは、大体胚培養士に一任されています。卵の周りの細胞から、卵の成熟度を見て、それで決めることが多い。たとえば、精子の検査でSMI(sperm motility index)というのがあります。これは、SQAという精子検査用の装置を使って、精子の数、早さ、動き、運動率などから装置が計算する値。式が無いので、私たちが計算することは出来ませんが、、、。このSMIという値を基準にして、 「体外受精も可能だけれど、ちょっと精子の質が悪いからsplitにしよう」なんていう施設もあるようです。また、初回の採卵時には、体外受精対象者全員に、念のためsplitを行う、なんていう定義があるような、無いような施設もあるということです。以前採卵したことがあれば、その時の結果を参考にできますが、はじめての採卵では、いったい受精率がどれだけあるかなんて、推測できませんから・・・だからsplit、ということになるんですけれど。うちの病院では、しょっちゅうある訳ではありませんが、時々splitを行います。中には、体外受精では1個も受精せず、顕微授精のみで受精したため、splitにしておいて良かったねー、なんて場合もありますが・・・。どちらも受精するものの、どちらかの発生、進み具合が悪いなんて場合もあります。そうかと思えば、どちらも受精し、どちらも順調に進み、胚移植の際にはmixしてしまい、どちら由来の卵が妊娠したかわからない・・・なんていうケースもありましたが・・・。(最近は1個の胚移植が主ですから、少ないケースですが)まぁ、簡単にいえば、基準は曖昧、なんですよね、どこの施設も。顕微授精を行うことに変わりはなく、使用する機材も変わらないので、料金はおそらく顕微授精の料金になるかと思われます。(大抵は体外受精より5-10万近く高くなります)費用のこともあるので、採卵した日にその場で患者様と先生とでよく話し合われて決定することが多い方法です。ですので、急な顕微授精が必然的に多くなります。培養室はちょっとバタバタしますね・・・。それでも患者様の笑顔のために、気持ちを切り替えて臨んでいます。顕微授精でも体外受精でも変わらずに育ってくれたら一番なんですけれどねそれでは、今日もクリックお願いしまーすにほんブログ村にほんブログ村
2011.11.15
コメント(0)
今日は週明けで、それはそれなりにバタバタしていましたが、明日からの怒涛の件数にくらべたらまだ良い方なので・・・久しぶりに()豆知識ネタを書いてみたいと思います。題して「不妊患者様の高齢化」「高齢化」と言ったら、一般的には、高齢、老人を指しますが、不妊治療の業界では、生殖年齢に含まれる女性を示すので、一般的よりもかなり若い状態を示します。かつては「丸高」とかって、高齢出産の方を指していましたが、これは35歳からを対象としていました。35歳以上の初産と40代の出産かな?50代だと超高齢出産になるらしいですけれど、稀ですよね・・・。でも、これは、妊婦さんでのお話。不妊症の患者様も35歳以上から高齢化を唄い始めていた時代もあると思われますが、今では40歳以上、中でも44歳以上の方などを示すことが多くなりました。自然妊娠の場合、最高齢は57歳だったそうですが、不妊治療において、卵子を提供してもらうことが多い諸外国では、単純に「妊娠」だけを示すと70代とかいらっしゃいましたよね。おそらく、というか、間違いなく閉経した後の妊娠・出産な訳ですが。日本では、卵子提供は原則的に認められていないので、(だから野田聖子さんは外国で卵をもらってきています)自分の卵での不妊治療が主体ですが、当院でも平均年齢は40歳前後になってきていて、それは、日本国中どこの施設でもそれぐらいの平均年齢になってきています。体外受精や顕微授精をすれば、高齢でも妊娠できるか?っというとそうでもないですね。それは以前にも書きましたが、閉経年齢は昔から変わらないから。女性が持っている卵の数というのは、決まっているので。体外受精や顕微授精をすれば、確かに「受精することはできる」かもしれません。卵が採れれば、精子があれば、受精する可能性は非常に高い。でももう、若いときに「良い卵」は排卵してしまっているので、残っている卵は「染色体異常」などの異常を持っている可能性が高い。あるDr.の話では、45歳の方の卵はその25%に異常があるということでした。卵があって、受精しても、その四分の一は染色体に異常がある。ということは、妊娠しても流産してしまうか、妊娠できない可能性が高い・・・。高齢で、体外受精や顕微授精を行ってもなかなか妊娠・出産できない背景にはこういうことがあるんです。ただ「妊娠・出産する」ことを目的にするならば卵子提供は有用かもしれないけれど・・・・・。日本はまだ法整備が出来ていないし、普通の不妊治療とは明らかに違うものです。だって、卵をもらうのだから、自分がお腹を痛めて出産しても、その子は自分の子ではないんですからね。あ。遺伝的には、という意味です。今の日本の法律では「産んだ人が母親」なので、卵をもらって妊娠・出産した場合は、自分の子供として認められますけれど。簡単に言ってしまえば、 血が繋がっていない子供を出産することですからね。。。簡単な問題ではありません。法律的な問題だけではなくて、精神的な問題だって絶対に大きいと思うんですよね。だから、JISARTという不妊治療専門クリニックのグループでは、ものすごく時間をかけてカウンセリングや試問や会議が開かれるそうです。当然と言えば当然ですね。欧米で卵子提供が普通に行われているのは、きっと感覚的な違いがあるからだと思うのです。今の若い世代の方には、ぜひ自分たちの生殖年齢の幅を理解してもらいたいし、今の不妊治療をしている生殖年齢の方々には、 どこまで治療を行うか どこまで治療を続けるのか 子供のいる未来、子供のいない未来を考えていけるか、など、ご夫婦と医師・看護師・カウンセラーさんなどでよく話し合っておくべきだと思います。というわけで、今日はこの辺で。今日もクリックの方、お願いいたします!!
2011.11.14
コメント(0)
今日はとある胚培養士さんのお話・・・。彼女はとても仕事熱心です。ヒト一番努力しているし、勉強も熱心。一緒に働いている先輩の培養士さんに迷惑をかけないように、彼女なりに必死に働いています。患者さん思いだし、本当に良い子だと思う。でも・・・。彼女は院長になぜか目の敵にされている。彼女は地元を離れて今のクリニックに勤めていますが、大学も地元だったので、卒業生などは周りにいません。胚培養士になる先輩は居なかったそうなので、彼女自身が切り開いて胚培養士の道に進みました。その院長先生は、彼女のやる気を組んで雇ったのだと思いますが・・・。無名なところ出身だから、とちょっぴり信頼関係を築くのに時間がかかっていました。学閥とかは関係ないとは思いますが・・・。彼女自身がそこを結構気にしています。私は関係ないよと言っているんですがね。今は彼女はちゃんと「胚培養士」なのだから。立派に仕事ができるのだから。どこそこ出身なんて、正直関係ないと思います。むしろ出身だけを信じて雇って、痛い目にあったDr.もいらっしゃったぐらいですから・・・。ちょうど彼女は「言われやすいタイプ」だったのだと思います。どこの医院でも、どこの病院でも、よくあることですし、私もかつて、そういう立場だったこともありました。(培養室で仕事中に、医局のやかんのことで電話がかかってきて怒られた時には、 なんでやねんと思って、呆れちゃいましたけどねー(爆))ただ、それが「何をー」と思っても、「見込みがある私だから言われているんだ」って気づくことができないまでは自分のことを卑下しがちです。まぁ、本当にどこの社会でもあると思うんですけどねーただ・・・。最近、落ち込むのは落ち込むんですが「どうせ私は院長から嫌われているから」っていうのが表立っている雰囲気なんですよね。正しいことをしていて、怒られたらまぁ、それでも良いのですけれど・・・。たとえば、自分が本当にミスをしたときに怒られたとしても反省せずに「私は嫌われているから怒られているんだ」・・・と思いかねないんです。今日は、たまたま。この培養士さん本人からの話と、そこの先輩の話をそれぞれから聞いていて・・・・・。なるほど、それは危険だなって思いました。ミスをしないのは当たり前の努力ではありますが。何でもかんでも「嫌われているから」では困ってしまいますよね・・・。今日はちょこっとしかお話を聞けなかったから、今度じっくり話を聞いてみよう。ヘコむだろうけど、しょうがないかなぁ。。。私も先輩胚培養士として、がんばって指導していかないと、です。それでは、今日もクリックをお願いいたしますいつもありがとうです
2011.11.12
コメント(0)
今日は大忙しな上に、ちょっぴり酔っぱらっていて更新が遅くなってしまいましたーサッカーも今見ている始末です今日、TPPのことが話題になりました。あんまりわかっていないのでブログに書いてよいかわからないのですが。。。TPPを受け入れるとなると、医療の分野にもその影響が及びます。今、日本は保険医による保険診療と自費の診療がありますが、これを一緒に行ってはならないという決まりがあります。混合診療っていうんですけどね・・・。不妊治療はある程度までは保険診療ができますが、高度生殖補助医療となると自費診療です。自費と保険の診療を同じ日に受けることはできませんね。不妊治療は自費診療だからクリニックや病院によって値段も違いますし、「高い」んですよね・・・。でもTPPが医療の領域まで影響を及ぼして全面解禁になると、保険診療が崩れて、混合診療がOKになりかねない、らしいです。保険がなくなってしまうことには、医師会も反対していて、厚労相も、TPPが仮に全面解禁になっても混合診療は認めない方針としたそうです。不妊治療だけのことを考えたら、混合でも良いような気もしますけれど、それ以外のいわゆる「病気」で医療機関にかかったときに、保険が利かないのは確かに安くなったとしても、困りますよね・・・。最近ニュースで話題になっているTPPが医療にも影響を及ぼす可能性があるなんて思いもしませんでした。どうなるんですかね・・・・・。それでは、今日もクリックのほど、お願いしまーすにほんブログ村にほんブログ村
2011.11.11
コメント(0)
昨日まで私が読んでいた論文(英語)で先生たちの前で発表(抄読会と言います・・・)をしたのですが。その論文がとても長いものだった!私のつたない英語力では、すべてを読みきれたかは謎でしたが、でも頑張って読んで皆に説明をしました!!その論文の内容は「卵を形だけではなくて時間的な変化も観察することで着床するものを選ぶことができる!」というようなものです。私たちは普段、卵を観察して卵のクオリティーを判定しますが、それは瞬間、瞬間のもの。卵をずっと観察していたい気持ちは山々ですが、卵をお外に出しておくと、培養液の温度やpHがどんどん変化して、卵に悪影響を及ぼしてしまう。卵を光にあてると、活性が高くなってやっぱり卵に悪影響を及ぼしてしまう。ここに再三書いていることですが、卵をずっと長い時間見ていくことは、卵にはよくありません。だから、観察する時も、ササっと見る。顕微鏡にテレビモニターを繋げて、複数人で素早くかつ丁寧に卵を見ます。でも・・・。卵の瞬間を見ただけでは、実際にその卵がどういう経緯を辿って今の状態を見せているのかはわかりません。ということは、卵を観察するカメラが卵を培養する培養器の中に設置しておければ。もしくは、卵を観察する顕微鏡が培養器のようになっていれば。卵を時間を追って観察することが可能ではあります。カメラに収めるということは、光をあてる、ということになるので、ずっとビデオを回している訳にはいきません。だから、こういう装置の開発はとても大変で、なかなか皆が出来るものではない。・・・今回の論文では、カメラを培養器の中に設置して、15分おきに撮影をしたそうです。そして沢山の卵を観察して、その後妊娠したかどうかを確認し、どういう条件が妊娠につながる卵か、というのを調べています。その妊娠につながる条件というのは以下の通り。1)5細胞期胚になる時間が、顕微授精後48.8-56.6時間の間2)2回目の細胞分裂(2cell→3 or 4cell)の時間が0.76時間以内3)2細胞期胚である時間が11.9時間以内・・・というものです。普段私たちが観察するのは、受精確認の時間と、2細胞期胚になった頃の時間、4細胞期胚になった頃の時間・・・となっているのですが、なかなか5細胞期胚はお目にかかれません。でもこの論文ではなぜか一番5細胞期胚になった時間を強調していました。いつ、どのタイミングでそうなるかを見極めるのはとても難しいのですが・・・・・。受精してから、2細胞期以降どのタイミングの卵でも、一番大切なのは「早すぎず、遅すぎず細胞分裂をすること」なのだそうです。たとえば、遅すぎる場合は、染色体異常である可能性も大きいらしいので。ひとつひとつのタイミングを見るというよりも、この「遅すぎない、早すぎない、適切なタイミングで進んでいく卵」というのを選ぶことができればベストなのだと考えられます。難しい内容ではありましたが、、、、、。なかなか読み応えがあって、会が終わった後にも、Dr.達とプチ討論会になってしまって、白熱してしまいましたというわけで、今日もお読みいただきありがとうございました。クリックの方をお願い致しまーすにほんブログ村にほんブログ村
2011.11.09
コメント(0)
不妊治療のための培養室にはいろいろなものが必要です。私は今まで、培養室の立ち上げに携わらせていただいたことが何回かありますが・・・今回は、ある医師より培養室の立ち上げについて聞かれまして。なるべくここと一緒にしたい(!止めときゃよいのに!)らしくここにあるものを中心に必要なものを色々な医療機器などを扱っている業者さんと確認しました。私たち培養士が関わる部分で・・・主に ・人工授精に必要なもの ・体外受精に必要なもの ・卵の凍結に必要なもの ・精子の凍結に必要なもの ・顕微授精に必要なもの・・・と分類立てて機器や消耗品が必要になります。まぁ、もちろん各治療に関して共用する機器がほとんどですが。★顕微鏡にも ・生物顕微鏡:普通の顕微鏡。精子を数えたりするときに使う ・実体顕微鏡:卵の観察や操作に使う ・位相差顕微鏡:顕微授精に使う・・・って少なくとも三種類の顕微鏡を使い分けているんです。★培養器(インキュベーター)も各社から各種出ていますが。今は、耐震性というか、地震が来ても壊れにくい、エラーが出にくいものが好まれていますね。最近は「ドライ式」と言って、水を使わないで温めるタイプのものが評判を呼んでます。ドライ式だと、地震が来ても水がチャプチャプと溢れることがないですからねー。患者様からお預かりした卵を無くしたりダメにしたりしないように設計や設置なども含めてよく話し合われています。消耗品はそれはそれは沢山あります。患者様によって使い分けることはもちろん、原則的には「ディスポーザブル」と言って、一回使い切りのものばかりです。以前、電気代などを除いて、採卵1回あたりに必要な消耗品をざっと見積もったことがあります。 少なくとも・・・10万円弱ぐらいはかかっていました。。。そう考えると、今の採卵の代金って、確かに安くはないですけれど、実際のところ、人件費などはほとんどかかっていない計算です。今から色々そろえて培養室を作ったら、それはそれはピカピカなんだろうなー、良いなー、なんて思いつつ。今日はなんだかとってもマニアな話題になってしまいました(汗)そんなわけで、今日もクリックお願いしますにほんブログ村にほんブログ村
2011.11.08
コメント(0)
皆さんは培養室って・・・見学したことある方は少ないですよね。胚培養士でも、自分の所しか知らない、っていう人が結構います。私はそれなりにキャリアが長いので・・・・・昔は「胚培養士」なんていう名前もなくて、「エンブリオロジスト」という英語名を名乗る程度で資格すら無かったんですが。そのころは「採卵やるから手伝いに来て!」なんていう病院・医院もとても多くて。確かに医師が培養業務をすべて勉強していたとしても、実際の採卵や体外受精、ましてや顕微授精は医師にはなかなか出来ないことなので(技術的なことはもちろん、時間的にも忙しい医師には難しい)、そんな「お手伝い」が私だけでなく、あちらこちらで行われていました。おかげさまで、私は自分が勤めたところと、お手伝いした所、見学させていただいたところをすべて合わせると、20施設ぐらいの培養室を知っています。これは私の糧ですけどねそれで。うちの病院にも時々、見学者様がいらっしゃいます。培養士の見習いの方だけでなくて、医師や看護師さんも。で。培養室を見学していった医師が、うちの病院の培養室の不思議をいくつか質問していきました。。。 1.培養士はマスクをしているが、ボスはしていない。 やはり培養室ではマスクした方が良いですよね? A)当然です。ボスだって審査や撮影時には帽子にマスクしますからね(爆) 2.卵って「光」ダメですよね?どうしてここはこんなに明るいの?良いの? A)紫外線などの短波長の光は卵の発育を阻害するのでダメです。 だから、どこの施設も暗くして、顕微鏡も最小限の明かりにするのです。 ここはどうしてか? 培養室の蛍光灯は短波長を防ぐ(UV cutとほぼ一緒)特殊なものを使っています。 だから、培養室自体は電気をつけていても大丈夫です。 クリーンベンチや顕微鏡は特殊ではないので、ダメです。 ただ、ボスが「平気なんだ」と根拠もなく言い張るのでボスは明かりをつけています。 私たちは消していますし、最小限の明かりのもとで操作しています。 (ボスはもうお年なので、明るくないと見えないんじゃないですかねー) 3.さっきボスが培養液の期限切れ使うと言っていたけど本当? A)少なくとも私たちは各培養液のメーカーさんに問い合わせして、 培養液の期限の有効性を聞いた上で、期限切れは使っていません。 ただ、やり方を変えるとボスはパワハラをかけてくるので 私たちは従っているふりをしていますが★・・・まぁ。ちょっと知識があれば、必然的に疑問にわくことが出てくるのがうちの培養室。ただ、パワハラDr.のボスが「30年以上これでやっているから大丈夫なんだ!」と言い張るので、色々とおかしなことが起こっているのです。今までこの病院は、、、。まだ何も知らない、産婦人科医だったり。まだ何も知らない、培養士希望の学生もしくは卒後すぐの人だったり。とにかく知識がある人間を寄せ付けないようにしていた節がありました。ただ、胚培養士の正式雇用をするにあたって、経験者である私が登場し、「ここが変だよ、この病院!」というのがあちこちに露呈してきました。培養室にハエが飛んでいたり、ハエの死骸がそこここにあったり。患者様の卵を壊したり無くしたり。受精しなくても、細胞分裂が進まなくても気にしなかったり。院内や学会への報告が適当でずさんだったり。そーんなことも、普通に行われていた病院なのでした。私が来てから、最初は何から手を付けたら良いのかわからなかったけれど、ボスのパワハラにめげず、何とか少しずつクリアしてきたんです。けど・・・まだまだ、見学者の新しい視点からすると疑問は沢山あるみたいですね。。。うちの病院。まだまだまだまだ、改善の余地、アリアリなんですよね。パワハラを何とかしないとすべては改善できませんが。とにかく、志を高くしてがんばりまーす ・・・というわけで、今日もポチっとお願いしますにほんブログ村にほんブログ村
2011.11.04
コメント(0)
今日のつぶやき。。。せっかく頑張って(?)まとめた勉強会の準備でしたが、来週に延期になってしまい、ちょっと拍子抜けしています。来週まで、しばらくあの長い論文は見ないでおこうかな。。。結構な大作で、正直疲れちゃうタイプの論文だったので(汗)そして、本題。そうそう。昨日悩みに悩んだ患者様の顕微授精の結果は無事に正常受精をしていました。良かったー♪顕微授精をしてもなかなか100%の受精は難しい場合もあるのですが、今回はちゃんと良い感じに進んでいるみたいです。ボスによるエビデンスの無い不思議なコメントも添えられましたが。。。今回は、ボスの話はスルーしちゃおう。根拠ない話でムカつくので(爆)顕微授精を行う際にも、1個1個の卵で個性があって質が違うので、それぞれに合わせて受精させることもあるんです。顕微授精のやり方にちょっとした工夫がある、というか。たとえば。前回の採卵では、卵がとても弱く、精子を入れる前に卵がダメージを受けてしまうという患者様がいらっしゃいまして。今回の卵が、前回と同じように弱いかどうかは、正直、顕微授精の場になってみないとわかりません。そこで、私が考えたのは、まず、顕微授精で精子を入れる針を変えてみる、ということ。卵は卵自体の細胞質の周囲に、透明帯という糖たんぱく質からできている膜構造のものがあります。ヒトなどの卵の絵を見ると、細胞膜の周りに分厚い膜が書いてある。これが透明帯。(今度、絵を描くか、探しておきます・・・)その透明帯は受精する際に精子が2個以上入らないように防御したり様々な役割があるのですが。この透明帯を越えなければ、精子を卵の細胞質の中に入れることができません。この透明帯をススっと針が通るために、そして、卵の細胞質の膜が壊れないように・・・細くて尖った普段の顕微授精とは異なる針を選びました。また、実際の顕微授精の際にも、いつも以上にgentlyに、やさしく、慎重かつ迅速に・・・・・・を心がけて取り組みました。前の病院ではなかなか受精も難しかったようですが、おかげさまで、今回は受精に成功!ちょっとずつの工夫が実って、私も嬉しい限りです♪胚培養士は、そうやって各患者様に誠心誠意を尽くすべきだと、私は思っています。やっぱり、受精したり、きれいに進んだり、妊娠・出産されたりすると、私たちだって嬉しいものなんですよそれでは、今日もポチッとお願いいたします!とても励みになっていますにほんブログ村にほんブログ村
2011.11.01
コメント(0)
今日は忙しかったー!明日は私の抄読会(勉強会)当番だというのに、臨床のお仕事がとても忙しくて(お仕事が沢山なんて幸せなことです)とっても勉強している時間なんてなかったー(涙)今日は。顕微授精をするかどうか、ギリギリまで迷っている患者様と私たち、というお話を書いてみます。顕微授精の適応のお話は以前も書かせていただきました。でも実際の日々の臨床では、なかなか「型どおり」になどいきません。個々の患者様に個性があるように。個々の周期にですら、個性があるのですから。今回は、「以前の体外受精時に、多精子受精と未受精」という儚い悲しい結果になってしまった場合です。もちろん、体外受精で、多精子受精と言って、精子が2個以上卵に入ってしまった場合は、「受精障害」とは言い切れません。異常受精ですが、「受精」はしているのですから。。。。他方の「未受精」は体外受精の場合、本当に受精しなかったのか、卵が未熟だったから受精することが出来なかったのか、判断することはできません。そして、採卵自体患者様にとってはとても大きな負担になること。そうそう回数は増やしたくありませんよね。しかも卵が1個から3個ぐらいしか取れない場合・・・。前回と同じように、精子が2個以上入ってしまう異常受精が起こったらどうしよう。未受精になってしまったらどうしよう・・・・と、前回の採卵時の結果から大きく悩んでしまいます。もちろん、顕微授精にするにはお金もかかってしまいますし、精子を選択して卵に刺す、という通常の受精よりは人工的度が高くなってしまうリスクもあります。でも、受精率は精子と卵をシャーレで合わせてあげるだけの体外受精よりも、精子を卵に確実に注入できるので、断然高くなるのは事実です。そういった色々なメリット、デメリットを医師と(場合によっては胚培養士と)患者様で話し合いをしていただいています。もちろん、患者様にお話に行く前に、私たち胚培養士からも医師にレクチャーします。前回の結果と今回の状況を踏まえて、どうするのがベターか、あらかじめ考えておいて医師には伝えます。最終的にはもちろん、患者様に決定権があります。あるはずです。少なくとも、うちの病院ではよく話し合った上で決定しています。今回の場合は、かなり迷いましたが・・・体外受精と顕微授精を並行する「スプリット」(たとえば1個は顕微授精、2個は体外受精など)という方法も一つのアイデアでした。が、結局すべて顕微授精を行うことになりました。毎回毎回、どれが正解か、なんてわかりませんが。。。もちろん、受精しなければ赤ちゃんは始まりませんし。。。いつもいつもしっかりと背景などを勉強して、医師との話し合いをしっかりもって今後も患者様ごとにあった治療を選択していければな、と思っています。それでは、今日もランキングのポチをお願いいたしますっにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.31
コメント(2)
皆さんは不妊治療の助成金についてご存知でしょうか。先の学会での患者様へのアンケート結果によると、助成金があったこと自体「知らなかった」と答えている患者様が意外と多いことにビックリしました。病院・医院ではおそらく助成金についてのお知らせが掲示してあると思いますが・・・。この助成金、正式名称は「特定不妊治療費助成事業」です。都道府県もしくは市町村単位での助成金制度になっていて、各自治体のホームページに詳しく書いてあると思います。ちなみに東京の場合は東京都が助成金申請を受け付けています。夫婦合計の前年所得金額が730万円(全国共通です)となっていて、これは最初は600万円程度だったので、改正されているようですね。噂では、、、来年度は、先の東日本大震災の復興支援のためにこの不妊治療の助成金制度の予算が削られてしまって、今まで1回15万円が2回支給されていたものが少なくなるかもしれないとのことです。が、まだ噂の段階ですけどね・・・。この助成金は年度ごとの申請で、体外受精・顕微授精(融解胚移植も含む)で受けることができます。この助成金申請は、厚労省が定める指定医療機関で治療している方のみ受けられますが、これは、日本産科婦人科学会で登録申請している施設ということです。原則的には、体外受精などを行っている病院・医院は日本産科婦人科学会で登録していると思われます。そして、私たち胚培養士が関わることと言ったら。この助成金制度のために必要な「登録番号」を発行するために、患者様の治療一例一例ごとに日本産科婦人科学会に詳細を登録する業務を担っています。大きな施設などでは、登録する専門のスタッフもいらっしゃるようですが、大半は胚培養士が登録している感じですね。もし専門のスタッフさんがいるとしても、登録するために資料をそろえるのはおそらく胚培養士だと思います。こんなところでも胚培養士のお仕事があるんですよーっていうご紹介でした。あ、もちろん。不妊治療を受けている患者様で、まだ助成金制度をご存じなかったりしたら・・・まずはご自身のお住まいの自治体に問い合わせてみてくださいねそれでは、今日もよろしくお願いしまーすにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.30
コメント(0)
今日は私が担当する勉強会がありまして、「原因不明不妊」についての報告と、先日のIVF学会の演題報告を行いましたー♪原因不明不妊は少し前にここに書いていました通りで、プラスして、治療方法として「不妊治療のステップアップ」についてお話をしました。不妊治療には大まかに三段階のステップがあります。背景には、検査や原因があれば治療を並行して行いながら、治療を進めていくんです。第一段階は、タイミング法を中心とした方法。自然で排卵がある人は自然な状態で。排卵が不安定な方はクロミッドなどの飲み薬を使ったり、hMGというお注射を使ったりして排卵を調整します。そして、排卵相当日に夫婦生活を行っていただきます。この時期に、子宮卵管造影というレントゲンの検査をすることがあるのですが、そのレントゲンの造影剤が子宮や卵管を通るときに綺麗にしてくれて、妊娠率がアップするということがあります。原因不明不妊の方で、約40%程度の患者様は、この子宮卵管造影をした後6か月以内に妊娠するようです。痛くて苦しくて辛い検査ですが・・・・・妊娠しやすくなる!と思って、皆さん頑張って乗り越えてくださいねそして。第二段階は、人工授精を行う方法。人工授精は、運動良好な精子を直接子宮の中にいれてあげることで、より卵に近い位置に精子を置いて、妊娠率の向上を目指す方法です。受精も着床も、すべて自然妊娠と変わりありません。精子の検査結果が悪い方や、頸管粘液と言って、子宮の入り口にある粘液が悪い方は、いきなりこの、人工授精から始まる場合があります。ただ、人工授精で妊娠した方は大体5-7回目までの間に妊娠しているので、人工授精はそれ以上やっても意味がない、とも言われています。半年程度続ける治療だと考えればわかりやすいですね。最後に。第三段階は、体外受精・顕微授精を用いた方法です。原因不明不妊でも、高齢の場合などは、いきなり体外受精からはじまることもあります。また、精子がとても悪い人や卵管が両側無い、もしくは塞がっている方もこの第三段階から治療がスタートします。・・・以上が不妊治療のステップアップについてでした。そして。IVF学会の報告では、やはり「精子は毎日射出した方が良い」というお話が一番驚かれました。トランクスがよいとかは以前から言われていたことでしたが、精子の質だけを考えたら、射出回数は多い方が良いというのは驚きです。ただ、回数が多くなってしまうと、数が少なくなってしまいますので、やはり不妊治療を受けている患者様には「毎日」とするのはどうかな・・・と否定的な意見も出ました。確かに、その通りだと思います。いずれにしても「適度」が一番なのかもしれませんね。それでは、今日もポチッとお願いします!いつもありがとうございますにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.28
コメント(0)
今、私は今度の勉強会のために「原因不明不妊」というものを勉強しています。。。日本生殖医学会(旧・日本不妊学会)では「原因不明不妊」と呼びますが、日本産科婦人科学会では「機能性不妊症」と呼んでいます。どちらも、同じ意味です。原因不明不妊というのは、本当に、真の意味で「原因不明」なのではなくて・・・「現在の診断技術では、原因を見付けることが困難な不妊症」のことを示します。当然なことですが、これからの未来、科学技術、医学の進歩によって、「原因不明不妊」と呼ばれる方は減っていくはずではありますが、今のところは、結構な数の「原因不明不妊」の方がいらっしゃいます。今現在、不妊症のカップルの頻度は、全夫婦の10-15%程度、と言われていますが、このうち、原因不明のカップルは約20%程度いらっしゃるそうです。不妊症の検査には、基礎体温、血液検査(ホルモン検査)や超音波検査、子宮卵管造影(レントゲン)や、男性側の検査だけではなくて、腹腔鏡や子宮鏡の特殊な検査もあります。それら検査をしても、原因が見つからないのが「原因不明」です。たとえば、体外受精をしてみたところ、受精しなかった「受精障害」とか卵巣から排卵された卵子が、卵管に入っていかなかった「ピックアップ障害」とかも原因不明の一つになると思われます。だからといって、理由もなく体外受精・顕微授精するのは、身体的、経済的な負担が大きすぎるので、いきなりステップアップせずにまずは検査をしながら、自然に近い状態で妊娠に導くことが基本・・・って、本に書いてありました。最近はすぐに体外受精とか言われて、ビックリして転院する患者様もいらっしゃいますよね。確かに、体外受精では、色々なステップを飛ばすことができますが、、、。精神的にも負担が小さい訳ではないので、やはりカウンセリングとかもしっかりやっていただけると良いですよね。病院によってそれぞれだとは思いますが。。。患者様もご夫婦でよく話し合われてからステップアップしてくださると良いな、と。そう、思っています。それでは、今日も読んでいただきありがとうございました!よろしくポチっとお願い致しますにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.26
コメント(0)
今日は抄読会という、論文を中心としたお勉強会がありました。今日取り組んだDr.は、本当は染色体異数性・・・本来なら2個セットの染色体が1個しかない、とか3個以上ある、とか、組み合わせがおかしい、とかそういう異常のある卵のお話を探していたようですが、、、。読み始めて見たら、ちょっと違うタイプの論文だったようです。体外受精でも、顕微授精でも。受精したら、すべて赤ちゃんにつながる良い卵、、、という訳ではないんですね。ですから、採卵した後に、受精は○個だけれど、胚移植は△個、凍結保存は□個で・・・あれれ?受精した数と合わないな、って事がしばしば起こります。受精はしたものの、赤ちゃんになる前に細胞分裂が止まってしまったりするからなんです。その卵が異常があるかどうか、見た目だけで判断することは難しい事が多いのですが。 今回のお話は「受精してから2日目」の卵を観察することによって診断する・・・というお話で。受精してから二日目は大体卵は4細胞になっている事が理想です。そして、4細胞の細胞1個1個に、本来なら、「核」が1個ずつあるはず。細胞の核なので「細胞核、cell nucleus」なんて言ったりもします。この「核」はとても重要で。私たちの身体、顔、表面から内部まですべてを司っている『遺伝情報』が保存されている場所です。で。大抵は細胞1個につき、1個の核が含まれます。(骨格筋などの例外もあります)ところが。卵の細胞の中には、核が2個以上ある「多核」と呼ばれる細胞が時々出現します。実際に、卵を観察すると核が2個以上見ることができる場合もあります。この「多核」の卵が問題で。「遺伝情報」が含まれている「染色体」を調べてみると、多核の場合、8割ぐらいが異常がある。そして、2割ぐらいは正常な卵も存在する。だけれども、「多核」で「正常」な卵を胚移植しても、妊娠率は0%!なんです。その論文の結論としては・・・ 「受精して二日目に多核を確認した場合、胚移植も染色体検査もする必要はない」・・・となっていました。妊娠率が0%だから、ということなのだと思いますが・・・。だから、受精してもダメになってしまう卵があるというか、卵がもともとダメだったのか、精子がもともとダメだったのかその辺りはハッキリとはしませんが、胚移植にも、凍結保存にも適さない卵もある、ということの一例なのでした。それでは今日もポチっとお願い致しますにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.25
コメント(2)
数日前になりますが、へーーー、なるほどーーーというニュースがありました。アメリカのサイエンスという雑誌に群馬大の教授が載せた論文で、いわゆる、ミトコンドリア・イブを解明したニュースです。 卵はお母さん由来であることはみなさんご存じだと思いますが、 そこにお父さん由来の精子が来て、 卵と精子が合わさって、受精卵になりますよね。今までわかってきていたことは、卵受精卵となる過程で本来、「お母さん」の卵だったのが、受精卵として「子供」の細胞になる。この「お母さん」「子供」って変化するときに、「お母さん」の部分だけ、細胞の自食作用と呼ばれる「オートファジー」によって無くなる・・・というお話。 う・・・。えーーっと、えーーっと 「オートファジー」っていう細胞の代謝のしくみがあるんですね。オートファジーとは、細胞が生きていくために、自ら自分を食べちゃって、細胞の成分であるアミノ酸をリサイクルするっていう仕組みなんです。で、「お母さん」から「子供」へ代謝が起こって、リサイクルされる。・・・ここまでは数年前に解明されています。今回わかったのは、精子のミトコンドリアについて。ミトコンドリアは細胞のエネルギーを作り出すのに重要な役割をしています。(確か高校ぐらいで習うような・・・???)このミトコンドリア。受精するのは「お母さん」由来の卵と、「お父さん」由来の精子なのに、遺伝情報とかは、両者から引き継がれるのに、ミトコンドリアだけはなぜか「お母さん」由来となっているんです。精子だって受精するときに卵の中に入ります。顕微授精するときなどは、精子そのまま1個を卵の中に入れて授精させますからね。。。だから、精子が元気に動くエネルギーを作っている「ミトコンドリア」も卵の中には入っている。だけど、子供にはお母さん由来のミトコンドリアしか引き継がれない。逆に言うと、お母さん由来のミトコンドリアしかいないのだから、人類の起源をさかのぼっていくと、きっと一人の「女性」に人類すべてがつながっているであろう、と。それが「ミトコンドリア・イブ」。アダムとイブの「イブ」です。でも、なんでお父さん由来の、精子由来のミトコンドリアが子供に引き継がれることがないのか、その仕組みがわかっていなかった。それを解明して、先ほど書いた「オートファジー」によって精子のミトコンドリアが消化されている、ということを論文にして報告したようです。だから、へーーーーーって。ふーーーーーん、そっかーーーーって。卵も精子も、「受精卵」として「子供」になるときはオートファジーの仕組みによって、引き継がれない部分が出てくるのだなっと。その仕組みが起こっている時期は、私たちが受精卵をお預かりして、培養している期間だったりして、さらにへーーーーって感銘を受けたりした今日この頃でした。うーーん。どうでしょう。ちょっとは面白かったでしょうか・・・???というわけで、今日もよろしくお願いいたしますーにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.18
コメント(0)
今日は、受精卵の進み方と形について書いてみます!今、私の読んでいる論文が、そういう論文で、それはそれはボリューミーで読み応えがあるというか、挫折しそうな長さというか(爆)今日書かせていただいているのは、人間・ヒトの受精卵についてです。(動物だと形は同じでもタイミングが異なるので、時間的な配分は参考にならないかなー。)まず、受精した日、これを[day1]1日目、と考えます。正常に受精したか、受精しなかったか、異常な受精をしてしまったかは、顕微授精や媒精などで精子と卵が出会ってから、16~20時間(大体は18時間)で卵を観察して判定します。受精したかどうか、6時間ぐらいで判断できますが、そこだとまだ確定はできない。受精しているかしていないかミスする可能性もあります。大体、12時間ぐらい経つと、はっきりしてきますね。ただ、1日24時間、胚培養士が業務しているわけではないので、12時間とかで卵を見ることは物理的に難しい・・・。ので、だいたい18時間ぐらいで判定するわけです。ここでわかるのは、受精したかどうかということなので、それ以上の詳細は難しいです。その後、卵が進みにくいとか、妊娠率が低めの卵かどうかをその時間で判定することも可能ですが、ちょっと曖昧かな。 「あぁ、これは正常に受精しているけれど、ちょっとその後が心配だね」・・・という程度なら判定可能です。これはScottやTesarikというヒトが判定基準を作っています。そして、次が意外と肝心なタイミング。卵が受精卵として、最初の細胞分裂をするタイミングです。つまり、1細胞期だった卵が2細胞期胚(胚:受精卵)となること。 これをearly clevage check, ECCと言ったりしますが、 大体25-27(28)時間後に見られると理想的です。 この時間内に卵が2細胞期になっていれば、 綺麗な卵に進んだり、胚盤胞に進みやすかったり、着床しやすかったりします。この時、細胞質のカスと言われているfragmentが無ければ無い方がよいのですが、このfragmentation(その名の通り、細胞質が断片化したもの)は細胞分裂が進むと、出てきたり、消えて吸収されたりするので、1度チラリと卵を見ただけでは判断できません。これは、鳥取・米子のミオファティリティクリニックの見尾先生が特殊なビデオ装置を使って、卵の細胞分裂を詳細に観察した結果わかったことでもあり、このビデオを初めて見たときは、本当に感動しました!そして、いつ見させていただいていても、感激します!!・・・おっと。熱くなってしまいました(照)受精卵のクオリティーと言えば、2日目の朝の4細胞期胚や3日目の朝の8細胞期胚のスピードと形が重要視されていました。もちろん今でもこのタイミングで受精卵を観察し、グレード分類を行うのですが、(Veeckという人がこの分類を提唱しています)何となくちょっぴりはっきりしない。たとえば、とっても綺麗な4細胞期胚やとってもきれいな8細胞期胚がその後、胚盤胞にならなかったり、着床しなかったりすると、私たちもとても寂しく、ガッカリしてしまいますが、でもVeeckの分類だと最良好胚になるんだよな・・・ってことがあるからです。それよりかは、やはり、初めての細胞分裂・2細胞期胚にいつなったか、というのが結構その後に響いてくると、私は実感しています。もちろん、それらをすべて含んで時間を追ったグレード分類を行っている人もいます。特に、Fischらがこれらを網羅した報告をしています。最後に胚盤胞。5日目か6日目で胚盤胞に進んでいると望ましいとされていて、中には7日目で胚盤胞に進んで出産に至った、という患者さんもいらっしゃったようですが、それはとても稀な例だと思います。胚盤胞はGardnerという人の分類が一番わかりやすくて、おそらく、Gardnerの分類をそのまま活用、もしくはこれを応用して独自に判断している、といった施設が多いと思われます。うーん。なんだか熱く書いてしまったような気がしますが。胚培養士であれば、この辺りは誰でも頭に入っているすんなり出てくるはずの知識です。結局、採れた卵は良くすることは難しくても、悪くしないようにすることは努力次第でできると思いますし、その後、各タイミングの観察によってより妊娠しやすい卵を見分けるのも胚培養士の大きなお仕事の一つです。経験も知識も重要なのが卵の観察ですが、いつもいつも患者様の卵によって、私たちは勉強させていただいているんだなぁとつくづく思いました。それでは、本日もポチッとよろしくお願いします!とても励みになっていますにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.17
コメント(0)
当院には内科的・精神科的な病気を抱えながら不妊治療をされている方が大勢います。もちろん、内科や精神科に通院されつつ、不妊治療をされている訳で、内科や精神科の医師がOKを出さない限り、不妊治療はできません。不妊治療の先には、妊娠・出産があるので、不妊治療で使われるお薬や、妊娠・出産・育児の影響が「お母さん」の病気に悪影響を及ぼす可能性が高くなってしまう場合がありますから、かなり慎重に治療を進めていく訳ですね。 私たち、胚培養士でも、この病気を抱えている患者様に関わる問題があるんです。たとえば、採卵をすることは可能で、何とか頑張って採卵をしていただいて。だけれど、胚移植を行うにはまだ耐えられない。妊娠はもうちょっと身体の調子がよくなるまで控えた方が良い、という場合。採卵をしていただいて、卵を私たちが預かってからは、精子と合わせて受精させ、受精卵を子宮に戻すことができないので、全ての受精卵を凍結保存する。・・・ということがあります。 最近、このような患者様が続きました。でも、病気が原因かどうかわからないけれど、 たとえば、「甲状腺に関わる病気」や「免疫に関わる病気」の場合、 卵がどうしてもベストな状態になることができない場合があります。 一概にどの病気が受精や妊娠がしにくい、とかはまだハッキリとは言えません。色々な学会や論文で報告があって、色々な状態があるということはわかっていても、実はまだ、細かい所が全く解明されていません。ある重い免疫にかかわる病気を抱えている患者様で、なかなか正常に受精することも難しい場合があるのですが、その場合でも、「何回か治療を繰り返せば、正常に受精し、正常に育ち、妊娠に至る」・・・こんな書き方をしてる論文を目にします。患者様にとっては、採卵1回1回がとても重くて、大変で。貴重な、貴重な採卵の機会を経ている訳ですが、だから私たちも最善を尽くして受精卵を育てようと努力するのですが、、、。何回かやれば成功する、なんてそんな不安定なことは考えたくないし・・・。どうしたらその患者様がご納得されて、ベストな受精卵をお戻し出来るかは、日々考え、悩んでしまうのです。他の病気を抱えていても、他の病気を担当する医師がOKさえだせば不妊治療を継続することは可能ですし、このように、採卵と胚移植を分けて考える、つまり、治療と妊娠を分けて考えることも可能です。あとは、私たちが最善を尽くして、ベストな受精卵を育てる。そこがポイントになってくるだけですね。さまざまな培養液、培養方法など沢山の資料と経験から、例えボスがチャランポランで患者様のベストを考えないとしても、私たちボス以外の他のメンバーは、患者様にベストを尽くしたいと常に考えています。私が今勉強している課題も、先日ある医師が読んでいた論文も、各患者様の状態から派生したものでした。 ・・・。 もっと勉強して、沢山の患者様の喜ぶ顔が見れるように、がんばらなきゃっ!!!にほんブログ村にほんブログ村
2011.10.12
コメント(0)
明日でこちらのブログを開設してから200日になります。色々な方が私のブログを読んで下さっているので大変嬉しく感じています。これからも、よろしくお願い致しますさて。今日は夏休み期間中(前後も含めて)にお休みしていた科の中での勉強会が再スタートしました。不妊治療について、1から一つ一つ勉強していく会です。今日は男性不妊の中から・・・特に男性機能について。いわゆる「精子を射出する」ということが難しい男性についてです。この楽天ブログだと、専門用語を書いていても引っ掛かってしまうんですよね・・・。少々読みづらい(まわりくどい言い方になる)かもしれませんが、最後までお付き合い下さいm(_._)m 男性の「性交障害」とは、タイミングを取ることができない状態、 そのチャンスがあっても、4回に3回(75%)は失敗するケースを指すのだそうです。 特に統計によると、日本人は非常に多い。 調査上では30代から70代の男性の約40%が性交障害があるのだそうです。 ブラジルだと15%、イタリアだと21%、マレーシアだと16%・・・という結果からみると 日本はずば抜けて高いのだそう。 これには、日本の人口が高年齢化しているところも背景にあるようですが、 やはり、ストレスを多く抱えている日本人、というのが伺えるのだそう。 ・・・もちろん、心因的なものだけではありません。 たとえば、糖尿病を抱えている人は特にチャンスを生かせない人が多いらしく、 その他、いわゆる「生活習慣病」の人も多いのだそう。 また、お薬によってチャンスを生かせない人も多いです。 男性の普段飲まれている薬を一時的に止めることによって、 検査の結果が著しく向上することもあります。 実際に、ある病気を抱えている患者様が、 医師の許可を得て、お薬を休んでいただいたところ、 顕微授精でしか対応できない様な精子の結果から、 人工授精でも十分対応できる検査結果にまで良くなった経験があります。 ただ、簡単に薬をやめられるものでもないので、 もし常にお薬を飲まれている男性であれば、担当の医師と相談して その薬が精子に影響があるかないか伺った上で休薬するのも手なのだと思います。 もちろん、独断でお薬を止めるのは大変危険ですから止めましょう! いずれにしても。 生活習慣病はあらゆる問題を抱えているのですね・・・ うーーーむ。 それでも。 男性がチャンスを生かせない一番の理由は、「心因的」なものだそうです。 たとえば「今日は排卵日だから、タイミングを取る!」と 奥さまから言われたとたん、タイミングが取れなくなる。 排卵の時だけ、プレッシャーで「出来なくなる」患者様もいらっしゃいます。今日はこの発表を男性の産婦人科医が発表していたのですが。。。やはり難しい問題だ、という事を話していました。実際に、不妊治療中でタイミングを取るということは最初のステップですが「今日」とか「今」とかって、簡単にできるものではないですものね。パートナーの事をお互いに思いやって、タイミングをタイミングとして意識せずにする、これはとても難しいですけれど、女性側も男性のパートナーに最大限の気遣いを発揮しなければならないところではないでしょうか。女性も男性も、時として「がんばりすぎない」努力が必要なんですね。それでは、今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!よろしくお願い致しますにほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村
2011.10.07
コメント(0)
ついに買ってしまいました!【送料無料】カラ-アトラス不妊診療のための卵子学価格:13,650円(税込、送料別)この本は、昨年出された本なのですが、出た時から、欲しくて、欲しくて。でも、ちょっとお高くて、、、すぐには手が出なかった(汗)先月の学会でも本屋さんが出展しており、この本もちゃんと並んでいました。学会の本屋さんは専門書の関係ある分野のものを多く取り揃えているので、本を探すにはちょうど良い場なのですが。学会の場でもやっぱり悩んでいた私。ところが、勉強熱心な当院の皆さん。皆でそれぞれ本を買おうか、という話になり、意を決して私もご購入~。カラーアトラスって、カラーの図説っていう意味なんです。卵は本当に色々な形をしていたり、色々な状態があって、顕微授精をする際に、卵を顕微鏡とモニターで拡大すると、それはとてもよくわかります。人間にはそれぞれ個性があるように、卵にも一つ一つ個性があるんですね。で、それぞれの時期と状態を詳細に説明してある本がこちらです。ちょっと難しいかも知れませんが、『絵本』として眺めているだけでも幸せ・・・マニアかもしれないけれど、卵の事を知るにはもってこいの本なのです。もしよろしかったら、こちらの本、見てみてくださいね♪次に狙っている本も、、、、。もっと高い本ですが。こちらも「卵」の本。【送料無料】卵子学価格:29,400円(税込、送料別)先月発売されたばかりの新しい本です。今年の冬のボーナスで買ってしまおうかと、密かに検討中です(全然密かじゃない・爆)患者様のために、少しでもなるのなら、もっともっと勉強しないと今日は勉強会で、受精の仕組みの詳細を教わりましたが、、、、。とても難しくて、ブログに噛み砕いて説明することも難しかったので(涙)卵のことも、受精のことも、精子のことも、、、、。世の中、まだまだわからないことだらけ。まだまだ奥が深いですねーーーーー・・・というわけで。今日も読んでいただき、ありがとうございました!にほんブログ村にほんブログ村
2011.10.05
コメント(0)
今日はまたまた抄読会でした☆つまり、、、。論文を読んで詳細を説明しながらディスカッションする勉強会です。今日の論文は、インドの方が書いた論文(もちろん英語です)。 体外受精や顕微授精をする時に、 卵を沢山取るために卵巣を刺激しますが、 その注射や飲み薬の反応が悪い人の背景・・・っていうのが、大まかなタイトルです。採卵をするためには1個以上の成熟した卵が必要ですが、そのためには、注射をしたり、飲み薬を飲んだりするって、先日のブログに書きました。でも、お薬やお注射の利き目が悪い人っていうのがいます。結構な割合で。。。それで、先生方は日々苦労して、その患者様に合わせた処方をする訳です。場合によっては、数か月前の生理周期から調節したりします。せっかく大金を使って臨む不妊治療ですからね。ベストを尽くしたいのは、患者様だけではなくて、医師もスタッフも同じことなんです。で。今回の論文では、どういう人が「お薬・お注射の効き目が悪いか」っていうのを調べたものでした。 「年齢」・・・これはもう、しょうがないですよね。。。 個人個人は違いますが、平均すると効き目が悪い人の方が年齢が高いです。 「喫煙」・・・本人やご主人が喫煙をしていても、喫煙していなくても、 これは関係ないみたいです。 「体重」・・・差はハッキリとはありませんが、 効き目が悪い人は、いわゆる「BMI」が肥満の値の人。 ★ちょっと衝撃的だったのが・・・ 「仕事の有無」・・・ストレスの多い仕事をしている場合、効き目が悪いそうです。 「都市部に住んでいるか否か」・・・インドの例なので、日本にあてはめてよいかどうか? 都市部の方の方が効き目が悪いらしいです。 ★そしてそして。結構驚いたのが。。。 「母親の閉経年齢」・・・母親の閉経年齢が若い人は、効き目が悪いらしい。 インドの閉経年齢が異様に若いのですが、 効き目が悪い人の母親の平均閉経年齢は38歳!若い! 日本ではこれだと「早発閉経」と言われる病気にあてはまってしまいます。 効き目が良い人の母親の平均閉経年齢でも42歳! 実に4歳も差があるのですが、それにしても若いですね。 日本の平均閉経年齢は約50歳だそうですが。 日本人の平均寿命がどんなに延びても、閉経年齢は上がらなかったそうです。 昔は、閉経する前に平均寿命だった時代が多く、 閉経する前に亡くなってしまうために更年期も無かったのだとか。母親の生理の様子や更年期の様子は、一般的にも、娘に受け継がれたりすると言いますよね。母親が早く閉経してしまうと、娘も早めに閉経してしまうかもしれません。あるいは、不妊治療がやや困難かも知れません。私の母親の閉経年齢・・・・・。うーん。正確には知らないですね(汗)更年期だった時は、何となく知っていますが。。。今度会ったら、母に閉経した歳を聞いてみようと思います。もうさすがに・・・閉経しているだろうし・・・???皆さんも一度、お母さまの生理や更年期、閉経について聞いてみてはいかがでしょうか?では、今日も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!よろしくお願い致しますにほんブログ村にほんブログ村
2011.10.04
コメント(0)
昨日は胚培養士の後輩の結婚式でしたもちろん、違う病院の胚培養士さんで、同じ大学出身の面々がそろい、各地の胚培養士さんが揃ったりして、なんだかまるで研究会や学会のよう。とてもほのぼのとした、とても幸せなカップルでしたそういえば、以前、学生さんからこんなことを聞かれたことがあります。「胚培養士になっても、結婚できますか?子供を産めますか?」・・・。どういう意味でそれを聞いたのかはわかりませんが、、、、。胚培養士にも色々いて、キャリアを積む人、すぐに結婚して辞めてしまう人、子供が生まれても変わらずに頑張る人、子供が生まれたところで、パート程度でお仕事を続ける人、みな、それぞれです。もちろん、男性の胚培養士さんも居ますが、ちゃんと皆さん家族を養っているようですので、キャリアアップとともにお給料もしっかりといただけるのだと思います。不妊治療に携わる私たちですから、私たち胚培養士だけではなくて、医師、看護師、事務さん含め全スタッフが、妊娠した場合、特にお腹が目立ってくる頃には一度、第一線を退くこともあるかもしれません。先生によっては、患者様の前に出ることを禁じたり、長期の産休を取るようにすすめたり、、、、ということもあります。患者様の目に触れない所で働くスタッフであれば問題は少ないのでしょうが、どこの病院でも、その辺りは大変よく気を使っています。たとえば、産婦人科で不妊治療をする場合には、お産の方と、不妊治療をする方の通院時間を重ねないようにしたり、入口を変えたり、いろいろと工夫しているところが多いですね。もちろん、病院によりますけれど・・・。というわけで。昨日は男性の胚培養士さんの結婚式だったのですが、少しずつ男性の胚培養士さんも目立って表に出るようになって、場合によっては医師と肩を並べて学会の壇上に立ったりして。まだまだ胚培養士の歴史は浅いのですが、男性でも女性でも、大学院出身でも四大出身でも、検査技師さん出身でも、皆さん、本当に頑張っています。近い将来には世間的にも知られるようになって、こんなお仕事に就きたいって言ってくれる様な学生さんがもっともっと増えていったら良いなって思っています・・・。今日は危うくボスに対する愚痴を長々と書いてしまいそうになりましたが(爆)趣向を変えて、胚培養士のアレコレを書いてみましたそれでは、今日も最後まで読んでくださってありがとうございます!とても励みになっています♪よろしくお願いしまーすにほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村
2011.10.03
コメント(0)
採卵の方法について今日は書いておきますね。・・・というのも、私が色々経験してきたクリニック、病院で、採卵までの方法、採卵の方法が結構違うからです。胚培養士としては、採卵された卵子が含まれた液(卵胞液)から卵子を探す、検卵という作業を行うのですが、胚培養士業務になってしまえば、そんなに変わりはありません。だから、いろいろな病院をお手伝いしてもちゃんと仕事がこなせるんです。でも採卵の方法は結構違いますね。採卵を行う医師が、採卵を習ってきた過程が様々だから、その中から、自分に良いものを選んだ結果違うタイプになっているのだと思いますが。手術の様式が色々違うのと同じです、、、、が、それも普通はわからないかな。。。★採卵とは、体外受精や顕微授精の際に、成熟した卵が必要になりますので、排卵直前の卵を卵巣から採取してくることです。排卵直前の卵を1個から複数個、採取するためには、自然の排卵を確認しながら採ることもありますし、飲み薬を使って卵の成熟を促したり、注射を使って卵巣を刺激して卵を複数個成熟させたり、その方法は、各クリニック、各病院、そして各先生によってい色々行われていますし、一人の患者様でも、毎回同じではないことが多いですね。その患者様、その生理の周期に見合った方法を医師がチョイスして行うところがほとんどです。そして、排卵直前の状態にするために、スプレキュア・ブセレキュアなどのGnRHアナログと呼ばれる点鼻薬を使ったり、ゴナトドピンなどのhCGの注射薬を使ったりします。hCGのお注射をすると、36時間後に排卵しますので、その直前に採卵します。だから、採卵が朝の9時だと、前々日の21時に注射したりしますね。そして、採卵は、、、。麻酔を使うところ、痛み止めだけを使うところ、それぞれです。麻酔で多く使われているのは、軽く眠くなるお薬で、眠っている間に採卵が行われるので、痛みは全く感じないはずです。痛み止めは座薬や注射薬など様々ありますが、痛みを全く感じないわけではありません。患者様は眠っていないので、痛みを感じて動いてしまうと、大変危険ですね。私が個人的に採卵を受けるとしたら、麻酔を使って欲しい派です(爆)(医療者は必要以上に痛みに弱いという噂があります(苦笑))痛みの感じ方は人それぞれですし、必ずしも麻酔を使わなくても、大丈夫か大丈夫じゃないか、それも、、、実際に患者様自身が体験しないとわからないかも、、です。お産の痛みが人それぞれで、誰に聞いてもそれぞれの経験があるのと一緒で、、、、。とにかく、その辺りは、各病院でレクチャーがあるでしょうし、無くても、採卵の前に看護師さんなどから説明があるはずです。採卵も手術の一環ですから、同意書などをいただく必要があり、その時にちゃんと説明を受けてくださいね。採卵は長い針、だいたい30cm程度ある針で、経膣超音波、、、膣からの超音波で卵巣を確認しながら膣の一番奥、子宮の入り口の横の「ダグラス窩」と呼ばれる部分から針を刺して、卵巣の中の卵胞から、卵を含む液(卵胞液)を抜いてきます。その採卵の時に、卵巣の中の卵を含む液だけを抜いてくるか、卵子の取り損じがないように、卵巣の中を洗いながら採ってくるか、、、も、各医師、各病院によってそれぞれ異なります。そして、そこからは私たち胚培養士が卵を探す出番となり、あとは培養室内での操作になってきます。文章にすると、採卵とは、そんな感じなんです。なかなか文書だけだと実感がわかないかなぁ。。。言葉で伝えても、伝わりにくいものですものね。でも、採卵は日本国内で年に10万件以上行われていますので、そう考えると結構な数ですよね、、、、。意外と身近に採卵を経験した方っているかもしれません。少なくとも20代から50代前半の女性に限られていますから。。。・・・というわけで、今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました!にほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村今日もよろしくお願いします!!
2011.10.01
コメント(0)
今日は先日ちょこっと触れたPCOについて書こうと思いまして、まずは排卵障害について書き始めて見ます。排卵障害。一言で言えば、排卵をしない状態のことです。排卵しなければ、卵が無いので受精もしない。だから妊娠できません。生理が全く来ない 無月経の方。生理がたまにしか来ない 稀発月経の方。これらの方々も排卵障害の一部です。子宮や卵巣はあって、でも無月経とか稀発月経の方などは、病院に行って、ホルモン剤を注射してもらうかホルモン剤のお薬をもらうなどすれば生理が来て、排卵する場合もあります。その他、基礎体温をはかってみても低温と高温の二層になっていない場合、単層でバラバラとしている場合は無排卵を示していることがあります。こちらの場合は、普段は排卵していても、ストレスなどでホルモンバランスが崩れて、排卵しなかったりする時にも起こります。一時的なものであれば、違う生理の周期では排卵しますね。ホルモンバランスの乱れで無排卵になることからもわかるように、排卵は脳から指令され分泌されるホルモンによって起こります。先日書いた、PCO(S)、多嚢胞性卵巣(症候群)も、そんな排卵障害の一部です。世界的にも、日本国内にも定義は決まっているけれど、まだ実は背景とかはわかっていないんです。日本産科婦人科学会では1.月経異常(生理不順とか)2.多嚢胞性卵巣3.血中男性ホルモン値が高い もしくは LH(黄体ホルモン)の基礎値が高くて FSH(卵胞刺激ホルモン)の基礎値が正常・・・この3個が当てはまるとこの病気だと診断できるとしています。2の多嚢胞性卵巣ってなんでしょうか。これは、超音波で卵巣を見た時に、卵が含まれている袋の「卵胞」が小さいながら沢山あって、あたかもネックレスの様に見える状態・・・を示しています。実際には排卵する時に破ける卵胞の膜が硬かったり、卵巣の刺激をして、卵を育てようとしても育たなかったり、さまざまな原因があって、卵はあるのに排卵しない状態なんです。諸外国では、男性ホルモンが高いために、多毛だったり、ニキビが多かったり、それから、肥満を伴っていることも多いのですが、日本人のこの病気は必ずしも太っていなくても、痩せていてもこの病気の人がいます。以前私が大学病院にいた時に、この病気に関係する研究をさせていただいていのですが、この病気は本当に難しくて。結局は、今になってもその病気の原因等ははっきりしませんし、この病気の人は、卵の質があまり良くない、という俗説がありますが、その原因もはっきりとはわかっていないのです。体外受精や顕微授精で扱う卵は、患者様のお腹の中の卵巣で排卵ギリギリまで育てます。この時の育ちが卵の質に影響を及ぼすと考えられていますが、結局のところ、最善策というのが見つかっていない状態だと思います。良い卵、悪い卵、もしくは数が多かったり少なかったり。患者様それぞれでもお薬の効き方が違うように、採れる卵もそれぞれ違うんです。私がこの業界に携わっている間に、これらのことが解明されて、卵が良くなる方法が具体的にわかったら良いのですが、、、。そして、出来ることなら、採れた卵を「良くする」方法が見つかってくれたら、本当に嬉しいです。というわけで。今日もありがとうございます!よろしくお願い致しますにほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村
2011.09.30
コメント(0)
なんだかすっかり秋めいてきました。皆さんのお住まいの方はどうでしょうか・・・?さて、今日はお勉強ノート的に日記を書いてみますね題して、顕微授精の適応とリスク。。。なーんて、ちょっと大げさですが(爆)顕微授精を受ける対象の患者様は本来なら、 ☆体外受精で受精障害となった場合 ☆体外受精で受精障害になると予想される場合 1)重症な男性不妊の場合 2)精子は居るけれど、そのほとんどが死滅してしまっている場合 3)動いている精子が居ない場合 4)射出された中に精子が居なくて、手術で精子を取って来る場合・・・という風に定義付けられています。でも最近では、 はじめての体外受精の時に、念のために顕微授精も併用する とか、 体外受精をやってみたけれど、受精が確認出来ないため、レスキューで顕微授精するなんていう場合の適応もあります。ただ、病院によっては、 ☆卵が1個しかなかった場合 ☆高齢女性の場合なんかにも顕微授精を選択したりします。本来の適応ではないけど、受精しなければ始まらない、という理由だと思いますが。これについては調べた方がいるんです。 『卵が1個しかない場合、顕微授精と体外受精、どちらが受精率が高いか』・・・という事を調べた場合、 『年齢が若くても若くなくても、顕微でも体外でも受精率に差は無い』・・・という風に報告されています。また、妊娠率についても体外受精と顕微授精の差を認めていない、とのこと。・・・つまり、顕微授精を選択する理由が全くないのです。。。だから、男性因子ではない場合は、顕微授精を選択する必要はない。お金がかかる、うんぬんも大きいとは思いますが、それだけではない。顕微授精は、体外受精よりも体外で操作することがとても多くなります。それは。。。 1)卵の周りの細胞を酵素などを使って取り除く 2)運動良好な精子を1個捕まえて、非働化という処理をする 3)2の精子を卵の細胞質の中に細い針で入れてあげる・・・という操作をするからです。その他にも、まだまだ歴史が浅い顕微授精。最初の顕微授精の子供が世界で初めて生まれて、来年でやっと20年。どんな遺伝的なリスクが潜んでいるか、わからないままなんです。動物では色々と報告されていますが、それがすべてヒトに応用されるというわけでもないし。将来、顕微授精の子がどんなお爺ちゃん、お婆ちゃんになるかは誰もわからない。わからない事があるから、顕微授精は必要な時だけ行うのが望ましい、と警鐘を鳴らすDr.もいるぐらいです。ちなみに。先天異常の子供が生まれる確率は、 自然妊娠の場合 1.7-1.9% 体外受精の場合 1.21%(やや低め?) 顕微授精の場合 1.68%(自然と同じぐらい) 凍結胚移植の場合 1.47%(やや低め?) 生殖補助医療全体では 1.68%(自然と同じぐらい)・・・という報告があります。今のところ、顕微授精でも体外受精でも特に問題は無い・・・のかな・・・?年齢別だと40-44歳で約2%ぐらい、45-49歳では14%を超えます。(一気に増えてしまう)無理に怖がる必要もないけれど、無理に顕微授精を選択する必要もないってことですね。うちの病院でも、顕微授精か体外受精か、どちらかで悩む患者様がいらっしゃいます。その時々の精子や卵の状態でも違うから、その時々に悩むこともあるんです。そういう場合は、私たち胚培養士と医師が、過去の経験や検査結果からいろいろと総合的に判断して話し合って、最終的には、担当の医師と患者様で話し合って決断します。顕微授精だとお金もかかってしまうので、強引に顕微授精を選択するなんてことは、ありません。・・・だから。中には、他の病院で「あなたは顕微授精でないとダメです」と言われて来た患者様が、うちの病院で検査すると、どうも顕微授精をする理由がない、というわけで、あえて、体外受精を選択してみると、、、、。あっさり、受精する!体外受精でも問題なかった!!・・・なんてことが、あったりするぐらいなんですよ。顕微授精を選ぶことって、やっぱり難しいのですー。↓というわけで、いつもありがとうございます!↓励みになります♪今日もよろしくお願いします!にほんブログ村
2011.09.28
コメント(2)
今日、携帯のニュースを見ていたら、気になったニュースがありました。『男女産み分け目指しタイへ 日本人急増、年に約30組』・・・というものです。記事を転記いたしますと、『子どもを望む日本人夫婦がタイに渡り、受精卵の染色体を調べて、男女産み分けをするケースが増えている。朝日新聞の取材で、この1年間で少なくとも30組の夫婦が利用していたことが分かった。受精卵の診断は「命の選別につながる」として、日本では重い遺伝病などに限られており、倫理的な課題が多い。 タイでは近年、医療技術が向上し、海外の患者にも人気の医療先進国になりつつある。受精卵診断も約15の医療機関が実施している。朝日新聞が、日本人が多く行く2施設に取材したところ、2~3年前から日本人が増え、この1年で計約30組が男女産み分けで受精卵診断を受けたと回答した。診断には体外受精が必要なため、不妊でない夫婦でも体外受精をしている。不妊夫婦が卵子提供を受け、男女の産み分けをする例もあるという。』・・・だそうです。確かに男女の産み分けを希望するカップルが多いのは現実です。女の子がどうしても欲しいというヒト、「家」のためにどうしても男児が必要だというご家庭、それぞれですが、うちの病院にもそれを言ってくる方がいます。今、日本国内での出生前診断は、ごく限られた患者様に限られて行われています。行うことができる施設(病院)も限られていて、さらに、個々の患者様の遺伝的背景などをすべて倫理委員会を通したうえで、日本産科婦人科学会の委員会が許可する形で行われます。したがって、現在は、限られた遺伝病などに限って許されている手法です。たとえば、筋ジストロフィーなどは男児だと病気を発症するため女児を選択することが可能であったりしますし、習慣性流産と言って、流産を繰り返すカップルが、遺伝的にその条件を持っていて、流産にならないように赤ちゃんになる前の卵の遺伝子を調べて胚移植する、など。ただ、「男の子が欲しい」「女の子が欲しい」では日本国内では許されないので、海外に行ってその手法を行ってくる、というのがこの記事なんだと思います。でも。これって、赤ちゃんになり得る受精卵から細胞を1個取り除いてしまい、その1個の細胞から男女や遺伝子の異常などを検査して診断する手法。100%安全であるという確証が持たれたわけではありませんし、そもそも、男ならいらない、女ならいらない、なんてそれって親のエゴ、勝手なことだと思いませんか?もちろん、、、。今は、産んだ後にも虐待をする家が目立ってきて、産んでも産まなくても勝手なことは沢山行われてきている世の中ではありますが。私たち、胚培養士が操作すれば、技術的には可能なこと。でも、倫理的にはやっぱり許されないと思うのです。特に規制のない海外に行ってそれをやってきてよい、ということってあるのでしょうか。そんな身勝手なことって許されるのかな。。。。。私は、この記事を読んで、釈然としませんでした。それが、普通の考えではないのでしょうかね、、、。これって、お金さえ払えば何でもしても良い、という風考えに思えてならないのです。なんだか、ガッカリです。というわけですが、こちらの方もよろしくお願いしますーm(_._)mにほんブログ村
2011.09.25
コメント(1)
今日は勉強会に出席していたので、更新が遅くなってしまいました(汗)私たちの業界は、医師と同様に勉強会とか研究会が結構多いんです。学会みたいに一日どっぷりではなくて、仕事の後に夜から参加するタイプ。今日はそんな中から気になったお話を書いてみようと思います。日本国内には現在、約600施設もの不妊治療を行う病院・医院があります。不妊治療と言っても、人工授精(AIH)やタイミング指導などの基礎的なものではなく、体外受精や顕微授精・凍結を行う生殖補助医療に関わる施設数です。これは世界的にみたら異様な数。九州のある県には1施設しかなかったりする反面、東京や神奈川、大阪などの大都市圏には多くの施設が競合しています。日本の倍の人口であるアメリカでも、生殖補助医療を行う施設は400なので、日本の「600」という数字はかなり大きいことが伺えます。ちなみに、10年ぐらい前から体外受精より顕微授精が多い。適応が甘くって、こんなに簡単に顕微授精を選んでよいのかと、今も学会で「顕微授精の考えられる問題点」は話し合われている最中です。が、実際は、「受精しなければ始まらない」わけで、顕微授精を選ぶ基準は各施設の自由ですが、やっぱり基準は甘いかなーと感じるのが正直なところです。妊娠率は数年前に頭打ちになっているのですが、体外受精や顕微授精を行った周期の妊娠率が全体で20%程度。凍結した受精卵を融解して胚移植した周期の妊娠率は3割を超えています。また受精して2-3日の分割期胚(4細胞期胚から8細胞期胚)よりも受精してから5-6日目の胚盤胞の妊娠率が高いのは確かで、もちろん、新鮮胚(採卵を行った周期の胚移植)より凍結融解胚の方が妊娠率は高い。2008年から、胚移植の数は原則的に1個、多くても2個までと日本産科婦人科学会からのお達しが出て、結構遵守している施設が多いのですが、でも1個胚移植を行っている割合は、世界的にみたらかなり高い方。でも。1個胚移植でも2個胚移植でも妊娠率は変わらないっていうのははじめて知りましたー。それは、分割期でも胚盤胞でも同じことで。たぶん、1個胚移植をすすんで行う場合はとても良好な卵ちゃんで、2個胚移植するときは、どちらか1個がちょっとイマイチに見える卵ちゃんの可能性が高くて、結果的には2個胚移植しても1個胚移植しても妊娠率は変わらない、ということが想定されるそうです。先ほど。胚盤胞で凍結融解胚移植が結果的には一番妊娠率が高いと書きましたが。世界的な統計でも日本国内の統計でも、不思議な結果が得られました。それは、「産まれてくる赤ちゃんの体重」。採卵した周期に分割期胚を移植した場合よりも採卵した周期に胚盤胞を移植した方が赤ちゃんの体重が重くて、自然に妊娠した場合はそれぞれの中間ぐらい。分割期胚を凍結融解した周期よりも胚盤胞を凍結融解した周期の方が赤ちゃんの体重が重くて、自然に妊娠した場合はそれぞれの中間ぐらい。採卵した周期に胚移植した場合が一番赤ちゃんの体重が軽くて、自然に妊娠した場合がその中間で、凍結し他の周期に胚移植した場合が一番赤ちゃんの体重が重い。これらはちゃんと有意な差をもって結果を示されました。理由はまだわからないですが、表面的 もしくは 子供の間には何の異常がない状態でも、実際には細かいところで遺伝子に問題が出ているかもしれず、それが赤ちゃんの体重に反映されるというお話です。色々とはまだ不明ですが、いずれにしても、自然妊娠と比べて体重が重いのも軽いのも少なからず問題があると考えたほうが良いみたいです。今後はその辺りも研究していく、ということでした。結果的には患者様は妊娠したくて、こちらとしても患者様に妊娠していただきたい。でもだからと言って、簡単に特に理由もなしに胚盤胞の凍結融解胚移植を選んでしまう事はどうなんだろう・・・?と、考えさせられるお話でした。まだ、原因とかは全くわかりませんけどねー。ちょっぴり難しいお話でした。・・・では今日もポチッとお願いします♪励みになってます、ありがとうございます~にほんブログ村
2011.09.22
コメント(0)
台風15号は首都圏を北上中とのことですが、、、。ひさびさに体験したものすごい強風と雨でした。私は幸い、ボスの銘により早く帰ることができたので、電車は間引かれていたものの、立ち往生しないで済んだのですが、、、。まだ帰路にある方、これから台風が訪れる地域の方、、、。私なんかに言われるまでもないことですが、本当に気を付けてくださいねーm(_._)mさて。先日の日記で胚培養士の資格について書きましたが。胚培養士の資格には上級職があります。栄養士と管理栄養士みたいな感じで、、、。通称「管理胚培養士」と言うのですが。この上級職、簡単には取れない仕組みになっています。事実、まだ日本全国に11人ぐらいしかいません。しかも半数は医師。大学病院にいる医師なら比較的取得しやすいのですが、普通のクリニックにいる胚培養士だと、相当努力しなければ無理です。まずは大学院を出ていること。原則的には博士号取得者。修士号取得者でも可能ではあります。「胚培養士」になってから5年以上経って、更新する際以降でなければならない、っていうのもあります。そして学会発表と発表論文数が異様で(汗)最近5年間のうちに、何回それぞれ発表しているか、というのがあります。これが、難しい!医師の取得する不妊治療の専門医「生殖医療専門医」よりハードだと思う。医師の専門医は期限がないけれど、管理胚培養士には期限があるから。おかげさまで。。。私もいまだに受けることができません。発表論文数も学会発表数も5年という区切りがなければ良かったんですがねー(苦笑)というわけで、私は今、がんばっている最中であります(キリッ最近は制度が変わったので、専門学校卒でも大学院に入ることができるようになったとかで。臨床検査技師さんあがりの胚培養士も多いため、胚培養士を目指すための大学院も開かれているほどです。その大学院が出来てから数年たちますが、、、、。やっぱり管理胚培養士は増えません(>
2011.09.21
コメント(0)
今日は高校の文化祭にそれはもう、とてもとてもとても久しぶりに、高校時代の友人4人と出かけてきました。担任がまだ高校の教師をやっていて、懐かしい話を沢山してきたのですが(^o^)//私は高校は普通科ですが高2から理系のクラスでした。女子高で理数科に力を入れている学校は当時から珍しかったようですが、それは今も続いているようで、少子化でクラス数は減っているものの、理系のクラス数は減っていませんでした★理系女子なので医師、歯科医師、獣医師などそうそうたる卒業生の顔ぶれで、今日も医療関係者の集団で行きました!というわけで。今日は胚培養士の資格を取るに至った経歴でも書いてみます♪私は生物が昔から大好きで、数学も高1までは好きだったので理系に進み、大学は農学系の学部です。バイオテクノロジー系のことを学ぶ大学でした。研究室は動物の生殖を研究する研究室で、卵や卵巣の研究をしていました。忘れもしない、大学三年生の時、私の研究室主催の学生実験で、動物の体外受精をさせてもらえました。それでその時のものすごく感銘を受け、体外受精や卵を学べる研究室に志望したんです。そして大学院の修士課程までその研究室で研究をつづけました。その時に顕微授精の技術も身に着けました。その後、教授の紹介でとある産婦人科に就職し、それから大学病院からお声をかけていただき、臨床の面でも研究の面でもとても色々と学ばさせていただきました。大学病院に勤めているときに今の胚培養士の資格が出来ました。正式名称は「生殖補助医療胚培養士」です。そして色々あって、現在の病院に勤めています。私のように農学系の大学、大学院を出ている胚培養士は、全体の半分弱ぐらいを占めるでしょうか。資格を取るにあたって、生物学や生殖学を大学で学んでいないと、胚培養士の資格を受けることもできません。また、資格を受けるにあたって、一年以上の実務経験と、ある数の症例数を担当していなければなりません。農学や生物系の大学を出る以外では、臨床検査技師や看護師、医師の資格を持った上で同じように実務経験を積んだ上で、胚培養士の受験資格を得ることができます。就職口は比較的口コミが多いのですが、最近は公募もみられるようになりましたね。私の高校出身で、同じ大学、同じ研究室出身の胚培養士も、実は沢山います。よく、どうやって胚培養士になったのか、と言われるので、ご参考になればと思い、書きました!それでは、今日もこちらの方を、ポチっとお願いします!にほんブログ村
2011.09.18
コメント(0)
今日は、ちょっと小難しいお話かもしれません・・・???医療ニュースの中から、こんなニュースが飛び込んできました。「脊椎動物の卵子が受精を待つ間、細胞分裂を停止するメカニズムを初めて解明した」と九州大学の先生が発表したそうです。うーんと、これはどういうことかというと。。。。。私たちヒトを含めて、卵は受精するまでの間、女性の体の中の「卵巣」で育っていますが、、、、。成熟して受精するまでの間、細胞分裂は途中で停止しています。受精すると、その細胞分裂が再開して、どんどん数が増えて赤ちゃんへとなっていく。簡単に言うと、、、、、。卵は受精するその時まで、眠ってるんです。で、精子と出会って受精すると、それがきっかけで目を覚ます。まぁ、そんな感じです。でも、その現象はわかっていたけれど、どうしてそういう現象が起こっているかまではわからなかった。今回のこの報告(来週にもアメリカの専門誌に載るみたいです)によれば、その「眠らせる」仕組みが初めてわかった、とのことです。もし仮に、卵が「眠らない」で居てしまうと、、、、。ガンになってしまうんです(マウスの実験による)。だから、卵を「眠らせておく」ことがすごく大事。この仕組みが解明されたら、、、、。たとえば、卵巣で起こるガンを克服できるかもしれない。たとえば、卵が原因で不妊症になっている方々を救えるかもしれない。まだ、基礎的な研究段階の発表ではありますが、今まで解明されていなかったことが解明されたので、これはすごいことです。今も、原因不明の不妊症の方は大変多くいらっしゃいます。私たちが検査や治療を施し、赤ちゃんを授かるお手伝いをしても、なかなか授かることが難しい患者様も多くいらっしゃいます。すこしでもそういう方々を救えるように、まだ解明されいないことを研究してくださって、それを将来的に治療に応用できる目途を立ててくださることは、とても大きなことですね。今日はちょっと難しいお話ではありましたが。私の中では「へーーーー!」と驚き、感銘を受けたのでブログに書いてみました
2011.09.02
コメント(0)
今日は不妊治療の基本の「き」基礎体温について触れたいと思います。女性の場合、赤ちゃんが欲しい方だけでなくて、生理不順とか、生理に悩みがある人は、原則的に基礎体温を測った方が良いんですよね。もう、病院から口を酸っぱく言われているかもしれませんが(汗)皆さんはどういう婦人体温計を使っているのでしょうか。以前、不妊学級をやらさせていた時には、正確に計測するのなら「水銀」の婦人体温計が良い、と推奨していました。が。水銀は危ないので、、、。現在ではほとんど製造されていないのだとか。私個人的には、二十歳頃から、ずっと測っています。その頃には自分が不妊治療に関係するお仕事に就くなんて思っていませんでしたが、基礎体温を測ると、生理も予測できるし、自分のホルモンバランスもおおよそ占う事が出来る、、、、。自分自身を実験台にしている訳でもないのですが、母に勧められたのと、自分に興味を持てたのでずっと計測しています。とは言え、必ずしも毎日測らなければ!と意気込むと長続きしません。私も必ず毎日図っている訳ではありませんし、それはそれで問題は無いんです。測りそびれちゃったら、それはそれで良いので、とにかく測る事が大事。私が愛用しているのは、こちらのシンプルなもの。婦人用電子体温計 テルモ ET-C502P 【あす楽対応】価格:1,480円(税込、送料別)なぜか、ものすごく「もち」が良いのです。電池交換とかしたことないですが、もう結構な歳月でこれを使っています。(何年使ったとかいたら、歳がバレちゃいますからね・爆)シンプルだし、重くないし、ちょうど良いです。で。昔は基礎体温表を手書きしていましたが、、、、。数年前からは便利なサイトがあるので、こちらを利用しています。無料で毎日数値を入力するだけで自動的にグラフを作ってくれるし、PCからプリントアウトすれば、医師に見せる時も簡単です。なんだか宣伝みたいだ・・・・たまに、初めて不妊治療をはじめる患者さんで、基礎体温も付けていないとなると、、、「基礎体温を2-3ヵ月測ってみて、出直しておいで」なーんて、冷たい台詞を医師から告げられることもあるんですよ。毎日測らなきゃ!って意気込むよりも、毎日歯を磨く習慣のように、毎日測る習慣を身につければ、、、。自分の体調管理もできるようになるし、妊娠したい、妊娠したくない、生理が来る来ない、等の基本的な女性のホルモンバランスを測り知れることができるので。一石二鳥なんですけどねー。基礎体温を測れば、排卵の時期を予測できるっていうのは一番大きいですよね!赤ちゃんを授かりたいなーと思っていらっしゃったら、基礎体温は是非はかってみてください。赤ちゃんを授かりたいってわけじゃない、避妊したいっていう場合でも、、、基礎体温は参考になるので、是非。そんなに大変なことではありませんから(汗)朝、寝起きに起き上がらずにそのまま体温計を口にくわえるだけです。ピピッとなって「あわわ」と起きることだってありますし(爆)電子体温計はその辺りも便利だったりしますからねー女性の皆さん、是非、測ってみましょう!
2011.08.23
コメント(0)
皆さんは、、、ダイヤモンド・ユカイさんの、この本、読んだことありますか?タネナシ。著者:ダイアモンド・ユカイ価格:1,470円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見るダイヤモンド・ユカイさんは不妊治療の末に赤ちゃんをさずかっていらっしゃいますが、彼が受けた不妊治療は「精巣を手術して一部の組織を取り、精子を探して、顕微授精をする」というものです。精巣からの精子を探すのは我々胚培養士。ダイヤモンド・ユカイさんはとても有名な某クリニックで治療を行っていましたが、ある程度の大きな施設だったら、泌尿器科と協力してこの治療を受けることができます。私も何回かこの治療を担当させていただいたことがあります。正直に言って、精巣の組織の中から精子を探すというのは、とても苦難な作業。私たちが出席する学会でも、この治療のコツは、泌尿器科医の技術と胚培養士の気力と根性にかかっている、と言われています。実際、私も夜中までかかって治療を担当したことがあります。本当は、朝までかかって精子を探しましたが、、、、、それは、はじめて担当した時のことでした。まだ自分が未熟だったこともあるので、朝になっちゃっただけなんですがね。患者さんの治療に夢中になるあまり、トイレに行くことも、ご飯を食べることも、飲み物を飲むことも忘れて精子を探していました。で。そんな経験をしたことがある胚培養士、意外と多いのです。先日も後輩と話していて、それぞれが「そういうことをしたことあるよねー?」って話していました。精子を探すことに夢中になるあまり、自分が低血糖になってしまっていることにも気づかず、気づいたら、手先が冷たくなっており、フラフラ感はずっと継続し、無菌操作する手が震えてしまって「ハッ」としたことがありました。それは精子を探すときだけではなくて、一人でずっと夢中になって仕事しているときにもあることなのですが。無菌操作をするので、手をきれいにしている分、ほかのトイレとか飲み物飲む、とか忘れたり面倒くさかったり。それが原因なのですが、意外と低血糖事件は多いみたいです。それほど、胚培養士は気合と根性を兼ね備えているヒトが多いんですよね。実際には辛くて、思い出すだけでもぐったりしちゃいますけれど、患者様のことを考えたら、ついつい夢中に仕事しちゃうのです。ダイヤモンド・ユカイさんのような治療の背景にはそんな涙ぐましいスタッフの努力も隠れているんですよー
2011.08.21
コメント(0)
全90件 (90件中 1-50件目)