胚培養士のひとりごと

胚培養士のひとりごと

2011.10.25
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カテゴリ: お仕事
今日は抄読会という、論文を中心としたお勉強会がありました。

今日取り組んだDr.は、
本当は染色体異数性・・・本来なら2個セットの染色体が
1個しかない、とか3個以上ある、とか、組み合わせがおかしい、とか
そういう異常のある卵のお話を探していたようですが、、、。

読み始めて見たら、ちょっと違うタイプの論文だったようです。


体外受精でも、顕微授精でも。
受精したら、すべて赤ちゃんにつながる良い卵、、、という訳ではないんですね。



ですから、
採卵した後に、受精は○個だけれど、胚移植は△個、凍結保存は□個で・・・
あれれ?受精した数と合わないな、って事がしばしば起こります。


受精はしたものの、
赤ちゃんになる前に細胞分裂が止まってしまったりするからなんです。


その卵が異常があるかどうか、
見た目だけで判断することは難しい事が多いのですが。


 今回のお話は「受精してから2日目」の卵を観察することによって診断する


・・・というお話で。

受精してから二日目は大体卵は4細胞になっている事が理想です。


そして、4細胞の細胞1個1個に、
本来なら、「核」が1個ずつあるはず。
細胞の核なので「細胞核、cell nucleus」なんて言ったりもします。


この「核」はとても重要で。
私たちの身体、顔、表面から内部まですべてを司っている
『遺伝情報』が保存されている場所です。


で。大抵は細胞1個につき、1個の核が含まれます。

(骨格筋などの例外もあります)



ところが。
卵の細胞の中には、核が2個以上ある「多核」と呼ばれる細胞が時々出現します。

実際に、卵を観察すると核が2個以上見ることができる場合もあります。

この「多核」の卵が問題で。
「遺伝情報」が含まれている「染色体」を調べてみると、
多核の場合、8割ぐらいが異常がある。

そして、2割ぐらいは正常な卵も存在する。

だけれども、「多核」で「正常」な卵を胚移植しても、
妊娠率は0%!なんです。


その論文の結論としては・・・
 「受精して二日目に多核を確認した場合、胚移植も染色体検査もする必要はない」
・・・となっていました。

妊娠率が0%だから、ということなのだと思いますが・・・。


だから、受精してもダメになってしまう卵があるというか、
卵がもともとダメだったのか、
精子がもともとダメだったのか
その辺りはハッキリとはしませんが、
胚移植にも、凍結保存にも適さない卵もある、ということの一例なのでした。


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Last updated  2011.10.25 17:44:23
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