胚培養士のひとりごと

胚培養士のひとりごと

2011.11.14
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カテゴリ: お仕事
今日は週明けで、それはそれなりにバタバタしていましたが、
明日からの怒涛の件数にくらべたらまだ良い方なので・・・

久しぶりに()豆知識ネタを書いてみたいと思います。



題して「不妊患者様の高齢化」



「高齢化」と言ったら、

一般的には、高齢、老人を指しますが、

不妊治療の業界では、生殖年齢に含まれる女性を示すので、

一般的よりもかなり若い状態を示します。



かつては「丸高」とかって、高齢出産の方を指していましたが、
これは35歳からを対象としていました。

35歳以上の初産と40代の出産かな?
50代だと超高齢出産になるらしいですけれど、稀ですよね・・・。


でも、これは、妊婦さんでのお話。


不妊症の患者様も35歳以上から高齢化を唄い始めていた時代もあると思われますが、

今では40歳以上、中でも44歳以上の方などを示すことが多くなりました。



自然妊娠の場合、最高齢は57歳だったそうですが、

不妊治療において、卵子を提供してもらうことが多い諸外国では、

単純に「妊娠」だけを示すと70代とかいらっしゃいましたよね。

おそらく、というか、間違いなく閉経した後の妊娠・出産な訳ですが。



日本では、卵子提供は原則的に認められていないので、
(だから野田聖子さんは外国で卵をもらってきています)

自分の卵での不妊治療が主体ですが、

当院でも平均年齢は40歳前後になってきていて、

それは、日本国中どこの施設でもそれぐらいの平均年齢になってきています。


体外受精や顕微授精をすれば、高齢でも妊娠できるか?
っというとそうでもないですね。


それは以前にも書きましたが、閉経年齢は昔から変わらないから。

女性が持っている卵の数というのは、決まっているので。


体外受精や顕微授精をすれば、

確かに「 受精することはできる 」かもしれません。

卵が採れれば、精子があれば、受精する可能性は非常に高い。



でも

もう、若いときに「良い卵」は排卵してしまっているので、
残っている卵は「染色体異常」などの異常を持っている可能性が高い。


あるDr.の話では、45歳の方の卵はその25%に異常があるということでした。

卵があって、受精しても、その四分の一は染色体に異常がある。


ということは、妊娠しても流産してしまうか、妊娠できない可能性が高い・・・。


高齢で、体外受精や顕微授精を行っても
なかなか妊娠・出産できない背景にはこういうことがあるんです。


ただ「妊娠・出産する」ことを目的にするならば
卵子提供は有用かもしれないけれど・・・・・。

日本はまだ法整備が出来ていないし、
普通の不妊治療とは明らかに違うものです。

だって、卵をもらうのだから、
自分がお腹を痛めて出産しても、
その子は自分の子ではないんですからね。

あ。
遺伝的には、という意味です。


今の日本の法律では「産んだ人が母親」なので、
卵をもらって妊娠・出産した場合は、
自分の子供として認められますけれど。

簡単に言ってしまえば、
 血が繋がっていない子供を出産すること
ですからね。。。

簡単な問題ではありません。
法律的な問題だけではなくて、
精神的な問題だって絶対に大きいと思うんですよね。


だから、JISARTという不妊治療専門クリニックのグループでは、
ものすごく時間をかけてカウンセリングや試問や会議が開かれるそうです。
当然と言えば当然ですね。


欧米で卵子提供が普通に行われているのは、
きっと感覚的な違いがあるからだと思うのです。


今の若い世代の方には、
ぜひ自分たちの生殖年齢の幅を理解してもらいたいし、

今の不妊治療をしている生殖年齢の方々には、
 どこまで治療を行うか
 どこまで治療を続けるのか
 子供のいる未来、子供のいない未来を考えていけるか、など、
ご夫婦と医師・看護師・カウンセラーさんなどでよく話し合っておくべきだと思います。


というわけで、今日はこの辺で。
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Last updated  2011.11.14 17:56:33
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