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2017.05.14
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 歴史というのはたった一つの間違いで覆るものではないということについて。

 名古屋CBCラジオ「つボイノリオ 聞けば聞くほど」という番組で旧日本軍の731部隊についてちょっと触れたところ、メールで「あれは中国共産党によるでっちあげである。たとえば資料館に残っている写真に違う場所で撮影されたものがあった、だから全部ねつ造だ」と、まあ、アレな人の投稿があり。(文章でこのように公共の電波を使って日本人を貶める左翼的な~と書いていたのでまあそういう内容です)

 で、番組内で詳しく731部隊について解説があった。この内容はかなり踏み込んだそれこそ先ごろアメリカの公文書公開についてや、それ以前に公開されたアメリカの資料(既に戦後すいぶんたったもの)、また、当時の部隊員のインタビュー手記なども紹介され、かなり濃い内容になっていまして。

 たとえば731部隊が戦後日本人に広く知られるきっかけになったのは森村誠一のノンフィクション「悪魔の飽食」で、私も学生時代に図書館で読んだ覚えがあります。この作品でも後に一部資料の中に事実誤認誤認があるとしてそれをもって「全部嘘っぱちだ」という意見もありました。が、本来はそれだけでは覆せないほどの資料、当時の設備、関係者の証言がある。

 この中でつボイノリオさんが言っていたこと「たしか広島の原爆資料館か東京大空襲かどちらか失念しましたが、こちらの資料写真の中にも違う写真が取り違って掲載されていたことがある。しかし、これが違うものだからと言って東京大空襲も広島の原爆もなかったことにはならない」という言葉を。

 この視点はすごく大切です。以前、別番組「荻上チキ セッション22」で従軍慰安婦問題を取り上げた際、朝日新聞が誤報した吉田証言をもって慰安婦問題はなかったとする人々がいるけど、実際は吉田証言以降も2000近い文章や資料、あるいは現地被害者からの声がある。歴史というのはこれらのパーツをひとつづつ組み合わせて立体的に検証するものであり、たった一つの資料で覆るものではない。という・・・

 思うのは上のような事柄には「日本人はそんなひどいことはしない」という思考が多分に含まれている。しかし、現代日本でもひどい事件や凶悪な人権侵害、企業が奴隷のように外国人労働者を使う横暴などはあり、その当事者は日本人です。いや、日本人だけではなく世界各国でこういうことはある。いつ、いかなる状況で再び同じ惨事が起きても、あるいは自分が加害者側に回ってもおかしくはない。

 だからこそ歴史から何があったかを検証するのが大切で。むしろ今回、上のラジオに投稿した人のおかげで私も731部隊についてさらに深く知りたくなりました。





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最終更新日  2017.05.14 11:32:21
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