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株価チャートの正体



『株価チャートの正体』


株価が上がると儲かるし、下がると損をするのが株式投資です。日々、株価は変動を続け、儲かった、損をしたと一喜一憂している方も多いのかも知れません。では、その肝心の株価は、一体どうやって決まっているのでしょうか?今回は株価チャートの正体についてお話します。

株価を構成している要素は2つあります。バリュー(価値)とバイアス(ゆがみ)です。株価は短期ではバイアスに左右されますが、長期ではバリューに収れんしていきます。



『バイアス(ゆがみ)』

「株価」は「価値」と常に一致しているのでしょうか?(ここで言う「株価」とは株が売買されている値段のこと。「価値」とは、その株の本来「あるべき価格」のことです。)

市場が効率的に機能しているのであれば、常に 株価=価値 であるはずです。しかし、実際の株式市場においては、 株価=価値 が常に成り立っているわけではありません。多くの場合、市場にはなんらかのゆがみが生じており、そのゆがみが、株価≠価値 の状態を作り出しているのです。

このゆがみを作り出しているのがバイアスです。バイアスには「構造バイアス」と「感情バイアス」の2種類あります。


『構造バイアス』


構造バイアスとは、市場の構造に何らかの障害があり、合理性が失われていることです。

例えば、小型株効果といわれる現象があります。小型株銘柄は、会社規模が小さいですので、地味で無名なものがほとんどです。世界中の市場で共通の現象といわれていますが、小型株は企業が優良であるかに係わらず、割安に放置されがちです。

運用額の大きな機関投資家は、その運用額の大きさゆえに、なかなか小型株(時価総額100億円以下の銘柄)には投資できません。もし、機関投資家が、小型株に投資したとすると、市場の株を買い占めてしまうことになり、株価は急騰してしまいます。売った場合も同様で、株価が暴落してしまいます。

つまり、機関投資家の投資行動それ自体が大きなゆがみを生み出してしまうのです。よって機関投資家は、優良な企業であっても、小型株には構造的に投資できないでいるのです。

また、アナリストの行動も同様です。アナリストはレポートを売って生計を立てています。投資家があまり興味の無い企業についてのレポートを書いたとしても、商売にはなりませんので、小型株をフォローしません。

よって無名で目立たない小型株は、割安に放置されがちなのです。このように、市場の構造上、生じてしまうゆがみを構造バイアスといいます。



『感情バイアス』

感情バイアスとは、市場参加者が感情に従って意思決定を行っており、合理性が失われている状態のことです。業績の下方修正が発表されたり、不祥事などのニュースが出ると、株価は暴落します。さらに暴落が更なる暴落を生み、実際の価値よりも株価が大きく割安になったりします。市場参加者が合理性でなく、「不安」、「悲観」という強い感情に基づいて行動をとったためです。

新しいテクノロジー(例えばIT産業)銘柄の株価は過大評価されがちです。新しいものは人々の関心も高く、楽観視されがちなのです。株価は高騰しますが、実態が伴わないため、後に大暴落を引き起こします。

ちまたに様々なうわさに飛び交い、そのうわさに影響されて株価が上下します。論理的な根拠がない場合、自分の判断に確信が持てませんので、うわさを耳にするだけでとても不安になってしまします。そんな時はどうしても感情のレベルで判断を下してしまいがちになります。状況を極端に悲観したり、楽観したりするので、株価は合理性を失い大きく上下動します。


『バリュー(価値)』

しかし、そうは言っても、株式市場は意外に効率的なものです。短期的にはバイアスによって株価が左右されますが、中長期的にはバリューに収斂して行きます。

バリューとは会社が持つ本質的な企業価値であり、適正価格のことです。この企業価値は、保有している「財産」と、企業が行っている「事業の価値」から成り立っています。実際に企業価値を算出するためには、財務諸表を読み解き財産の価値を見抜く知識と、事業が利益を生む仕組みを読み解く力が必要です。

私たちは、大切なのは「企業価値を見抜き投資を行う」ことだと考えます。なぜなら、株価は、短期的にはブレたとしても、中長期的には企業価値へと収斂していくのですから。

私たち個人投資家は、バイアスによって生じたゆがみに翻弄されるのではなく、最大限に活用すべきなのです。そうする事で、高いリターンを得る事が出来るようになるでしょう。そのためには、バリューについて正しく理解する必要があります。難しそうに思もわれる方が多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。要点さ絵押さえれば、誰にでも、簡単に算出できるようになります。

正しく学び、正しく投資すれば、必ず勝率は上がります。銘柄選定をしっかり行い、勝機がある時(価値と価格に差がある時)にのみ投資すればよいのです。企業価値評価法(バリュエーション)を学び、中長期にわたって企業を応援することで、あなたにとって、株式投資はギャンブルではなくなります。

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