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2019年04月23日
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353:クラーク像
瀬口恭二は、四十九歳の誕生日を迎えた。食卓には、詩織が作ったキンキの煮物が置いてある。長男の可武威(かむい)は、全国高校新聞最優秀賞の授賞式に行っていて不在である。
「恭二、お誕生日おめでとう」
 ワイングラスを合わせた。さっそく恭二は、キンキに箸をつける。口に運ぶ。
「詩織おいしいよ。その二で磨いた腕は、さびていないな」
「そんな日があったね。恭二は私をじらして、三つも課題を与えたんだから」
「あれがあったから、今のおれたちがある」
「恭二、おいしいね」
「大学はどう?」
「ものすごく楽しい。テストさえなければ、極楽なんだけど」
「実力診断テストの結果はどうだったんだい?」
「内緒。でも勇太くんには勝った」

「勉強するって、楽しいことだよね。悪夢のような浪人時代を、除けばということだけど」
「猛勉強して、北大薬学部に合格して、あの六年間の勉強は、今どう活かされているの?」
「それをいわれると、貝になってしまう。あれがあって、途方に暮れているおれがいた。そして藤野詩織に、再会したんだ」
「瀬口薬局の後継者は、お兄さんがスカウトしてくれたので、一安心だよね」
「皮肉な話だよな。おれが挫折したMRを、引き抜いたんだから」
「そうか、恭二はたった二ヶ月だけ、MRだったんだわね」
「落ちこんで、標茶に戻ったら、詩織がいた。だからMRは、詩織との縁結びに役に立ったわけだ」

「恭二、きて!」
 寝室で詩織が呼んでいる。ワイングラスを持ったまま、恭二は寝室へ行った。
「これ、恭二へのお誕生日のプレゼント。開けてみて」
ベッドの上に小箱が乗っている。恭二はていねいに包装紙をはがした。箱を開ける。なかには、クラーク像が入っていた。恭二はそれを取り出し、ベッドサイドのテーブルに乗せる。
「恭二、箱のなかに、まだ入っている」
 箱に手を入れると、小さな包みがあった。取り出して開封する。セーラー服と詰襟の人形だった。恭二はそれを、クラーク像の傍らに置く。
「これ、私と恭二」
(『町おこしの賦』第10部:生涯学習の町・おわり。第11部へとつづく)
※第11部は現在執筆中です。掲載はしばらくお休みさせていただきます。明日からは第1部からの再掲載になります。





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最終更新日  2019年04月23日 03時59分04秒
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