GOlaW(裏口)

2006/01/12
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カテゴリ: 西遊記
 陰陽・五遁を歪め、己が意思に従わせる術。
 それが仙術であり、妖術である。


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 今度は妖術・仙術、宝具の考察に行きますね。
 さあ、これさえ乗り越えれば、次回は本筋へ考察。頑張れ、自分。

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 まずは悟空の変化術から。
 原著では正式に仙術を学んでいるため、彼は数多の術を使いこなす事が出来ます。今回は変化です。

 この変化術、小さくなったり、獣に化けてその能力を借りるイメージが強い人が多いかもしれません。
 しかし、実際にその真価を見せるのは、ドラマで使われたように『人を欺く』時だと思います。これは熟練した使い手にかかると、幻術ほどではありませんが、かなりの威力を発揮します。
 原著の魅力の一つも、悟空がその悪知恵を持って巧みに変化を使いこなすことです。

 ただこの変化術は便利すぎるため、現代の作品では制限を掛けられることが多いんです(数多くのヒロイン変身物アニメが、制限時間や使用回数を設けるのはそのため)。
 SMAPファンの方なら、『ハウルの動く城』で出てきた、鳥への変化(化けすぎると戻れなくなる)を連想されるでしょうか。

 『西遊記』が書かれた頃は、そんな制限を設けることはしませんでした。むしろバンバン仙術を飛び交わした方が派手で面白いと考えられたのでしょう。
 今回のドラマでも使用制限は無さそうです。その分、脚本スタッフに求められるバランス感覚は重要と思われます。


 しかし、牛魔王姿で顔だけ元に戻すシーンも、やっぱり好きですね。実際には、あれだけ打ち合わせに時間が掛かったら、周囲に怪しまれるでしょうけれど(笑)。
 でも悟空の表情がすごく優しいのです。…“封印時のケダモノの表情”とのギャップに、海のように深い魅力を感じました。

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 金錮児について。
 原著では三つ一セットの冠(つまり悟空のように調伏する敵妖怪が他に二体でてきた)です。このエピソードは、今回は出てくるのでしょうか?

 出てきた時の沙悟浄や猪八戒の反応にはちょっと…でした(苦笑)。でもこれがないと悟空じゃないですよね。
 これからの話では“悟空の暴走と三蔵の抑制”で、上手くバランスを取ってくれるといいですね。

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 如意棒について。
 針の小ささから原寸まで大きくなるシーン、無かったですよね? まずはそれを描写しないと。
 『西遊記』に始めて触れる視聴者には、凛凛の泥棒に気づくシーンの意味が分からなくなります。

 また「如意棒が無いから、嘘を付いて逃げるんだろ」という下りについて。
 『悟空の発言の真偽』は、物語の“信じる”という主題につながります。だから『如意棒が無いと不利』という部分は、もう少し強調しても良かったのでは。
 登場人物の台詞の中だけなんですよね、不利というのは。
 香取君の徒手空拳での殺陣が、如意棒があるときと同じぐらい(あるいはそれ以上に)強く見えてしまったんです。これでは説得力が0ですよ(苦笑)。


 ちょっと話は変わるのですが。
 そういえば、凛凛は針サイズの如意棒を盗んだんですよね? それでいながら、悟空が見つけたときには原寸に戻っていました。

 ということは“如意棒を悟空が持っていること”、そして使い方を知っていることになります。
「ひょっとしたら、本当は顔見知り(悟空が忘れているだけ)?」
「何者かから、悟空達を調べるように仰せつかったスパイ?」
 色々想像が出来ますね。
 後者だったら、黒幕は『実は生きていた幻翼大王』かもしれません(←単なる願望と妄想です)。

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 金斗雲について。
「『エウレカセブン』(TBS系アニメ)のリフだっ!」
とアニメ好きの人々から突っ込まれること数多のこの金斗雲。
 かくいう私も突っ込んだ一人(←やっぱり現役アニメオタクが…)。『The Sneaker』(角川書店)という雑誌に載っていたノベライズで、リフの
飛行原理を覚えたばかりなんですよ(苦笑)。

 こう言った改変は私的には全然OK。スタッフの『オリジナリティを!』という努力を感じます。
 『スケートボーイズ』時代の香取君も何故か連想させて、思わず微笑ましくもなりましたが(おいおい)。



 ただあえて突っ込むなら、金斗雲そのものが問題ではありません。

『悟空が生まれ育った洞窟と、火の国との距離関係』
『金斗雲の飛行速度』
『悟浄と八戒だけの時の移動速度』
『三蔵が捕まってからの時間経過』

 問題は上記四つの関係。細かく考えるとややっこしくなります。
 …これは主題にあまり関係ないし、原著の段階からこうなっているから、深く突っ込んじゃいけないんですけどね(苦笑)。

 もし時間経過に厳密に物語を作るなら、“沙悟浄の仙術でホログラフ付き遠隔会話をする”のもありだったかもしれません。

 …ただ、不用意に遠距離連絡手段を出すと、後々の物語の幅を狭めます。やっぱり、今回は二人が訪ねたのが正解だったかな。
(携帯電話の普及により、ドラマにおける登場人物のすれ違いシーンが激減しました。これはドラマ制作陣にも、記憶に新しいと思われます)

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 遠見の術について。

 今回、ドラマの脚本に二番目に感動したのが『沙悟浄が仙術を使う』ことでした(一番は『封印解除』シーン)。
 原著では確かに『猪八戒も沙悟浄も術を使える』とありますが、沙悟浄の術行使シーンは無かったはず(…少なくとも、私の記憶には残っていない)。
 そんな彼がこのドラマではしっかり活躍しているんです。

 パーティ物(数名でグループを組み、冒険するお話の事)では、性格的なバランスも重要。でもそれ以上に能力・職能的な役割分担が必要なんです。
 いかんせん原著の『西遊記』では“悟空の万能ぶり”が目立っていますが、ドラマではきちんと他のメンバーにも能力を割り振ってくれそうです。
 …脚本スタッフの皆様、全力で頑張ってください。


 沙悟浄が使ったのは、『遠見の術』になります。
 あえて分類するなら、“風水”や“卜占”の術系統になるのでしょうか。“世界の根本原理を読み取り、世界の行く末・構造を読み取る”術です。
 風水の考えは渡来後に陰陽道に組み入れられましたし、今も『風水学』として一般に知られていますよね。
 これが伝承の世界になると、更に“世界の根本原理に干渉し、現象を操る”次元にまで達します。映像を呼び出し、歪曲して映し出すのもこの術の範囲内でしょうね。

 これが沙悟浄自身の仙術なのか、水晶に『遠見の術』が込められているのか、ちょっと判断はできません。でも前者なら、沙悟浄ってすごい術者かもしれません。

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 そして『封印』。
 これは仙術ではなく、仏の法力によるものですね。
 物語の肝となるシーンであり、一話の主題にも深く関わるシーンなので、脚本・演出・演技の全てに本気を感じます。

 ドラマの演出から感じたのは、
“悟空の心のあり方そのものが、岩の強度や冷たさに反映する。
 ゆえに三蔵との会話で変化した心により、岩が熱くなり、緩んだ”
というイメージでした。
 だからこそ、悟空が岩の欠片を持って熱さを感じたのかな。
 ひょっとしたらこの“岩の欠片”、これからも悟空の心の象徴として登場するかもしれません。もしそんな演出をしてくれたなら、脚本家はすごいと思います。

 …ここまで封印のシーンがいいと、逆に“仁丹の苦悩”関連のシーンの描きこみの浅さが目立ちます(涙)。
 やれば出来るんですから、頑張ってください、スタッフの皆様。


 『封印』のシーンでは、香取君の演技がすっごく良かったです。
 粗暴にして硬く冷たいケダモノの表情から、それが解けて柔らかくなっていく変化は見事。
 香取君は『赤ずきんチャチャ』のリーヤ時代から、ファンタジー的な作品にも関わってきました。それにアニメや漫画も大好きなので、ファンタジー的な演技の引き出しがちゃんとあるんですね。
 ハイテンションじゃないときの悟空の表情は、どれも管理人の魂を奪っていきました。こんな表情を立て続けに見られるから、ファンタジーやSF絡みのお芝居は大好きなんです(昇天状態)。

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 ファンタジーで必要なのは、主題に関わる細部へのリアリティ強化。
 それにはこの『架空世界』の人々の感情のリアリティ、そして放り込まれる状況へのリアリティを強化しなければいけません。
 それには、これらの仙術の描きこみも必要だと思うのです。

 あえて繰り返します。
 死ぬ気で頑張ってください、スタッフの皆様!





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Last updated  2006/01/15 05:45:16 PM


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