GOlaW(裏口)

2006/03/01
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カテゴリ: 西遊記
 時を遡り、改変する。
 それは大道を捻じ曲げる術である。


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 それでは今回は『時間遡行』ネタと、ドラマにおける仏教と道教について。


 その中でも、なんとか突っ込めそうな部分はこの辺りです。

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 ドラマの中で
「では、道教にも通ずる考えなのですね」
という悟空の言葉があります。
 この『道教』の中心となるのが“大道の追求”なんです。

 “仙術は主に『道教』により発動するものであり、これを極めたものが仙人である”というのが、物語のお約束。
 実在の『道教』の道士は、妖怪退治ばっかりやってるわけじゃないみたいですけどね( 『中国妖怪伝-怪しきものたちの系譜』 のP191-194)。

(また、このサイトでの“『召鬼』や『風水』といった術のジャンル分け”は便宜的なものであり、実際の『道教』の教えとは異なるものということにご注意ください)

 ちなみに『陰陽』と『五行思想』は道教の基礎。これを知らなかったら、悟空が仙術を使えるはずが無いっ(全力ツッコミ)。


 そして、仏教に『五行思想』があるのかというと…恐らくはありませんよね(おいおいっ!)?

 しかし、原著での『五行山』の下りには、“菩薩と五行の関係”が描かれています。このドラマだけでなく原著においても、“仏教の中に五行思想がある”設定のようです。

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 実は原著では、仏教と道教は対比されて扱われています。仏教の方が、道教よりも優位と扱われているようです。
 天上界で悟空が暴れた時、道教の神様(玉帝等)のほとんどが彼を取り押さえる事はできませんでした。しかし菩薩は簡単に悟空を取り押さえます。
 そして仙術(道教)を完全に修めた悟空も、三蔵が唱える経(仏教)には、なす術も無く負けてしまうわけですからね。
(『中国妖怪伝』P94-86参照)

 しかし基本的には物語は『道教VS.道教』で進みます(“仏教伝来前の説話などを取り込んで話が膨らんだ”経緯を考えると、当然かもしれませんね)。


 ただ、ドラマの中では仙術はほとんど出てきません。悟空たちが使ったものでは、悟空の『変化』が一回、悟浄の『風水術』が一回だけですからね。
 その代わりでしょうか、三蔵の経は二度ほど活躍しています。第三話で“『現実』を取り戻した人々を鎮め”、第六話で“汚された魂を玉と為す”役割を示しました。
 今回のドラマでも“時を止める術を、梵語の札で防止する”なんて荒業が見えます。
 ドラマでもやや『仏教>道教』でしょうか?

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 時間はやはり、世界を成り立たせる『大道』(物理法則に当たるもの)に属するものです。
 その大道を読み取って操る術のうち、『風水』が空間を、『卜占』が時間を司ることになります。
(ゲームではこの洞統の術者は、『停時幡』などという宝具で相手の時間を止めたりします)。

 とはいえ大幅な時間遡行や改変は、大道そのものを歪めてしまう危険性をはらんでいることになります。
 ドラマの中の『紅孩児』みたいなキャラクターがちょこまかしていたら、あっという間に『大道』が破綻して壊れてしまいそうですね。
 そうならないように『卜占』を極めた妖怪や仙人が、互いに睨みを効かせ(時には修正し)ているのかもしれません。

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 『時間に対する概念』は、SFが得意とするものですね。名作もかなりあります。
 しかし、SFに慣れていないこれを厳密に考えるのはかなりしんどいでしょうね。
「悟浄さん、面倒くさくなったんでしょ!」
とは八戒の言葉です。多分、これは坂元さんの心の叫びでもあると思われます(微笑)。

 基本的には物語の中の『大道』と、現実世界の物理法則は異なります。故に多少の無茶も許されたのだと思います。 
 そんな無茶さ加減が、これまでのノリとぴったり合い、すっごく楽しかったです。

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 これまでの物語と今回は複雑に絡み合いますが、これまでの展開がかなり平易だった分、あまり混乱が起こりませんでしたよね。
 今回を見越して、わざと展開を単調にしたのかもしれませんね。

 とはいえ、今回の八話とこれまでの六話分(途中から挿入された『第六話』を除く)をクロスオーバーさせるのは、相当大変だったでしょうね。
 同時進行する二つの話を描くだけでも、かなりの負担になるんですよ(←管理人の体験談)。
 それを七話分………想像だけで吐きそうです。

 これまで、展開や台詞が煮詰められていないと感じていました(特に『第五話 子供の国』)。それがかなり不満だったんですよね。
 しかし今回の話を見て、
『同時進行なんてやっていたら、各話を煮詰めるなんて、そんな余力もスケジュールもぶっ飛ぶよね…』
としみじみと感じてしまいましたよ。

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 次回から“同時進行の呪縛”を逃れた物語が始まります。
 これからが、坂元さんとスタッフの本当の実力の試されるときなんですね。
 どこまで頑張れるのか、見守ろうと思います。





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Last updated  2006/03/01 08:56:34 PM


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