GOlaW(裏口)

2006/04/15
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カテゴリ: 西遊記
「旅立て」
 そう、その男は言ったのだ。


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 それでは、各話のレビューに行きましょう。



 “最終回前に出版”するのがドラマ・ノベライズの約束事になっているため(←悪しき約束事だと、私などは思うのですが)、特に最近のものは最終回が本放送と違います(『恋におちたら』のノベライズになると、相当違ってきます)。
 でも、私は『幽霊の国』での細かい改変も印象に残りました。
『その三-骸に宿りし邪妖-』 、  『その四-冥界と現世の狭間で-』 で触れた部分が多少補足されたのが嬉しいです。

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 順番は前後しますが、印象的な『第六話』からレビューに移りますね。

 P224の段階(出会い頭)で、連歌には「わたしにはもう生きている人間には見えないの」と言わせています。
 そのことで、三蔵達の王宮行きを自然にしています。
 ここでは「例え幽霊になっても(以下略)」と、彼女の強さも示す言葉もあります。


 P233。連歌と一行のやりとり。
 カットされたらしき台詞が残っています。
>「着飾る余裕なんて無かった(中略)いつの間にか私は(中略)鬼母になっていたのね…」
 この台詞、結構好きですね。


 同じくP233。悟浄の水晶球がここで登場しています。
 以前の日記でも、“悟浄か八戒にここでの見せ場を譲るべき”と力説しましたっけ。
>“王子が自力脱出で助けを求める”よりも、そちらの方がより見せ場を作れて良かったかな?
 これは小説の方がいい。


 そして、P246。ここには問題の『連歌・二度目の憑依』シーンがあります。
>みんな魂がぴかぴかになったから、姿は俺でも、中にいるのはおばちゃんだってことがわかるんだ。
 …そういうことなら、もう少し演出の仕方があったと思うんです。

『最初に悟空の姿と声を映し、次に国王の驚いた表情を映す。
「まさか」と呟かせ、その視線をカメラで追う。そして悟空と重ねて連歌の姿を映す(この後、途中まで悟空を映さなくてもいい)。
 会話の終盤。悟空の体から抜け出ていく。そして消滅』

 これだけでも、大分意味が違ってくるんですよね。


 この『幽霊の国』に関しては、読んでよかったと思います。
 ドラマだけだと消化不良なんですよね。

 ただ、黄泉路の帰りの描写は少し甘かったですね。
 『ページ数の限界』は伝わっては来るんですが、『小説の強み』ともいえる心理描写シーンを簡略化されたのは哀しかった(涙)。

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 次に大きく変更された『天竺』について。
 ノベライズは台本の初稿から書き下ろされたものだと思うんです。だから、最初の案に近いのではないでしょうか。
 多分、堺さんの役どころを『大僧正』から『釈迦』に変更したため、 『光芒』 などという無茶な設定がでてきたのだろうと推察しました。


 P346。飢えた人々は、天竺を目指してきた人間とのこと。道理で村らしきものさえ無いわけですね。
 天竺の無慈悲さや、三蔵達への八つ当たりの理由もこの設定から良くわかりました。
 しかし、ドラマの描写だけでは気がつきませんよ(苦笑)。


 P355.武器を捨てるシーンがあります。
 最後まで鉄把とサイの名前が出てきませんでした(涙)。
 しかし、故郷への帰り道があるだろうに、自衛の道具を捨ててどーするんだろう。だからこのシーンはカットされたんでしょうね。


 P356。
>「あーコラコラ! こいつには話さんという約束であったではないか…」
 …どうして、このたった一言をドラマではカットするかな(全力ツッコミ)!
 この 『凛凛登場シーン』に対しては全力ツッコミ を入れさせてもらいましたっけ。


 P362。
>格子がくだけ散った。
 やっぱり、ドラマでも『実体を感じさせない消滅』の描写が欲しかったですね。…こここそ、VFXの使いどころだった気がします。


 P373。
 大僧正が登場。
 小説ではこの大僧正の一喝によって、三蔵達は助かります(光芒も出てこない)。
 どうも最初は堺正章さんの役どころとしてこの『大僧正』を前提にしていたようですね。『テーブルクロス引き』紛いの描写もありますし(苦笑)。

 …一番の管理者が何で、こんなダメ僧侶たちをのさばらせておくかな(ツッコミ)。
 やっぱりこの大僧正も罪はあると思われます。

 とは言っても、『山門』の台詞の意味をもっと分かりやすく示したこと。
 あの腐りきった坊主に恥をかかせた挙句に『旅に出ろ』と言わせた辺り、かなりスカッとしました。
 そう、こういうカタルシスが無いから、最終回の後ももやもやしたんですよ!


 P374。『釈迦の正体』が違うんですよね。
 …確かに誘拐されそうだな、それは(苦笑)。


 ドラマ現場での、土壇場の改変を感じましたね(苦笑)。
 おかげで『光芒』出しちゃいましたし。
 でも出しちゃったらしょうがないですよね。SPドラマ、もしくは『映画』で、この『光芒』の設定をちゃんと掘り下げていただきましょう。
 頑張れ、スタッフ様。

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 その他、印象に残った部分について。

 『火の国』より。
 P18。『紅い龍』
 これについての説明がドラマ・小説共々カットされているんですよね。
 ドラマを観ている時には『悟空の見間違い』かと流していたんですが、そういう訳でもないようです。
『その五-焔の雨-』 で考察した内容にも繋がるのですが、戦闘シーンで『擬似生命の龍に、焔の雨を吹かせる』た方が良かったかもしれませんね。
 そうすると、更に描写が深まったと思います。

 P38。牛魔王に化けたのは、変化術ではなく変装と明記されています。
 …明記しちゃったんですね(泣)。変化術が使えるとした方が、絶対に面白いであろうに…。

 P37。金斗雲がやはり『羽根』と明記される。
(P52。一応、『金斗雲にお師匠さんは乗れない』とも。)

 P38。おならの下りについて。
 あれは三蔵に鈴を返す為の伏線だったんですね。…まったく気づきませんでした。


 第一話では、岩の冷たさと心の温もりを上手く対比させていました。 
 これはドラマよりも小説の方が描写が向いているんですよね。しかも一人称が上手く効果を発揮していて、良かったと思います。

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 『森の国』について。
 問題の『悟浄拘束シーン』について。
 小説では
>手を直す間だけ、あいつには大人しくしてもらうつもりでそうしたんだけど…
とあります。
 でも、ドラマの時にはそれが伝わってこなかったんですよね(遠い目)。ほんとに見捨てそうな勢いだったのは、やはり問題でした。

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 『時の国』について。
 一人称では、この回はあまり描写できませんよね(苦笑)。
 とはいえ、肝っ玉を抜かれた状態を描くのに、フォントと文体を工夫しているのは面白かったです。
 後、豚の共食い(P256)は改変していました(生々し過ぎですよね。苦笑)。

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 『花の国』について。
 P293。羅刹女の読みが『らせつにょ』と正しく直されていました。…ドラマでは全員『らせつじょ』でしたからね(遠い目)。

 P299。
 混世魔王の妖術が『虫の群れの変化』から、蔦を操るものに変わっていました。
 こちらの方が、より物語に結びついていたでしょうか。

 P300。
 ドラマの本編では誰にも気づかれていませんでしたが、小説版では、悟浄の叫びと真意が他のメンバーに届いていました。
 …こちらの方が報われてますね(しみじみ)。

 P305。
 悟空と八戒の二人掛かりで扉を破っています。こちらの方が、より『仲間の絆』を感じさせて良かったのでは。
 ドラマでは扉が狭すぎ、一人ずつしか出られなかったんですよね。

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 『滅法国』について。

 P330・P342。「チュー」「ページ」
 …やっちゃいましたか。
 基本的に昔の中国を描いているのに、日本の造語や和製英語を使ってしまう。こう言った『ありえない状況が紛れ込む』と、読者が冷めます。
 もちろん、和製英語やカタカナを封じて小説を書くのは、結構しんどいです(私も同じ経験があります。何度『マイペース』という言葉が使いたくなって暴れたか…)。でも、世界を崩さないためには、いくつかの言葉や概念を封じるしかないんです。

 P337。
 三蔵が凛凛を刺した事になっています。
 …やっぱり、その方が後の展開としても自然ですよね。
 『投げたものが刺さる』よりも、『無意識下で加減された太刀が刺さる』方が生存確率上がりますし(苦笑)。

 P337。
 三蔵を操ったのは『香』によるものになっています。悟空の視点から描くには、そうするしかないかな。

 P339。
 『悟浄が牽制。八戒が三蔵に駆け寄る。』
 こういったチームプレイが観たかったんですよね。ドラマではここでも悟空が単独で活躍していましたから(頭痛)。

 P342。
 『詳細の記述が破れた書物』の登場は、凛凛が天竺の詳細を知った理由としても使えます。


 もう少し『二重人格』になってしまった悟空の心理描写で遊べたんじゃないでしょうか。
 折角の一人称なんですから、ここでも頑張って欲しかったです。

 そして『凛凛生存理由』は一切触れられておりません(頭痛)。
 総集編でも『運良く生きていた』でしたしね…(遠い目)。

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 細かい揚げ足取りになってしまいましたが(申し訳ありません)、これで全ての感想が終了しました。

 今回の小説で『帰り道も平穏ではなかった』こと、そして『釈迦誘拐』がドラマだけでないことが明記されました。
 それだけでも収穫でしょうか。

 ノベライズを読みながら、ドラマを思い返していました。かなり細かいところまで覚えていて、差異に気づいたのは自分でも驚きましたね。
 やっぱり相当はまっていたんだなぁ…と改めて思いました。

 さて、次は映画ですよね。
 のんびりと情報を待つことにしましょう。





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Last updated  2006/04/16 11:25:32 AM


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