GOlaW(裏口)

2007/07/17
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カテゴリ: 西遊記
 汝、銀幕の迫力から目を逸らすこと無かれ。

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「普通に面白かった」
 それが見終わった後の最初の感想です。

 思っていたよりもずっと完成度も高く、安心して見れましたよ。
 世界観を壊すようなギャグも無く(冒頭近くのギャグシーンも、ぎりぎり世界観の中に納まっていた…と思います)。

 CMの『TVで明かされなかった謎が!』というのは、確かに誇大広告と思われます(…何がTVに繋がる謎だったのか、私には分かりませんでした)。
 でも、
『TVでやり残した設定や、クリアできなかった物語としての最低基準』
はきちんとクリアしていました。
 私の中の合格ラインはちゃんと超えましたね。

 金角・銀角の兄弟の原典設定から逆算して作られた物語ですが、その逆算も上手くいっていました。


 何より、フジテレビのスタッフの限界ギリギリまで頑張ったのはすごく伝わってきました。
 今の『社運賭けてます!』という感じの宣伝攻勢も、この頑張り故かな(←『不得意分野で社運を賭けるな』というツッコミは置いておく)。

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 でも。
 本来ならTV版の初回30分延長で、これくらいの完成度を見せて欲しかったと思います。
 CGやセットはともかく、それ以外の部分はTVでも可能だったと思うのです。
 無玉争奪シーンや罠のシーン、雪山シーンを縮めれば、1時間半のTVサイズ(実質75分)に展開が収まってしまうとも思われます。
 その意味では『やればできるんだから、最初からこれくらいで飛ばそうよ(泣)』とすごく残念でもありました。

 ここではTVよりぐんと良かった点(TVで最低でもこれくらいは満たして欲しかった点)をこれから述べていきます。

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1.如意棒

 今回の映画で感動したポイントの一部が、
「如意棒が多段階&自在に伸び縮みしてる!」
「金斗雲がはじめてまともに役に立ってる!」
という二点。

 …いや、それで胸を掴まれるほどに感動するのは、自分でもどうなのか(←劇場を出てから我に返り、しばらく凹んだ)。
 それって、TVでもちゃんと描写(役立てる)すべき最低ラインじゃないだろうかと、我に返って悩んでしまいました。


 如意棒は、TVでは『耳掻き←→五尺(1m半)』を行き来するだけでした。
「その二つしか、無理なのか?」とも私も思っていました。
 でもそれは違うことを、映画でちゃんと証明しました。

 いえ、むしろ『伸び縮みさせることで、戦略や魅せ方を飛躍的に拡大』させたんです。
 王宮での『遠距離からのマシンガン連続射撃』相当の突き、高飛び要領の上空からの襲撃…ほんとに凄かった。
 雑魚戦では『伸びては、密集集団を一薙ぎ。縮んでは近接距離を突き。掴まれては放し、油断した奴らを徒手空拳』と、悟空の取る戦法の多彩さは素晴らしかった。

 道具に頼るのではなく、道具を持て余すのではなく。それを使い切り、さらに無限の可能性を開く。
 これができるのも、ひとえに香取君の体躯と、それ以上の俊敏さと器用さが合わさったからこそ。どれが欠けても、ここまで魅力的になるはずがありません。

 むろん『対銀角・無玉争奪レース』においては、その長さゆえに間合いに入られ、如意棒を捕まれた上で攻撃を受けたりもしました。
 そんなデメリットまできちんと描けるからこそ、その武器が生き生きと活躍できるわけです。

 “TV版『西遊記』の制作発表の遥か以前から、『香取君の棒術』を切望していた人間”としては、もう本懐を遂げた気分です(天に昇る気持ち)。

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2.金斗雲


 同様に『金斗雲』についても触れておくべきでしょう。

 TV版では『人間の三蔵よりも遅いかもしれない』とまで言わせしめた金斗雲。
 展開における距離の感覚の麻痺加減も合わせ、下手をすれば『スケールの縮小』の一端を担いかねなかったという恐ろしさがTV版にはありました。

 しかし今回は『空中戦』という花形があり、見事に汚名返上となりました。
 空中落下の恐怖も、乗り移りも描きつつ。その形状ゆえの独特の姿勢なども魅せ、空を切る気持ちよさも感じさせていました。

 空中戦好きとしては、こちらも本懐を遂げました(嬉し泣き)。

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3.己の言葉での説教

 突入シーンでの悟空の言葉は、TVシリーズに比べるとずっと短かったです。
 しかし『己の行動で証明したこと』を、端的な言葉でぶつけてきました。
 それこそまさに、悟空の言葉であり、だからこそ素直に聞けます。

 当たり前なんですが、本当に大切なポイントです。
 …TV版では、それが出来ていなくて(乾いた笑)。当時の私など、ブラウン管の向こうから吼えたぎった(←吼えるな)ものです。
 これは映画化における一番の懸念事項でもありました。

 本当に、これがちゃんとできていて良かった(安堵のあまり、崩れ落ちる)。

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4.凛凛の出番、及び情報を出す配分

 これは本当に良かった。
 TVでは『凛凛が背景から重要な情報まで、長々と場面転換なく語りつくす』という悪夢がありました。
 …『子供の国』では、悟浄や八戒はおろか、三蔵の見せ場まで取りましたから(遠い目)。

 しかし今回はちゃんと『情報を手に入れる過程の描写』、『必要なポイントのみの情報提供』、『要所での助力』とポイントを押さえた出演。
 いい意味で物語のアクセントになりましたし、彼女の『泥棒』設定も魅力的に生かされていました。
 欲を言えば、凛凛の『半妖』設定もいかして欲しかったかな(←人外設定好きの戯言)。

 情報提供は文徳、怜美、劉星、銀角の四人に振り分けられ。それぞれの設定を生かすように提供シーンが描かれました。
 その点もかなりの改良であり、高評価です。

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5.妖術を生かした戦闘シーン

 TV版では戦闘シーン以外の妖術もかなり控えめ。
 戦闘シーンに至っては、『蟻酸』以外の妖術戦闘が出てこなかったんですよね。
 …一番の脅威が妖術ではなく『神咒』(最終回の破戒僧集団が使った、仏の力)ってどうなんだ、おひっ。

「妖怪やファンタジーに対する敬意と愛を下さい、スタッフ様」
と、TV版放送時にはこっそり呟いたものです(遠い目)。

 しかし今回は悟空も『猿妖』としての本領(木登り)を発揮し、老子も術を使います。
 銀角・金角の両方の強烈にして多彩な妖術も炸裂。

 単に妖術を出すだけでなく、
『雲の術→乗り移られる』
『火の術→更に高位の術者に打ち消される』
『瓢箪→脱出される』
『高速移動で影に移動→気配を殺し損ねる』
と、特徴や対処法なども描くことで、よりリアリティを出すことができました。

 強いて言うなら、悟浄の『遠見の水晶球』や八戒の『嗅覚』なども描写できたら、この点においてはパーフェクトだったでしょうか(惜)。

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6.なまかについて

 映画中での『なまか』の絆の描写は、確かに少ないと思うんです(大岩に追い詰められた悟浄&八戒の会話でも、信頼が薄弱に描かれてるし…。頭痛)。
 少なくはあるのですが、それでも主題に『なまか』を持ってきたのはいいことです。
 TV版では哀しいほどにないがしろにされる(むしろ不仲ばかりが目立つ、問題演出)シリーズ主題ですが、ここできちんと主軸に据えようとしたことは評価できます。

 ゲストキャラの設定も、きちんと『なまか(国民)』への態度と絡めているのも秀逸かと。
 そしてクライマックス、『一行4人+玲美が力を合わせなけば乗り越えられない課題』を締めくくりに持ってき、悟空の言葉を行動で裏付けるのはいい(←脚本スタッフ、いい仕事してます!)。


 惜しむらくは、2点。

 一つは、“悟空の単独シーンを削り、悟浄や八戒による支援シーンを加えて”欲しかったこと。
 映画の中でも、悟空が単体でも結構無敵で器用なんですよね。だから、『彼に仲間が必要なのか』という部分が希薄になりがちです。
 悟浄や八戒が連れ戻しにきたとき、説教とともにさり気なく『悟浄も八戒も、なかまとして悟空を必要に思う』という思いを描写できていればよかったと思います。
 『後でフォローが入る三蔵法師への敬意』はともかく、『悟浄や八戒との友情』も描ければもっと『なまかは大切!』という部分が伝わったのでは。

 もう一つは、“約束となまかを絡めて欲しかったこと”。
 金角に対する説教では“なまか”の大切さを説いていました。ここに今回の“約束”を絡めて話せれば、もっと説得力が増したのでは…と思います。
『お前みたいな約束破りに、なまかはつくれねぇ!』
 のようなことを、悟空の言葉で言って欲しかったです。

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 その他にも。
 『戦闘シーンの殺陣の撮り方』も、『必要な箇所への過不足無いCG映像』も、TVからは数段のスケールアップを感じました。

 一年と三ヶ月前からこの日をずっと楽しみにしてきました。
 映画の出来が想像以上に良くて、その点にも物凄く感動しました。
 …国民と雑魚との戦闘シーンには、目頭に涙が溜まってしまいましたし(←ファンタジーには涙腺が弱まる女)。

 香取君をこの映画で観ることができて良かった。私は今、素直にそう思えます。
 確かに欠点もあるけれど、それを差し引いても良かったと思います。

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 この後では、『映画そのものの良かったところ』、『映画のストーリーのツッコミどころ』をレビューしていこうと思います。





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Last updated  2007/07/17 08:38:01 AM


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