GOlaW(裏口)

2007/07/17
XML
カテゴリ: 西遊記
 勝利をもたらした者へ、彼らは声を上げる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 それでは、これまでに上げきれなかった点について、感想・批評取り混ぜて述べていこうと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


A.<ガンダーラ>

『………ガンダーラ、ガンダーラ♪………』

 …いえ、確かに『西遊記』のために作られた歌であり、名曲でもあり、知名度も抜群ではあるんです(…今年の『24時間TV』の夏目雅子さん特集でも、『イッテQ』のサハラ砂漠のシーンでも流れましたが)。
 私もこの曲には愛着があります(←再放送で見倒していた女)。

 しかし。

『………愛の~国、ガンダーラ~♪………』

 その歌詞が耳に飛び込んだ途端、私の脳裏を“腐敗しきった大雷音寺”がよぎりました。
(嫌だー! あんな寺が愛の国かぁぁぁぁっっ!)
 自分の中で最終回の内容がぐるぐる回り、一気に拒絶反応。おかげで余韻は完全に吹っ飛びました。

 あの曲はあくまで『堺正章版・西遊記』のために作られた曲であり、その世界観に合わせて作られているんです。
 フジテレビ版『西遊記』にはそれ独自の世界観があり、それを考えずに違う価値観のものを突っ込んでも、互いに相殺しあうだけなんです。

 作り手側にはそういう『世界観』という概念を大切に、映画を作っていただきたかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


B.龍

 やーっと、やーっと龍が出てきた(喜)!
 龍のCGの迫力はすごく良かったです。

 ただ、中国の龍といったら『蛇と鯉』だと思うんですよね(←まだ言うか、己は)。そのネタもいつかはやって欲しいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

C.悟空連呼


 私は『ロボッツ』しかり、こういったレジスタンス的な物語は大好き。
 すべての人間が一丸となって、ただ一つの未来をつかんだ時の達成感はたまりません。
 だから今回の映画の展開も、クライマックスでは目頭を熱くしたまま、前のめりに引き込まれました。

 しかし。
 …龍封印まで潤んでいた私の涙も、『兵士たちの悟空連呼』で引きました(そして<ガンダーラ>で完全に醒めました)。


 レジスタンス物の小説などでももちろん、主人公の名前の連呼があります。
 しかし、“主人公の名前だけ連呼”というのは明らかに異常なんです。

 通常、功労者の主人公の名前が呼ばれたのち、それは仲間達の名前になります。
 この場合なら、悟空達の名前の後、玲美などの王族の名前を挙げるでしょう(それは『民衆が王族を見捨てず、今も慕っている証拠』という演出になり、それは玲美にとっての最大の報酬になります)。
 そして、『国家の名前』か『さらに国民一人一人の名前』へと移行します。とくに後者は戦闘直後の演出のお約束です。

 すべての人が手を取り合い、選び、つかみ取った勝利だからこそ、意味がある。すべての人間が、賛美される資格がある。
 だからこそ、ただ一人(←しかも余所者!)が賛美されるのは間違っている。
 だから最後は、すべての人の象徴として、国の名がいつまでも賛歌されるべきなのです。


 ですからこの映画の場合、『悟空→三蔵→悟浄&八戒→玲美→国家の名前』と呼ぶのが、もっとも妥当なのです。


 しかし、この映画では三蔵が一回、あとは悟空ばかり。
 すぐに姿を消したであろう凛凛はともかく、悟浄や八戒の名前を呼ばないのはおかしい。クライマックスで命がけで戦ったのは、悟浄や八戒も同じなのに。

 『仲間』という主題を裏切り、栄光を受けるのはただ一人という演出。さっきまでの悟空の啖呵さえ色あせて見えてしまう瞬間でした。

 脚本スタッフ、『民衆の勝利の直後の名前連呼』という古典的な手法を使うなら、お約束演出とその理由ぐらい知っておきましょうよ(号泣)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


D.文徳

 この人は過不足なく上手く演出されていましたよね。
 『玲美が侮蔑する民』を見事に体現していたと思います。

 こう言ったキャラクターは掘り下げると、彼だけで一話分の粗筋ができてしまうほどオイシイです。
 葛藤を抱えつつ、弱さを抱えつつ、しかし本質はまじめで礼儀正しく。私は結構好きですね(微笑)。

 だからこそ彼には、空が暗くなった街の入り口での対峙シーンで八戒と話をしてほしかったな(詳細は『その三 E.大衆の前で』)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 いろいろ書きましたが、結論は『おもしろかった』の一言です。

 なんだかんだ言っても、やっぱり香取君のファンとして、ファンタジー好きとして、見に行ってよかったと思います。
 ダメなところも含めて、ツッコミ、笑って、ちょっとホロっときて。
 この映画からもらったものを、感想の中にいっぱい詰め込みました。

 皆さんが映画を見に行くときに、あるいは見に行かれた後で。
 ここに書かれたことを参考に、より深く映画を楽しまれたなら、それだけで私は嬉しいです。

 ちょっときついことも書きましたが、それも含めて私なりの映画『西遊記』へのエールです。

 どうかスタッフ様、これからも『ファンタジー』という題材に怖れず、だけどもうちょっと真剣に向き合い、取り組んでくださいね。
 頑張ってください!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007/08/31 04:20:59 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Free Space

 こちらはSMAP、ケディ・ティン、チェヨン(ジニー・リー)ファンの管理人によるHP、
GOLAW の裏口になります。
 よろしければ正面玄関にも足をお運びください。

 なにかあれば、Web Crapでお知らせください。(ブログコメント欄は閉じています)

西遊記関連の記事一覧
その他のドラマ記事一覧



このブログおよびHPの画像は全て 素材サイト様 のものです。無断使用禁止。

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: