GOlaW(裏口)

2010/08/12
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 設立当時の写真。
 居ない人の上にコインを乗せる。4つのコインが集まれば、それはアメンボを示す。

 アメンボが棲めないまでに、『レゴリス』の水は濁ったのだ。


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◆ 消えるアメンボと雉畑


 そう、環境の整った場所にしか、人は働けないように。
 そんな簡単な事を、葉月は見失ってしまったのでしょうね。

 写真の上に何気なく置かれたコイン。
 それはただ単に、居なくなってしまった人を隠すために置いただけだったと思います。ですが、それが4枚目となったときに、彼も気づいたはずです。
 4枚のコインがなくなるとはつまり――この会社の水が濁り、本当に大切なものが消えざるを得ない状況にまでなってしまったのだと。


 雉畑さんは、会社のアメンボを示すような存在でした。良識と誠実さを持ち、必死で支えてくれていたのですから。
 葉月もそのことはわかっていて、雉畑をやめさせることだけは避けたいと考えていました。


 それでも上海工場の件で雉畑を攻めてしまったのは、『自分は悪くない、自分の生き方は間違っていない』と自己防衛のために責任転嫁せずにいられなかったのです。追い詰められた心が攻撃されることを恐れて、理性を突き破って攻撃性に現れてしまったのです。

 その自己弁護がどこかで意識に残っていたから、辞表をもっと強く突返すことができなかったのでしょう。

 そして、彼は雉畑を失った後で、その本当の価値に気づくのです。
 彼が居たから、訴訟という最悪の事態を回避できた。彼の存在はどこまでも大きく、彼こそ間違っていなかったと。
 自分の間違いに気づかされることで、彼の存在意義も揺らぎ、さらに打ちのめされるのです。

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◆ 社会的制裁

 葉月の社会人としての末路としては、これが正しいのでしょうね。
 彼の決断理由が個人的な願望のみに寄っていたことも、会社に属する人間の幸せなど省みたことがないことも、事実。そのことに関して同情の余地はありません。
 ドラマを見ていて私の溜飲が降りたのも事実です(←いや、だから昔のトラウマをここでぶつけるな、自分)。
 社内の権力闘争によって表に出た事実であろうと、この場合においては『真実』が公表されることは正しかったと思うのです。世間からの裁きを受けるのは当然の報いです。

 あと、あそこまで弱りまくった演技がすごく新鮮で、木村君のファンとしてはすっごく美味しい回であったのも嬉しかったかも(←それが本音かいっ!)。

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◆ 葉月のレゾンテール崩壊

 彼は序盤、必死に会社を守ろうとします。なぜなら会社とは彼の生き様であり、そのすべてを預けた場所だから。
「謝罪を受け入れてもらわないと」
 そこに真摯な侘びの気持ちはありません。お客様への気持ちはなく、ただ会社のことしかなく。
 そして、シュウメイが求めるような優しさはない。

 彼は攻められ続けることで、情緒不安定になります。
 その中で自分を責めないシュウメイの存在に、どれだけ癒されたでしょうか。
>「せめて友達のことだけは」
 そのときの言葉は、彼の誠意が込められていたでしょう。

 後ではめられて、その言葉を裏切ってしまうというのに。
 彼が『アメンボの棲めない会社』になったことを自覚し、『アメンボ』がいなくなったことを自覚したとき。
 彼の存在意義を肯定してくれる存在は、自分以外に居なくなってしまいました。


 そのことに気づいたシュウメイが去るとき。
 とうとう、自分を守ってくれるのが自分しかいないと思ってしまったとき。
>「俺は自分の生き方を変えられない」
といってしまうのです。
 自分だけは『自分を肯定』しなければ、彼は完全に壊れてしまうから。
 そこにしかレゾンテールを見出せないまでに、彼はすべてを失ってしまったのだから。

 その存在意義を突き詰めた結果が破滅であろうと。
 今の彼がそれを手放すことはできないのです。

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◆ 『上海にただ一人、帰る』

 最後まできっちり、ケディさんの足跡をなぞる脚本スタッフに驚愕です。
 ケディさんの場合、受験戦争のために帰国したということになってるんですけどね。後のことを『小悪魔なハン・ユニさんや、お姉さんのような存在のジニー・リー』という二人の女性に任せての帰国でした。
 その見立てだと、ハンさんが柚月で、真絵美がジニーさん? ……偶然の一致にしても、ここまで一緒だとちょっと怖いほど。

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◆ シュウメイが呪縛から解き放たれるとき

 彼女を葉月につなぎとめていたのは『上海工場の現状を救う』という使命感。その拠り所であった上海工場も友達も、救いようがないところまで壊れてしまった今、彼女が葉月の傍にいて、『帰る』と脅かし続ける理由は無くなったのです。

 結婚でつなぎ止められるほどの信頼関係は、葉月とは結べなかった。
 なぜなら葉月は、約束を破り、会社を守るためにミンを売ってしまったのだから。

 きっと彼女は『レンだって、信じ続ければ変われる。私が助ける』と思っていたのでしょう。
 だからこそ苦しさをずっと飲み込んできたのです。
>「ほんとは泣いてた」
 そう彼に言えたのは、もう悲しさを隠す必要も無くなり、彼との関係を清算してもよいと思えたから。


 彼女の努力も空しく、自分の守りたいものは全て壊れてしまったけれど。
 それでも葉月の呪縛から逃れることができたこと、それだけは本当に良かったと思います。

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◆ 風見、動き出す

 いよいよ、復讐に動き出しましたね。
 大貫社長と組んでいたのも、機会を待ち、準備を整える風見らしいと言えます。

 彼が『雉畑さんの想いを無にしないために』と、もみ消すことを誘導したのも作戦でしょうか。
 そのことがミンの国外追放につながるとわかっていて、わざと言ったのでしょう。……葉月からシュウメイという味方を奪い、決定打を加えるために。

 そこまで激しい復讐を抱えていたのかと思うと、彼が怖く、そして哀れに思いました。

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 そして、『アメンボ』を通して警告してくれていた真絵美は、遠くから見守り続ける柚月はこれからどう動くのでしょうか。
 これから見る続きがとても楽しみです。

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「月が見えねぇよ」
 どんな場所にも月の光が届くなど、幻想でしかなく。
 遠い日の願いは消えたのだ。――いつから自分には月が、遠い日の夢が見えなくなったのだろう?





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Last updated  2010/08/12 10:21:07 AM
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