2007年08月03日
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日本古来のカクテル「やなぎかげ」。処方を書けば「よく冷やした焼酎60cc、
みりん30ccをステアし、オールドファッションドグラスに注ぐ」。単なる調
味料ではなく、飲めるみりんは、13~14度です。一方、焼酎は、材料も度数も
さまざまで、麦の20度と芋の35度とでは、柳陰の出来映えや味わいがまったく
違うものになるでしょう。夏場の暑気払いに、よく井戸水で冷やした柳陰をい
ただくのが風流であったことは、「青菜」という落語からもうかがい知れます。

当時(江戸~明治時代?)、酒と言えば灘、伏見が名産でした。越後など東国
の辛口の酒と違って、ここらのは甘さ・甘露味を売りにしていました。当時の
焼酎は、現在とても人気のある芋の本場・九州のものではなく、たぶん日本酒
の搾りかすを蒸留した、今で言うカス取りの米焼酎でなかったかと思います。
そんな“安物の酒”にみりんを混ぜ(配合し)、灘や伏見の酒に模した(少な
くとも冷えていれば、それなりに飲めた)のが、柳陰ではなかったでしょうか。
涼やかなネーミングとともに、庶民の知恵の結晶であったようにも思います。

作って飲んでみました。芋の25度で試すと、香りは焼酎ですが、飲むと甘~い
酒ですねえ。氷を浮かべてオンザロックスにすると、いくぶん薄まって、まあ
まあ飲めました。試すときにはくれぐれも、「糖類の入っていないみりん」を
買ってきて使ってください。落語では、鯉の洗いを食べさせてもらった植木屋
さんが感動しますが、題にもなっている青菜は「食べてしもて、もう無い」と
登場しません。この時代の「青菜」が、実際には何のどんな調理法だったのか
ということが、関係者の間で興味を呼んでいる、今日このごろでございます。





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最終更新日  2007年08月03日 21時03分45秒
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