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2012 ベスト20冊 FC2ブログに飛びます。
2012.12.30
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11月の書籍代
2012.12.01
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10月の書籍代9月の書籍代8月の書籍代FC2ブログに飛びます。
2012.11.06
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ご無沙汰しています。削除されてしまうかもしれないので、たまにはこちらにも書き込んでおきます。7月の反省は、「楽天」からの殺人的なメールと貯まっているポイントのせいで、楽天・koboを買いそうになってしまったことです。 タイヘンなことになるところでした。(汗)7月の大当たりは、なんと言っても戌井昭人さんです。以前アンソロジーに入っていた短篇をたまたま読んで面白いなぁ~と思って手を出したら大当たり!! ゆる~い感じと独特の場末感が思いっきりツボ。 ところどころ吹き出してしまう恍けた味わいもいいです。今まで3作が芥川賞候補になっていますが、文章は比較的平易で読みやすいです。 芥川賞系では長島有さんもかなりゆるいと思いますが、このゆるさは他者を圧倒しています。 というか、ヘンに芥川賞なんてとってメジャーになって欲しくないというのがホンネです。 最新作は「新潮」6月号に掲載されています。↑ノンフィクションで面白かったのは井上理津子さんの『さいごの色町・飛田』大阪の飛田新地を10年に渡って取材した作品。 いったい、この町はどういう仕組みでこんなコトになっているのか?という疑問にある程度応えてくれるノンフィクションです。7月書籍代 26冊 0円以下読書メータのまとめです7月のまとめ本館(FC2)
2012.08.16
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面白いと言う噂を耳にしていましたが、これほどだとは思いませんでした。殿山泰司のエッセイがスゴ過ぎます。 どこがスゴいかは、あとで感想を書きます。とにかく脇役でテレビに出まくっていた殿山泰司。 やはりただものではなかったようです。ちなみに、今日読み終わった『三文役者あなあきい伝・1』(ちくま文庫)の解説はまちだまちぞう(パンク歌手)。 作家になる前の町田康さんです。 というわけで3月の書籍代です。3月の書籍代 23冊 4520円3月は豊漁でした。 つづきはこちら
2012.04.06
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすことー。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!大藪春彦賞受賞作。<感想> ★★★★★あちこちの読書系ブログにお邪魔していますが、ベストセラーには手を出さないという方が少なからずいらっしゃいます。 基本的に私も同じ考えですが、その性癖のおかげで大損をしているような気分にさせられる作品と出会うことがあります。私にとって、本書はそのような作品でした。さて、本書が扱っているのはロードレースという競技です。 世界的な大会はツールドフランスで、その名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれません。 ただ日本国内においてははマイナースポーツと位置づけられています。 ともすれば、そのルールさえ知られていないスポーツを俎上に載せるということは作品のウィークポイントになるのではないかと思いがちですが、どうやら近藤史恵という作家にはそれをものともしない筆力が備わっているようです。 私は圧倒されました。ロードレースの特性とプロスポーツの厳しさ。 陸上競技からロードレースに転向した主人公の心理描写。 サスペンスの要素。 あたかも主人公達と一緒にペダルを漕いでいるような疾走感。 加えて全編に張り巡らされた臨場感と緊張感の糸。 そして、それが切れる瞬間に訪れるカタルシス。本当によくできた作品で120点です。 ベストセラーなんて万人向けする作品はつまらないはずとお考えの方に強くおススメします。 ホントに猛プッシュです。(笑)コメント・TBは本記事にお願いします。
2012.03.31
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。梨花は海外へ逃亡する。彼女は、果たして逃げ切れるのか?あまりにもスリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代、待望の長篇小説。<感想> ★★★★★本書は今月出た角田光代さんの最新刊です。 あらすじを読む限りでは一億円を横領した女の逃避行的なイメージを抱きますが、メインストーリーは横領から発覚までです。 そこに主人公と過去に関わっていた同世代の男女3人を配して、その深層心理を描く作品です。さて、一年半ぶりの長編である本書は角田毒炸裂しまくりです。 まじめで正義感の強い主婦である主人公の梨花が、横領にまで至るまでの描き方がハンパではありません。 人が金の奴隷になって堕ちていくさまがヨーシャなく描かれています。 この作品の評価は読者がこの主人公を客観的にイタイ女(他人事)と読むのか?激しく感情移入をして読むのか?がポイントになってくるわけですが、ここで効果的な役割を担っているのが同世代の3人です。 私たちは一億円を横領するまでには至らなくても、主人公と似た性質を持っている3人のうちの誰かと共鳴する部分を持ち合わせているはずです。 この3人を触媒として読者を限りなく主人公に近づける手法は見事です。 もちろん、主婦である彼女たちの抑圧された心理を描くさまは言うまでもありません。 私が特に強く感じたのは彼女たちの考え方や行動パターンのリアルさです。 ただ、それはどの世代においても共通のものではありません。 社会に出る寸前のタイミングで金銭の持つ力の前にひれ伏し、子供が手を離れる頃にはアラフォーなどと持ち上げられて商業主義のターゲットにされている。 私も含めて、そんな時代を生きてきた読者にとって、この物語とてつもなく怖いはずです。真新しい石鹸のような、高校生の頃の梨花の笑顔が自然に思い浮かぶ。 りかちゃん。 木綿子はその笑顔に向けて問いかける。 あなたは何を買ったの?何を手に入れようとしたの?その問いは、いつにまにか木綿子に向けられている。 私は何のために節約してきたの。 なんのために貯蓄しようとしているの。 それで何を得るつもりなの。長編前作の『ツリーハウス』でちょっと違うかも・・・・と思われた角田ファンに強くおススメします。 角田毒を思う存分ご堪能くださいませ。(笑)余談ですが、タイトルはJAZZスタンダードの”It's Only a Paper Moon”から来てると思います。 梨花の心理をよく表していて秀逸です。Say, its only a paper moonSailing over a cardboard seaBut it wouldn't be make-believeIf you believed in me ・・・・・・そうよ、ただの紙のお月様厚紙の海を帆走してゆくでも、見せかけのものにはならないわあなたが私を信じてくれているなら・・・・・コメント、tbは本記事へ
2012.03.28
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)三世代、百年にわたる「風変わりな家族」の秘密とはー。東京・神谷町にある、大正期に建築された洋館に暮らす柳島家。ロシア人である祖母の存在、子供を学校にやらない教育方針、叔父や叔母まで同居する環境、さらには四人の子供たちのうち二人が父か母の違う子供という事情が、彼らを周囲から浮いた存在にしていた。<感想> ★★★★★本書はハードカバー600頁の長編。 江國作品の中では最長のボリュームです。 さて、あらすじを読む限りでは時代を追いながら描く大河小説をイメージすると思いますが、本書は語り手が次々と変わる連作短編に近い構成が採られています。 ただ、それぞれの章によって時代が進んだり遡ったりするので、読み始めはかなり戸惑います。 加えて、この家族の特殊性に関しても同様です。 しかし、読み進めていくうちに多すぎる登場人物もすっきり整理されて読みやすくなるし、徐々に明かされていく家族の特殊性は、読者に頁をめくらせる牽引力になっていきます。特にすごく大きな出来事が起こるわけではありませんが、このヘンな家族の世界に入り込んでしまうとその世界から抜け出すのは容易ではありません。 また。随所に最近の作品では見られない初期作品を彷彿とさせるような描写があって、古くからの読者ならそれを楽しむこともできます。 夕方と夜のあいだの時間で、図書室は電気をつけないと暗いが、つけてしまうとたちまち空気の中の何かがそこなわれる。 たとえば晩夏(おそなつ)の気配が。 裏庭の木も、昼間ほどくっきり見えないけれど、夜ほど黒々と闇に沈んでもいない。私はこの一節がツボでしたが、おそらく読者それぞれがツボをみつけることができるのではないかと思います。ラストに関してはハッピーエンドとも取れるし、その逆と解釈することが出来ると思います。 そのあたりは中途半端という声もあるようですが、少なくとも読者は読みごたえのある作品を読み終えた充実感に浸れることはまちがいありません。 余談になってしまうかもしれませんが、この本の装丁は見事です。 読み終えたら裏表紙もチェックしてください。 本を閉じるまでが読書です。(笑)コメント、TBは本記事にお願いします。
2012.03.23
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突然のお知らせですが、ブログを引越すことにしました。2005年に始めてから7年。 アクセス数も330,000を超えていました。たくさんの方たちといろんなお話ができて、充実していたわけですが、ここしばらくの運営方針についていくことができませんでした。個人的にはトラックバックの廃止がネックになりました。読書サイトに限らず、レビュー(感想)をメインコンテンツとしている方にとっては致命的な変更だったのではないかと思います。時流は、ツイッターやフェイスブックなどのSNSに流れていますが、ブログにはブログの良さがあるわけで、時代の仇花としてしまうには惜しいように思えてなりません。 というわけで、転居先はこちら→讀物バカ一代半年ほど前に開設してありましたが、本日データすべてを移項しました。 この方法でFC2に引っ越しました。こちらも残して、月に一回「読書メーター」のまとめのみを貼り付けするつもりです。 今後ともよろしくお願いいたします。
2012.03.09
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2月の書籍代 13冊 1,300円2月の読書メーター読んだ本の数:13冊読んだページ数:2961ページナイス数:90ナイスカッサンドル―巨匠の知られざる全貌『深夜特急』の装丁画でお馴染みカッサンドルの画集です。 出た当時(95年)値段にビビッて躊躇していたら、いつのまにか絶版になっていたようです。 図書館で借りました。 読了日:02月26日 著者:47都道府県 女ひとりで行ってみよう自由で気ままな一人旅には憧れるけど、一人で食事したり、初対面の人と話すのが苦手。 他の観光客にどう見られるのか気になる・・・。恥ずかしがり屋で、ちょっと自意識過剰。 はい!私です。 『深夜特急』が一人旅のバイブルとするなら、本書はへっぽこ一人旅のバイブル。 背中を押してくれる一冊でした。読了日:02月24日 著者:益田 ミリカレチ(2) (モーニングKC)うぉ~三巻出てるし!!!!読了日:02月24日 著者:池田 邦彦すーちゃん (幻冬舎文庫 ま 10-2)夏石鈴子さんに「あおば」というキャラを主人公にしたシリーズ作品がありますが、そのマンガ版といった感じです。 いきなり「クウネル」出てくるし・・・(笑) ひとつひとつのエピソードはコンパクトにまとめられているんだけど濃いんですよね。 そのせいもあって、すぅ~ちゃんの禅問答のようなつぶやきがボディーブローのように効いてきます。 読了日:02月23日 著者:益田 ミリ妻の超然いつもながら舞台になる町の様子がリアルに描かれていてイイです。 コミカルな表題作を読んで◎だと思いましたが、「下戸・・・」はもっとヨカッタです。 私自身、下戸なので必要以上に感情移入してしまいました。下戸はそのように日々をやり過ごしているんですよ・・・。 「作家・・・」は、ちょっとトーンが違うので面喰うかもしれませんが、私小説として読むと楽しめます。カッコいいという感想をお書きになっている方がいらっしゃいますが、そう、カッコいいんです。読了日:02月22日 著者:絲山 秋子あゝ野麦峠 続 (2) (角川文庫 や 7-2)『あゝ野麦峠』の続編。 本編では書ききれなかったエピソードやその後のこぼれ話などが収録されています。 本編と比較するなら、事実に対する解釈が若干叙情的なような気がします。 ただ、他の方もおっしゃっていますがそのあたりが本書の魅力なのかもしれません。読了日:02月21日 著者:山本 茂実メロディ・フェア (文芸)仕事の物語として読むなら良くも悪くも凡庸だと思いますが、女性が持っている化粧に対する想いを十分に感じ取ることが出来ました。 鉄仮面、浜崎さんもいいけど主人公の家族が口紅に対して抱いている想いを最後に持ってきているあたりがいいですね。 ホントに宮下奈都さんは巧い作家さんです。 タイトルになっているBee Geesの"Melody Fair" 前後の脈略をほとんど無視して突然出てくる「ショッカー」 宮下作品のそういうところがツボです。 この作品は若い女性向けですが宮下さんと同世代なら男性にもおススメです。 読了日:02月13日 著者:宮下 奈都犬はいつも足元にいて酷評されているようですが、芥川賞ノミネート作品の割にはストーリーもしっかりしているし、緩急もあって読みやすい作品だと思います。 肉はいったい何だったんでしょうね?まぁ~そのあたりも含めて個人的には十分楽しめました。 サダのお母さん良いですね。 助演女優賞を差し上げたいです。(笑)読了日:02月13日 著者:大森兄弟サナトリウム残影―結核の百年と日本人「結核」を触媒にして、日本の近代全体を捉えていて興味深く読めました。 良書だと思います。 湘南といえば私たちの世代ではサザン・オールスターズですが、『太陽の季節』以前はサナトリウムの町だと知って驚きでした。 そういえば徳富蘆花の『不如帰』も逗子が舞台だったような気がします。 加えて、清瀬にやたらと病院が多い謎も解決しました。 読了日:02月12日 著者:高三 啓輔チーズと塩と豆とブレノワール=黒麦=○○(←ネタバレのため伏字)というのがびっくりしました。 ストーリーはもちろん食材の使い方で森絵都さんが一歩抜きん出ているように感じました。 こんなレストランもあるようです→http://www.blenoir.co.jp/読了日:02月06日 著者:井上 荒野,江國 香織,角田 光代,森 絵都
2012.03.06
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つげ義春の温泉つげさんが旅をした昭和40年代~50年代の湯治場の様子が描かれています。 漫画以外にも写真やエッセイを駆使して表現される貧乏くささは天下一品です。 私自身は、つげファンでも温泉マニアでもありませんが今まで読んだ旅モノ(紀行文)の中ではベスト1です。 絶版になっているのが悔やまれます。 詳しい内容はこちら→ http://www.mugendo-web.com/y_tsuge/onsen.htm読了日:02月03日 著者:つげ 義春天頂より少し下って今まで、いろんなアンソロジーに掲載されたものを一冊にまとめた短編集。 私は3作品が再読となりました。 若い方からアダルトな方まで楽しめる「沁みる系」がチョイスされているように感じました。 個人的には、川上さん独特の惚けと浮遊感が漂う 『一実ちゃんのこと』がツボでした。読了日:02月03日 著者:川上 弘美寒灯貫太&明恵シリーズはDV小説的な読み方もできるわけですが、貫太の独りよがりの考え方や理不尽なキレ具合に私は渥美清が演じた車寅次郎的なものを感じました。 その境界線ってかなりビミョーで曖昧なんだけど、そこをしっかり意識して書かれているのではないかと思います。 読了日:02月02日 著者:西村 賢太2012年2月の読書メーターまとめ詳細読書メーター
2012.03.06
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津軽海峡冬景色が見たいので青森へ 私もひとり連絡船に乗り・・篇からというわけで、予定が大幅にくるってしまったので、温泉に行くことにしました。温泉王国青森には青森市内にも数多くの温泉銭湯があります。 温泉といえば日帰りの健康ランドのようなものをイメージすると思いますが、市内にあるのはあくまで銭湯。 一部例外もあるようですが料金は400円前後のところが多いです。 駅から最も近いのは青森まちなか温泉です。 施設も新しいし料金も安いので観光客に人気があるようですが、せっかく青森まで行ったのだからディープな温泉に行きたいと選んだのが↓P2281310 posted by (C)きたあかり市内にある三内温泉。 料金390円の温泉銭湯です。詳しいことはわかりませんが、青森市内最強の温泉との事です。露天風呂はありませんが、室内は体育館規模の大きさで浴槽はプールのように大きい千人風呂です。 お湯の色は緑白色でこれぞ温泉という感じで、ともかくすげぇ~硫黄臭いです。 私の知る限り、草津温泉に匹敵する数少ない温泉のひとつだと思います。16時過ぎに行きましたが、そこそこ混んでました。 飛び交っている津軽弁から判断するに利用者はほとんど地元の方のようです。 浴室内に石鹸やシャンプーの備えはないので、行かれる方はお風呂セット持参で行くことをおススメします。 休憩処も広々としていて入浴後もまったり過ごすことができます。 ただ、念のために申し添えておきますが、ここはあくまで地元の方がお使いになる銭湯施設です。 その泉質や効能から温泉マニアの方々の間では半ば聖地化されているようですが、都内にある2,000円前後のスパ施設とは違います。 行かれた方によって感想はさまざまですので、他の方のブログなどもチェックしてみてください。こんな温泉が中心部からバスで20分程度のところにあるんだから、やっぱ青森すごいです。 駅からバス停まで距離があるので地図を作ってみました。 あちこち調べたのですが詳しい地図が見当たらなかったので、バスで行かれる方は参考になさってください。 料金なども明記しておきました。ここで地元の方と話をしましたが、今年の雪は例年の3倍で雪降ろしに追われる毎日だそうです。 こんな時期にこないでねぶたの時に来ればいいのに・・という会話に周囲の人も、んだんだと肯いていました。 ここの営業は21:30までですが、中心部に戻るバスの最終は18:33(←最新のものを確認してくださいね)です。 晩ご飯はバス停の近くにあるラーメン屋さん(←地図に明記しました)で、青森名物の「味噌カレー牛乳ラーメン」↓を食べました。味噌カレー牛乳ラーメン posted by (C)きたあかり名前だけ聞くと不味そうですが、バランス加減が絶妙でたいへん美味でございました。 バターをスープに溶かすのがポイントだと思われます。 ここもお客さんは地元の方ばかりで、観光客目当てにやってます!!って雰囲気がなくてグッドでした。青森駅前 posted by (C)きたあかりさて、帰りですが「楽天」のポイントが溜まっていたので、夜行バスで帰ることにしました。 ホントは新幹線で帰りたかったんだけど、往路の寝台料金が高くついたので、帰りは節約です。(泣) 私が利用したのは弘南バスの津軽号。 通常価格は7,500円と高めですが、3列シートでかなりリクライニングするので熟睡することができました。 ちなみに同クラスのJRバスは8,500円。 4列シートなら各社5,000円前後です。というわけで、翌朝の7時ごろ東京駅の日本橋口に着きました。なんか雪降ってるし・・・・おこずかい帳 交通費 JR 上野→青森 乗車券 10500円 寝台券(B個室) 6300円 特急券 3150円 (延着のため払戻)青森市営バス (往復) 560円弘南バス 青森→東京 7500円 (全額楽天ポイント) 食費 朝食(弁当等) 550円昼食(大戸や) 800円夕食(ラーメン) 780円その他 500円 その他 八甲田丸入場料 500円三内温泉 390円おみやげ 2500円コインロッカー 300円 合計 34330円-3150円-7500円=23680円※交通費はすべて閑散期の料金です。
2012.03.04
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上野発の夜行列車篇から代行バス posted by (C)きたあかりというわけで、到着から一時間後に代行バスがきました。結局、列車はここで運転中止(運休)となりました。先行の列車が途中で立ち往生しているようです。列車が遅れたり、運休になると駅員さんに怒鳴りちらす恥ずかしい人がいたりするわけですが、そんなコトもなく乗客はバスに乗り込みました。 駅員さんもどこかノンビリしていて、いい意味で昭和しています。 まぁ~新幹線でもなく高速バスでもなく、交通事情の悪い厳冬期にあえて寝台列車をチョイスした自分からすれば、ここまで無事に運行してくれただけでも感謝です。 当初の予定では弘前で途中下車して、ストーブ列車で金木に向かうはずでした。 斜陽館と津軽三味線会館は旅のメインでしたが時間的に無理なので諦めます。 太宰治 吉幾三 高橋竹山予定より3時間半遅れて青森に到着しました。 ちなみに特急料金は返してくれました。 バスの車窓から見る風景もそれなりに面白かったのですげぇ~得した気分です。 駅から5分ほど歩いて青函連絡船に向かいます。 八甲田丸 posted by (C)きたあかり煙突に書かれたJNR(旧国鉄)の文字が泣かせますね。当然ながら、青函連絡船は20年以上前に廃止になっているので、これは記念館として港に係留されている八甲田丸です。 お台場にあった船の科学館にも同じ青函連絡船の摩周丸が係留されていましたが、閉館して、どうなっちゃったんでしょうね。 館内の様子↓P2281263 posted by (C)きたあかり八甲田丸地下 posted by (C)きたあかりP2281269 posted by (C)きたあかりこれは当時のまま残っている可動橋です。↓青函連絡船 可動橋1 posted by (C)きたあかり青函連絡船 可動橋2 posted by (C)きたあかり運航当事は駅からここまで線路が延びていて、この可動橋を使って列車や貨車を連絡船に積み込んでいたようです。 立派な近代遺産だと思います。 いつまでも遺して欲しいものです。さて、1908年(明治41年)から1988年(昭和63年)まで80年間運航した青函連絡船はたくさんの人々とその想いを運び続けました。 その歴史の中には大きな海難事故がありました。 1954年(昭和29年)9月26日に発生した洞爺丸事故です。 結果的に、この事故は青函トンネル着工を後押しすることになるわけですが、死者1155名はあまりにも大きい犠牲と言わざるをえません。 この事故をノンフィクションで描いたのが↓フィクションで描いたのが↓ この二作は聞きしに勝る良書です。 『洞爺丸はなぜ沈んだか』は絶版で手に入りにくい状況ですが、図書館に行けばあると思います。 というわけで、予定が狂ってしまったので市内にある温泉に向かいました。 次は町中にある名湯と地元ラーメンを食します。まだ、つづきます。
2012.03.01
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年末の紅白歌合戦で石川さゆりさんが熱唱しているのを見て以来、漂泊の思ひ止まず状態だったので、思いきって青森に行ってきました。旅の足がかりはいくつもあるわけですが、私のなかでは青森といえば、高橋竹山(←津軽三味線の人)、太宰治(←産まれてすんまそん)と吉幾三(←太宰治と並ぶ金木のスーパースター)。 そして演歌の最重要パーツである連絡船と夜行列車です。 さて、予約が難しいと言われている寝台列車ですが駅に行ったら翌日の予約があっさり取れました。 まぁ~シーズンオフだし、キャンセルがあったのかもしれません。というわけで、上野発の夜行列車↓に乗りました。P2281236 posted by (C)きたあかりP2271159 posted by (C)きたあかりとは言うものの今シーズン東北は豪雪に見舞われていて、公共交通機関は麻痺状態。 調べたら日本海側のルートを通るこの列車も今シーズンは何度も運休になっています。 ちなみに当日動いていた寝台特急はこれだけで、あとは運休でした。 ちょっと悪い予感はしたんだけど、生まれて初めて乗る寝台車に鉄ちゃん魂が疼いてしましました。私が乗ったのはB寝台個室というやつで、個室ですがフツーの開放型のB寝台と料金は変わりません。 なぜだろう・・・と長年思っていたんですが、乗ってみてわかりました。 すげぇ~狭いです。 どれだけ狭いかというと閉所恐怖症の人が卒倒してしまうぐらいのレベルです。入口↓B寝台個室入口 posted by (C)きたあかりコインロッカーではありません。 高さは150センチぐらいで、かがまない中に入れません。中はこんな感じ↓B寝台個室5 posted by (C)きたあかりB寝台個室4 posted by (C)きたあかり広さは畳一畳分で、立つことはできません。私は一階でしたが、二階はこんな感じ。↓B寝台個室二階 posted by (C)きたあかり明らかに広いんだけど、折りたたんであるベッドを広げると出入り口を塞いでしまうため出入りが不可能となります。ところが横になって、しばらくするとこの狭さが快感になってきます。 なにより、寝転がりながら見る車窓の風景はその非日常感がたまらなくいいです。 加えて音が静かです。 オレ、バリバリ気合入れて飛ばしてんだから、東西線なんてぜってぇ乗るなよ。 仲間だけど総武線もちょっとタルいしな。 えっ!京成?そいつ誰よ??的なモーター音を響かせて湾岸を爆走する京葉線通勤快速と比較するなら無音に近い状態です。雪が見たいなぁ~と思いながらも、雪国の手前のトンネルで寝てしまったようです。 B寝台個室2 posted by (C)きたあかりその後も停車駅度に目を覚まし、また寝るという感じでした。 そんな寝ぼけた状態で列車はある駅に到着したわけですが、なかなか出発しようとしません。 きっとこの駅は停車時間が長いんだな・・・と思っているところに非情の車内アナウンスが流れてきました。 そうです、昨夜の悪い予感が的中してしまいました。その駅は秋田県にある東能代。 青森までは、まだ130キロあります。 雪まみれのあけぼの posted by (C)きたあかり次回につづきます。「あけぼの」をご利用になる方への追記列車に関してはほどちゃんの島・寝台特急 あけぼのがたいへん役立ちました。 車内販売などはいっさいありません。 停車時間も短いので、飲食物は乗車前に用意することをおススメします。 (特に冬場は運転中止や数時間の遅れなども珍しくありません)寝台券不要で利用できるゴロンとシートがありますが、寝具がないので冬場はかなりきつそうです。 毛布や寝袋を持参されている方もお見かけしました。北海道方面に行く豪華な寝台列車と比較なら、オーソドックスな寝台列車です。 行程も上越線・羽越線廻りなので12時間以上かかります。 (最速の新幹線なら4時間)そのあたりはお含みおきください。公式な発表はありませんが、数年を待たずして「廃止」されるのではないかと言われています。 寝台列車は新幹線より遅い上に料金も割高です。 ただ、乗れるのは今のうちかもしれません。
2012.02.29
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第1章 貿易図案(外国商館/輸出用茶/生糸/燐票)/第2章 トイレタリー(化粧品/石鹸/洗粉/歯磨/月経帯/パウダー)/第3章 薬品(売薬/薬種/肥料/蚊取線香/商法 他)/第4章 食品・嗜好品(飲料/煙草お飲み物)/第5章 繊維・日用品(繊維/文具 ほか)<感想> ★★★★☆本書は明治・大正・昭和の商業デザインに関する本です。あらゆる商品についていたラベルなどがジャンル別に整理されていてレトロ文化好きなら大満足できる一冊です。 近代の小説がお好きな方なら主人公たちの背景にこんな小物が置かれているのかも・・・と思い描くのもいいかもしれません。 中山太陽堂(現クラブ化粧品)の跋扈ぶりや、森下南陽堂(現森下仁丹)の「毒滅」。 青い硝子壜に入った「神薬」が怪しすぎてたまりません。(笑) これだけ集めた著者には頭がさがります。オールカラーできれいな本ですが、お値段も高めです。図書館に予約を入れるとき、あと一冊・・・・ということがあればおススメです。 思った以上に楽しめると思います。
2012.02.25
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東京番外地、それは普通の人が何となく忌避してしまうところ、近すぎて焦点距離が合わなくなってしまったすぐそこの異界。皇居、歌舞伎町、東京拘置所、山谷、霞が関-。あらゆる違和にまなざしを向けてきた著者が、無意識の底に沈んだ15の「聖域」を旅する裏東京ルポルタージュ。そして初めて出会う、この街の知られざる素顔とは-新たに「番外編・東京ディズニーランド」を追加収録。<感想> ★★★☆☆あらすじにもありますが、本書は東京にある真空スポット的な位置づけをされている場所をルポした作品です。 著者は映像作家の森達也さんです。さて、映像を見ても文章を読んでも森達也という人は極めて個性的だと感じます。 その個性を好きか嫌いかで読者の評価は別れるのではないかと思います。 読書メータのレビューには「煮え切らない」「不完全燃焼」「青臭い」との記述が数多く見られましたが、それを否定するつもりはありません。 ただ、それは、文章や記述の瑕疵ではなく前段で触れた著者のスタイルです。 そのあたりを評価できるなら面白い読み物になるのではないかと思います。
2012.02.25
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失業中サラリーマンの恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の超お得な格安アパート。しかし一日目の夜玄関脇の押入れから「出て」きたのは、自称明治39年生れの14歳、推定身長130cm後半の、かわいらしい女の子だった(表題作「押入れのちよ」)。ままならない世の中で、必死に生きざるをえない人間(と幽霊)の可笑しみや哀しみを見事に描いた、全9夜からなる傑作短編集。<感想> ★★★★☆タイトルやあらすじ。 なにより著者の作品傾向からしてほっこりーなホラーだと思っていたら、そこそこ本格ホラーしてました。 ひとつひとつの話が短いので、電車通勤のお供には最適の一冊。 荻原浩さんは何を読んでもハズれがありません。 ガツンとくる作品がないといえばそうなんだけど、これだけ幅広い読者を楽しませてくれる手腕があるんだから、そろそろ直木賞あげちゃってもいいんじゃないでしょうか?
2012.02.25
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恋人との大喧嘩の果て、薬の過剰摂取で精神病院の閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、事情を抱えた患者やナースと出会う。普通と特別、正常と異常…境界線をさ迷う明日香がたどり着いた場所はどこか?悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた、第134回芥川賞候補作。<感想> ★★★☆☆本書は松尾スズキさんの芥川賞ノミネート作品です。この作品で、作家・松尾スズキを知った方も多いのではないでしょうか?さて、芥川賞ノミネートの時は「ゲロ」が一人歩きしていて読む気がしませんでしたが、思った以上に読みやすい作品でした。 女性の痛さといえば女性作家の専売特許のようなところがありますが、松尾スズキさんはそのあたりも巧みだと感じました。
2012.02.25
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1944年6月、多くの民間人を抱えたままサイパン島は戦火に包まれた。日系二世の「ショーティ」は、アメリカ軍の一員として上陸した語学兵のひとりだった。忠誠登録を経て帰属国家を示した彼は、捕虜となって帰属国家を見失う日本人と接し、その複雑な心理を目の当たりにする。捕虜の禁忌に縛られ、不義の罪悪に懊悩する人々にあるのは、いつの世にも通じ、いずれの国にも通じる、社会の構図だった。<感想> ★★★★☆第二次大戦中、太平洋戦線に投入された日系二世の心情を描いた作品。 日系二世の苦悶を見事に描ききっています。 旧日本軍では捕虜になることを辱めと戒めていたようですが、部下の命を守るため、部隊ごと投降した士官(将校)などもいたんですね。 ただ、その士官の末路は・・・・。ラストの七夕のシーンが秀逸でした。
2012.02.25
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東京大学の弥生門前にある弥生美術館(竹久夢二美術館併設)に行ってきました。 目的は弥生美術館の高畠華宵でしたが、特別開催の植木金矢展が予想外に楽しめました。 私自身は植木金矢さんの作品は未読ですが、チャンバラ活劇の原画が数多く展示されていて、そのどれもがめちゃくちゃカッコ良くてシビれました。 劇画の王道といえば『ゴルゴ13』!!という認識を改めることとなりました。併設の竹久夢二美術館にも行きました。正直いって竹久夢二は高畠華宵や中原淳一と比較すると、あまりにもメジャー過ぎてイマイチ興味がなかったんだけど、やはり実物を見るとメジャーはメジャーなりの理由があることがわかりました。 竹久夢二にしても高畠華宵にしても、大正時代を代表する画家です。 しかし、彼らは、専門的な美術の勉強をしたわけでもないし、発表の媒体は雑誌の挿絵や表紙、商業ポスター。 そして、ファンシーショップの元祖「港屋絵草紙店」で販売していた千代紙や便箋。 いわゆる中央画壇にも属することもありませんでした。 そんな彼らが牽引したのが即ち、大正浪漫です。 大衆が大衆の中から生み出した文化だからこそ、今も人の心をひきつけるのかもしれません。弥生美術館次回の特別展示は「大正から始まった日本のkawaii(カワイイ)」展。 水森亜土さんとか懐かしすぎます。簡単なアクセス所在地は文京区ですが、JRなら上野駅から歩いて15分ぐらいです。詳細アクセスはこちら
2012.02.24
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間藤篇から間藤から上り(桐生)方面に一駅戻ると足尾です。P2151057 posted by (C)きたあかりとても長閑な感じの駅です。 古河掛水倶楽部 posted by (C)きたあかり古河掛水倶楽部2 posted by (C)きたあかり旧足尾鉱業所付属倉庫1 posted by (C)きたあかり旧足尾鉱業所付属倉庫2 posted by (C)きたあかりここには「古河掛水倶楽部」という観光施設があります。古河鉱業が迎賓館として使用した建物で明治32年(1899)頃に出来たそうです。 現在は冬季休業中です。 詳しくはこちら足尾3 posted by (C)きたあかり駅前にある建物に張り付いていた看板。かなり古いものだと思いますが、錆は浮いていませんでした。P2151053 posted by (C)きたあかりあえて、一枚しかUPしませんが間藤や足尾ではこのような光景をあちこちで目にします。国策として推し進められ隆盛を極めた銅山。 そこに介入した巨大資本と数多くの鉱山労働者。 鉱毒事件と田中正造。 そして、現在・・・・兵(つわもの)どもが夢の跡。足尾駅構内2 posted by (C)きたあかり足尾駅構内6 posted by (C)きたあかり足尾駅構内5 posted by (C)きたあかり足尾駅構内3 posted by (C)きたあかり文学ヲタ的なメモ夏目漱石の『坑夫』 主人公が怪しげな男に連れて行かれるのが足尾銅山。 つまり作品の舞台はここです。鉄ちゃん的なメモわたらせ渓谷鉄道 posted by (C)きたあかりP2150898 posted by (C)きたあかり移動に使ったわたらせ渓谷鉄道ですが、なかなかいい感じです。私は列車の外観から判断がつきませんでしたが、シートは転換クロスシート(写真)。セミクロスシート(ドア付近のみロングシート)。 オールロングシートの三種類があるようです。 ボックスシートはテーブルもついているので、普通列車ですが旅行気分に浸れます。 夏場はトロッコ列車なども走るようです。 東京からのアクセスですが、JRは高いので東武鉄道がおススメです。 JR 桐生まで宇都宮線(小山経由) 高崎線(高崎経由) 各2時間半~3時間 普通 2210円(片道) 新幹線(高崎経由)約2時間 4920円(自由席・片道)東武鉄道 相老(桐生から二つ目です)まで2時間半~3時間 普通 1160円(片道)特急りょうもう 約2時間 2160円(指定席・片道)自動車都内から桐生太田インター経由(東北道・北関東道使用)で2時間弱桐生駅周辺は有料駐車場が数多くあります。 500~800円(24時間)
2012.02.19
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わたらせ渓谷鉄道 posted by (C)きたあかり2月某日。 栃木県の足尾に行ってきました。 J桐生駅からわたらせ渓谷鉄道に乗って、揺られること一時間半。 終点の間藤に着きます。1895年頃の足尾鉱山 栃木県の足尾町はかつて銅の生産で栄えた町です。ピーク時(大正5年・1916)の人口は38,000人。そのうち22,000人が銅山関係者でした。 当時の年間生産量は約6000トン。 それは国内生産量の40%に当たります。 日本はもちろんアジア全体でも最大の規模を誇っていました。その後「足尾鉱毒事件」などを経て、昭和48年(1973)に操業停止。 現在の人口はピーク時の10分の一の3,000人にまで減少。 深刻な過疎化が問題となっています。 写真の出典は三省堂「画報日本近代の歴史5」間藤1 posted by (C)きたあかりかつての鉱山住宅。 現在は倉庫として使われているようです。精錬所3 posted by (C)きたあかり旧精錬所。 中は立ち入り禁止となっています。煙突2 posted by (C)きたあかり旧精錬所の煙突。 もう、ここから煙が出ることはありません。トンネル2 posted by (C)きたあかり操業時、現在の終点(間藤)から精錬所内まで延びていた旧足尾線の廃線部分。トンネルと腕木式信号。間藤4 posted by (C)きたあかり閉山から39年。かつて、日本の近代を支えたレールは閑かに朽ちていきます。 間藤3 posted by (C)きたあかり間藤2 posted by (C)きたあかり間藤5 posted by (C)きたあかり トンネル4 posted by (C)きたあかり足尾篇に続きます。
2012.02.16
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先週の木曜日に放送された「アメトーク」読書芸人ご覧になった方いらっしゃいますか?おそらく普通の人たちからすると「ナニそれ?」と思われる芸人さんたちの発言に激しく肯く自分がいました。 (笑)ttp://v.youku.com/v_show/id_XMzQ4MzI2Mjgw.html
2012.02.05
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←を読んでいたらモーレツに温泉に行きたくなりました。 この本で扱っているのは「鄙びた」などという言葉さえ陳腐と感じてしまうディープな湯治場です。 著者の取材は昭和40~50年代になされていますが、この中で取り上げられているいくつかの湯治場は当時とさほど変わらない形態で営業されているようです。 大沢温泉 自炊部楽天で探したらここ→が出ました。 旅館部が併設されているので食事ありもチョイスできますが、素泊まりなら一泊3000円~一週間居ても高級温泉旅館の一泊分ですね。 というわけで一月の書籍代です。7冊 250円1月の読書メーター読んだ本の数:7冊読んだページ数:2073ページナイス数:61ナイス6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)『ジェノサイド』がバカ売れしている高野和明さんの連作短編。 重たい作風のイメージのある著者ですが本書は癒し系でした。 いわゆるタイムスリップものですが、その素材を上手く使っていると思います。 いっけん凡庸としている狂言回し役の圭史の放つセリフがとてもいいです。 最終章の落としどころは想像がついてしまうんだけどハラハラドキドキさせられます。 秀逸な描写力のなせるワザです。読了日:01月31日 著者:高野 和明優しいおとな『メタボラ』と『ポリティコン』を足して二で割ったような作品。 ドロドロ好きとしては近未来の設定にかなり戸惑いましたが、中盤からの加速感に引っ張られてイッキ読み。 それなりに面白いし、ラストもうまくまとまっているとは思うんだけど、また『グロテスク』やミロシリーズのような作品を読んでみたいと思っているのは私だけでせうか?読了日:01月14日 著者:桐野 夏生文豪ナビ 山本周五郎 (新潮文庫)山周を極めるのはオッサン道を極めることにほかならないのではないか?などと思いました。さらに精進いたします。読了日:01月13日 著者:くちぬい今まで読んだ坂東眞砂子さんの作品の中では一番読みやすいと感じました。 ただ、逆の言い方をするなら「らしさ」は損なわれているような気がします。 せっかくの土俗的なパーツも活かしきれていないし、主人公夫婦のキャラクターも紋切型でザンネンでした。 坂東作品の入門書としては適していると思いますが・・。読了日:01月12日 著者:坂東 眞砂子漂砂のうたう時代小説を読んでいるような気になりますが、ところどころに明治を象徴するキーワードが出てきます。 やや中途半端な気もしますが、庶民が感じていた明治十年とはそんな時代だったのだろうと思います。 鬱屈した定九郎になかなか感情移入できませんでしたが、その出自を見破られるシーンがとても秀逸でした。 幕末の偉人達を中心に描かれることの多い明治維新ですが、それを庶民レベルの目線で描く作品は少ないので新鮮な印象を受けました。 似たような作品をお読みになりたければ蜂谷涼さんの『へび女房』がおススメです。読了日:01月10日 著者:木内 昇女奴隷は夢を見ない (光文社文庫)この作品の不気味なところは作中に出てくる奴隷商人たちの普通さ加減だと思います。 現代的なパーツも取り込んでいるし、ありえない話なんだけど妙なリアリティーがあるんですよね。 思えばこの国もひと昔前までは「女衒」という職業があってわけで、それを踏まえれば現代の寓話と言えるかもしれません。 読了日:01月05日 著者:大石圭生きてるだけで、愛松尾スズキさんの『クワイエットルームへようこそ』が面白かったので読んでみました。 最近の芥川賞ノミネートってメンヘラ女率高めですよね(笑)行動自体はなかなか理解できませんが、そこに至る主人公の内面を丁寧に描いているので共感できる読者も多いのではないかと思います。単純に5000分の1秒を共有してしまった男女の純愛物語として読んでもいいのではないでしょうか?読了日:01月02日 著者:本谷 有希子2012年1月の読書メーターまとめ詳細読書メーター
2012.02.02
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谷底から見上げた「明治維新」。明治10年。時代から取り残され、根津遊廓に巣食う男と女の身に降りそそぐのは、絶望の雨か、かすかな希望の光か。『茗荷谷の猫』で大注目の新鋭が放つ、傑作長編小説。<感想> ★★★★☆時代には大きな節目というものがあります。近代と現代の境目である敗戦。 さらに遡れば近世と近代の境目である明治維新。 時代のうねりは常にドラマチックで、しばしば小説の題材になります。 これは私自身の偏った考えかもしれませんが、この二つを物語として取り上げる場合その切り口は異なります。 庶民個々のそれを物語とする敗戦に対して、明治維新は坂本竜馬などのメジャーどころが活躍する歴史物語としての側面が強いような気がします。 まぁ~それはそれで面白いわけですが、一般庶民はそれをどのように受け止めていたのか?そのあたりがすげぇ気になったりもするわけです。さて、前置きが長くなりました。本書の舞台は明治十年の根津遊郭。 主人公は武士から身をやつし遊郭の立番を勤める定九郎。 読み進めると江戸を舞台にした時代小説の雰囲気が色濃く立ち込めていますが、ところどころに明治を象徴するキーワードが出てきます。 そのあたりが中途半端と感じたりもしますが、庶民が感じていた明治十年とはそんな時代だったのかもしれません。時代に取り残されて鬱屈している定九郎になかなか感情移入できませんでしたが、ラスト間際の定九郎が肩を震わせながら泣くシーンは秀逸で思わずうるるんとなってしまいました。 正直言って直木賞作品のわりにはジミですが、時代の波に乗るでもなく強く抗うでもない。 ただ背を向けて生きる男の寂寥感や孤独がとても巧みに描かれてるように感じました。 余談ですが、舞台になった根津遊郭は東京大学ができた為、洲崎に強制移転させられます。 その洲崎遊郭の様子を記したのが、永井荷風の『断腸亭日乗』です。 作品の背景をつついてみても面白いかもしれません。
2012.01.10
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第146回 (23年度下半期) 芥川賞・直木賞ノミネート作品が発表されました。第146回芥川龍之介賞候補作品石田 千 「きなりの雲」(群像10月号)円城 塔 「道化師の蝶」(群像7月号)田中慎弥 「共喰い」(すばる10月号)広小路尚祈 「まちなか」(文學界8月号)吉井磨弥 「七月のばか」(文學界11月号)田中慎弥さんは5回目のノミネートになります。候補作家さんたちのプロフィールを拝見していると時代を感じさせます。芥川賞最新情報・文藝春秋第146回直木三十五賞候補作品伊東 潤 「城を噛ませた男」歌野晶午 「春から夏、やがて冬」恩田 陸 「夢違」桜木紫乃 「ラブレス」葉室 麟 「蜩ノ記(ひぐらしのき)」真山 仁 「コラプティオ」恩田陸さんは4回目、葉室麟さんは5回目のノミネートになります。ご購入も図書館予約もお早めに!!直木賞最新情報・文藝春秋両賞とも選考会は1月17日(火)17時から。 即日発表となります。
2012.01.06
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ああ、ゴクラク、ゴクラクやね。湯の中でほどけてゆく心と体、ケンコウランドで出会う女たちのさまざまな生の形。<感想> ★★★☆☆いろんなアンソロジーで名前をみかける稲葉真弓さんの長編。 健康ランドを行き来する人たちの描写が秀逸でした。 それぞれの物語に深く入り込んでいくと読み物として面白くなっていくんだろうと思いますが、そこまで描かないのが稲葉さん流なのかもしれません。 健康ランドはあまり行ったことはありませんが、この雰囲気はパチンコ屋のそれに似ていますな。(笑)
2012.01.04
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可憐な少女姫草ユリ子は、すべての人間に好意を抱かせる天才的な看護婦だった。その秘密は、虚言癖にあった。ウソを支えるためにまたウソをつく。【夢幻」の世界に生きた少女の果ては…。<感想> ★★★☆☆ドーデもいいんだけど、すげぇ~タイトルっすよね。(笑)表題作のみ「青空文庫」で読みました。見え透いた嘘をついて周囲を翻弄する少女を主人公にした『なんでもない』が印象的でした。 彼女は嘘で周囲を翻弄しますが、強い自意識を持て余し、自らを追い込んでしまう彼女自身が地獄に身を置いていたのではないか?などと考えてしまいました。 夢野久作は初めて読みましたが、案外読みやすいように感じました。もう少し短篇で修行を積んで『ドグラ・マグラ』にチャレンジしてみます。
2012.01.04
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シングルマザーの遊佐ひろ子は、お侍の格好をした謎の男と遭遇する。男は一八〇年前の江戸時代からやってきたお侍で、木島安兵衛と名乗った。半信半疑のうちにも情が移り、ひろ子は安兵衛を家に置くことに。安兵衛も恩義を感じて、家事の手伝いなどを申し出る。その所作は見事なもので、炊事・洗濯・家事などすべて完璧。仕事で疲れて家に帰ってくるひろ子にとって、それは理想の「主夫」であることに気づくー。<感想> ★★★☆☆表紙が漫画・・・・改行が多くて余白が多い・・・・そしてなにより中身が軽い・・・・でも面白いから二重丸です。「まっぴら将軍」に笑いました。続編も読みたいです。【送料無料】ちょんまげぷりん(2)価格:580円(税込、送料別)
2012.01.04
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実行犯は、ジジババと幼稚園児?隣接する有料老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」。老人とガキどもの不思議な交流、やがて起こるカゲキな「事件」とは?荻原浩渾身の熱血幼老小説!-。<感想> ★★★★☆昨年(2011年)は荻原浩さんの作品を数多く読みました。そこで学んだのは荻野作品は、あらすじを読んで絶対につまんないだろうな・・・思うものほど面白いということです。本書もひとことで言うなら子供と老人のドタバタですが、それぞれのキャラクター創りが丁寧なので、奥行きがあって行間もたっぷり読ませてくれます。 徐々にハードボイルド爺と化していく誠次がツボでした。 こんな爺サマになりたいものです。(笑)
2012.01.04
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多感な少年期に、見知らぬおバアちゃんのディープキスを受け止め(鼻の穴に)、大人になっては、怪獣人形片手に奇声を発しながら机に向かい続ける作家・シュカワ。カレーが食べられて小説が書ければ、とりあえず幸せ!ノスタルジックで温かな物語で読者を泣かせ続ける直木賞作家が、バカチンで数奇な日常を綴った、笑いで泣かせる初エッセイ。<感想> ★★★☆☆本書は『花まんま』で直木賞を受賞。 癒し系から本格的ホラーまでを手がける朱川湊人さんのエッセイです。装丁から想像がつくと思いますが、爆笑系のエッセイです。個人的にはおっさんホイホイネタの宝庫で、頁をめくるたびに頷いてしまいました。 朱川湊人さん小説に関しては多作ですが、エッセイはそれほど出していないのではないかと思います。 朱川作品のお好きな方はもちろんおっさんなあなたに強くおススメします。
2012.01.04
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地方営業に出かけたギタリストの夫に女の影を感じた妻が、隣家の男と営業先へと向かう表題作「夜を着る」、大人になりきれない男女のあてのないひと夜のドライブ「アナーキー」、父の葬儀に現れた愛人との奇妙な記憶を描く「よそのひとの夏」など八篇を収録。日常の皮膜が剥がれおちる旅をテーマにした短篇集。<感想> ★★★★☆思わずジャケ借りしてしまった井上荒野さんの短編集。男女間のスリリングなシーンを描かせれば井上荒野さんに敵う作家はいないのではないか?と思わせる作品集でした。これからも大人が満足できる作品を手掛けて欲しいものです。「ヒッチハイク」と「よそのひとの夏」にシビれました。オトナなあなたにおススメな短編集です。
2012.01.04
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「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくるー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。<感想> ★★★★★文中に「五年後だったら・・」という箇所がありますが、今は戦争体験者から直接話を聞くギリギリのタイミングなのかもしれません。 戦後21年目に生まれた私はそれをどのように次の世代に伝えていくのか?などと昨今考えています。 おそらく百田さんもそんな想いを持っているのではないかと思います。 この本がさらに多くの人たちに読まれることを強く希望します。
2012.01.04
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謹賀新年今年は真面目に更新する所存でございます。というわけで先月(12月)の書籍代です。1冊 0円12月の読書メーター読んだ本の数:1冊読んだページ数:177ページナイス数:45ナイス王国やたら音楽や映像にこだわったフィルムノワールを観たような気分になりました。 読了日:12月09日 著者:中村 文則2011年12月の読書メーターまとめ詳細読書メーター2011年の年間書籍代 6,055円 (@45円)ちなみに2010年 54,938円(@486円)2009年 45,445円(@494円)2008年 68,981円(@560円)2007年 51,772円 (@502円)2006年 39,187円 (@502円)2005年 77,260円 (@623円)年間を通して図書館を利用していたので、例年の10分の一程度に抑えることができました。 まぁ~それはそれでいいのではないか?と思う反面、私のような読者ばかりでは出版業界は困ったことになるのではないか?と思ったりもするわけです。 それは最終的に、私のような末端の読者も困るコトになります。 今年はお気に入り作家の新刊だけは、ちゃんと本屋さんで買おうと思っています。
2012.01.03
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ちょっと早めですが、2011年に読んだ本のベスト10冊をUPします。今年読んだ本は134冊。 図書館利用がメインの一年だったので、新刊はほとんど読んでいませんが、今まで手を出さなかった作家さんの作品も読むことができました。 なかでも衝撃的な出会いは真梨幸子さん。 ドロドロクィーンの称号を差上げたいものです。(笑) 他に気になっているのは中村文則さん。 芥川賞作家ですが、最近の作品はエンタメにシフトしているように思います。 来年以降もキレ味のいい上質なエンタメ作品を読ませていただければ・・と思います。※各書籍の下にある絵文字は作品のアバウトなイメージです。 reviewをクリックすると感想を書いた日記に飛びます。 1 review遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。 2 review「もう一度、仕事をしてみないか」ふたりの子どもにも恵まれ、幸福な日々を送る福田曜子の元に届いた25年ぶりの仕事の依頼。 3 review女性の一生を通して、出会いと別れ、生きるよろこびとせつなさを紡いだ、色彩あふれる書き下ろし競作集。 4 reviewハンセン病と闘いながら、名作『いのちの初夜』を著し、二十三歳で逝った天才作家、北条民雄-。その極限の生命の姿を描く著者会心のノンフィクション。5 review往年の人気少女漫画「青い瞳のジャンヌ」をこよなく愛する「青い六人会」。ヒロインになりたい女たちの、暴走ミステリ。6 review世界の悪を超えようとする青年の疾走を描く。芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペンス長編。7 review永井龍男から車谷長吉まで。人間の業を描き続ける文士による偏愛撰輯。文学に救いを見出したい人に読んでほしい短篇小説輯。8 review片思い以外経験ナシの二十六歳女子が、時に悩み時に暴走しつつ「現実」の扉を開けてゆくキュートで奇妙な恋愛小説。3年ぶりの注目作! 9 review女同士の憎悪や嫉妬、母娘で繰り返される愛憎劇。一見幸せな主婦の誰にも言えない秘密とは…。10 「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。おまけ絶滅が危惧される田村泰次郎の作品。review
2011.12.25
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昨夜、久しぶりにアクセスしたらこんなお知らせと遭遇しました。まぁ~私もここしばらく月一更新なのでエラソーなことは言えませんが次回アクセスするときには「ブログ終了のおしらせ」と遭遇するのではなかと危惧している次第です。どーでもいい話題ですが、今夜(10日)皆既月食らしいです。昨夜、それを知ったら衝動的にカメラが欲しくなってポチってしまいました。 今流行のミラーレス一眼というやつです。 アマ○ンのお急ぎ便で今日中に届くとのことですが、さっきチェックしたら「出荷準備中」でした。本当に今日届くのかなぁ~?さらにどーでもいい話題ですが、結局仕事は一月末から年休消化に入って、そのまま退職することになりました。こんな時代ですが、今後は何とかなるものと信じたいものです。(汗)というわけで、前振りが長くなりましたが、先月の書籍代です。11月の書籍代 5冊 0円久しぶりに桐野夏生さんを読みました。文章のクオリティは更にアップしているのはわかるんだけど、ちょっとネバネバしてきた感じです。 高村薫さんに近くなっているかな・・・個人的には桐野さんの俗っぽいドロドロ感が好きなので、正直言って前半はかなりダレてしまいました。 11月の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1768ページナイス数:45ナイス刑事のまなざし悪く言えばワンパターンだけど、常に同じテーマで作品を描き続ける薬丸岳という作家は恐ろしく頑固なのではないかと思います。 本書も割り切ってエンタメとして読んでもいいんだけど「なぜ人を傷つけてはいけないのか?」「なぜ人を殺めてはいけないのか?」という著者のメッセージは強く伝わってきます。 読了日:11月26日 著者:薬丸 岳日本の路地を旅する現代の路地(被差別部落)を旅したルポルタージュ。 著者の年齢が若いせいもあると思いますが、この問題に関して従来とは異なるニュートラルな語り口が印象に残りました。 「同和=アンタッチャブル」という考え方もあるようですが、その認識を覆す一冊になりえる作品です。 私は「実話・ナックルズ」 (←本書の連載誌)をナメていたようです。 すんまそん。読了日:11月16日 著者:上原 善広ポリティコン 下じっくり読ませる前半と比較するなら、後半は桐野作品独特のグルーヴ感を堪能できます。 相変わらず桐野さんの描くオンナにはシビれてしまいますな(笑)読了日:11月12日 著者:桐野 夏生ポリティコン 上読了日:11月11日 著者:桐野 夏生食堂車の明治・大正・昭和食堂車の栄枯盛衰を記したマニアックな一冊でした。 客観的な資料や当時の乗務員の言葉などもちりばめられていて面白く読むことができました。 加えて旧国鉄で食堂車関係の仕事をされていた著者の時代を偲ぶ想いも伝わってきました。読了日:11月06日 著者:かわぐち つとむ2011年11月の読書メーターまとめ詳細読書メーター
2011.12.10
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05年の一月からブログを始めましたが、一ヶ月も更新しなかったのは初めてです。仕事がとにかくハードで本も読めないし、お昼ご飯も食べられない始末。 住宅ローンも年末で終わるので、そろそろ年貢の納め時かもしれませんな・・・・・・というわけで10月の書籍代です。8冊 515円10月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:2045ページナイス数:58ナイスでっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相そういえばこんな事件あったよな・・・と思い起こしながら読みました。 本書に関しては反論もあるようですが、私が見た範囲では誹謗・中傷の域をでていないように感じました。 もちろん教師の側に立って書かれているので100%真実だとは思いませんが、本書の投げかけはそこではなく、事件のセンセーショナルな部分を煽り立てるマスコミと、そこにばかり目が行ってしまう我々受け手に対する問題提起だろうと思います。読了日:10月30日 著者:福田 ますみ瓶詰の地獄 (角川文庫)表題作の初出は昭和3年(1928年)です。 70年以上が経過しているわけですが、当時は想像もできなかったネットというメディアで、未だに様々な見解や論議が交わされています。 なにより、その事実は作品のクオリティーと奥深さを実証しているように思います。 読了日:10月16日 著者:夢野 久作老人賭博芥川賞ノミネート作品がこんなに面白くていいのでしょうか(笑)題材に賛否両論あるようですが、善きにつけ悪しきにつけこれが役者の世界なんだろうなと思わせる説得力は著者ならではだと思います。小関泰司は大滝秀治さんをイメージして読みました。読了日:10月14日 著者:松尾 スズキ乱歩賞作家 黒の謎ミロシリーズのスピンアウトである「グレイテスロマンス」目当てで読みましたが、どの作品も一筋縄のいかないストーリーで読みごたえがありました。「花男」なかなか巧いと思います。読了日:10月12日 著者:桐野 夏生,鳴海 章だめだこりゃ (新潮文庫)若い方には役者としてのイメージが強いと思いますが、子供時代に全員集合をみていた私は荒井注の死をきっかけに本書を書くに至った長さんの想いに胸を打たれました。 どうせタレント本だろう・・とタカを括って今まで手にしなかったことを深く悔やみます。 読了日:10月08日 著者:いかりや 長介浪漫図案 明治・大正・昭和の商業デザインレトロ文化好きなら大満足の一冊。 近代の小説がお好きな方なら作品の背景にこんな小物があるのかも・・・と思い描くのもいいかもしれません。 中山太陽堂(現クラブ化粧品)の跋扈ぶりや、森下南陽堂(現森下仁丹)の「毒滅」。青い硝子壜に入った「神薬」が怪しすぎてたまりません。(笑)読了日:10月06日 著者:佐野 宏明東京番外地 (新潮文庫)映像を見ても文章を読んでも森達也という人は極めて個性的だと感じます。 その個性を好きか嫌いかで読者の評価は別れるのではないかと思います。 他の方が「煮え切らない」「不完全燃焼」「青臭い」とお書きになっていますが、そのあたりを評価できるなら面白い読み物です。読了日:10月06日 著者:森 達也押入れのちよ (新潮文庫)読了日:10月03日 著者:荻原 浩2011年10月の読書メーターまとめ詳細読書メーターなかなかお返事ができないのでコメント欄はしばらくお休みいたします。あと、ドーデもいいことなんだけど、みなさんご自分のブログの”shopp-ing list”ご覧になったことありますか? さっき久しぶりにチェックしたら男性・40代というプロフィールが明記されていました。 年齢を隠すつもりはありませんが、意図することなく公開されているとぶっくりするものです。 気になる方はチェックしてみてください。管理ページの「その他機能」→「お買い物一覧」で非公開設定にすることができます。
2011.11.07
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久しぶりにロールちゃんのサイトに行ったらブックカバーがダウンロードできるようになっていました。こんな感じです↓P1040359 posted by (C)きたあかり詳しくはこちらそうそう、先日職場で異動の内示を受けました。ここ5年間で4回目の異動になります。 そろそろ、会社のたらいまわし追い込み作戦に屈してしまいそうです。 というわけで9月の書籍代です。10冊 105円ここ何回か芥川賞候補になっている松尾スズキさん。作品初読みでしたがイイ感じでした。9月の読書メーター読んだ本の数:10冊読んだページ数:2912ページナイス数:98ナイスクワイエットルームにようこそ (文春文庫)芥川賞ノミネートの時は「ゲロ」が一人歩きしていて読む気がしませんでしたが、思った以上に読みやすい作品でした。 女性の痛さといえば女性作家の専売特許のようなところがありますが、松尾スズキさんはそのあたりも巧みだと感じました。 読了日:09月29日 著者:松尾 スズキ七月七日第二次大戦中、太平洋戦線に投入された日系二世の心情を描いた作品。 日系二世の苦悶を見事に描ききっています。 ラストの七夕のシーンが秀逸でした。読了日:09月28日 著者:古処 誠二水の中のザクロいろんなアンソロジーで名前をみかける稲葉真弓さんの長編。 健康ランドを行き来する人たちの描写が秀逸でした。 それぞれの物語に深く入り込んでいくと読み物として面白くなっていくんだろうと思いますが、そこまで描かないのが稲葉さん流なのかもしれません。 健康ランドはあまり行ったことはありませんが、この雰囲気はパチンコ屋のそれに似ています。(笑)読了日:09月25日 著者:稲葉 真弓少女地獄 (角川文庫)表題作のみ青空文庫で読了。この作品に限らないけど戦前の大衆文学は漢字の使い方が面白い。「なんでもない」がよかった。いつの時代にもこういう女性はいるんですね。読了日:09月23日 著者:夢野 久作ちょんまげぷりん (小学館文庫)表紙が漫画。改行が多くて余白が多い。そしてなにより中身が軽い。でも面白いから二重丸っす。「まっぴら将軍」に笑いました。続編も読みたい。読了日:09月23日 著者:荒木 源ひまわり事件荻原浩さんの作品はあらすじを読んで「つまんなそうだなぁ~」と思わせる作品ほど面白い。 本書も端的に言えば老人と子供のドタバタですが、それぞれのキャラクター創りが丁寧なので奥行きがあって行間もたっぷり読ませてくれます。 徐々にハードボイルド爺と化していく誠次がツボでした。 こんな爺サマになりたいものです。(笑)読了日:09月20日 著者:荻原 浩超魔球スッポぬけ!朱川 湊人さんの爆笑系エッセイ。端々に出てくるおっさんホイホイにハマりました。読了日:09月20日 著者:朱川 湊人夜を着る男女間のスリリングなシーンを描かせれば井上荒野さんに敵う作家はいないのではないか?と思わせる作品集でした。これからも大人が満足できる作品を手掛けて欲しいものです。「ヒッチハイク」と「よそのひとの夏」にシビれました。読了日:09月12日 著者:井上 荒野永遠の0 (講談社文庫)文中に「五年後だったら・・」という箇所がありますが、今は戦争体験者から直接話を聞くギリギリのタイミングなのかもしれません。 戦後21年目に生まれた私はそれをどのように次の世代に伝えていくのか?などと昨今考えています。 おそらく百田さんもそんな想いを持っているのではないかと思います。 この本がさらに多くの人たちに読まれることを強く希望します。読了日:09月08日 著者:百田 尚樹勝手にふるえてろちょっとライトになった気もするけど、さりげなく書かれているひとことが巧みだと思います。 主人公のキャラは夏石鈴子さんの「あおば」に似ているかなぁ~と感じました。後半は電車の中で読むとキケンです(笑)読了日:09月04日 著者:綿矢 りさ2011年9月の読書メーターまとめ詳細読書メーター
2011.10.02
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賞味期限切れの片思いと好きでもない現実の彼氏。どっちも欲しい、どっちも欲しくない。恋愛、しないとだめですか。<感想> ★★★★☆本書は綿矢りささんの最新刊ですが、初出は昨夏の「文學界」なので一年以上前に発表されたものです。 現在27歳の綿矢さんですが、今年でデビュー十年になります。 しかし、上梓されたのはわずか4冊に過ぎません。 寡作な作家さんでもありますが、その背景には綿矢さんの紆余曲折があるような気がします。 しかし、それはご自身の問題ではなくファンを含めた周囲の問題です。 メジャーな賞を受賞するのがその作家にとってどのように作用するのか?そんなことも考えさせられます。さて、本書は前作の『夢を与える』と比較するなら徹底的に陽性の作品です。 あらすじから恋愛小説をイメージされると思いますが、主人公である恋愛経験のない26歳のヲタクOLが、そのとば口に立たされて右往左往するさまが描かれています。 それ考え過ぎじゃない?なぜそういう思考に至るのか?という箇所がいくつもあります。 主人公がまじめに考えているだけにかなり笑えます。 特に後半は電車の中で読むのは危険かもしれません。 しかし、本書は単なる恋愛ユーモア小説ではありません。 文章のキレも鋭いし、合いの手のように入る主人公のつぶやきも秀逸です。 純文学系の作家が手がけたジャンル小説を読む楽しみというのがありますが、それを十二分に味わうことができます。若い女性の方。 読みやすいけどそれなりに中身のある小説を読みたいとお考えの方。 そして、夏石鈴子さんの『今日もやっぱり処女でした』の主人公あおばのまったり感が好きだという方におススメします。著者インタビュー(楽天ブックス)
2011.09.10
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前から気になっていた電子書籍にチャレンジしてみました。使っている端末はDOCOMOです。今回のテーマはお金を掛けずに、夢野久作を青空文庫で読みまくる!!です。さて、そんな私が用意したものは1.画面が大きなケータイDOCOMOのSH04Aという機種。 数年前の機種です。DOCOMOのオンラインショップで9,800円でした。スマホではありませんが画面が3.5インチで、I-PHONEと同じ大きさです。 スマホも考えましたが、毎月のケータイ代金が3,000円前後の私にとって、その通信費は想定外でした。P1040310 posted by (C)きたあかり使っていたケータイ(左)との画面比較です。2.SDカード↑SDカード (マイクロSDHC・4G) 近所の電気屋さんで960円でした。3.ソフトMHE Novel ViewerDOCOMOのIアプリ専用ソフトです。 いろんなソフトがありますが、パソコン経由でダウンロード(パケ代がかかりません)。 横書きの文書を縦書きに変換して、フル画面で表示してくれます。 I-アプリストアで300円。次に、やったことです。1、MHE Novel ViewerからパソコンにMHENV_TOOL(パソ コン側で使うソフトです)をダウンロード。2、MHE Novel ViewerをマイクロSDカードを入れたケー タイにダウンロード。3、マイクロSDカードをケータイから取り出してパソコン のUSBに差込む。4、パソコンで「青空文庫」にアクセスして作品を一作ず つダウンロード。5、ダウンロードした作品をMHENV_TOOLのウインドウ に入れる。6、パソコンのUSBからマイクロSDカードを外して、再度 ケータイに戻す。7、ケータイのアプリからMHE Novel Viewerを立ち上げる。8、↓P1040303 posted by (C)きたあかり文字は32ドットで表示していますが、60ドットまで大きくできるので老眼対策も万全っす!!やたらと難しい用語が出てくるので、無理かも・・・と思っていましたが、やってみるとそれほど難しくありませんでした。ちなみにデータの同期はケーブルを使うのが一般的なようですが、私はまだ、そのレベルにまで至っておりません。 ケータイ本体 9,800円純正ケーブル 1,470円(←使ってないけど。。)SDカード 960円MHE Novel Viewer 300円ポイント -11,570円(←案外と溜まっているものですね) 960円
2011.09.04
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先週末、上高地に行ってきました。屈指の人気スポットなので、変に観光地化されていたらイヤだなぁ~と思いつつ、現地に着きましたが・・・・・・・・まだ、日本にこんなところがあったのかぁ!!という素晴らしさでした。 どこがそんなに素晴らしいのかといえば、水です。P1040259 posted by (C)きたあかり↑梓川の水P1040249 posted by (C)きたあかり↑田代池 岩魚が泳いでました。P1040227 posted by (C)きたあかり↑川に浮かぶ水鳥。 パーフェクトな透明度です。というわけで8月の書籍代です。11冊 240円8月の読書メーター読んだ本の数:11冊読んだページ数:3614ページナイス数:73ナイス林芙美子随筆集 (岩波文庫)随筆というよりは、もっと身近なエッセイっていう感じの一冊。 最近の女性作家のエッセイと読み比べてみるのも面白いかもしれません。読了日:08月28日 著者:林 芙美子砂漠の悪魔ラスト近辺まで面白く読みましたが、このオチ唐突すぎるような‥。読了日:08月26日 著者:近藤 史恵文学2009 (文学選集)図書館で見つけた本 一年間文芸誌に発表された純文学系の作品を一冊にまとめたアンソロジー。 好みはあると思いますが、いずれの作品もそれなりにキレがあります。 読了日:08月24日 著者:戸村飯店青春100連発読了日:08月23日 著者:瀬尾 まいこ半生の記 (新潮文庫)読了日:08月23日 著者:松本 清張赤々煉恋 (創元推理文庫)朱川さんの黒はあまり好きではありませんが、この作品集はクオリティの高さで一線をかくしているように思います。小川洋子さんのグロ系が好きな方ならハマるのではないでしょうか。読了日:08月17日 著者:朱川 湊人昭和二十年夏、僕は兵士だった (角川文庫)読了日:08月15日 著者:梯 久美子同期読了日:08月10日 著者:今野 敏火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)北条民雄が川端康成に師事していたことは知っていましたが、これほど深い関係だとは知りませんでした。「いのちの初夜」でガツンとやられた方におススメ!!名著だと思います。読了日:08月08日 著者:高山 文彦下町ロケットサクっと読んでサクっと元気になれる一冊です。 若干軽い気もしますが、細部まで読むとよく練られていることがわかります。 今期の直木賞に最もふさわしい作品だと思います。読了日:08月03日 著者:池井戸 潤血の冠香納諒一さんは昭和の二時間サスペンスっぽいノリが好きで時々読んでいます。この作品も後半はかなり読ませるし、それなりに楽しめたんだけど、あの手垢がつきすぎたオチはちょっと興醒めでした。読了日:08月01日 著者:香納 諒一読書メーター
2011.09.02
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2008年刊行の文芸誌発表作品から精選した、20篇の小説集。<感想> ★★★★☆本書は日本文藝家協会が編集して、講談社が毎年一冊出しているアンソロジーです。 編集委員は秋山駿、川村湊、島田雅彦中沢けい、沼野充義の各氏。現在、芥川賞にノミネートされる作品のほとんどは五大文芸誌(新潮・すばる・群像・文藝・文學界)に掲載された作品です。 エンタメ系の文芸誌もいくつか存在しますが、この五大誌は純文学を扱う雑誌と定義することができます。 私は廃刊になってしまった「海燕」を購読していましたが、正直言って私のようなエンタメ系読者にとっては、ちょっと敷居が高かいように感じていました。 ただ、私は吉本(よしもと)ばななさんと小川洋子さんの存在をこの雑誌で知りました。 つまり、純文学系の文芸誌は手を出しにくいんだけど、大当たりを引く確率も高いということです。さて、09年版の本書は前年の08年に五大文芸誌に掲載された作品を中心に20編がチョイスされています。 約束(瀬戸内寂聴)/誰も映っていない(中原昌也)/草すべり(南木佳士)/五月晴朗(原田康子)/嫌な話(前田司郎)/あなたたちの恋愛は瀕死(川上未映子)/満ちる部屋(谷崎由依)/地下鉄の窓(村松真理)/寒九の滴(青山真治)/物語の完結(山崎ナオコーラ)/楽観的な方のケース(岡田利規)/無頭鰯(横田創)/指の上の深海(稲葉真弓)/北方交通(茅野有城子)/海千山千(伊藤比呂美)/電気馬(津島佑子)/かけら(青山七恵)/闇の梯子(角田光代)/宇宙の日(柴崎友香)/廃疾をかかえて(西村賢太) ベテラン、今が旬の売れっ子作家。 他のアンソロジーでよく名前を見かける作家もいれば、初めて名前を知った作家もいます。 私のお気に入りは赤字で表記しましたが、その評価は読者百人百様でしょう。このアンソロジーで、あなたの大当たり作家を見つけてください。【送料無料】文学(2011)価格:3,465円(税込、送料別)
2011.08.31
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貧しく孤独な生い立ち、失意の青春時代、そして作家としてデビューするまでの苦闘の日々を、切々と告白した心うつ魂の記録。<感想> ★★★★☆かつて、長者番付(高額納税者公示制度)なるものが例年発表されていました。 新聞などでは分野別に発表していて、松本清張は作家の分野で常に名前が記されていました。作品を読むようになり、そんな大ベストセラー作家がかなりの苦労人だと知りましたが、私小説の体裁をとっている本書では、そのすさまじい苦労ぶりが詳細に描かれています。小学校しか出ていないとか、朝日新聞で版下工をやっていたなどのエピソードは有名ですが、戦後は北九州から西日本一帯を旅しながら、箒を売り歩いていたというのは初めて知りました。 代表作である『砂の器』に物乞いをしながら旅を続ける親子が出てきますが、それは清張が行商をしながら、どこかで見た光景だったのではないだろうか?などと思ったりもしました。清張作品は社会から抑圧されている弱い立場の人たちを描いたものが数多くあります。 彼はなぜそんな作品ばかりを書いていたのか?そして、それらの作品がなぜ多くの人に受け容れられたのか?そのヒントがこの私小説に隠されています。清張ファンはもちろんですが、単純に貧乏話がお好きな方にもおススメします。
2011.08.28
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人の世はなんとおぞましく、美しいのだろうー。若く美しいまま亡くなった妹の思い出を残したいと、凄腕だという遺体専門のカメラマンに写真撮影を依頼した早苗。ところが…。初恋、純愛、そして日常と非日常への切望の数々。赤々とした、炎のような何かに身を焦がす者たちの行く末を、切ない余韻の残る筆致で巧みに描く。直木賞作家・朱川湊人の真骨頂を、連作集であなたに。<感想> ★★★★☆懐古調(ノスタルジック)の作品で私のようなオッサンを癒してくれる朱川湊さんですが、元々はバリバリのホラー作家です。 時々そんなことを思い起こす朱川作品に出合うことがありますが、本書はまさにそれで、読書系のブログでは黒朱川と表現される方が多い作品集です。さて、前段でホラーをイメージされた方も多いと思いますが、この作品のコンセプトをひとことで言うならエロ・グロです。 necrophiliaやApotemnophilia(←興味のある方は自己責任で検索してくださいませ)などを扱っています。 性倒錯というやつですが、そこまで行き着いてしまう人間の心理を巧みに表現しています。 江戸川乱歩に似ているというレビューを見ましたが、私は小川洋子さんの作品を読んでいるような錯覚を覚えました。 作品を支配する独特の静謐感からそのように感じました。題材が題材だけにおススメはしませんが、小説としてのクオリティーはかなり高いのではないかと思います。
2011.08.27
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かれらもまた、あの夏、ひとりの兵士だった。俳人・金子兜太、考古学者・大塚初重、俳優・三國連太郎、漫画家・水木しげる、建築家・池田武邦。廃墟の中から新しい日本を作り上げた男たちの原点は、太平洋戦争の最前線で戦った日々にあった。何もかも失った若者は、どのようにして人生を立て直したのか。過酷な戦場体験と戦後の軌跡を語り尽くした感動のノンフィクション。巻末に児玉清氏との対談を収録。<感想> ★★★★☆この国では戦争の記憶が年々薄れ行くような気がしてなりません。特に原爆が投下され、敗戦を迎えた夏にその思いを強くしています。私は反戦を声高に叫ぶ市民団体や、物事を曲解して、戦争に結びつける人達が正直言ってあまり好きではありません。 ただ、昨今の情勢(特にネット社会)を見るにつけ違和感を覚えます。 さまざまな論議がなされること自体に問題はありませんが、なにやら戦争の悲惨さを認識していない人達が、好き勝手なことを言っているように思えてなりません。 さて、本書でインタビューをされている人たちは、いずれもそれぞれの分野で名前を残しています。 そして、もうひとつ共通するのは若き日の彼らは兵士として太平洋戦争に従軍していたことです。インタビュされているのは、俳人・金子兜太、考古学者・大塚初重、俳優・三國連太郎、漫画家・水木しげる、建築家・池田武邦の各氏です。 彼らはどのような従軍経験をし、敗戦後どのような思いで生きてきたのか?それをインタビュアである著者は煽ることなく、抑制の効いた筆致で彼らの想いを綴っていきます。 その姿勢は真摯という言葉がぴったりです。著者の梯久美子さんは61年生まれ。 私とほぼ同世代でもあります。 語り継ぐという言葉の責任と重みを強く感じた一冊でした。
2011.08.21
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懲戒免職になった同期の公安刑事が、連続殺人の容疑者に。「教えてくれ。おまえはいったい何者なんだ」男たちの前に立ちはだかる最も高い壁-組織の論理。その壁を突破するのは、刑事たちの誇りと絆。現時点での集大成ともいえる最新警察小説、登場。<感想> ★★★★☆数多くのシリーズものを擁している紺野敏さんですが、本書は単発の警察小説です。おそらく「踊る大走査線」と横山秀雄さんの影響だと思いますが、昨今の警察小説に求められるのは徹底したリアリズムです。警察とは日々、正義と秩序のために奔走する警察官の組織ですが、その内実はサラリーマン社会だったりします。 大半のサラリーマンはそこに感情移入して読んでいるのだと思います。 ただ、子供のころから刑事ドラマを観て育った私からすると、ちょっとスケールが小さくなった気もします。 さて、本書も前半においてはリアルな警察小説ですが、読み進むにつれてそこから逸脱していきます。 かなり大風呂敷を広げていて、あちこちの感想を読むと設定に無理があるという指摘もありますが、私は面白く読みました。 主人公を支える先輩の刑事二人がサラリーマンではなく、職人気質だった点も好感が持てました。 警察小説はリアル感も大切だけど、基本はエンタメだよね!!という方におススメします。
2011.08.20
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昭和十一年一月、二・二六事件前夜の東京で、『文学界』からひとりの天才作家が生まれた。ペンネーム以外は謎に包まれたその作家の名は、北条民雄。まだ二十一歳の青年だった。ハンセン病を病みながら文学の道を志し、川端康成に見出されて傑作「いのちの初夜」を残した民雄は、いかに生きて、いかに死んだのか。差別と病魔との闘いのなか、強烈な個性と自我に苦悩し、二十三歳で夭逝した民雄の絶望と愛、生の輝きを克明に綴る感動の長篇。大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞受賞作。<感想> ★★★★★本書は二十三歳で夭逝した作家、北条民雄を描いたノンフィクションです。 昨年読んだ『いのちの初夜』でキョーレツな延髄斬り(←アントニオ・猪木の必殺ワザっす!)を食らった私は北条民雄について調べてみました。 しかし、その情報は極めて限定されたものでした。 冷静に考えるなら、すでに死後70年が経過している。 作家活動はわずか3年であった。 すごく俗な言い方をするなら、夭逝したため結果的に一発屋だった。 などが考えられますが、当時から北条民雄は謎の作家とされていて、詳しい略歴が公表されなかったのが最大の要因だと思います。 そんな北条の姿にどこまで迫っているのか?期待と不安が入り混じる思いで本書を手に取りました。さて、前段で申し上げたとおり北条民雄に関しての公式な記録はほとんど残されていません。 そこで著者が足がかりとしたのは、師であった川端康成の書簡と、関係者の伝聞情報。 そして、生前の北条を知る数少ない生存者。 それらを軸にして、やたら自意識の強い若者がいかにして作家となり散って行ったのかを克明に綴っています。北条といえばとかくハンセン病患者であったことに目がいきがちです。 もちろん本書もそこに重点を置いて書かれているわけですが、私が注目したのは師である川端康成との交流です。 北条を発掘しその才能に注目した川端康成ですが、北条に対する思い入れは半端ではなかったようです。 それらを含めて当時の文壇についても詳しく書かれているので、近代文学マニアなら、それだけで十分楽しめます。 本書は99年に出版されています。 結果的に第31回大宅壮一ノンフィクション賞と、第22回講談社ノンフィクション賞を受賞していますが、現代において北条民雄を描いたノンフィクションが幅広い読者に受け入れられる可能性は皆無です。 それは著者の高山文彦さんはもちろん。 この原稿にゴーサインを出した編集サイドも認識していたことでしょう。 ただ、おそらく北条民雄とその作品は70年間そのような想いを持つ人とその想いを受け止めた読者にによって語り継がれて来たのではないかと思います。 そして、本書はその役割を十分に果たしています。 『いのちの初夜』の内容や、一般的に明らかになっている北条民雄のプロフィールはこちらをご覧ください。
2011.08.13
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引先大企業「来月末までで取引終了にしてくれ」メインバンク「そもそも会社の存続が無理」ライバル大手企業「特許侵害で訴えたら、…どれだけ耐えられる?」帝国重工「子会社にしてしまえば技術も特許も自由に使える」-佃製作所、まさに崖っプチ。<感想> ★★★★☆本書は今回(第145回・平成23年度上半期)直木賞受賞作です。タイトルから想像がつくと思いますが、大田区にある中小企業が最先端技術であるロケット開発に関わるという物語です。 前半は大企業の横暴や特許をめぐる攻防がメインになっています。 使われているパーツのみで判断するなら企業小説に分類されるのではないかと思いますが、それを企業小説らしくしていないのが池井戸さんの巧さです。 人情話や、過去に屈辱を味わった主人公(社長)のいきざま。 それらをちりばめて「プロジェクトX」的な味つけがなされています。 大半のオッサンは激しく感情移入すると思います。後半に関して、すごく意地悪な言い方をするなら予定調和の勧善懲悪といった展開となっています。 話の中心となるロケット開発参入に関して主人公は、水戸黄門の印籠に負けず劣らずの決定的な切り札を持っているので、正直言ってハラハラもドキドキもしません。 しかし、理不尽がまかり通る世の中において、正しいことが正しく行われるのは、ある意味で稀有なことです。 予定調和の勧善懲悪をこれほど面白く読ませるのは著者の力量にほかなりませんが、そこには深い皮肉がこめられているような気がしてなりません。過去に直木賞候補になった『空飛ぶタイヤ』と比較するなら、正直言ってまとまりすぎているように感じました。 それを念頭において★をひとつ減らしましたが、震災で低迷にしている日本を元気する作品という点においては満点です。 平成23年度上半期直木賞には、もっとも相応しい作品であることを最後に申し添えておきます。【送料無料】空飛ぶタイヤ価格:1,200円(税込、送料別)
2011.08.13
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元警官越沼が頭蓋骨を冠のように飾られて殺された。それは二十六年前の、「キング」と呼ばれた殺人犯による、迷宮入り事件の手口と同じだった-。弘前中央署会計課の小松一郎は、幼馴染みの警視庁警視正・風間によって、捜査の最前線に立たされる。少年時代の二人はキングの被害者だったのだ…。北の街を舞台に、心の疵と正義の裏に澱む汚濁を描く、警察小説の傑作。<感想> ★★★☆☆本書の著者である香納諒一さんはバカ売れしてはいませんが、そこそこ筆の立つ作家さんで、個人的にはもっと評価されてもいいのではないかと思っています。 主にミステリーを手がけていますが、そこの若干ドロ臭い人間ドラマを織り込んでいます。 お書きになる作品は、いい意味で昭和の二時間サスペンスドラマを彷彿とさせます。 さて、あらすじを読む限りではホラーサスペンスをイメージされると思いますが、基本的には前段で申し上げた昭和の二時間サスペンスドラマのノリです。 警察内部で閑職をあてがわれている主人公の内省や舞台になる青森の描き方が秀逸です。 現代の事件により掘り返されていく過去の事件。 その接点が少しづつ明らかになっていく過程もじっくりと読ませてくれるので、読み応えは十分です。 ただ、着地点に関してはちょっと不満が残ります。 まぁ~サスペンスホラー風味なのでそれなりに納得はできるわけですが・・・・物語の底流をなす独特の雰囲気と、お得意のドロ臭いドラマがパーフェクトだと感じていただけに少しだけザンネンでした。
2011.08.13
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肉体の開放こそ人間の解放であり、肉体が思考するとき真の人間性の確立もある。 肉体とは一つの強靭な意志であり、生命力なのだ。 戦場における精神や思想の無力さの痛感を基底に、敗戦後の混沌とした風俗を大胆に描写して、半ば自棄的になっていた当時の人々におおいに迎えられた作品群。<感想> ★★★★★通俗小説という言葉があります。 大衆文学を意図的に貶める際に使われました。 大衆文学が主流である現代においてはほとんど使われなくなしましたが、その言葉を聞いてパッと思い浮かぶ作家といえば田村泰次郎ではないかと思います。代表作である『肉体の門』は幾度も映像化されていますが、その扱いはR18。 タイトルもタイトルだしエロいに違いないと思って手を出していませんでしたが、今回読んでみてびっくり。 たしかに映像化すればR18になるだろうことは想像されますが、かなりクオリティーの高い作品でした。 さて、本書に収められている作品の大半は敗戦直後に発表されたものです。 敗戦を近代文学と現代文学の境目と定義するなら、この時期に活躍していた無頼派の作家は現代文学の祖ということになります。 ただ、彼らの作品を現代から眺めるなら、かなり古臭いと感じてしまいます。 それと比較するなら本書に収められている田村泰次郎の作品は、いずれも斬新で、現代の小説と比較しても、まったく古臭さを感じさせません。 現代を生きる私が古臭いと感じるのは、戦前の文学(価値観)に反発しながらも、思想で文学(物事)を語ろうとする旧態依然とした姿からです。 それでも当時としては革新的な潮流とされていたようです。 思想そのものが何の役割も果たさない軍隊生活から復員したばかりの田村は、その中途ハンパさに気がついたのではないでしょうか?そこ(戦場)で田村が体験したり見聞きしたものは、混乱した敗戦後の日本を描く上で最も適した素地になったのではないかと思います。 思想で語る文学ではなく、生身の人間が肉体で語る文学。 おそらくそれは、平成に生きている私たちが日々読んでいる文芸作品とそれほど異なりません。 男たちを狩るように客としていたパンパン(売春婦)を描く『肉体の門』は最も知られた作品ですが、もうひとつの表題作である『肉体の悪魔』は秀作です。 リンク先の方がレビューのなかで埋もれてしまうには惜しいと評していますが私も同感です。 ちなみに新潮文庫版の本書を初めとして、文庫版はどれも品切れになっています。 おそらく絶版まではカウントダウン状態だと思われます。もちろん図書館には蔵書がありますが、新たに購入して読める田村泰次郎はオン・デマンドで出ている作品集と個人全集のみです。 それを踏まえるなら絶滅危惧作家と言っても過言ではありません。 興味のある方は、今のうちにお読みになることをおススメします。
2011.08.07
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