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阪神が９点爆勝！鳥谷＆マートンは４安打

阪神が１５安打の猛攻で９点を奪い、貯金を今季最多の８とした。鳥谷は４安打４得点、マートンは４安打４打点の大活躍だった。先発のスタンリッジは６回を２失点に抑えて３勝目を挙げた。

　絶好調の選手会長が、主導権を引き寄せた。鳥谷の鋭い打球が、猛虎打線に着火した。２試合連続の猛打賞で、不振からの完全復活を示した。「打ったのはストレート。四球の後だし、（狙う）ゾーンを小さく、ストライクを上からたたいて、転がそうと思っていました」狙い通りの仕事に、一塁上で少しだけ表情が緩んだ。二回二死一、三塁。序盤の決定機に、すかさず反応した。カウント１－２からの３球目、高めの直球を鋭くたたいた。この日２本目の安打は、左前適時打。リーグ戦再開後、４試合連続の打点となった。

　交流戦の最後は１０打席無安打で締めてしまったが、リーグ戦再開前に「（試合の）間隔が空いて、自分の中では、できるようになってきたという部分がある」と復調を感じていた。その言葉通り、４試合のうち３試合でマルチ安打。後半戦、大爆発の気配すら漂っている。

　そして、もう１人の主役はマートンだ。一回一死二塁から左前打で先制機を拡大。二回にも鳥谷の適時打の後、満塁となってから左前へ２点適時打を放った。

　「バットの先っぽだったけれど、いいところに転がってくれてよかった」と白い歯をこぼすと、七回にも左翼線へ適時二塁打、九回にもヒットを放ち４安打４打点。前日の延長戦に決着をつけた満塁打の興奮も冷め止まぬ中、またも存在感たっぷりだ。

　相手先発は、阪神も獲得を視野に入れていたスタルツ。最後まで有力候補のリストに残っていた。最近６試合は３勝負けなしと状態が上がっていたが、２人の特攻隊長がＷ猛打賞で攻略した。

完全復活や！阪神・鳥谷、４安打４打点

グランドのど真ん中に、背番号１の背中が光った。九回、４本目の安打を放った鳥谷が、二塁ベースに仁王立ちした。２夜連続の猛打賞で４安打。プロ初の４得点。完全復活を披露した。

　「昨日まで猛打賞が一回もなかったので。これで乗っていけたら、と思います」

　一回先頭で中前打。新井の併殺崩れで先制のホームを踏むと、二回二死一、三塁では左前適時打を放った。七回も左前打で５点目のきっかけに。締めは九回無死一塁、大和とのランエンドヒットだ。左中間へ２本目の適時打となる二塁打。トドメの一挙４点を演出した。

　「（交流戦後に）自分なりに修正できて、楽に打席に立てている。続けていければいいです」

　不振が続いた交流戦は１０打席無安打で終えた。リーグ戦再開後、全４試合で安打と打点を記録。１８打数１０安打と大暴れ。真弓監督は「当たってきたね。１番があれだけ出てくれると、試合が面白い」と、攻撃の起点を賞賛した。

　米子２連戦の大きなモチベーションの１つは、闘病中の少年との交流だった。前日２２日、「慢性心不全」を患う安田亮太さん（１６）が観戦。出会いは、３年前。手紙をくれた少年を、遠征中に見舞いに訪れたことだった。

　「彼のがんばりをみると、自分もさらに頑張らないと。米子で活躍できたのは、彼の力もあったと思う」。安田さんは現在、心臓移植を希望し、鳥取県内の病院に入院中。「彼だけでなく、臓器提供を待っている人がたくさんいる。これをきっかけに、ドナー登録とか、少しでも関心を持ってくれる人が増えたら」。夢を与えるプロ野球。１人の人間として、秘めた思いをバットに込めた。

　「自分が打てたこともだけど、チームが連勝できたのが一番。上を見ても仕方がない。一戦一戦、自分たちの野球をしていきたい」。輝きを取り戻した背中が、猛虎をＶロードへ引っ張っていく。

阪神・鳥谷、１番の役目「修正できた」

阪神の鳥谷が４安打２打点でリードオフマンの役目をきっちりと果たした。

　打率２割５分２厘で交流戦を終えるなど不振に陥っていたが、これで２割７分５厘に上昇。「自分なりに（リーグ再開までの）空いてる期間に修正できたので楽に（打席に）立てるようになっている」と復調の手応えを感じている。真弓監督は「１番があれだけ塁に出ると、試合が動いて面白い」と鳥谷の働きを最大限にたたえた。

真弓監督（今季最多の貯金８）

「一気にいきたいと思います」

スタンリッジ（６回２失点）

「調子は百パーセントではなかったけど、城島さんがいい配球をしてくれた。攻撃陣もリズムよく点を取ってくれて、守備でもよく守ってくれた」

阪神・和田打撃コーチ（鳥谷に）

「きょうみたいな打撃をしてくれたら本当にいいと思う。鳥谷の復調は大きい」

虎、最多貯金８！！マートン大暴れ４打点

鳥取大好き！　阪神のマット・マートン外野手（２８）が、４安打４打点の大暴れだ。チームも７試合連続２けた安打で連勝。今季最多の貯金「８」とし、首位巨人と２・５ゲーム差と接近。この勢いで、一気にいくで～。

地方ならではの固い黒土の上を、網の目を縫うように白球が抜けていった。そして、右に左に。測ったかのようにラインの内側へ入れた。４安打４打点。３年ぶりとなる米子の虎党に、強烈なインパクトを与えたのはマートンだ。

　「積極的にいくのが、僕のスタイルだからね。うまくいかないことがあるかもしれないけど、きょうは（相手投手が）ストライクをドンドンと投げてきてくれていたので、積極的に打ったよ」

　前夜の死闘にピリオドを打った満塁弾の感触が残る手で快音を量産だ。一回一死二塁では左前打。１点リードの二死満塁では左前へ２点打。さらに、七回一死二塁で左翼線に適時二塁打すると、２点リードの九回一死三塁でも右翼線に弾き返して、ダメを押した。今季４度目となる「Ｈ」ランプ４度。３年ぶりとなる７試合連続２けた安打の猛虎打線をけん引した。

　「外野のふくらみは意外とあるよ。風も右から左へと吹いているから、本塁打を狙いたくなるけど、とにかく強引にいかないようにしたいね」

　初めて米子市民球場に足を踏み入れた前日２２日。両翼９２メートルに目を丸くしながらも、鉄則を守ることを決意した。この日を含めて、２９５打席で左飛はわずか２本。１０試合連続安打。欲を出さず、広角に打ち分ける柔らかさが好調の秘密だ。

　「打点？　チームメートが走者として出てくれたおかげだよ。これを続けていきたいね」

　個人記録よりもチームの勝利を優先する男は、とにかく謙虚。他の助っ人陣とも、とにかくコミュニケーションを図り、前日の試合前練習中には本塁打王のブラゼルと“密談”。この球場と甲子園とで、どういった違いがあるかを議論した。

　この日の昼食はスタンリッジと交えて、イタリア料理を堪能。カルボナーラに舌鼓を打ちながら、リフレッシュ。人間関係に対しても首脳陣からの指導に関しても、壁を作らず、まずは受け入れるという姿勢が日本野球への適応を成功させたともいえる。

　貯金は６度目の挑戦で“壁”を突き破り、今季最多の「８」。首位・巨人とは２・５差と再び肉薄だ。真弓監督は「３番にしてね、勝負強いし、なかなか日本の夏に慣れてないと思うけど、よく頑張っている」と、９度目猛打賞のＭ砲をたたえた後に、「一気にいきたい」と逆襲を宣言した。山陰の地でつけた勢いで、このまま一気呵成に奪首をうかがう。

阪神・マートン、チャンスで勝負強さ発揮

チャンスでことごとく勝負強さを発揮した。阪神のマートンが、４安打４打点。チームに今季最多の貯金８をもたらす原動力となったが「チームメートがああいう形で出塁してくれたおかげ」と謙虚な姿勢は変わらないままだ。

　持ち味はやはり広角に打てる技術。九回にリードを２点に広げてなお１死三塁の場面。それまでの左翼方向への３安打とは違い、今度は強烈なラインドライブを右翼線に。三塁走者をかえす適時打で勝利を確実にした。

　研究熱心な姿勢が好結果を生んでいる。甲子園では全体練習の前に室内練習場で納得のいくまでバットを振り込むのが日課。真弓監督はスランプに陥らない秘訣（ひけつ）を「すぐに調整して自分の打撃ができるようになるからね」とみている。

　来日１年目の阪神の外国人ではオマリー氏を最後に３割に到達した選手はいない。そのオマリー氏は以前「日本で成功しようと思えば、変化球を逆方向に打たないといけない。彼はそれができる。シーズンを通して３割を打てると思うよ」と太鼓判を押していた。

　「これからも打ち続けたい」と話す２８歳が、巨人を追うために欠かせない存在であることを疑う者はもはやいない。

真弓監督（今季最多の貯金８）

「一気にいきたいと思います」

スタンリッジ（６回２失点）

「調子は百パーセントではなかったけど、城島さんがいい配球をしてくれた。攻撃陣もリズムよく点を取ってくれて、守備でもよく守ってくれた」

阪神・和田打撃コーチ（鳥谷に）

「きょうみたいな打撃をしてくれたら本当にいいと思う。鳥谷の復調は大きい」

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