本だけ日記。

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2007.09.16
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テーマ: お勧めの本(7419)

『悪霊(上)』を読む(新潮文庫)。
第二部に入って、ついに小説の核心に入った。
すなわち「無神論」をめぐる対話である。

■第一部終わりで、シャートフになぐられたニコライは、
第二部でシャートフのもとを訪れたのち、
キリーロフを訪ねる。
このなかのキリーロフのことばをメモ。

  人間が不幸なのは、
  自分が幸福であることを知らないから、
  それだけです。

それに対してニコライは、

  「餓死する者も、女の子を辱しめたり、
  穢したりする者もあるだろうけれど、
  それもすばらしいのですか?」

と聞くと、キリーロフは、

  「すばらしい。
  赤ん坊の頭をぐしゃぐしゃに叩きつぶす者がいても、
  やっぱりすばらしい。〔…〕
  すべてがすばらしいことを知る者には、
  すばらしい。」

と答える。

この辺りは、続けて読んできた、
『罪と罰』、『白痴』の問題提起と共通している。

■キリーロフがなぜ無神論者となったのか。
現時点では不明だが、
当時の若者たちが無神論に走らざるを得ない、
ロシアの社会的事情や、
若者たちのアイデンティティの問題が、
そこに絡んでいるのだろう。
つまり「善悪」の判断基準の問題である。





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最終更新日  2007.09.16 11:04:03
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