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2006.11.24
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カテゴリ: 邦画

 北野武脚本・監督・出演の日英合作映画。「北野組・世界照準!」「たけしがハリウッドへなぐり込み!」と宣伝された。


粗筋

たけしの役はヤクザの山本。属する組織の事情で日本にいられなくなり、アメリカに留学している弟を訪ねる。その弟は麻薬の売人となっていた。山本は弟の取引相手をひょっとしたことで殺してしまい、相手の組織を乗っ取ってしまう。日本からの弟分や、新たに加わった仲間(白瀬)により、山本の組織はぐんぐん大きくなった。メキシコ系組織などを潰していく。ついに大物のイタリア系マフィアと戦争になる。しかしマフィアの力は予想以上で、山本は次第に追い詰められていく……。

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感想

北野武が得意とするヤクザ物。というか、ヤクザ物以外に作れない、が正確か。以前ビデオで見た「ソナチネ」に外国人と、ロサンゼルスロケと、目を背きたくなるような残虐シーンを加えて焼き直したような、新鮮味に欠ける作品だ。
「HANA-BI」の時と同様、これといったストーリーはない。
 ただヤクザが集まってドンパチやるだけ。ある組織の興亡史といえなくもないが、その組織も断片的に伝えられるだけなので、結局どんな組織で、何をやっていたのかが把握できず、チンピラがただ集まって遊んでいるだけに見えた(バスケットボールをよくやる)。
 北野が演じる山本も、主人公というより、脇役の一人のようで、ストーリーに積極的に参加していない。突発的に起こる事件に対し嫌々腰を上げているだけ。後半では腰を上げるのも面倒になったのか、他の脇役が暴走するのを笑って見守るだけになってしまう。
 この映画には主人公はいないといってもいい。白瀬や山本の女(役名は忘れた)のように強烈なキャラクターも、こいつらはストーリーにどう関わっていくのだろうかと思い始めた時点であっさり殺されたり、割腹したりする。何の為に登場させたんだか。無論、山本も呆気なく死ぬ。犬死にだ。無駄死にしない登場人物は渡哲也が演じたヤクザの親分と、山本に目を刺される黒人キャラクターくらいか。
 登場する連中はどれも無能で、説得力に欠ける。白瀬など恐れられている筈のヤクザも、上記の通りあっさり殺されてしまうほど不用心で、これまで組織を率いていたとは信じ難い。その部下は「敵を討つ!」と言ってイタリア系マフィアへ殴り込みに行くが、これが何と拳銃だけでしか武装していないのだ。当然ながら短機関銃(H&Kか?)で全員射殺されてしまう。
「日本ならともかく、アメリカなら自動小銃で武装するのが当たり前だろうが! 拳銃のような一般市民でも入手できるオモチャでマフィアと一戦を交えるアホがいるか! 頭を使え、ての!」
 ……と突っ込みたくなった。
 外国人が交わすセリフも、元は日本語であった台本を下手な翻訳家が訳して、外国人役者がそのまま脚本としたらしい。セリフは文法こそ間違っていないものの不自然で、もっと気の利いた言い方があるだろうと感じた場面が多かった。
 とにかく細部の荒っぽさや残虐シーンが目立つばかりで、気楽に楽しめる映画ではない。
 北野武は本作品のプロモーション中、アメリカを罵倒する発言を連発していた。日本を理解していないと。アメリカ人も同じ言葉を北野武に返せる。アメリカの犯罪組織→マフィア→イタリア系と考えるのは、アメリカ人が日本について「サムライとゲイシャとニンジャが徘徊していて、主要輸送機関は人力車」と考えるのと同じである。ちなみにイタリア系マフィアは、大物が逮捕されたり、跡継ぎを残さないまま死んだりしている為、現在はかなり衰退している。主に東部の大都市に点在するだけで、本作品のように大っぴらに活動できる組織はもういない。
 本作品は、結局日本人がアメリカに行って日本人向けの日本映画を作っただけ。つまり、外国での公開に堪えうるトランズナショナルな映画ではない。「世界照準」とはほど遠い。これなら日本国籍をほぼ完全に排除した「アヴァロン」の方がよっぽども「トランズナショナル・ムービー」を名乗れる(ポーランド語ばかりなので英語圏では受けないだろうが)。
 日米間において互いの認識度がいかに低いかが分かった、が本作品に対する率直的な感想である。


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Last updated  2006.11.24 10:01:25
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