「きらりの旅日記」

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ほしのきらり。

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2022.09.10
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カテゴリ: 美術館・博物館
ラファエロ・サンティがヴァティカン宮殿の仕事を始めた頃には同時に、ミケランジェロが歩いて行けるシスティーナ礼拝堂の天井画を描いていました


「署名の間」の天井画


教皇の都市ローマで、

ラファエロに与えられた

最初の重要な仕事は、

裁判のための部屋となるはずであった

「著名の間」の装飾であった。


ラファエロ・サンティ
​Raffaello Santi​

(左=最晩年の自画像)

1483年4月6日〜1520年4月6日(37歳没)

イタリアのウルビーノ公国に生まれる。

盛期ルネサンスを代表する画家・建築家。

レオナルド・ダ・ヴィンチと、

ミケランジェロとともに

盛期ルネサンス三大巨匠のひとり。

八頭身の長身でイケメン、

誰にも好かれた人柄で、

甘さと簡潔性に満ちていて

控えめで柔軟な面持ちの若い画家は、

多くの仕事と弟子に囲まれ、

重責に誇りと苦労を秘めた、

孤高の芸術家・監督者であった。

代表作 『アテネの学堂』


「署名の間」
​​ Stanza della Segnatura
​スタンツァ・デッラ・セニャトゥーラ​

「署名の間」制作は・・・

1509年 6月​ に始められた。

それは、

教皇ユリウス二世が命じた

もう一つのー大壁画連作である

「システィーナ礼拝堂」 の天井画制作に

ミケランジェロ が着手した1年後のことであった。


この二つの装飾は、

ともに明確な宗教的内容をもってはいるが、

その目的は異なっている。


システィーナ礼拝堂の空間は、

礼拝の儀式にあてられており、

その天井画を飾る人物たちは、

彼らが活躍した環境や性格にとらわれす、

人間の心の奥底に生じる信仰の苦悩と、

その苦悩からくる

複雑な表情を表している。

ラファエロ・サンティ
​Raffaello Santi​
​『聖体の論議』1519年​

フレスコ 幅約770cm

ヴァチカン宮殿/署名の間

一方、

​​「署名の間」は・・・

教皇の俗権の行使に見合うものであり、

成人や世俗の人々が調和のある構成で装飾されている。


それはあたかも、

すでに全世界に対する権力を与えられ、

それと世俗の権威とを仲介する役にある

境界を象徴しているかのようである。

最初、

ユリウス二世は、

この部屋の装飾を、

ローマで活躍していた画家たちのうちで、

もっとも有名な者たちに依頼した。


シエナの

バルダッサーレ・ペルッツイ (1481年〜1536年)、


イタリア北部の町ヴェルチェッリ出身(シエナに帰化)の

ジョヴァンニ・アントニオ・バッツイ(通称:イル・ソドマ)

(1477年〜1549年)、


ロンバルディア地方出身の

ブラマンティーノ (1465年頃〜1530年)、


ヴェネツィア出身の

ロレンツォ・ロット (1480年頃〜1556年)らである。


しかし、

ラファエロの計画は、教皇を虜にした


それは、

ヴァザーリによれば、

他の美術家によって開始されていた仕事を

取り壊させ、

すべての仕事をこのウルビーノの画家に

委ねさせるほどのものであった。


古代思想と、

その人文主義的ーキリスト教的な解釈の統合という、

「署名の間」の装飾計画は、

もちろんラファエロが着想したものではない。


しかし、

図解画家としての彼の天分が、

視覚化されることを待ち望まれていた

とかくむずかしい教義を、

完璧な表現力で、

直ちに実現することができたことは明らかである。


宇宙論的な

(すなわち宇宙を構成するすべての要素をふくむ)

環境のなかに、

伝統的な神学の徳と、

それを実践してきた人間の精神的活動とを

たがいに近くに置きながら、

「古代世界とキリスト教の精神性との一致」

(シャステル)を図解するさまざまな主題を

統合したものと考えることができる。


たとえば、

聖書の物語(「アダムとエヴァ(原罪)」「ソロモンの審判」)、


古代神話(「アポロンとマルシュアス」)、


人文主義のプラトニスムによって

ふたたび日の目をみたアリストテレスの哲学概念

(天空のいちばん高い所で神によって直接着手される

「最初の運行」の図)を表すエピソードは、

その統合を証明するものとして

あげることができる。


装飾全体の構想は・・・

プラトン的ー人文主義的概念

(プラトンの思想は初期ルネサンスの哲学者たちによって、

 キリスト教的伝統と一致させられた)に着想を得ている。


最初の研究者の解説によれば、

要するに、

「真理」

(キリスト教によって啓示されるものと、

 古代哲学の思索による理性的なもの)と、


「善」

(教会の善と、「徳」によって象徴される俗人の善で、

 それは「法学」によって擬人化されている)と、


「美」

(「詩学」寓意像で表現されている)という

プラトン哲学の理想が賞揚されているのである。


天井と四周の壁では・・・

先に述べたように、

ラファエロが、

すでに他の画家たちによって着手されていた

装飾に従っているとしたら、

彼のもっとも独創的な創造が指摘されるのは、

ルネッタ(半月区画)の部分である。


そこでは、

ラファエロの芸術は、

指定された主題と、

その形による表現とを完璧に統合させている。


(写真撮影:ほしのきらり)
(参考文献:東京書籍・RAFFAELOラファエロ/ブルーノ・サンティ著より)



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最終更新日  2022.09.10 00:10:13
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