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May 5, 2013

原作とはテ―マもストーリーもまるで別物となってしまった～映画『桜の園』

テーマ： DVD映画鑑賞(13980)

カテゴリ：大杉蓮

映画化されるたびに、どんどん原作から離れていってしまう作品ってありませんか？
こちらの作品は前の映画の方が良かったなぁ…。原作はとっても好きなのに。

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出演
大杉　漣　武井　咲　杏　上戸　彩　京野　ことみ　富司　純子　菊川　怜　米倉　涼子

監督
中原　俊

音楽学校を辞め名門女子校・櫻華学園に編入してきた結城桃。ある日、旧校舎のあかずの間と呼ばれる教室で、偶然「櫻の園」の台本を発見。かつて創立記念日の恒例となっていた「櫻の園」上演を復活させようと、桃と友人たちはこっそりけいこを始める。しかし、それを知った教師たちに上演を反対され、桃たちも一度はあきらめるが……。

女子校の演劇部を舞台にした吉田秋生原作の人気少女漫画「櫻の園」を基に、封印された戯曲「櫻の園」公演に取り組む女子高生たちの成長を描く。
1990年の最初の映画化と同じく中原俊が再びメガホンを取った。前回の映画はまだ“原作に基づいた”と言えるが、今回は原作の名残が一体どこにあるのか？と言いたいくらい、キャラクターもテーマも変わっている。そもそも原作のテーマが“四人の少女たちが、少女から大人に変わってゆく自分を受け入れられなくて戸惑う様”を描いていたのに対して、今回の作品は女性同志の友情と「上演が禁じられていた劇を再演したい」という願いを実現していくことがテーマだ。上演する劇がチェーホフ『桜の園』である以外は、全く別物といっていい。原作ファンからすれば、「なぜこんな風にしてしまったのか？ここまで変えるならば、もう原作吉田秋生なんてつけなくてもいい」と言いたくなる。要は、売り出し中の若手女優の顔見せをやりたかったのではないのか。
桃の姉・杏が「婚約者と喧嘩しているらしい」という事が電話やら彼女の時折ぼうっとした表情で暗示されるが、これが全然本編に絡んでこない。それでいて上演を渋る妹に「今しかないのよ」みたいな事を言うから、てっきり菊川怜演じるかつての先輩に恋心を抱いていたからなのか？と邪推してしまった。せっかく大人の俳優（富司純子、大杉蓮）も出ているのに、一方は彼女達を抑えつける権力側、一方は上演が断たれてしまった理由を教えるおじさんとしてだけの位置づけで、もう少しキャラクターに色をつけられなかったのだろうか。それとも少女たちを中心に据えなければならないから、抑えめにしたのだろうか。足をひきずっている用務員役の大杉さんなんてバックグラウンドをいくらでも作れそうなのに。