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May 10, 2013
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みなさん、こんばんは。私達の第二次大戦はイコール太平洋戦争のイメージですが
考えてみれば、あの頃は世界中が戦場だったのです。
そして戦場のある所、死者がいて、生者がいて、その分かれ目はほんのわずかな何かだったりします。
今日ご紹介するのはイタリアの戦争映画です。

炎の戦線エル・アラメイン
EL ALAMEIN LA LINEA DEL FUOCO

ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞撮影賞&編集賞&録音賞

 1942年10月。第二次大戦下、エジプトの砂漠地帯エル・アラメインでは、ドイツ・イタリア連合軍とイギリス軍が激しく戦闘を繰り広げていた。その最南端のイタリア軍陣地に、学生志願兵のセッラが着任する。祖国を守るため高い志を胸にやって来たセッラだったが、戦時下の悲惨な状況を目の当たりにし、リッツオ曹長に陣地の苛酷な状況を説明するがく然とする。

彼は、二人で砂漠にやってきて、一人で砂漠を去る。乗っているのはバイク。来た時には真水もガソリンもあり、バイクも動いた。しかし帰る時はエンジンもやっとかかる程度のバイクで、水もなく、目的地に着く見込みもない。彼の名はセッラ。母国で愛国心を鼓舞され、戦地の詳しい様子など知る由もなくやってきた。明らかに慣れていない彼に戦地で与えられた最初のアドバイスは「水を盗まれるな」だったが、彼を迎えにきた伍長、隊長、部隊の仲間達によって、あっという間に真水が奪われる。補給が十分でないのだ。

補給不足なのは物資だけではない。セッラを見た時の中尉の言葉が「交代要員が10人は来るかと」兵隊も足りないのだ。アフリカ戦線では“砂漠のキツネ”ロンメル将軍が連合軍に連戦連勝状態だったが、人・モノの物量が充実した英軍に次第に押し戻されていた。物資のうち食料不足なのはもちろん気力を削ぐが、まず圧倒的なのは兵器の差だ。英軍は大砲をボカスカ撃ってくるのに、こちらには迫撃砲がわずかしかなく、後は各兵士が持っている銃のみだ。白兵戦なら銃のみで良いが、戦車や空軍となると、とても太刀打ちできない。それでもイタリア軍統帥ムッソリーニは撤退を口にせず、アレクサンドリアで行進するために、自身の馬と兵士の靴を磨くための大量の歯磨き粉を送ってよこす。

本編はタイトル通り戦闘を扱うが、最初から戦力の差が明らかであり、かつ度重なる移動により砂漠で兵士は一人、また一人と倒れていく。ここにも、最高責任者が決められなかったが故の悲劇がある。ラストは名前すらなく、“無名兵士”と刻まれた無数の石の前にたたずむ男性。顔は見えない。彼はバイクで帰りついたセッラなのか。それとも、どこか別の戦線の、セッラのような兵士なのか。いずれにしろ、セッラのような兵士はどこにでもいたはずだ。そして、戦争が続く限り、どこにでも生まれうる。










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最終更新日  May 1, 2023 12:13:42 AM
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