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April 10, 2015
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いやー、今週は週末まで寒かったですね。今日もコート着て通いました。明日も雨のようですし…。晴れが待ち遠しいです。さてこちらはミステリー小説です。

同居人
新津きよみ

古代中国。有力貴族趙家に身を寄せていた陽虎が、こう言う。
「将が追ってきたら、わたしが顔をみせてやりましょう。
(『老桃残記』(「孟夏の太陽」所収・宮城谷昌光))

顔でもって人を驚かす。
これを本に置き換えると、顔になるのは表紙かタイトル。「女友達」「婚約者」「訪問者」「同窓生」「愛読者」「招待客」
そして本作のタイトル。
角川ホラ-文庫から出ている、氏の「タイトル3文字」シリーズは
怖い顔にはほど遠い。
だから、
「私はホラーは苦手で。」と言う人も、
「ちょっと手に取ってみようか。」
と思われるのではないだろうか。
けれど、これら普通名詞の後ろには、
それぞれの過去、性格等いくつもの形容詞を纏った、固有名詞-人物がいる。
だからその人をよく知るためには、玉葱の皮を剥くように、
少しずつ内側に近づいていかなければならない。
しかし人間は、玉葱のように、ただ黙って皮を剥かれてはいない。都合のいい事を外側に、見られては困る事を内側に隠す。だから初めて人と会う時、我々は、まず相手側の外側と
向き合う。
商品デザイナーの藤崎麻由美がルームメイトを
募集した時も、選択基準は外面的なもの。
太り過ぎはダメ。煙草はダメ。
その基準をクリアして、添乗員・黒田乃理子が選ばれるが、
彼女には過去に関連したトラウマがあった。
また麻由美自身も、自らがマンションを買った事を言いそびれる。
この二人がお互いに秘密を持っていたせいで、一見うまくいっていた玉葱の外側が脆くなり、都合の悪い内側が見えてくる。「こんなはずじゃなかったのに。」と互いに思う二人を中心に、こじれてゆく心理が実にリアルに描かれる。

新津氏は女性をよく見ている。
友人宅を訪れた麻由美が、
子供の様子から「せいぜい30分くらい静かにしてるだろう。」と
いられる時間の見当をつける所は、自分にも覚えがある。
「同じ生活の繰り返す単調な毎日じゃ、人間進歩がないでしょう。
視野も広める目的があったの。まったく違う職種の人間と
暮らしてみてその人から何かを吸収できればいいと思ったの。」
と一見ご立派な説を言う麻由美の本音が、
「自分の今の生活ペースをできるだけ崩したくない。
自分の領域を侵食しない範囲での交流がしたい。」という
かなり自分に都合のいいものである辺りも、
痛い所を突かれた感じだった。
ただ、乃理子の行動で、気になった事が一つ。いくら麻由美への反発心があったとしても、出会ったばかりの相手が勝手に風呂まで入ったら、果たしてあの反応だけだろうか?いくらボランティア経験があるからって、軽率すぎないか?

確かに、ホラーに落ち着くこのラストでも「同居人ってこれだったのか。」と納得はするのだが、震え上がるほどではなかったし、やや唐突に感じた。
描写が自分の想像に比べて、物足りなく感じられたのか。
或いは、昨今の犯罪事情や映画から、私自身に「普通の人間の隠された心理の方が、実際に見える怪奇現象などより、よっぽど恐い」という認識が
植えつけられてしまっているのか。
そういえば、映画「リング」も、「いつ来るか、いつ来るか」と緊張しながら見ている時が、一番怖かった。そして、いざ登場してしまうと、恐怖がざぁっと引いていったっけ。
だから、この作品も、これだけ女性心理が描ける著者ならば、とことんまで追い詰められていった心理状態が一体何を生むのか?というサイコ・サスペンス路線で、最後まで攻めていっても良かったのではないかと思う。


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最終更新日  April 11, 2015 12:16:23 AM
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