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June 2, 2016
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みなさん、こんばんは。昨日は電車の事故でダイヤが乱れて大変でした。
北海道のしつけと称して山に置き去りにされた子供はまだ見つからないのでしょうか。心配ですね。

さて、こちらはミステリーです。

絹靴下殺人事件
The Silk Stocking Murders
アンソニー・バークリー
晶文社

 探偵だって完璧じゃない。ホームズは「あの女性(the woman) 」アイリーン・アドラーをとり逃がし、ポアロには「チョコレートの箱」という戒めのエピソードがある。けれどそこで、本篇の主人公・シェリンガムが登場し、
「やあ、あなた達も失敗を? 実は私も9か月ほど前にねぇ…。」などと自分の体験を述べたら、どうなるか?
賭けてもいい。きっと二人の探偵は、彼が誰かを知るやいなや、「君と一緒にされたくない。」と言わんばかりに無言でその場を去ったろう。

 さて、稀代の名探偵からこのような扱いを受けかねない彼の名は、ロジャー・シェリンガム。イギリスはロンドンのデイリー・クーリア紙で犯罪コラムを担当している売れっ子小説家だ。捜査において特殊な訓練を受けたわけでもないのに、事件解決の過去がある。先輩探偵が忌避する理由は、どこにもない、ここまでは。けれどこの話には続きがある。
1. 彼の推理には、かなり波がある。もしスコットランド・ヤードの首席警部モーズビーの協力なしに、彼の推理だけで事が進んでいたら、犯人に辿り着く確率は、5割を切っている。
2. 彼はおしゃべりだ。確かに、クリスティ作品に登場するミス・マープルも、よくしゃべる。けれどもあの他愛のない「村の保健婦がね。」なんて話は、肝心な話を聞き出す前の枕として、ちゃんと機能している。しかし、シェリンガムのは、そうじゃない。最初は枕だったかもしれないが、しゃべりに身が入ってしまうと止まらず、あげく余計な事までポロッと漏らしてしまう。
3. ポアロにも多少その傾向はあったが、シェリンガムもまたうぬぼれ屋であり、自分の推理に固執する。確かに探偵が自分の推理に絶対の自信を持つのはいい事だ。しかし当たればいいが、外れた時のバツの悪さったらない。そしてシェリンガムの場合、後者の確率がポアロより高いのだ。あげく
探偵小説の主人公が、作品中で言われるにしては、かなり皮肉のきつい台詞「問題はどこにあるのかおわかりになりますか?探偵小説を読みすぎるんですよ。」を、モーズビーにお見舞いされる。
さて、これだけいろいろ欠点もあるシェリンガムだが、いい所もある。
1. なかなかめげない。不屈の闘志か、単に忘れっぽいのか、それとも好奇心が強いのか(全部だろう)、果敢に事件に挑む。この姿勢は誉めてあげたい。
2. 彼も探偵の系譜に漏れず、いっちょまえにイギリス警察の証拠重視の捜査方法を批判する。けれど、モーズビーが自分の記事について口にしたり、ノーチェックで警察が通してくれたりすると、子供のように嬉しくなってしまう。結構可愛い男である。
3. 上の記述からすると、腹芸ができない男のように見えるシェリンガムだが、
何事も経験なのか、本作ではモーズビーら警察から情報を聞き出すコツも、大分うまくなり、読者を楽しませてくれる。

 こうしてちょうど3つ並んでしまうと、ますます彼が「名」探偵か「迷」探偵か判断しにくい。そしてこのシリーズのいい所は、まさにそこだ。つまり、従来のミステリーのように探偵が絶対的存在ではないために、物証主義の警察が正しいのか、それともシェリンガムの直感と想像力に基づく推理が合っていたのか、見極めがつけにくい。だから最後までページを繰る手が止まる事がない。多分、シェリンガムの仕出かす、とんでもない行動や突飛な発言に、腹を抱えて笑う時以外は。

 最後の台詞に「何だこいつ。」と思われた方は、前作にあたる「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」を手に取られたし(彼は言いたかったのだよ)。そして、もし、その気があれば、好不調の波間をあっぷあっぷしている探偵の成長を、これからも暖かく見守って頂きたい。









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最終更新日  June 2, 2016 12:03:31 AM
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