セイディーも職場でカソリックの男性とつきあっていることをあてこすられ、かっとなって仕事を辞めてしまう。喧嘩っ早くて何事も決めたら早い、直情的なセイディー。彼女ほどではないものの、すぐかっとなる性格のケヴィン。似た者同士に見える二人でも、前作より増えた一家を支える責任感をひしひしと感じ取っているケヴィンの方が、兄がいるセイディーよりも様々な所で感じる圧力は強い。タイトルの‘バリケード’はプロテスタントVsカソリックの両者の間を隔てる壁の事でもあり、家族を含める周囲が若き恋人達に向ける世間の壁でもある。だが本作の原題がAcross the Barricades―バリケードを越えて―であることからも、彼等はこの壁の前で立ちすくむのではなく、乗り越えていくことが期待されているのは明らかだ。