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June 27, 2017
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みなさん、こんばんは。
藤井四段の将棋から目がはなせませんでしたね。そして勝ちましたね。すごいです。どこまで勝つんでしょう。藤井四段が夜何を食べるかまでニュースになってませんでしたっけ?

さて、本日紹介するのは東野圭吾さんのミステリーです。

幻夜
東野圭吾

一九九五年一月十八日、東京で、前夜の阪神・淡路大震災のニュースを知った。暫くして連絡が取れた友人や親戚からは、「あんたがこっちにいた頃には、東京でひんぱんに地震があったのに。ちょうど地震を避けて動いとる。本当に、運が良かったねぇ。」と言われた。上京したのは、私の意思だが、地震に遭わなかったのは、運命だ。人生は、意思とそんな運命の巡り合わせが合わさって進んで行く。

 本書の主人公・新海美冬と水原雅也の出逢いは、巡り合わせだ。でもその後は、意思が彼等の人生を動かしていく。それも、どちらかといえば美冬の。一体なぜ美冬は、他人を陥れてまでも、高みに上りつめる事にこだわるのか。「これが原因で、世間に復讐したくなったのか?」と一つだけ理由らしきものは出てきたが、それが正しければ「ある人物」に対する美冬の対応が、腑に落ちない。「ある人物」は、むしろ彼女に同情的であったのに、なぜあんな事をしたのか? わかりかけたと思った彼女の輪郭が、またぼやける。そして読者は同時に、美冬が雅也にある嘘をついた事を知る。「あたしらは夜の道を行くしかない。周りは昼のように明るくても、それは偽りの昼」という美冬の言葉から、てっきり二人は一蓮托生の運命だと思っていたのに。雅也だって、きっとそう思ってきたはずだ。

 この作品の美冬評はかなり厳しいものが多い。心情が描かれる雅也に対して、彼女の内面は一切描かれないので、共感や同情に結びつく動機も背景も、探り出す術がないのだ。もし彼女が、山本周五郎の「五弁の椿」や松本清張の「霧の旗」のヒロインのようだったら、ここまで反発をくらう事はなかったはずだ。しかし、「白夜行」刊行の際に「テーマに据えているのはズラすこと。恋愛にせよ殺人にせよ。」と述べていた著者は、おそらく確信犯的にこの手法を取っている。

 本人が語らないなら、第三者に期待するしかない。だが、「白いドレスの女」のウィリアム・ハートや、「暗くなるまでこの恋を」のジャン=ポール・ベルモンド同様、ファム・ファタールに見入られた雅也では、彼女を探れない。ならばと登場したのが、カリスマ美容師、異臭騒ぎ、ストーカー、運命の巡り合わせによって、世紀末を象徴する、美冬絡みの全ての事件に関わってきた加藤刑事。彼なら、客観的な立場で、職業的勘で、本当の彼女に迫る事ができるはず。そして、「ホワイトナイト」という言葉を聞いて、私が「もしかしたら」と思ったある事についての答えも得られる。そう確信して迎えたエンディング。ああ、やはり。だがその後に、はっと気づく。彼女は雅也にも嘘をついた。では、最後に彼女がそう親しくもない加藤に言った事が、なぜ真実であると証明できる? 張り巡らされた伏線が、全て解けたと思ったのに、それも幻。釈迦の掌の上を走らされた孫悟空の気持ちが、少しわかる。

 「人はいい事をすれば報われ、悪い事をすれば罰を受ける」と教え込まれてきた身からすると、彼女の行く末に頭を悩ませる。やっぱり運命には勝てず、勧善懲悪の結末となって欲しいのか。それとも彼女が自分の意思を通して、ファム・ファタールの王道をこのまま突っ走ってゆくのを望むのか。そう、私はこれで物語が終わるとは思ってない。もう一つの作品が登場する事で、白夜が終わり、幻の夜が消えてゆくと考えている。ただし、消えた先に何があるのかまでは、まだ私にはわからない。


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最終更新日  June 27, 2017 07:34:01 PM
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