凍えたココロ

凍えたココロ

優しき歌

優しき歌


月の光のこぼれるやうに おまへの頬に

溢れた 涙の大きな粒が すぢを曳いたとて

私は どうして それをささへよう!

おまへは 私を だまらせた・・・・・・





>>星よ おまへはかがやかしい

>>花よ おまへは美しかつた

>>小鳥よ おまへは優しかつた

・・・・・・私は語つた おまへの耳に 幾たびも





だが たつた一度も 言ひはしなかつた

>>私は おまへを 愛してゐる と

>>おまへは 私を 愛してゐるか と





はじめての薔薇が ひらくやうに

泣きやめた おまへの頬に 笑ひがうかんだとて

私の心を どこにおかう?





立原道造(詩集『優しき歌2』より)


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