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Dog photography and Essay
九死に一生を得た
「アナフィラキシーショック1」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
昨日は66歳の誕生日を静かに家で過ごしたが14年前の誕生日は病院で過ごした。
2002年1月中国でペニシリン点滴でアナフィラキシーショックを起こした。
死ぬ目に遭い九死に一生を得たが食道など蕁麻疹が出来喘息症状に陥った。
中国春節も手伝い帰国し2ヶ月間入院した時の事を書いて行きたいと思う。
14年前の夜薄着で3時間大陸の街を走りまわり風邪をひいたらしい。
朝起きた時には扁桃腺の痛みでお湯が飲めなく寒気がし熱も出ていた。
午前中はその痛みに耐え仕事をしたが気分が悪く仕事を断念した。
昼に白酒のお湯割を2杯飲んで鶏肉のスープが身体に良いと沢山食べた。
まだ気分が良くならないので医務室に行き点滴を打ってもらう事にした。
ペニシリンのアレルギーはありますと医師の言葉に一度もないと話した。
アナフィラキシーショックにでもなったら大変だとテストだけはした。
アレルギーの検査は陽性反応のハッキリした赤い円形にはならなかった。
女医も問題ないでしょうと粉末ペニシリン点滴の用意が始まった。
ペニシリンの粉末の小瓶にブドウ糖液を注入し振り注射器で吸い取った。
「アナフィラキシーショック2」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
5本の粉末ペニシリンの小瓶にブドウ糖液を注入しして粉末を液状にする。
親指と人さし指でその小瓶を摘み縦横へ振りながら溶液に粉末を溶けさせた。
ペニシリンの粉末がブドウ糖液になじむまで振る様子だった。
日本でなら機械で一度に振る事が出来るが一つずつ指で摘んで振っていた。
診療所の医師は中の粉末がブドウ糖と混ざったかどうかを確認していた。
5本の小瓶にまた注射針を刺し中のペニシリン粉にブドウ糖を注入していた。
私の腕を縛るゴムチューブと点滴液の入った瓶をベッドの脇へ置いた。
注射針と点滴液からのチューブを枕元へ置き血管が浮き出ている所を探した。
当時は80キロの体重があり手にも贅肉がつき女医が腕を叩いていた。
血管が浮き出て来ないねと言いながら何度も叩き手首が赤くなってしまった。
「アナフィラキシーショック3」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
手首の血管が浮き出て来ないので再度パチパチ叩いているが痛い。
目標の血管が見え注射針に被せてあるカバーをはずし血管へぶっ刺した。
点滴液の根元のネジを緩めると血が逆流し透明な管が真っ赤に染まった。
女医は慌てて点滴の落ちるスピードや点滴の位置などを確認していた。
1時間半の点滴の最中相当疲れていたのかぐっすり眠ってしまった。
1時間半の時間が一瞬に過ぎ去り点滴の注射針を抜いて頂いた。
ベットからいきなり下り立ち上るとフラフラする感覚を覚えた。
女医にその事を伝えると点滴した後5分ほど静かに横になってなさいと。
今までの点滴の感覚と違い伝えたが「元々9度2分の熱だからね」と言う。
「すぐには治りませんよ!」と言うが妙な震えを感じトイレへ行った。
「アナフィラキシーショック4」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
私が点滴を受けた所は市の病院ではなく2000人規模の工場の医務室だった。
今まで体験した事のない小刻みな震えを感じたが一晩様子見る事になった。
女医はペニシリン粉を5本を使ったが体の違和感を感じながらも医務室を出た。
工場の管理者と会議をする約束があったので大会議室に董事長と向かった。
大会議室へ着く頃には22名ほどの管理者が既に揃って待っていてくれた。
議題が多くあったが気分が優れず会議は中止した方が良いと気遣ってくれた。
会議が終わり再度体温を測ったが8度8分の熱でホテルの部屋まで直行した。
中国の友人と共に食事を摂りビールはやめ紹興酒を熱くして頂き飲んだ。
友人の携帯が鳴り警察からで昨夜殺された青年の両親が安徽省から来ていた。
安徽省の田舎から出てきたのかヨレヨレの分厚いコートを着用していた。
「アナフィラキシーショック5」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
安徽省から来た殺害された青年の父親は訛りのある共通語でお礼を言う。
私は座るように促したがすぐに失礼するからと立ったままであった。
母親は溢れ出る涙が時折床に落ちたが日本人と話したのは初めてとも言う。
男は彼一人でこれからどう生きて行けば良いか訴えるが私には何もできない。
私と同じ年恰好なので彼等の気持ちを理解できる事が出来たのかも知れない。
血の着いた手で殺人現場にいた為警察で事情聴取を受けその夜悪寒がした。
酒場で事件に遭遇し血糊の着いた服を脱ぎ捨て風邪で高熱を出してしまった。
一日目の点滴でも治らないので皆の勧めどおり再度同じ医務室に出向いた。
昨日は5本のペニシリンを入れたが今日8本入れると言うので嫌な予感を感じた。
点滴を打ち終わり事務所に行きペンを持とうとするが震えでペンが持てない。
「アナフィラキシーショック6」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
ペンを震える手で持っても10cm幅の震えの為に左右に線を描き文字が書けない。
日本へ電話をと携帯電話を取ろうとするが震えの為携帯電話を落としてしまう。
中国人が拾って私に手渡たそうとするが手の震え幅が大きくなり受け取れない。
事務員は甲高い笑い声を上げるが事の異常さに気付き慌てて女医に電話をする。
A4用紙に今の情況を書こうと思うが手の震えは更に大きく20cmをジグザグに。
事務室の固定電話より電話しようと思うが手の震えにより受話器が取れない。
中国人に頼むが「冗談ばっかりやってるんだから」と笑っているだけである。
事の異様さを感じ取ったのか別の中国人女性が日本へ電話してくれた。
日本人が出たと言うが猛烈な胸の苦しみと両手の震えと目が回り立ってられない。
中国人は「ただ事ではない」とこの時点で悟った様であり女医も走って来た。
「アナフィラキシーショック7」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
受話器は震えのため受け取れないので事務員がオンフックに切り替えた。
商社のアシスタントが電話に出ているが私は痙攣の為に言葉にならない。
相手の声ははっきり聞こえるものの私は話そうとするが言葉にならない。
FAXを書きそれを見て下さいと言おうとするが「FA!FA!FA!」だけだ。
電話の向こうでは「どちら様ですか?もしもし?」「FA!FA!、、」
「もしもし、どちら様でしょうか?」「もう!もう!もう!、、」
「いたずら電話はやめて下さい!」と言うが悪戯ではなかった。
「胸!胸!むね!」と日本語になってなく「変な電話はやめて下さい」と。
私が話そうとしても電話の音声は虚しくツー、ツー、ツー、ツーと途切れた。
アシスタントは電話を切ったあと私の声と気付き変だと上司に報告していた。
もうダメか?そんな折私は知らなかったが中国人より日本へ連絡を入れていた。
「私が大変な事に」と工場より上海中国人経由で会社へ連絡が行っていた。
「アナフィラキシーショック8」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
息が正常に出来なく苦しい状態で事務の男2人で車に乗せ人民医院へ。
点滴を打った女医が血相を変え飛んで来て「緊張しないよう」と叫ぶ。
「深呼吸をして!」とも叫ぶがショック症状なので何も出来なかった。
この時に女医も事の重大さが分かったようで泣き出しそうな表情である。
車でも「苦しい!寒い!息が!」の途切れた言葉しか出なかった。
身体の制御は奪われたが皆の慌てる姿や女医の表情まで確認できた。
病院に着くと連絡をしたのか2人の医師と3人の看護婦が待機していた。
治療室に運ばれベットの上に寝ても手だけは大きく左右に振れていた。
心電図装置を手首に巻こうとするが手の振れが激しく何度も失敗した。
男性医師に代わっても心電装置を巻く事ができず失敗に終わってしまった。
「アナフィラキシーショック9」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
二人掛りで心電装置を手首に巻きつけたが震えが激しい為に機械がエラー。
私の呼吸と胸の苦しみは極限に達し800M競争を全力で走り抜けたようだった。
激しい呼吸が続き苦しく何度も反り返り皆の声が次第に薄れていった。
痛みは感じず胸を一生懸命叩いている医師の顔がぼんやり霞んで見えた。
周りの大きな叫び声も段々と遠くに聞こえ気を失った後は何も覚えてない。
意識を無くしていた間の事は何も覚えてないが証言を基に書き綴ろう。
心電装置を手首や足へ電極でつまみ心電計を作動させたが反応がなかった。
医師は私の瞼を開けてライトで瞳を照らし瞳孔の変化を確認していた。
医師たちは大慌てで私の胸を何度も叩いたり押えたりしていたと話す。
治療室の中の電気ショック装置を胸に当てると私の上半身が跳ねたと言う。
「アナフィラキシーショック10」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
皆は最悪の事まで思い特に女医は私は逮捕されると皆に話していたという。
2度目の電気ショックの後心電図が大きく音を刻み出した。
「生き帰った」という声が聞こえたと同時に胃の内容物を全て吐き出した。
駆け付けた工場の女性管理者たちも女医も声を上げて泣きじゃくっている。
あれほど震えていたのが嘘のように身体の震えも止まっていた。
身体は何とも無かったかのように平常を保ち快い心地さえ感じた。
午後1時半担ぎ込まれてから1時間30分の信じられない出来事だった。
人民病院の中国人医師は「貴方は心臓が強い」と言葉を残して行った。
その頃日本では何度も事務所へ連絡を入れたり大騒ぎしていた。
事務所からは中国人スタッフが3時間掛けてタクシーで走ってきた。
「アナフィラキシーショック完」
「ワンダーフォトライフ」では14年前に起こった
ペニシリンによるアナフィラキシーショックを公開しています。
スタッフは「日本から連絡を受けて何もかも放り出して飛んで来た」と言う。
既に危機を脱した後だったので私を見るなりきょとんとしていた。
直ぐに駆けつけて来て何も無かったような私を見てそう思ったのだろう。
昼最後の私の電話に異常を感じた日本スタッフが中国スタッフへ電話。
中国人スタッフは工場へ仔細を聞くが分からないと日本へ報告していた。
強烈な震えも何も無かったかのように平静を保ち風邪も治ったかのようだ。
死線を彷徨った割りに世間で言われている三途の川や綺麗な花は見なかった。
死に損ねた私と事件で呆気なくこの世を去った青年に生きる意味は何かと思う。
ペニシリンによるアレルギーショックをアナフィラキシ-ショックと呼ぶ。
抗生剤が合わずアレルギーを起こす典型だが今の日本では起こっていない。
明日からはアレルギーの後遺症を綴る予定。
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