inatoraの投資日記

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2005年01月30日
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前回の続きです。機械的投資の検証結果が示唆する「小型株効果」とは無関係に、個人投資家にとっては「うまく付き合えば小型株とは良いお友達になれる」と思う理由を書いてみたいと思います。

そのためには、小型株のファンダメンタルと値動きに関する特性をある程度知っておかなければなりません。


3.事業の分かりやすさという意味では小型株のほうに軍配が上がることが多い。

まず、小型株のメリットとしては「事業内容が分かりやすい企業が多い」ということが挙げられるかと思います。「単一の事業」「関連企業の少なさ」「財務諸表のシンプルさ」のどれをとっても個人投資家が事業内容の分析を手掛けるには都合が良いはずです。

これに対して、大型株は「複数の事業」「関連企業の多さ」「財務諸表の複雑さ」という特性を持っています。したがって、大型株を本当の意味で理解するためには業界情報や財務に関してかなりの専門知識が必要であることはすぐに理解できるかと思います。

例えば、大型株の事例としてソニーを挙げたとします。株式投資を実践している人の中で「ソニーはいい会社だ」と言う人はいますが、何を以ってそう言っているのかが私には理解不能です。

明らかに財務諸表を読んで事業内容や経営戦略を把握した上での発言とは思えないので、突き詰めたところで「何となく株価が上がりそうだから」という返答しか得られないのではないかと思っています。

相応に優秀な職業的アナリストでも大型株を本当に理解するにはかなりの時間を要します。個人投資家だとせいぜい表面的な収益性(ROEなど)や割安度(PERやPBRなど)くらいしか理解できないのではないでしょうか?

まあ、そうした表面的な指標だけで投資判断をして明らかに割安であるという結論を出せる状況が存在する場合もありますので、大型株を最初から捨てることはないですし、私も実際に投資する場合があることだけは主張しておきます。


4.事業環境が逆風に晒されたときに弱いことや市場参加者の価値判断に対する未熟度から、割高な小型株は見送るほうが無難である。

一般的に、小型株は事業環境が逆風に晒されたときに弱いことが挙げられます。もちろん、小型株でも事業基盤のしっかりした企業を探すべきなのですが、それでも大型株に比べて業績の変化率が高い傾向にあることは否めません。

また、小型株は大型株に比べて値付けが非効率になりがちです。すなわち、ファンダメンタル価値と大幅に乖離した値付けがされている可能性です。これは市場参加者の数が少ないことが最大の理由だと思います。

以上の2点を考慮すると、まさに小型株は玉石混交であり、事業基盤のしっかりした企業が異常に割安で放置されている場合もあるし、事業基盤がそれほどしっかりしていない企業が異常に割高になっている場合もあります。前者は良いパフォーマンスをもたらしますし、後者は最悪なパフォーマンスをもたらすでしょう。

また、現時点において事業がしっかりしていると思える小型株であっても、割高であればそれは避けたほうが無難です。万が一、その企業に逆風がくれば「事業基盤の悪化」に加えて「将来性を裏切られた失望感」と「小型株の非効率な値付けによる過度な悲観」から、とんでもなく株価が下がる可能性があります。

大型株と違い、小型株は価値判断ミスが致命傷に繋がる可能性が高いことをまず認識しておかなければなりません。


5.どんなことがあっても小型株の空売りは絶対にしない。

「割高な小型株を買う」ことのほかに、小型株で破滅する可能性をもう一つ挙げるとすれば、それは「小型株を空売りする」ことだと思います。

私は、割安な銘柄がなかなか見つからず、「中長期の買い」として投資対象が見つからないときは、短期売買を行うこともあります。場合によっては空売りも行うことがあるのですが、小型株は空売りの対象にしていません。(大型株の空売りでさえも「最後の手段」という位置づけです。)

これは、「小型株が火を噴いたときの恐ろしさ」を十分に見ているからです。小型株は時価総額が小さいので、何らかの材料で(あるいは、特に材料がなくても)、個人投資家の資金が集まれば一気に株価が上がることがあります。

したがって、ファンダメンタルで見て明らかに割高で、それが近いうちにネガティブな材料によって修正される可能性が高いとしても、時価総額の低い銘柄であれば、空売り出動はしません。ここは、目先に可能性が高い利益がぶら下がっていてもグッと我慢します。「市場参加者の誤認」で株価が爆騰すれば「一発退場」させられるからです。

そもそも、空売りそのものが上級者向けの投資手法だと思います。ましてや「小型株の空売り」はあらゆる投資手法のなかでも最上級に難しい部類であると私は思います。

ここで言っていることが分からないうちは貴方はまだまだ素人ですから、「空売り」などに手を出してはいけません。そんな素人が空売りに手を出せば「市場から確実に退場させられる」と警告しておきます。


今回の内容を簡単にまとめると、「割高な小型株に対しては、買いでも空売りでも手を出さない」ということを実践するだけでも、小型株とはかなり良いお友達になれる可能性が高いのではないかと思います。PERでもPBRでも買えないと思ったら見送ればいいだけの話です。

機関投資家が手を出さない領域で個人投資家の特権をフルに活かせるチャンスだと思います。特に、成長株志向でいい銘柄を発掘できたならば、「自分が買った銘柄を機関投資家に売りつけるまで保有する」という楽しみもあります。


今日の言葉:
「小型株が良いお友達になるのは、十分すぎるほど割安なときだけである。」





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最終更新日  2005年01月30日 09時56分55秒
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